ABSTRACT
- 2025年7-9月期の関西経済は、足下で持ち直しの動きを維持しているものの、不透明感が強まる局面を迎えている。多くの来場者を集めた大阪・関西万博が閉幕し、民間消費の押し上げ効果は今後弱まろう。また対中関係悪化が先行き最大のリスクで、外需を中心に不確実性が高まる。
- 家計部門は、改善を示す指標と慎重な動きを示す指標が混在している。消費者マインドの改善や小売販売の持ち直しなど明るい動きがみられる。一方、所得環境では実質賃金は伸び悩んでおり、雇用環境も横ばい圏で推移している。住宅市場も法改正後の反動減が続いている。
- 企業部門は、景況感が堅調に推移し、設備投資計画も大幅な増加が見込まれるなど、一定の底堅さがみられる。ただし製造業と非製造業で持ち直しの勢いに差がある。特に製造業では生産が弱含み、幅広い業種で減産となっている。
- 対外部門のうち、輸出はアジア向けの半導体等電子部品が好調で底堅く推移した一方、輸入はエネルギー価格の下落を受けて減少した。インバウンド関連では、訪日客数が足踏み、百貨店免税売上も2四半期連続で前年を下回るなど、弱さがみられる。
- 公的部門は、万博需要の反動もあり、力強さを欠く。請負金額では持ち直しの動きが見られる一方、出来高ベースでは弱い動きが続いている。
- 関西の実質GRP成長率を2025年度+1.1%、26年度+0.9%と予測。25年度・26年度とも民間需要が成長の牽引役となり1%前後の緩やかな成長を見込む。前回予測に比べて、25年度は+0.4%ポイントの上方修正、26年度は修正なしである。
- 成長に対する寄与を見ると、民間需要は25年度+1.1%ポイント、26年度+0.8%ポイントとなり、成長を主導する。公的需要は、25年度は成長に対して寄与しないが、26年度は小幅に成長を下支える。域外需要は、25年度は成長に寄与せず、26年度は成長を引き下げる。
- 今号ではトピックスとして「関西各府県GRP早期推計(2023-25年度)」「日中関係悪化による関西インバウンドの影響」を取り上げる。
予測結果表

DETAIL
※説明動画のタイムスタンプは下記の通りです。
00:00~0:25 はじめに
00:26~0:47 Outlineの説明
00:48~1:43 Executive summary
【関西経済予測の要旨】持ち直しているが力強さを欠き、足下は踊り場が続く
万博後の需要剥落に加え、対中関係悪化で先行き警戒感強まる
【日本経済予測の要旨】成長回復は関税政策変更一段落後の26年から27年にかけて
成長率予測は前回から上方修正だが、2つのリスクが懸念材料
01:45~3:41 「Kansai Economic Insight Quarterly No.76」の概要
予測の要旨
03:42~7:12 予測結果の解説
07:13~14:05 「第155回 景気分析と予測」の概要
景気の概況
14:08~23:47 予測結果の解説
23:48~24:24 関西経済四半期レポート トピックスの説明
24:25~27:52 トピックス1<関西2府4県GRPの早期推計>
27:53~31:55 トピックス2<対中(日中)関係悪化による関西インバウンドへの影響>