都道府県別訪日外客数と訪問率:5月レポート No.48

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ABSTRACT

【ポイント】

  • JNTO訪日外客統計によれば、5月の訪日外客総数(推計値)は189万8,900人と、着実に回復しつつある
  • 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば3月は181万7,616人。うち、観光客は158万2,518人と4か月連続で100万人を超える水準となった。観光客を国・地域別にみれば、米国が2カ月連続でコロナ禍前を回復した。
  • 訪日外客の先行きについては引き続き回復が見込まれているが、地域への誘客促進による一層の消費拡大が今後の課題となろう。

 

【トピックス1】

  • 関西5月の輸出は4カ月ぶりに前年比減少。また、輸入は2カ月連続で同減少した。結果、輸出入とも減少したが、輸入の減少幅が大幅拡大したため関西の貿易収支は4カ月連続の黒字となった。
  • 5月の関西国際空港への50万1,210人と50万人超の水準となり、回復傾向を維持している。空港別に訪日外客数の戻りをみてみると、羽田空港は2カ月連続でコロナ禍前を上回り、成田空港はコロナ禍前の8割を回復しているが、関空は依然6割程度の回復にとどまっている。
  • 4月のサービス業の活動は社会経済活動の進展から改善。第3次産業活動指数は2カ月ぶりの前月比上昇。また対面型サービス業指数、観光関連指数はそれぞれ2カ月ぶりにそれぞれ上昇した。

 

【トピックス2】

  • 3月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,462.3千人泊、2019年同月比-3.2%と3カ月連続で減少したが、減少幅は前月より縮小した。
  • うち、日本人延べ宿泊者数は8,386.6千人泊と6カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は2,075.8千人泊、2019年同月比-25.3%と減少幅は前月から縮小した。

DETAIL

ポイント

6 月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO 訪日外客統計によれば(図 1 及び表 2)、5 月の訪日外客総数(推計値)は 189 万 8,900 人と着実に回復しつつある(前月:194 万 9,100 人)。2019 年同月比では-31.5%と前月(同33.4%)からマイナス幅は小幅縮小しており、コロナ禍前の約 7割を回復した。なお、中国を除いた総数では、176 万 4,500 人、同-12.5%と、コロナ禍前の 8 割強の回復となっている。出国日本人数は 67 万 5,700 人と前月(56 万 178 人)から増加した。大型連休の影響もあり 19 年比では-53.0%と前月(同-66.4%)から減少幅は縮小。しかし、インバウンド需要に比してアウトバウンド需要はコロナ禍前の 5 割程度の回復にとどまった。

 

 

 

▶訪日外客数のトップ 5 を国・地域別にみると、韓国が 51 万 5,700 人(2019 年同月比-14.5%)と最多であった。次いで台湾が 30 万 3,300 人(同-28.9%)、米国が 18 万 3,400 人(同+16.8%)、香港が 15 万 4,400 人(同-18.3%)、中国が 13 万 4,400 人(同-82.2%)と続く。米国は 3 カ月連続でコロナ禍前を上回り、韓国、香港、台湾の減少幅は着実に縮小している。一方、中国は 2 割弱の回復にとどまっており、依然回復が遅れている(図 2 及び表 2)。

 

 

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、3 月は 181 万 7,616 人となった(2019 年同月比-34.1%)(図 3 及び表 3)。うち、観光客は 158 万 2,518 人(同-34.4%)、商用客は 9 万 2,083 人(同-43.6%)、その他客は 14 万 3,015 人(同-22.8%)であった。

 

 

 

▶観光客の TOP5 を国・地域別にみれば、3 月は韓国が 43 万 6,183 人(2019 年同月比-17.9%)と最多であった。次いで台湾が 26 万 6,186 人(同-30.2%)、米国が 18 万 6,329 人(同+26.3%)、香港が 14 万 995 人(同-15.1%)、タイが 10 万 2,555 人(同-26.9%)と続く(表 3)。米国が 2 カ月連続でコロナ禍前を回復した(前月:同+4.4%)。

▶1-3 月期の目的別訪日外客をみれば、観光客は 418 万 8,582 人(2019 年同期比-41.0%)、商用客は 21 万 2,707 人(同50.8%)、その他客は 38 万 9,254 人(同-25.6%)であった。観光客(330 万 6,376 人)と商用客(20 万 1,908 人)は 20 年 1-3月期の水準を上回った。

▶訪日外客の先行きについては引き続き回復が見込まれているが、地域への誘客促進による一層の消費拡大が今後の課題となろう。

 

トピックス1

5 月関西の財貨・サービス貿易及び 4 月のサービス産業動向

▶関西 5 月の輸出は前年同月比-6.4%と 4 カ月ぶりに減少した(前月:同+0.8%)。また、輸入は同-13.3%と 2 カ月連続で減少(前月:同-3.4%)。対アジア、対 EU 貿易減速の影響が表れた。結果、関西の貿易収支は+666 億円と 4 カ月連続の黒字(図 4)。輸出入とも減少したが、輸入の減少幅が大幅拡大したため、黒字を維持した。

 

 

▶対中貿易動向をみると(図 5)、関西 5 月の対中輸出は前年同月比-6.8%と 3 カ月ぶりに減少した(前月:同+2.8%)。輸出減に寄与したのは半導体等製造装置及び非鉄金属等であった。また、対中輸入は同-11.0%と 3 カ月ぶりの減少(前月:同+17.3%)。輸入減に寄与したのは通信機及び衣類及び同附属品等であった。

 

 

▶5 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 50 万 1,210 人と 50 万人超の水準となり、回復傾向を維持している(2019年同月比-33.5%)。また、日本人出国者数は 11 万 3,563 人と前月(8 万 5,653 人)から増加した(同-59.9%)。空港別に訪日外客数の戻りをみてみると、羽田(同+7.1%)は 2 カ月連続でコロナ禍前を上回り、成田(同-16.5%)はコロナ禍前の 8 割を回復した。一方、関空は依然 6 割程度の回復にとどまっている(図 6)。

 

 

▶4 月のサービス業の活動は社会経済活動の進展から改善。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば(図 7)、4 月は 101.0 で前月比+1.2%上昇し、2 カ月ぶりのプラスとなった(前月:同-1.5%)。4 月を 1-3 月平均と比較すれば、+0.6%上昇した(1-3 月期:前期比+1.0%)。また、対面型サービス業指数*は 95.0 で同+6.6%上昇し、2 カ月ぶりのプラス(前月:同-9.3%)。うち、運輸業は同+13.7%、宿泊業は同+9.9%とそれぞれ 2 カ月ぶりに上昇した(前月:運輸業:同-12.7%、宿泊業:同-7.6%)。結果、1-3 月平均比では、+1.6%上昇した(1-3 月期:前期比+2.3%)。

 

 

▶観光関連指数**(2015 年平均=100)は、89.9 と前月比+1.1%上昇し、2 カ月ぶりのプラス(前月:同-6.4%)(図 7)。うち、旅客運送業(同+4.1%、2 カ月ぶり)や宿泊業がそれぞれ上昇に寄与した。4 月を 1-3 月平均と比較すると、-1.0%低下した(1-3 月期:同+7.7%)。

*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。

**観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。

 

トピックス2

3 月延べ宿泊者数の動向:関西 2 府 8 県

▶観光庁によれば、3 月の関西 2 府 8 県の延べ宿泊者数(全体)は10,462.3 千人泊(表 1)。2019 年同月比-3.2%と 3 カ月連続の減少だが、前月(同-10.3%)からマイナス幅は縮小した。

 

 

▶日本人延べ宿泊者数は 8,386.6 千人泊となった。2019 年同月比+4.5%と 6 カ月連続で増加し、増加幅は前月(同+1.7%)から拡大した(表 1 及び図 8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,960.4 千人泊、京都府 1,860.4 千人泊、兵庫県 1,254.8 千人泊、三重県 718.5 千人泊、和歌山県 391.1 千人泊、滋賀県 357.1 千人泊、福井県 244.0 千人泊、徳島県 212.8千人泊、鳥取県 208.3 千人泊、、奈良県 179.3 千人泊であった。2019 年同月比でみると、京都府(10 カ月連続)、大阪府(6 カ月連続)、兵庫県(2 カ月ぶり)、徳島県(8 カ月ぶり)がそれぞれ増加した。

 

 

▶外国人延べ宿泊者数は 2,075.8 千人泊となった。2019 年同月比-25.3%と減少幅は前月(同-41.1%)から縮小した(表 1 及び図 9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 1,075.0 千人泊、京都府 820.6 千人泊、兵庫県 72.0 千人泊、和歌山県 36.2 千人泊、奈良県 22.2 千人泊、滋賀県 17.0 千人泊、三重県 12.7 千人泊、徳島県 12.3 千人泊、鳥取県 4.0 千人泊、福井県 3.8 千人泊であった。2019 年同月比でみると、徳島県が+2.4%と 2020 年 1 月(同+30.2%)以来、プラスに転じた。3年ぶりに、台湾からのチャーター便が運航されたことが影響したようである。また、滋賀県は前月から減少幅が拡大したが、その他の府県では減少幅が前月から縮小した。

 

 

▶関西 2 府 8 県延べ宿泊者を居住地別でみると(図 10)、県内の延べ宿泊者数は 1,646.7 千人泊(2019 年同月比+23.5%)、県外は 8,574.3 千人泊(同-4.1%)であった。伸びをみれば、県内は 18 カ月連続のプラスとなり、増加幅は前月(同+19.0%)から拡大。また、県外は前月(同-11.8%)から減少幅が縮小した。

 

 

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