ABSTRACT
【ポイント】
- JNTO訪日外客統計によれば、11月の訪日外客総数(推計値)は351万8,000人。前年同月比+10.4%とかろうじて4カ月連続で2桁の伸びを維持したが、増加幅は前月(同+17.6%)から縮小。中国人客の訪日旅行手控えが影響した。
- 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、9月は326万7,228人。うち、観光客は307万2,139人、その他客は25万3,515人と9月として過去最高値を更新した。
- レポートNo.76及び77では万博閉幕後の観光誘客策の事例を取り上げたが、今回は観光庁の2026年度予算からみた万博レガシー事業を取り上げ、その特徴を紹介した。
- 特徴的なのは、観光客への観光プログラム造成のみならず万博出展者と参加国との交流機会の創出を図っていることである。こうした取り組みにより、国内外へ関西の魅力が発信されれば、関西広域観光の一層の促進につながることが期待される。
【トピックス1】
- 関西11月の輸出額は14カ月連続で増加し、輸入額は5カ月ぶりの増加となった。輸出、輸入ともに増加し、前者の伸びが後者のそれを上回ったため、関西の貿易収支は10カ月連続の黒字、黒字幅は7カ月連続で拡大した。
- 11月の関空への訪日外客数は90万2,170人であった。この3カ月、前年同月比は2桁の伸びを記録したが、11月は1桁に減速した。
- 11月の第3次産業活動指数は2カ月ぶりに低下した。一方、対面型サービス業指数は「宿泊業、飲食サービス業」や「医療、福祉」などが上昇に寄与し、2カ月連続の上昇。また、観光関連指数は「宿泊業、飲食サービス業」等が上昇した影響で、3カ月ぶりに上昇した。
【トピックス2】
- 9月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,459.8千人泊。前年同月比+2.2%と2カ月連続で増加した。
- うち、日本人延べ宿泊者数は5カ月連続で前年を上回った一方、外国人延べ宿泊者数は3カ月連続で下回った。府県別にみれば、大阪府の日本人宿泊者数は5カ月連続で増加している一方、外国人宿泊者数は4カ月連続で減少しており、対照的な動きとなっている。
【トピックス3】
- 2025年7-9月期における関西各府県の訪問率をみると、大阪府42.6%が最も高く、次いで、次いで京都府30.0%、奈良県10.2%等が続く。なお、管区別に訪問率の前年差をみると、北海道、中部、九州が小幅の伸びにとどまっているのに対して、近畿は上昇している。
- 2025年7-9月期の関西における訪日外国人消費単価をみると、関西2府4県では前年同期比+0.8%小幅増加。費目別にみれば、飲食費(同+3.9%)、娯楽等サービス費(同+6.3%)や宿泊代(同+0.1%)が増加した一方で、交通費(同-14.4%)や買物代(同-11.5%)が減少した。
- 2025年7-9月期の関西における訪日外客消費額は5,511億円となり、前年同期比+16.1%増加した。
DETAIL
ポイント
●12月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数
▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表4)、11月の訪日外客総数(推計値)は351万8,000人であった。前年同月比+10.4%とかろうじて4カ月連続で2桁の伸びを維持したが、増加幅は前月(同+17.6%)から縮小。中国人客の訪日旅行手控えが影響した。また、同月の出国日本人数は133万人であった(同+13.2%)。なお、2019年同月比では-19.0%と減少幅は前月の同-25.2%から縮小したが、アウトバウンド需要の回復ペースは依然緩慢。


▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表4)、11月は韓国が82万4,500人(前年同月比+10.0%)と最多であった。次いで中国が56万2,600人(同+3.0%)、台湾が54万2,400人(同+11.1%)、米国が30万2,500人(同+22.2%)、香港が20万7,600人(同-8.6%)と続く。中国は日中関係悪化による訪日旅行の手控えが影響し、増加幅は前月の同+22.8%から大幅縮小。また、SNS等による誤情報の影響が払拭されず、香港は7カ月連続の減少となり、減少幅は前月(同-1.4%)から拡大した。

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図3及び表5)、9月は326万7,228人(前年同月比+13.7%)。うち、観光客は289万3,816人(同+13.7%)、その他客は25万3,515人(同+13.2%)、いずれも9月として過去最高値を更新した。また、商用客は11万9,897人(同+15.6%)であった。



▶レポートNo.76及び77では、万博閉幕後の観光誘客策の事例を取り上げた。今回は観光庁の2026年度予算からみた万博レガシー事業を取り上げ、その特徴をみよう。観光庁の関係予算(2 025年12月26日公表)は、1)「インバウンドの受入れと住民生活の質の確保との両立」、2)「地方誘客の推進による需要分散」、3)「観光産業の活性化」、4)「その他」の項目からなり、総額1, 383億4,500万円が計上されている。3)のうち、「万博レガシー事業」では2億5,000万円が計上されており、大阪・関西万博で得られた世界から日本への関心、来場者の体験・学び等を重要なレガシー(遺産)として観光分野へ活用される予定である。
▶具体的には、1)万博に関連する関西エリア周遊ツアーの造成や2)万博出展者と万博参加国による交流機会の創出、促進などである。特徴的なのは、観光客への観光プログラム造成のみならず万博出展者と参加国との交流機会の創出を図っていることである。こうした取り組みにより、国内外へ関西の魅力が発信されれば、関西広域観光の一層の促進につながることが期待される。
トピックス1
●11月関西の財貨・サービス貿易及びサービス産業動向
▶関西11月の輸出額は前年同月比+7.6%と14カ月連続で増加し、増加幅は前月の同+4.7%から拡大した。また、輸入額は同+4.6%と5カ月ぶりの増加(前月:同-2.0%)。輸出、輸入ともに増加し、前者の伸びが後者のそれを上回ったため、関西の貿易収支は+2,912億円と10カ月連続の黒字となった(図4)。黒字幅は同+28.6%と7カ月連続で拡大した(前月:同+74.6%)。

▶対中国貿易動向をみると(図5)、関西11月の対中国輸出は前年同月比+5.3%(前月:同+6.2%)と3カ月連続の増加となった。輸出増に寄与したのは、半導体等電子部品や医薬品等。また、対中国輸入は同+8.9%(前月:同-1.5%)と2カ月ぶりの増加。輸入増に寄与したのはがん具及び遊戯用具や医薬品等であった。

▶11 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 90 万2,170 人(図6)。この3カ月、前年同月比は2桁の伸びを記録したが、11月は1桁に減速した(同+7.6%)。同月の日本人出国者数は 26 万 4,767 人、同+18.5%と増加幅は前月の同+8.6%から拡大した。なお、2019 年同月比では-17.4%と、減少幅は前月の同-27.6%から縮小した。

▶サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2019-20年平均=100)をみれば(図7)、11月は105.5で前月比-0.2%と 2 カ月ぶりのマイナスとなった(前月:同+0.9%)。経済産業省は基調判断を「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動き」と前月から据え置いた。また、同月の対面型サービス業指数*は106.3で同+0.5%と、2カ月連続のプラス(前月:同+0.3%)。うち、宿泊業、飲食サービス業(同+2.7%、2カ月連続)、医療、福祉(同+0.7%、2カ月ぶり)等が上昇に寄与した。10-11月平均を7-9月平均と比較すると、第3 次産業活動指数は+0.7%、対面型サービス業指数は+0.2%といずれも小幅上昇した(7-9月期:第3次産業活動指数:前期比+0.4%、対面型サービス業指数:同+0.2%)。

▶11月の観光関連指数**(季節調整済み:2019-20年平均=100)は(図7)、115.0 と前月比+2.4%上昇し、3カ月ぶりのプラス(前月:同-0.6%)。うち、宿泊業、飲食サービス業や劇場・興行団(同+11.7%、2 カ月連続)等が上昇に寄与した。10-11 月平均は 7-9 月平均比+0.6%と小幅上昇した(7-9 月期:前期比+0.2%)。 *対面型サービス業は、「運輸業、郵便業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「学習支援業」及び「医療、福祉」を指す。 **観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、「旅客運送業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「旅行業」、「映画館」、「劇場・興行団」及び「公園、遊園地・テーマパーク」の各指数の加重平均。
トピックス2
●9月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県
▶観光庁によれば、9月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は11,459.8千人泊(表1)。前年同月比+2.2%と2カ月連続で増加した(前月:同+2.9%)。

▶日本人延べ宿泊者数は8,136.4千人泊となった。前年同月比+7.1%と5カ月連続の増加(前月:同+4.6%)(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府3,412.1千人泊と最も多い。次いで、京都府1,319.4千人泊、兵庫県1,155.8千人泊、三重県661.7千人泊、滋賀県386.8千人泊、和歌山県313.3千人泊、福井県296.8千人泊、奈良県216.8千人泊、徳島県198.4千人泊、鳥取県175.3千人泊であった。関西9月の前年同月比(+7.1%)に対する寄与度をみれば、大阪府(同+9.9%ポイント)、奈良県(同+0.2%ポイント)や滋賀県(同+0.2%ポイント)等、5府県が増加に寄与した。一方、減少に寄与したのは、兵庫県(同-1.5%ポイント)、京都府(同-1.2%ポイント)や鳥取県(同-0.5%ポイント)等、5府県であった。

▶外国人延べ宿泊者数は3,323.4千人泊であった(表1及び図9)。前年同月比-8.1%と3カ月連続で減少し、減少幅は前月の同-1.0%から拡大した。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、京都府1,510.1千人泊、大阪府1,461.8千人泊と2府に集中している。次いで、兵庫県155.6千人泊、和歌山県77.8千人泊、奈良県33.5千人泊、三重県31.3千人泊、滋賀県17.0千人泊、鳥取県15.5千人泊、徳島県14.6千人泊、福井県6.3千人泊であった。前年同月比(-8.1%)への寄与度をみれば、大阪府(同-14.4%ポイント)、滋賀県(同-0.1%ポイント)の2府県が外国人延べ宿泊者の減少に寄与した。なお、大阪府は4カ月連続で減少に寄与しており、日本人宿泊者の動向(5カ月連続増加)とは対照的な動きとなっている。

▶なお、宿泊料金と賃金との交易条件(現金給与総額/宿泊料金:2019年=100)をみれば、2025年11月は72.9となった。前年同月比7.9%と32カ月連続で悪化した。宿泊料金の高止まりが続いている中、依然として日本人宿泊者にとっては厳しい状況が続いている(図10)。

トピックス3
●2025年7-9月期訪日外国人訪問率と消費単価:関西
▶観光庁によれば、2025年7-9月期における関西各府県の訪問率をみると(図11)、大阪府42.6%が最も高く、次いで京都府30.0%、奈良県10.2%、兵庫県5.2%、和歌山県1.3%、三重県0.7%、滋賀県0.6%、鳥取県0.4%、福井県0.3%、徳島県0.2%と続く。前年同期と比較すると(表2)、大阪府+2.0%ポイント、京都府+0.5%ポイント、奈良県+0.4%ポイント、鳥取県+0.1%ポイント、兵庫県+0.1%ポイント、滋賀県+0.0%ポイント、それぞれ上昇した。一方、徳島県-0.1%ポイント、和歌山県と三重県は-0.0%ポイントといずれも小幅低下となった。なお、管区別に訪問率の前年差をみると、北海道、中部、九州が小幅の伸びにとどまっているのに対して、近畿は同+1.7%ポイント上昇している。一方、関東は同-1.0%ポイントの低下となっている。


▶当該期間の各府県の訪問率に訪日外客数を乗じて推計した関西における訪日外客数をみよう。2025年7-9月期の訪問者数を降順にみれば(表2)、大阪府431万8,417人(前年同期比+16.9%)と最も多く、次いで京都府304万890人(同+13.4%)、奈良県103万2,163人(同+16.4%)、兵庫県53万602人(同+13.5%)、和歌山県13万2,263人(同+8.7%)、三重県6万6,998人(同+4.9%)、滋賀県5万7,706人(同+14.7%)、鳥取県4万1,433人(同+66.0%)、福井県2万8,767人(同+54.9%)、徳島県2万1,370人(同-23.8%)と続く。
▶観光庁によれば、2025年7-9月期の関西における訪日外国人消費単価(旅行者1人1回当たりの旅行消費金額)をみると(表3)、関西2府4県では前年同期比+0.8%小幅増加した。費目別にみれば、飲食費(同+3.9%)、娯楽等サービス費(同+6.3%)や宿泊代(同+0.1%)が増加した一方で、交通費(同-14.4%)や買物代(同-11.5%)が減少した。

▶観光庁によれば、2025年7-9月期の関西における訪日外客消費額は5,511億円となり(表3)、前年同期比+16.1%増加した(25年4-6月期:同+33.7%)。なお、同期の全国の消費額*は1兆9,525億円、同+15.0%となり(25年4-6月期:同+21.2%)、関西は全国の伸びを幾分上回った。
*全国の消費額については本レポートNo.76を参照。