第82回 景気分析と予測(2010年02月22日)

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ABSTRUCT

「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
(主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
2月15日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2009-2011年度の改訂経済見通しとなっている。

ポイントは以下の通り。

*2009年度10-12月期実績の評価‥‥実質GDP成長率(一次速報)は、前期比+1.1%、同年率+4.6%と、3四半期連続のプラス成長となっ た。寄与度で見ると、純輸出が+2.2%ポイントと3四半期連続のプラス寄与となるとともに、国内需要が+2.4%ポイントで、7四半期ぶりに経済成長率 を引き上げ、内需と外需がバランスのとれた回復といえる。

*2009年度の改訂見通し‥‥10-12月期の実績が上ぶれしたことにより、2009年度の実質GDP成長率を前回予測(▲2.6%)から0.6%ポイ ント上方修正し▲2.0%と予測する。2年連続のマイナス成長であるが、大規模な財政支出と2009年後半からの世界経済の持ち直しにより08年度 (▲3.7%)よりは改善する。

*2010年度および2011年度の改訂見通し…2010年度の実質GDP成長率は+2.0%と、3年ぶりのプラス成長を予測する(前回予測1.6%から 上方修正)。また、11年度も+1.9%と2年連続のプラス成長となるであろう。実質民間住宅や実質民間企業設備が底打ちすることと、堅調なアジア経済の 回復を中心とした外需の拡大が成長に寄与する。しかしその成長の水準は緩やかで、11年度末になっても、実質GDPはリーマンショック前のピークに至らな い。このため、需給ギャップの縮小には時間がかかり、デフレはしばらく継続する。

*今回も、2009年度二次補正予算および10年度予算案や税制改正大綱を反映している。新政策は民間最終消費支出や民間住宅を拡大し、10-11年度に 0.7%程度の景気拡大効果を持つ。しかし一方で、財政悪化は深刻で、11年度末には政府債務残高は900兆円を超えることが見込まれる。歳入確保の議論 と成長戦略の具体化が急務となろう。

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