都道府県別訪日外客数と訪問率:4月レポート No.47

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ABSTRACT

【ポイント】

  • JNTO訪日外客統計によれば、4月の訪日外客総数(推計値)は194万9,100人と、200万人に迫る水準まで回復した。
  • 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば2月は147万5,455人。うち、観光客は129万7,458人と3か月連続で100万人を超える水準となった。観光客を国・地域別にみれば、米国がコロナ禍前の水準を上回った
  • 先行きについては訪日中国人客の動向が重要となろう。日本の海外に対する水際対策は4月28日をもって終了したが、中国政府は依然として日本への団体旅行を認めていない。2月の訪日中国人観光客は2019年同月比-98.1%となっており、依然戻りは遅い。このため、訪日中国人観光客の回復には依然不確実性が高く、今後の動向には引き続き注視が必要である。

 

【トピックス1】

  • 関西4月の輸出は3カ月連続の前年比増加だが、伸びは2カ月連続で減速。一方、輸入は27カ月ぶりに同減少した。結果、関西の貿易収支は3カ月連続の黒字となり、黒字幅は拡大した。
  • 4月の関西国際空港への47万1,895人と前月から増加。空港別に訪日外客数の戻りをみてみると、羽田空港はコロナ禍前を上回り、成田空港はコロナ禍前の7割強を回復しているが、関空は6割程度の回復にとどまっている。
  • 3月のサービス業の活動は前月から悪化するも持ち直し傾向は維持。第3次産業活動指数は3カ月ぶりに前月比低下。また対面型サービス業指数は2カ月ぶり、観光関連指数は4カぶりにそれぞれ同低下した。1-3月期でみれば、第3次産業活動指数は3四半期ぶり、対面型サービス業は6四半期連続、観光関連指数は4四半期連続でいずれも前期比上昇した。

 

【トピックス2】

  • 2月の関西2府8県の延べ宿泊者数は7,782.2千人泊、2019年同月比-10.3%と2カ月連続で減少した。
  • うち、日本人延べ宿泊者数は6,352.3千人泊と5カ月連続でコロナ禍前の水準を上回ったが、増加幅は前月から縮小。また、外外国人延べ宿泊者数は1,429.9千人泊、2019年同月比-41.1%と減少幅は前月から拡大した。

 

【トピックス3】

  • 関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は8,349億円、前期からプラス幅は縮小するも2四半期連続でコロナ禍前を上回った。全国旅行支援事業が1月10日から再開されたものの、割引率が縮小された影響が出ている。

DETAIL

ポイント

5 月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO 訪日外客統計によれば(図 1 及び表 3)、4 月の訪日外客総数(推計値)は 194 万 9,100 人と、200 万人に迫る水準まで回復した(前月:181 万 7,500 人)。2019 年同月比では-33.4%と前月(同-34.2%)からマイナス幅は小幅縮小しており、回復傾向が続いている。なお、中国を除いた総数では、184 万 800 人、同-16.3%となっている。一方、出国日本人数は 56 万 200 人と前月(69 万 4,293)人から減少しており(同-66.4%)、アウトバウンド需要の回復ペースは緩慢である。

 

 

 

▶訪日外客数のトップ 5 を国・地域別にみると、韓国が 46 万 7,000 人(2019 年同月比-17.6%)と最多であった。次いで台湾が 29 万 1,600 人(同-27.7%)、米国が 18 万 3,900 人(同+8.0%)、香港が 15 万 2,800 人(同-21.6%)、タイが 12 万 1,000 人(同-26.6%)と続く。米国に加え、インドネシア(4 万 8,700 人、同+22.5%)、シンガポール(4 万 2,000 人、同+14.4%)などがコロナ禍前の水準を上回った(図 2 及び表 3)。

 

 

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、2 月は 147 万 5,455人となった(2019 年同月比-43.3%)(図 3 及び表 4)。うち、観光客は 129 万 7,458 人と 3 か月連続で 100 万人を超える水準となった(同-44.6%)。また、商用客は 6 万 7,629 人(同48.2%)、その他客は 11 万 368 人(同-16.6%)であった。

 

 

▶観光客の TOP5 を国・地域別にみれば、2 月は韓国が 54 万8,770 人(2019 年同月比-18.7%)と最多で、2 カ月連続で 50万人超の水準となった。次いで台湾が24万815人(同-37.3%)、香港が 11 万 7,024 人(同-33.3%)、米国が 7 万 5,610 人(同+4.4%)、タイが 6 万 9,896 人(同-32.2%)と続く(表 4)。19年比でみれば、米国がコロナ禍前の水準を初めて上回った。

 

 

▶先行きについては訪日中国人客の動向が重要となろう。日本の海外に対する水際対策は 4 月 28 日をもって終了したが、中国政府は依然として日本への団体旅行を認めていない。訪日中国人客を目的別にみれば(表 4)、2 月の商用客は 2019 年同月比65.6%、その他客が同-69.1%となっている。一方、観光客は同-98.1%となっており、依然戻りは遅い。訪日中国人観光客の回復には依然不確実性が高く、今後の動向には引き続き注視が必要である。

 

トピックス1

4 月関西の財貨・サービス貿易及び 3 月のサービス産業動向

▶関西 4 月の輸出は前年同月比+0.8%と 3 カ月連続の増加だが、2 カ月連続で伸びは減速した(1 月:同+5.1%、2 月:同+1.3%)(図 4)。一方、輸入額はエネルギー価格の落ち着きもあり同-3.4%と 27 カ月ぶりに減少に転じた。結果、関西の貿易収支は+2,482 億円と 3 カ月連続の黒字となり、黒字幅は同+37.5%拡大した(前月:同-2.8%)。

 

 

▶対中貿易動向をみると(図 5)、関西 4 月の対中輸出は前年同月比+2.8%と 2 カ月連続の増加だが、小幅のプラスにとどまった(前月:同+0.4%)。輸出増に寄与したのは半導体等電子部品やポンプ及び遠心分離機等であった。また、対中輸入は同+17.3%と 2 カ月連続の増加(前月:同+10.5%)。輸入増に寄与したのはがん具及び遊戯用具や無機化合物等であった。

 

 

▶4 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 47 万 1,895 人と前月(42 万 5,327 人)から増加した(2019 年同月比-38.3%)。一方、日本人出国者数は 8 万 5,653 人と前月(12 万 211 人)から減少した(19 年同月比-74.7%)。空港別に訪日外客数の戻りをみてみると、羽田(同+2.8%)はコロナ禍前を上回り、成田(同-23.5%)はコロナ禍前の 7 割強を回復しているが、関空は 6 割程度の回復にとどまっている(図 6)。

 

 

▶3 月のサービス業の活動は前月から悪化するも持ち直し傾向は維持。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015 年平均=100)をみれば(図 7)、3 月は 100.0 で前月比-1.7%低下し、3 カ月ぶりのマイナスとなった(前月:同+1.7%)。また、対面型サービス業指数*は 89.6 で同-10.2 大幅低下し、3 カ月ぶりのマイナス(前月:同+6.9%)。うち、運輸業は同-13.7%と 3 カ月ぶりに飲食店、飲食サービス業は同-7.8%と 2 カ月ぶりにそれぞれ低下した(前月:飲食店、飲食サービス業:同+5.1%、運輸業:同+5.1%)。結果、1-3 月期の第 3 次産業活動指数は 100.6、前期比+1.2%上昇し 3 四半期ぶりのプラス(10-12 月期:同-0.0%)。また、対面型サービス業は 94.3、同+3.1%上昇。6 四半期連続のプラスとなり、前期(同+1.3%)から伸びは加速した。

 

 

▶観光関連指数**(2015 年平均=100)は、86.8 と前月比-8.7%大幅低下し、4 カ月ぶりのマイナス(前月:同+7.5%)(図 7)。うち、宿泊業が同-9.1%と 2 カ月ぶりに、旅客運送業が同-7.4%と 8 カ月ぶりにそれぞれ低下に寄与した(前月:宿泊業:同+36.9%、旅客運送業:同+2.7%)。結果、1-3 月期は 90.1、前期比+6.8%上昇し、4 四半期連続のプラスとなった(10-12 月期:同+2.8%)。

*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。

**観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店,飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。

 

トピックス2

2 月延べ宿泊者数の動向:関西 2 府 8 県

▶観光庁によれば、2 月の関西 2 府 8 県の延べ宿泊者数(全体)は 7,782.2 千人泊であった(表 1)。2019 年同月比では-10.3%と 2 カ月連続で減少した(前月:同-10.0%)。

 

 

▶日本人延べ宿泊者数は 6,352.3 千人泊となった。2019 年同月比+1.7%と 5 カ月連続の増加だが、増加幅は前月(同+2.2%)から縮小(表 1 及び図 8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,375.0 千人泊、京都府 1,368.7 千人泊、兵庫県 946.9 千人泊、三重県 515.0 千人泊、和歌山県 273.2 千人泊、滋賀県 240.7 千人泊、福井県 184.8 千人泊、奈良県 164.2 千人泊、徳島県 148.2 千人泊、鳥取県 135.7 千人泊であった。2019 年同月比でみると、京都府が 9 カ月連続、大阪府、奈良県がそれぞれ 5 カ月連続で増加した。一方、兵庫県は 5 カ月ぶりに減少に転じた。

 

 

▶外国人延べ宿泊者数は 1,429.9 千人泊となった。2019 年同月比-41.1%と減少幅は前月(同-40.8)から小幅拡大(表 1 及び図9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 911.4 千人泊、京都府 411.3 千人泊、兵庫県 52.9 千人泊、滋賀県 16.6 千人泊、和歌山県 15.0 千人泊、奈良県 7.0 千人泊、三重県 6.4 千人泊、徳島県 4.3 千人泊、福井県 2.6 千人泊、鳥取県 2.5 千人泊であった。2019 年同月比でみると、大阪府(同-34.3%)は前月(同-40.0%)から減少幅は縮小したものの、その他府県では前月から拡大した。

 

 

▶関西 2 府 8 県延べ宿泊者を居住地別でみると(図 10)、県内の延べ宿泊者数は 1,345.8 千人泊(2019 年同月比+19.0%)、県外は 6,285.8 千人泊(同-11.8)であった。伸びをみれば、県内は 17 カ月連続のプラスだが、増加幅は 2 カ月連続で縮小(12 月:同+42.9%、1 月:同+23.5%)。一方、県外は前月(同-13.6%)から減少幅が幾分縮小した。

 

 

トピックス3

2023 年 1-3 月期国内旅行消費の動向:関西 2 府 8 県*

▶観光庁によれば、2023 年 1-3 月期関西(2 府 8 県ベース)の国内旅行消費額(速報)は 8,349 億円であった(表 2)。2019 年同期比+3.0%と前期(同+25.4%)からプラス幅は縮小するも、2 四半期連続でコロナ禍前を上回った。全国旅行支援事業が 1 月 10 日から再開されたものの、割引率が縮小された影響が出ている。

 

 

▶うち、宿泊旅行消費額は、6,740 億円、2019 年同期比+13.5%と 2 四半期連続のプラス(10-12 月期:同+41.3%)(図 11 及び表 2)。消費額のトップ 5 を府県別にみれば、大阪府が 2,155 億円(同+25.6%)と最も多く、次いで京都府が 1,755 億円(同+58.5%)、兵庫県が 1,059 億円(同-14.7%)、和歌山県が 516億円(同+130.2%)、三重県が 472 億円(同-21.5%)と続く。19年同期比でみれば、和歌山県が前期(同+216.9%)に引き続き大幅プラスとなった。また、福井県(同+27.6%)、京都府、大阪府は前期よりプラス幅が拡大。一方、三重県、鳥取県(同-45.2%)、徳島県(同-85.7%)は前期のプラスからマイナスへ転じている。

 

 

▶うち、日帰り旅行消費額は 1,609 億円、2019 年同期比-25.8%と 10-12 月期(同-21.2%)からマイナス幅は拡大した(図 12 及び表 2)。消費額のトップ 5 を府県別にみれば、兵庫県が 416 億円(同-17.2%)と最も多く、次いで三重県が 316 億円(同+26.3%)、大阪府が 264 億円(同-51.6%)、京都府が 240 億円(同-51.6%)、滋賀県が 138 億円(同-8.3%)と続く。19 年同期比でみれば、三重県、奈良県(同+25.6%)、和歌山県(同+52.3%)、徳島県(同+12.1%)はそれぞれプラスとなったが、その他府県ではマイナスとなった。

 

 

*トピックス 3 は四半期ごとの掲載である。

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