ABSTRACT
【ポイント】
・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は359万7,500人。前年同月比-4.9%、2022年1月(同-61.8%)以来のマイナスに転じた。日中関係悪化で中国発の旅客便が大幅減便した影響が表れた。
・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、11月は351万8,195人。うち、観光は322万4,810人で11月として過去最高値を更新したが、伸びは同+10.3%と前月の同+18.5%から縮小した。
・先行きインバウンドのリスク要因として、1)日中関係の悪化による訪日中国人客の減少に続き、新たに2)中東情勢の緊迫化が挙げられる。中でも、2)についてはアメリカ、イスラエルのイランへ軍事行動開始以降、中東地域の国際空港の機能が大幅低下している。軍事行動開始前の2月27日から足下3月15日の航空便の動きをみると、ドバイとアブダビではそれぞれ27日に比して34.5%、33.2%の低稼働にとどまっており、ドーハは4.3%、バーレーンは0%と旅客便はほぼ消失している。これらの主要ハブ空港における旅客便減便(供給)の長期化に加え、原油価格高騰による航空運賃(需要)への波及は、訪日外客に大きな影響があると考えられる。
【トピックス1】
・関西1月の輸出額は16カ月連続で増加した一方、輸入額は3カ月ぶりの減少となった。結果、関西の貿易収支は12カ月連続の黒字となり、収支は前年同月から改善した。
・1月の関空への訪日外客数は81万3,797人。日中関係悪化の影響もあり、前年同月比-17.2%と2カ月連続のマイナスとなった。
・1月の第3次産業活動指数は3カ月ぶりのプラスとなった。また、対面型サービス業指数は「医療、福祉」や「生活関連サービス業、娯楽業」などが上昇に寄与し、2カ月ぶりのプラス。一方、観光関連指数は「劇場・興行団」や「映画館」等が低下した影響で、2カ月連続のマイナスとなった。
【トピックス2】
・11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は12,105.2千人泊。前年同月比-6.1%と2カ月連続の減少となった。
・うち、日本人延べ宿泊者数は2カ月連続で、外国人延べ宿泊者数は5カ月連続でそれぞれ前年を下回った。府県別にみれば、京都府の外国人延べ宿泊者は2023年3月以来のマイナス寄与となった。
【トピックス3】
・2025年10-12月期における関西国内旅行消費額(2府8県ベース)は1兆3,220億円となった。前年同期比+8.5%、8四半期連続のプラスだが、増加幅は10-12月期から縮小した。
・国内旅行消費額のうち、宿泊旅行消費額は8四半期連続で、日帰り旅行消費額は3四半期連続でそれぞれプラスだが、いずれも増加幅は7-9月期から縮小した。
・2025年通年の関西国内旅行消費額は5兆4,334億円となった。大阪・関西万博が開催された影響もあり、前年比+15.0%と4年連続で増加し、全国の伸び(同+7.0%)を上回った。
DETAIL
ポイント
●2月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数
▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表3)、1月の訪日外客総数(推計値)は359万7,500人であった。前年同月比-4.9%、2022年1月(同-61.8%)以来のマイナスに転じた。日中関係悪化で中国発の旅客便が大幅減便した影響が表れた。また、同月の出国日本人数は107万2,600人であった(同+17.6%)。なお、2019年同月比では-26.1%と減少幅は2カ月連続で拡大した。


▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表3)、1月は韓国が117万6,000人(前年同月比+21.6%)と最多であった。次いで台湾が69万4,500人(同+17.0%)、中国が38万5,300人(同-60.7%)、米国が20万7,800人(同+13.8%)、香港が20万人(同-17.9%)と続く。日中関係悪化の影響もあり中国人客は2カ月連続で大幅減少し、減少幅も前月(同-45.3%)から拡大。また、香港人客も2カ月ぶりのマイナスとなった。


▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(表4)、11月は351万8,195人(前年同月比+10.4%)。うち、観光客は322万4,810人で11月として過去最高値を更新。ただし、伸びは同+10.3%と前月(同+18.5%)から縮小した。その他客は16万1,682人(同+18.0%)、商用客は13万1,703人(同+3.1%)であった。

▶先行きインバウンドのリスク要因として、1)日中関係の悪化による訪日中国人客の減少に続き、新たに2)中東情勢の緊迫化が挙げられる。1)については、中国発の旅客便が大幅減便しており、2月以降も訪日中国人客の大幅減少が続く可能性が高い。2)については、ロシアのウクライナ侵攻以降、急速に存在感を高めてきた中東地域における主要ハブ空港への影響が懸念される。2 026年2月28日にアメリカ、イスラエルがイランへ軍事行動を開始したことにより、中東地域の国際空港の機能が大幅低下している。軍事行動開始前の2月27日から足下3月15日の航空便の動きをみると(図3)、ドバイとアブダビではそれぞれ27日に比して34.5%、33.2%の低稼働にとどまっている。一方、ドーハは4.3%、バーレーンは0%と旅客便はほぼ消失している状況である。これら中東地域における主要ハブ空港は世界の多くの旅行者が利用しており、旅客便の減便(供給)が長期化すれば、訪日外客への影響は大きいと考えられる。加えて、原油価格の高騰は、航空運賃(需要)にも波及する。依然、中東情勢は極めて不確実性が高く、情勢改善の見通しが不透明なこともあり、訪日外客への影響には引き続き注視が必要となろう。

トピックス1
●1月関西の財貨・サービス貿易及びサービス産業動向
▶関西1月の輸出額は前年同月比+17.8%と16カ月連続で増加し、増加幅は前月の同+9.0%から拡大した。一方、輸入額は同-2.6%と3カ月ぶりの減少。結果、関西の貿易収支は+397億円と12カ月連続の黒字となり(図4)、収支は前年同月差+3,241億円改善した。なお、今年は春節時期が2月にずれたこともあり、その影響については1-2月で均してみる必要がある。

▶対中国貿易動向をみると(図 5)、関西 1 月の対中国輸出は前年同月比+46.6%(前月:同+14.3%)と 5 カ月連続で増加した。輸出増に寄与したのは、半導体等電子部品やプラスチック等。また、対中国輸入は同+2.5%(前月:同+19.3%)と3カ月連続の増加。輸入増に寄与したのはがん具及び遊戯用具や無機化合物等である。

▶1月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は81万3,797人であった(図6)。前年同月比-17.2%と2カ月連続で減少し、減少幅は前月の同-5.3%から拡大した。日中関係の悪化で中国発の旅客便が大幅減便したことが影響した。一方、日本人出国者数は20万4,695人、前年同月比+22.4%となった。ただし、2019年同月比では-29.0%となっており、依然コロナ禍前の水準を回復できていない。

▶サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:2019-20 年平均=100)をみれば(図 7)、1 月は 106.3 で前月比+1.7%と3カ月ぶりのプラスとなった(前月:同-0.8%)。経済産業省は基調判断を「一部に足踏みがみられるものの、持ち直しの動き」と前月から据え置いた。また、同月の対面型サービス業指数*は107.5で同+0.6%と、2カ月ぶりのプラス(前月:同-0.2%)。うち、医療、福祉(同+1.1%、2カ月ぶり)、生活関連サービス業、娯楽業(同+0.9%、2 カ月ぶり)等が上昇に寄与した。1 月を 1012 月平均と比較すると、第 3 次産業活動指数は+1.0%、対面型サービス業指数は+0.9%とそれぞれ上昇した(10-12 月期:第 3次産業活動指数:前期比+0.3%、対面型サービス業指数:同+0.7%)。

▶1 月の観光関連指数**(季節調整済み:2019-20 年平均=100)は(図 7)、112.3 と前月比-1.2%低下し、2 カ月連続のマイナス(前月:同-1.2%)。うち、劇場・興行団(同-16.6%、4カ月ぶり)や映画館(同-23.7%、2 カ月連続)等が低下に寄与した。結果、1月は10-12 月平均比-1.2%低下した(10-12月期:前期比+0.7%)。 *対面型サービス業は、「運輸業、郵便業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」、「学習支援業」及び「医療、福祉」を指す。 **観光関連指数は第3次産業活動指数のうち、「旅客運送業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「旅行業」、「映画館」、「劇場・興行団」及び「公園、遊園地・テーマパーク」の各指数の加重平均。
トピックス2
●11月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県
▶観光庁によれば、11月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は12,105.2千人泊(表1)。前年同月比-6.1%と2カ月連続の減少となった(前月:同-1.2%)。

▶日本人延べ宿泊者数は7,997.8千人泊となった。前年同月比5.5%と2カ月連続の減少(前月:同-1.4%)(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,617.7千人泊と最も多い。次いで、京都府1,392.9千人泊、兵庫県1,295.4千人泊、三重県880.2千人泊、滋賀県391.3千人泊、福井県373.6千人泊、和歌山県353.0千人泊、奈良県248.3千人泊、鳥取県222.9千人泊、徳島県222.6千人泊であった。関西11月の前年同月比(-5.5%)に対する寄与度をみれば、減少に寄与したのは、大阪府(同-2.4%ポイント)、京都府(同-2.2%ポイント)、兵庫県(同-0.8%ポイント)等の9府県であった。

▶外国人延べ宿泊者数は4,107.4千人泊であった(表1及び図9)。前年同月比-7.2%と5カ月連続で減少し、減少幅は前月の同-0.9%から拡大した。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府2,007.4千人泊、京都府1,641.2千人泊と2府への集中が続いている。次いで、兵庫県189.7千人泊、和歌山県101.8千人泊、奈良県43.7千人泊、三重県38.7千人泊、滋賀県33.4千人泊、徳島県22.7千人泊、鳥取県16.4千人泊、福井県12.4千人泊であった。前年同月比(-7.2%)への寄与度をみれば、大阪府(同-8.1%ポイント)、和歌山県(同-0.1%ポイント)と京都府(同-0.0%ポイント)の5府県が外国人延べ宿泊者の減少に寄与した。なお、京都府は2022年3月以来のマイナス寄与となった。

▶なお、宿泊料金と賃金との交易条件(現金給与総額/宿泊料金:2019年=100)をみれば、2026年1月は81.9となった。前年同月比2.9%と34カ月連続の悪化だが、前月の同-5.1%から悪化幅は縮小。ただし、依然として宿泊料金の高止まりが続いていることから、日本人宿泊者にとって厳しい状況が続いている(図10)。

トピックス3
●2025年10-12月期国内旅行消費の動向:関西2府8県*
▶観光庁によれば、2025年10-12月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆3,220億円となった(表2)。前年同期比+8.5%と8四半期連続のプラスだが、増加幅は前期の同+44.8%から縮小した。

▶国内旅行消費額のうち、10-12月期の宿泊旅行消費額は1兆479億円であった。前年同期比+9.0%と8四半期連続のプラスだが、7-9月期(同+49.5%)から増加幅は縮小した(図11及び表2)。府県別に宿泊旅行消費額を降順にみれば、大阪府4,269億円(同+49.3%)、兵庫県1,481億円(同+21.1%)、京都府1,399億円(同-28.4%)、三重県945億円(同-11.3%)、和歌山県612億円(同+9.1%)、奈良県462億円(同-32.8%)、鳥取県380億円(同+23.8%)、滋賀県371億円(同-6.7%)、徳島県365億円(同+102.6%)、福井県196億円(同-48.2%)であった。

▶国内旅行消費額のうち、10-12月期の日帰り旅行消費額は2,741億円であった。前年同期比+6.4%と3四半期連続のプラスだが、増加幅は7-9月期(同+27.1%)より縮小(図12及び表2)。府県別に日帰り旅行消費額を降順にみれば、大阪府820億円(同-2.4%)、兵庫県544億円(同+49.6%)、京都府467億円(同-24.7%)、三重県254億円(同-9.0%)、奈良県227億円(同+148.9%)、滋賀県195億円(同+60.6%)、和歌山県67億円(同+4.9%)、鳥取県63億円(同+50.3%)、福井県57億円(同-41.6%)、徳島県47億円(同-17.5%)であった。

▶2025年通年の関西国内旅行消費額は5兆4,334億円となった(24年:4兆7,245億円)。大阪・関西万博が開催された影響もあり、前年比+15.0%と4年連続で増加し(24年:同14.8%)、全国の伸び(同+7.0%)を上回った。 *トピックス3は四半期ごとの掲載である。