ABSTRACT
【ポイント】
・JNTO訪日外客統計によれば、10月の訪日外客総数(推計値)は389万6,300人、前年同月比+17.6%と6-7月の1桁台から3カ月連続で2桁台の伸びとなった。
・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、8月は343万7,118人。うち、観光客は307万2,139人と8月として過去最高値を更新。なお、その他客は大阪・関西万博の開幕で海外からの外交団が来日した影響もあり、過去最高値を更新した。
・前回レポート(No.76)では、万博閉幕後に実施されている観光誘客策の事例として鳥取県を取り上げた。今回は徳島県が実施している誘客策を取り上げて、その特徴を紹介した。
【トピックス1】
・関西10月の輸出額は13カ月連続の増加だが、輸入額は4カ月連続の減少となった。輸出が増加を維持する一方、輸入が4カ月連続で減少したため関西の貿易収支は9カ月連続の黒字となり、黒字幅は6カ月連続で拡大した。
・10月の関空への訪日外客数は97万2,839人、3カ月連続で2桁の伸びとなった。
・10月の第3次産業活動指数は2カ月連続の上昇となった。また、対面型サービス業指数は「運輸業、郵便業」などが上昇に寄与し、2カ月連続の上昇。また、観光関連指数は「宿泊業、飲食サービス業」等が上昇した影響で、2カ月ぶりに上昇した。
【トピックス2】
・8月の関西2府8県の延べ宿泊者数は13,388.1千人泊。前年同月比+2.9%と2カ月ぶりの増加。大阪・関西万博の影響もあり、日本人宿泊者が増加に寄与した。
・うち、日本人延べ宿泊者数は4カ月連続で前年を上回った一方、外国人延べ宿泊者数は2カ月連続で下回った。
【トピックス3】
・2025年7-9月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆6,864億円となり過去最高値を更新した。伸びは7四半期連続で前年を上回り、前期から大幅拡大した。
・国内旅行消費額のうち、宿泊旅行消費額は1兆3,746億円と7四半期連続で、日帰り旅行消費額は3,118億円億円と2四半期連続でそれぞれ前年を上回った。なお、大阪府と兵庫県の宿泊旅行消費額は過去最高値を更新した。
DETAIL
ポイント
●11月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数
▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表4)、10月の訪日外客総数(推計値)は389万6,300人であった。中国の国慶節に伴う大型連休などの影響もあり、前年同月比+17.6%、6-7月の1桁台から3カ月連続で2桁台の伸びとなった。また、同月の出国日本人数は124万3,600人であった(同+8.3%)。なお、2019年同月比では-25.2%と減少幅は前月の同-20.4%から拡大し、アウトバウンド需要は依然低迷している。


▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表4)、10月は韓国が86万7,200人(前年同月比+18.4%)と最多であった。次いで中国が71万5,700人(同+22.8%)、台湾が59万5,900人(同+24.4%)、米国が33万5,700人(同+20.6%)、香港が19万6,000人(同-1.4%)と続く。なお、SNS等による誤情報の影響もあり香港は6カ月連続の減少だが、減少幅は前月の同-12.2%から縮小した。

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図3及び表5)、8月は342万8,406人(前年同月比+16.9%)。うち、観光客は307万2,139人(同+16.1%)、8月として過去最高値を更新した。また、その他客は26万9,124人(同+27.4%)、過去最高値を更新。大阪・関西万博の開幕で海外からの外交団が来日した影響が表れたようである。商用客は8万7,143人(同+15.1%)であった。



▶前回レポート(No.76)では、万博閉幕後に実施されている観光誘客策の事例として鳥取県を取り上げた。今回は徳島県が実施している誘客策を取り上げて、その特徴を見よう。
▶徳島県は、万博後も継続的な人の流れを創出することを目的とした「徳島への招待状ネクストキャンペーン」を実施している(詳細はURL参照:https://expo-to-tokushima.expotokushima. jp/next/)。具体的には、1)事前・事後にアンケートへ回答可能な人、2)旅行中に撮影した写真などをSNSへ投稿可能な徳島県以外在住者を対象に、大阪駅から大塚国際美術館(または徳島駅)までの無料片道バス「徳島広報0円バス」を運行するツアーである。なお、大阪・関西万博会場の関西パビリオン内の徳島県ブースで配布された「徳島県への招待状クーポン」を所有している人はツアーの先行予約が可能となっている。特徴的なのは、ツアー内で体験した徳島県の魅力を、SNSを通じて国内客のみならず海外客に対して訴求するプログラムとなっていることである。こうした取組で国内外から県内に誘客ができれば、関西広域観光のより一層促進に繋がろう。
トピックス1
●10月関西の財貨・サービス貿易及びサービス産業動向
▶関西10月の輸出額は前年同月比+4.7%と13カ月連続で増加し、増加幅は前月の同+3.9%から幾分拡大した。一方、輸入額は同-2.1%と 4 カ月連続の減少(前月:同-1.0%)。輸出が増加を維持する一方、輸入が4カ月連続で減少したため、関西の貿易収支は+2,931 億円と 9 カ月連続の黒字となった(図4)。黒字幅は同+74.6%と6カ月連続で拡大した(前月:同+45.1%)。

▶対中国貿易動向をみると(図5)、関西10月の対中国輸出は前年同月比+6.2%(前月:同+3.8%)と2カ月連続の増加となった。輸出増に寄与したのは、半導体等電子部品や原料品等であった。また、対中国輸入は同-1.6%(前月:同+0.3%)と3カ月ぶりの減少。輸入減に寄与したのは通信機や衣類及び同附属品等であった。

▶10 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 97 万2,839 人であった。前年同月比+17.3%と増加幅は前月の同+13.3%から拡大。同月の日本人出国者数は23万3,884人、同+8.6%と増加幅は前月の同+18.4%から縮小した。なお、2019 年同月比では-27.6%と、減少幅は 2 カ月ぶりに拡大しており、依然コロナ禍前の水準を回復できていない。

▶サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2019-20年平均=100)をみれば(図7)、10月は105.8で前月比+0.9%と 2 カ月連続のプラスとなった(前月:同+0.1%)。経済産業省は基調判断を「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動き」と前月から据え置いた。また、同月の対面型サービス業指数*は106.3で同+0.7%と、2カ月連続のプラス(前月:同+0.1%)。うち、運輸業、郵便業(同+2.1%、2カ月連続)や宿泊業、飲食サービス業(同+1.2%、2カ月ぶり)等が上昇に寄与した。10月を7-9月平均と比較すると、第3次産業活動指数は+0.4%上昇だが、対面型サービス業指数は-0.0%と小幅低下した(7-9月期:第3次産業活動指数:前期比+0.4%、対面型サービス業指数:同-0.5%)。

▶10月の観光関連指数**(季節調整済み:2019-20年平均=100)は(図7)、113.3 と前月比+0.3%小幅上昇し、2カ月ぶりのプラス(前月:同-2.4%)。うち、宿泊業、飲食サービス業や劇場・興行団(同+4.5%、2カ月ぶり)等が上昇に寄与した。10月は79 月平均比+0.4%と小幅上昇した(7-9月期:前期比-1.2%)。 *対面型サービス業は、「運輸業、郵便業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「学習支援業」及び「医療、福祉」を指す。 **観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、「旅客運送業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「旅行業」、「映画館」、「劇場・興行団」及び「公園、遊園地・テーマパーク」の各指数の加重平均。
トピックス2
●8月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県
▶観光庁によれば、8月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は13,388.1千人泊(表1)。前年同月比+2.9%と2カ月ぶりに増加した(前月:同-3.3%)。大阪・関西万博の影響もあり、日本人宿泊者が増加に寄与した。

▶日本人延べ宿泊者数は9,639.4千人泊となった。前年同月比+4.6%と4カ月連続の増加(前月:同+0.1%)(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府3,414.9千人泊と過去最高を更新した。次いで、兵庫県1,569.7千人泊、京都府1,397.5千人泊、三重県1,004.4千人泊、滋賀県500.4千人泊、福井県486.6千人泊、和歌山県464.4千人泊、奈良県270.2千人泊、徳島県268.6千人泊、鳥取県262.6千人泊であった。関西8月の前年同月比(+4.6%)に対する寄与度をみれば、大阪府(同+5.5%ポイント)、三重県(同+1.3%ポイント)や奈良県(同+0.3%ポイント)等、4府県が増加に寄与した。一方、減少に寄与したのは、京都府(同-0.8%ポイント)、福井県(同-0.5%ポイント)や兵庫県(同-0.5%ポイント)等、6府県であった。

▶外国人延べ宿泊者数は3,748.8千人泊であった(表1及び図9)。前年同月比-1.0%と2カ月連続の減少だが、減少幅は前月の同9.5%から縮小した。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府1,912.4千人泊、京都府1,522.9千人泊と2府に集中している。次いで、兵庫県130.4千人泊、和歌山県73.5千人泊、奈良県33.8千人泊、三重県23.4千人泊、滋賀県17.1千人泊、鳥取県15.5千人泊、徳島県14.3千人泊、福井県5.6千人泊であった。前年同月比(-1.0%)への寄与度をみれば、大阪府(同-6.5%ポイント)、滋賀県(同-0.0%ポイント)、奈良県(同-0.0%ポイント)、3府県が外国人延べ宿泊者の減少に寄与した。

▶なお、宿泊料金と賃金との交易条件(現金給与総額/宿泊料金:2019年=100)をみれば、2025年10月は74.7となった。前年同月比-5.4%と31カ月連続で悪化した。宿泊料金の高止まりが続いている中、依然として日本人宿泊者にとっては厳しい状況が続いている(図10)。

トピックス3
●2025年7-9月期訪日外国人消費の動向
▶観光庁によれば、2025年7-9月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆6,864億円となり、統計が利用可能な2017年以降で過去最高値を更新した(表2)。前年同期比+44.8%と7四半期連続のプラス。大阪・関西万博の影響もあり、増加幅は4-6月期(同+7.6%)から大幅拡大した。

▶国内旅行消費額のうち、7-9月期の宿泊旅行消費額は1兆3,746億円であった。前年同期比+49.5%と7四半期連続のプラス、4-6月期(同+8.9%)から増加幅は大幅拡大した(図11及び表2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府5,138億円(同+111.9%)、兵庫県2,533億円(同+66.5%)、京都府1,672億円(同+16.4%)、三重県1,533億円(同+73.0%)、和歌山県981億円(同+32.4%)、福井県521億円(同-43.5%)、滋賀県438億円(同-23.7%)、鳥取県334億円(同+34.8%)、奈良県301億円(同+34.0%)、徳島県297億円(同+34.1%)であった。なお、大阪府と兵庫県は過去最高値を更新した。

▶国内旅行消費額のうち、7-9月期の日帰り旅行消費額は3,118億円であった。前年同期比+27.1%と2四半期連続のプラスとなった(4-6月期:同+3.2%)(図12及び表2)。府県別に消費額を降順にみれば、大阪府1,318億円(同+243.5%)、兵庫県477億円(同-23.3%)、京都府367億円(同+2.4%)、三重県348億円(同+26.6%)、滋賀県156億円(同-30.6%)、福井県150億円(同-20.0%)、奈良県140億円(同-4.7%)、和歌山県62億円(同-44.3%)、徳島県56億円(同-29.2%)、鳥取県44億円(同31.6%)であった。大阪府、三重県と京都府を除き、すべての府県で減少した。 *トピックス3は四半期ごとの掲載である。 **大阪・関西万博の影響についてはAPIR Trend Watch No.103の分析を参照
