都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート No.79

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ABSTRACT

【ポイント】

・JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は361万7,000人。前年同月比+3.7%、増加幅は前月の同+10.4%から縮小し、5カ月ぶりに1桁の伸び。日中関係悪化に伴う、中国人客の訪日旅行自粛が影響した。

・2025年通年の訪日外客数は4,268万3,551人で、過去最高値であった24年の水準(3,687万148人)を上回り、初めて4,000万人を突破。

・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、10月は389万6,524人。うち、観光客は357万9,441人と10月として過去最高値を更新した。

・レポートNo.79では、観光庁が1月30日に公表した第5次観光立国推進基本計画案の内容を取り上げ、その特徴を紹介した。インバウンドのみならずアウトバウンドや国内旅行に関する目標の見直し、新たな設定がなされたことが今回の計画案の特徴である。インバランスに配慮した観光政策となっている。

 

【トピックス1】

・関西12月の輸出額は15カ月連続で増加し、輸入額は2カ月連続の増加となった。結果、関西の貿易収支は11カ月連続の黒字。輸出、輸入ともに増加したが、後者の伸びが前者のそれを上回ったため、黒字幅は8カ月ぶりに縮小した。

・12月の関空への訪日外客数は83万8,628人であった。日中関係悪化の影響もあり、前年同月比-5.3%と2022年1月(同-68.0%)以来のマイナスとなった。

・12月の第3次産業活動指数は2カ月連続で低下した。また、対面型サービス業指数は「宿泊業、飲食サービス業」や「医療、福祉」などが低下に寄与し、3か月ぶりの低下。観光関連指数は「宿泊業、飲食サービス業」等が低下した影響で、2カ月ぶりの低下となった。

 

【トピックス2】

・10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は12,441.3千人泊。前年同月比-1.2%と3カ月ぶりの減少となった。

・うち、日本人延べ宿泊者数は6カ月ぶりに、外国人延べ宿泊者数は4カ月連続で前年を下回った。府県別にみれば、大阪府の日本人宿泊者数は9月の寄与から大幅低下し、外国人宿泊者数も減少に寄与している。

 

【トピックス3】

・2025年10-12月期における関訪日外国人消費額(速報、全目的ベース)は2兆5,330億円となった。前年同期比+10.3%と経済活動が正常化した2024年以降、8四半期連続で2桁の伸びとなっている。

・2025年通年の消費額は9兆4,559億円と、過去最高値であった24年通年(8兆1,257億円)を上回った

・10-12月期の訪日外国人消費額のトップ5を国・地域別(その他除く)にみれば、中国が3,534億円と最多だが、前年同期比-17.9%と2024年以降で初めてマイナスに転じた。

・一般客1人1泊当たり旅行支出(全目的)は2万8,249円となった。前年同期比+3.8%と、3四半期ぶりの増加に転じた。費目別にみれば、宿泊費が1万672円と最も多く、次いで買物代が7,456円、飲食費が6,075円、交通費が2,848円、娯楽等サービス費が1,193円と続く。なお、平均泊数は8.3泊、前年同期差-0.4泊と小幅減少した。

 

DETAIL

ポイント

●1月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表4)、12月の訪日外客総数(推計値)は361万7,000人であった。前年同月比+3.7%、増加幅は前月の同+10.4%から縮小し、5カ月ぶりに1桁の伸びとなった。日中関係悪化に伴う、中国人客の訪日旅行自粛が影響した。また、同月の出国日本人数は130万700人であった(同+9.6%)。なお、2019年同月比では-24.0%と減少幅は前月の同-19.0%から拡大。アウトバウンド需要の回復ペースは依然緩慢である。

▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表4)、12月は韓国が97万4,200人(前年同月比+12.3%)と最多で、単月過去最高値を更新。次いで台湾が58万8,400人(同+19.8%)、中国が33万400人(同-45.3%)、香港が29万1,100人(同+1.9%)、米国が27万700人(同+13.5%)と続く。コロナ禍後も着実に伸びていた中国人客は初めて減少に転じた。ちなみに影響のない10月の伸び率は同+22.8%であった。今後、しばらく前年比半減のペースが続く可能性が高い。

▶2025年通年の訪日外客数は4,268万3,551人で、過去最高値であった24年の水準(3,687万148人)を上回り、初めて4,000万人を突破した。一方、日本人出国者数は1,473万1,524人と、前年(1,300万7,279人)から増加したものの、コロナ禍前の7割程度(-26.6%)の回復にとどまった。

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図3及び表5)、10月は389万6,524人(前年同月比+17.6%)。うち、観光客は357万9,441人(同+18.5%)、10月過去最高値を更新。その他客は19万6,835人(同+16.5%)、商用客は12万248人(同-1.0%)であった。

▶観光庁は2026年1月30日に第5次観光立国推進基本計画案を公表した。1)「インバウンドの受入れと住民生活の質と確保の両立」、2)「国内交流・アウトバウンドの拡大」3)「観光地・観光産業の強靭化」が計画案の3つの柱である。具体的には、1)では2 030年訪日外客6,000万人、消費額15兆円は継続しつつも、「観光客の受入と住民生活の質の確保との両立に取り組む地域数を10 0地域」とする新たな目標が設定された。また、2)では、2030年国内旅行消費額30兆円、日本人の海外旅行者数を2,008万人(過去最高値)と、目標が見直された。加えて、3)では宿泊業の付加価値目標額を6.8兆円と新たに設定された。インバウンドのみならずアウトバウンドや国内旅行に関する目標の見直し、新たな設定がなされたことが今回の特徴である。インバランスに配慮した観光政策となっている。

 

トピックス1

●12月関西の財貨・サービス貿易及びサービス産業動向

▶関西12月の輸出額は前年同月比+9.0%と15カ月連続で増加し、増加幅は前月の同+7.6%から拡大した。輸入額は同+12.0%と2カ月連続で増加し、前月の同+4.5%から大幅拡大。結果、関西の貿易収支は+3,483億円と11カ月連続の黒字となった(図4)。輸出、輸入ともに増加したが、後者の伸びが前者のそれを大きく上回ったため、黒字幅は同-4.3%と8カ月ぶりに縮小(前月:同+29.7%)。2025 年通年では、輸出は前年比+4.5%(前年:同+2.8%)、輸入は同+2.4%(前年:同+1.3%)といずれも2年連続の増加。結果、貿易収支は11年連続の黒字(+2兆9,545億円)、黒字幅は同+21.2%と3年連続で拡大した(前年:同+16.7%)。

▶対中国貿易動向をみると(図 5)、関西 12 月の対中国輸出は前年同月比+14.3%(前月:同+5.3%)と4カ月連続で増加した。輸出増に寄与したのは、半導体等電子部品や半導体等製造装置等。また、対中国輸入は同+19.3%(前月:同+8.9%)と2カ月連続の増加。輸入増に寄与したのはがん具及び遊戯用具や通信機等であった。

▶12月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は83万8,628人(図6)。前年同月比-5.3%と2022年1月(同-68.0%)以来のマイナスとなった。一方、同月の日本人出国者数は26万3,140人、同+15.1%となった。なお、2019年同月比では-23.5%と、減少幅は前月(同-17.4%)から拡大しており、アウトバンド需要の回復ペースは緩慢。25年通年の関空への訪日外客数は1,083万6,129人となり、初めて1,000万人を突破(前年比+14.6%)。一方、日本人出国者数は 284 万 6,258 人(同+16.3%)、コロナ禍前7割程度の回復(19年比-28.4%)にとどまった。

▶サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:201920 年平均=100)をみれば(図7)、12月は104.8で前月比-0.5%と2カ月連続のマイナスとなった(前月:同-0.4%)。経済産業省は基調判断を「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動き」と前月から据え置いた。また、同月の対面型サービス業指数*は106.6で同-0.4%と、3カ月ぶりのマイナス(前月:同+1.3%)。うち、宿泊業、飲食サービス業(同-2.0%、3 カ月ぶり)、医療、福祉(同-0.4%、2 カ月ぶり)等が低下に寄与した。10-12 月期の第3次産業活動指数は前期比+0.3%と4四半期連続で、対面型サービス業指数は同+0.6%と2四半期連続でそれぞれ上昇した(7-9月期:第 3 次産業活動指数:同+0.4%、対面型サービス業指数:同+0.2%)。

▶12月の観光関連指数**(季節調整済み:2019-20年平均=100)は(図7)、114.2 と前月比-0.8%低下し、2カ月ぶりのマイナス(前月:同+2.5%)。うち、宿泊業、飲食サービス業や公園、遊園地・テーマパーク(同-3.9%、2 カ月ぶり)等が低下に寄与した。10-12 月期の観光関連指数は前期比+0.8%と2四半期連続で上昇した(7-9月期:同+0.2%)。 *対面型サービス業は、「運輸業、郵便業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「学習支援業」及び「医療、福祉」を指す。 **観光関連指数は第3次産業活動指数のうち、「旅客運送業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「旅行業」、「映画館」、「劇場・興行団」及び「公園、遊園地・テーマパーク」の各指数の加重平均。

 

▶観光庁によれば、10月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は12,441.3千人泊(表1)。前年同月比-1.2%と3カ月ぶりの減少となった(前月:同+2.2%)。

 

トピックス2

●10月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県

▶観光庁によれば、10月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は12,441.3千人泊(表1)。前年同月比-1.2%と3カ月ぶりの減少となった(前月:同+2.2%)。

▶日本人延べ宿泊者数は7,932.2千人泊となった。前年同月比1.4%と6カ月ぶりの減少(前月:同+7.1%)(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,885.2千人泊と最も多い。次いで、京都府1,337.1千人泊、兵庫県1,234.3千人泊、三重県750.8千人泊、滋賀県402.7千人泊、福井県324.8千人泊、和歌山県319.9千人泊、奈良県258.0千人泊、徳島県210.4千人泊、鳥取県209.0千人泊であった。関西10月の前年同月比(-1.4%)に対する寄与度をみれば、減少に寄与したのは、京都府(同-1.1%ポイント)、兵庫県(同-1.0%ポイント)、鳥取県(同-0.4%ポイント)等の7府県であった。一方、三重県(同+0.8%ポイント)、大阪府(同+0.4%ポイント)、奈良県(同+0.3%ポイント)の3府県が増加に寄与した。なお、大阪府は9月の寄与(同+9.9%ポイント)から大幅低下した。

▶外国人延べ宿泊者数は4,509.1千人泊であった(表1及び図9)。前年同月比-0.9%と4カ月連続の減少だが、減少幅は前月の同8.1%から縮小した。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,157.3千人泊、京都府1,834.3千人泊と2府への集中が続いている。次いで、兵庫県231.8千人泊、和歌山県125.0千人泊、奈良県47.6千人泊、三重県34.2千人泊、徳島県25.8千人泊、滋賀県25.5千人泊、鳥取県19.2千人泊、福井県8.4千人泊であった。前年同月比(-0.9%)への寄与度をみれば、大阪府(同-4.7%ポイント)、滋賀県(同-0.0%ポイント)と福井県(同-0.0%ポイント)の3府県が外国人延べ宿泊者の減少に寄与した。

▶なお、宿泊料金と賃金との交易条件(現金給与総額/宿泊料金:2019年=100)をみれば、2025年12月は78.1となった。前年同月比5.0%と33カ月連続で悪化したが、前月の同-6.9%から悪化幅は縮小。ただし、依然として宿泊料金の高止まりが続いていることから、日本人宿泊者にとって厳しい状況が続いている(図10)。

 

トピックス3

●2025年10-12月期訪日外国人消費の動向

▶観光庁によれば、2025年10-12月期の訪日外国人消費額(速報、全目的ベース)は2兆5,330億円となった(図11)(7-9月期:2兆1,384億円)。前年同期比+10.3%と24年に入って、8四半期連続で2桁の伸びとなっている。結果、25年通年の消費額は9兆4,559億円と、過去最高値であった24年通年(8兆1,257億円)を上回った。

▶10-12月期の訪日外国人消費額のトップ5を国・地域別(その他除く)にみれば(図12)、中国が3,534億円(前年同期比-17.9%)と最多であった。次いで、米国が3,265億円(同+22.1%)、台湾が3,067億円(同+4.7%)、韓国が2,717億円(同+4.1%)、香港が1,597億円(同-2.3%)と続く。伸び率をみれば、香港は4四半期連続で減少。また、中国は日中関係悪化の影響もあり、経済活動が正常化した2024年以降、初めて減少に転じた。

▶一般客1人1泊当たり旅行支出(全目的)は2万8,249円となった。前年同期比+3.8%、3四半期ぶりの増加に転じた(7-9月期:同-18.3%)。国・地域別にみれば(表2)、シンガポールが4万5,128円(同+30.9%)と最も高い。次いで、香港が4万217円(同+4.9%)、タイが3万4,167円(同+18.3%)、米国が3万3,818円(同+7.6%)、英国が3万3,227円(同+1.2%)となっている(表2)。

▶10-12月期の1人1泊当たり旅行支出を費目別でみれば(表3)、宿泊費が1万672円(同+11.5%)と最も多く、次いで買物代が7,456円(同-4.4%)、飲食費が6,075円(同+7.0%)、交通費2,848円(同-4.1%)、娯楽等サービス費が1,193円(同+0.3%)と続いている。なお、平均泊数は8.3泊と、前年同期差-0.4泊小幅減少した。 *トピックス3は四半期ごとの掲載である。 **「全目的」とは、観光・レジャー目的以外に、業務、留学、親族・知人訪問等の目的の旅行者を含む。ただし、1年未満の滞在者が対象である。

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