ABSTRACT
【ポイント】
- JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値)は147万5,300人と、回復基調が続く。また、1-2月期では297万2,600人と、爆買いが始まった15年1-2月期の水準を上回るペースとなった。
- 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば12月は137万114人。うち、観光客は125万2,391人と、20年1月以来、100万人を超えた。
- 先行きの訪日外客数の回復については、訪日中国人客の動向が重要となろう。これまで中国との直行便の到着は成田空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港の4空港に限定されていたが、水際対策緩和に伴い、3月1日以降、上記空港以外の入国も認められた。加えて、成田空港、羽田空港などで中国-日本間の直行便の復便や増便も予定されている。このため今後、訪日中国人客数の回復が期待されよう。
【トピックス1】
- 関西2月の輸出は2カ月ぶりの前年比増加。また、輸入は25カ月連続の同増加だが、伸びは小幅にとどまった。結果、関西の貿易収支は2カ月ぶりの黒字となった。
- 2月の関西国際空港への36万9,191人と、3カ月連続で30万人超の水準。1-2月期では74万8,489人となり、全国と同様に15年1-2月期の水準を上回っている。
- 1月のサービス業の活動は、対面型サービス業を中心に改善。第3次産業活動指数は3カ月ぶりに前月比上昇。また対面型サービス業指数は娯楽業や飲食サービス業が改善し、2カ月ぶりに同上昇した。また、観光関連指数は2カ月連続の同上昇となった。
【トピックス2】
- 12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,828.6千人泊、2019年同月比+0.1%と小幅プラスに転じ、コロナ禍前を上回った。
- うち、日本人延べ宿泊者数は8,301.0千人泊と3カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外外国人延べ宿泊者数は1,527.6千人泊、2019年同月比-37.7%と減少幅は前月から縮小。府県別にみれば、京都府や大阪府を中心に回復しつつある。
DETAIL
ポイント
3月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数
▶JNTO 訪日外客統計によれば(図 1 及び表 2)、2 月の訪日外客総数(推計値)は 147 万 5,300 人となった(前月:149 万 7,300人)。2019 年同月比では-43.4%(前月:同-44.3%)と、回復基調が続いている。また、1-2 月期では 297 万 2,600 人と、爆買いが始まった 15 年 1-2 月期の水準(260 万 5,375 人)を上回るペースとなった。
▶2 月の出国日本人数は 53 万 7,700 人と前月(44 万 3,104 人)から増加し、50万人超の水準まで回復した(19年同月比-65.0%)。
▶訪日外客数のトップ 5 を国・地域別にみると(図 2 及び表 3)、韓国が 56 万 8,600 人(2019 年同月比-20.6%)と最多で、2 カ月連続で 50 万人超の水準となった。次いで台湾 24 万 8,500人(同-37.8%)、香港 11 万 9,800 人(同-33.4%)、米国 8 万 9,600 人(同-6.2%)、タイ 7 万 3,300 人(同-32.0%)と続く。
▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば(図 2 及び表 3)、12 月は 137 万 114 人となった(2019 年同月比-45.8%)。うち、観光客は 125 万 2,391 人と、20 年 1 月(228 万 7,755 人)以来、100 万人を超えた(同-45.4%)。商用客は 5 万 1,942 人(同58.2%)、その他客は 6 万 5,781 人(同-40.3%)であった。
▶2022 年通年の目的別訪日外客総数(暫定値)は、383 万 2,110 人、19 年比-88.0%となった。うち、観光客は水際対策の大幅緩和が影響し、248 万 7,835 人と前年(6 万 6,387 人)から大幅増加した(同-91.2%)。また、商用客は 42 万 2,361 人(同76.0%)、その他客は 92 万 1,914 人(同-50.6%)であった。
▶12 月の観光客の TOP5 を国・地域別にみれば(図 3 及び表 3)、韓国が 43 万 7,570 人(2019 年同月比+108.1%)と最多で、コロナ禍前の 2019 年の月平均ペース(41 万 9,745 人)を上回った。次いで台湾が 16 万 3,739 人(同-50.7%)、香港が 13 万 9,621 人(同-43.2%)、米国が 9 万 9,693 人(同-20.2%)、タイが 8 万 463 人(同-49.9%)と続く。
▶先行きの訪日外客数の回復については、訪日中国人客の動向が重要となろう。これまで中国との直行便の到着は成田空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港の 4 空港に限定されていたが、水際対策緩和に伴い、3 月 1 日以降、上記空港以外の入国も認められた。加えて、成田空港、羽田空港などで中国-日本間の直行便の復便や増便も予定されている。このため今後、訪日中国人客数の回復が期待されよう。
トピックス1
2 月関西の財貨・サービス貿易及び 1 月のサービス産業動向
▶関西 2 月の輸出は前年同月比+5.1%と 2 カ月ぶりに増加した(図4)。また、輸入額は同+0.2%と 25 カ月連続の増加だが、伸びは小幅にとどまった(前月:同+7.3%)。結果、関西の貿易収支は+2,527億円と 2 カ月ぶりの黒字となった(同+45.3%)。ただし、前月は春節休暇の影響で大幅な赤字であったため、1-2 月を均してみれば、-139 億円の小幅赤字となっている。
▶対中貿易動向をみると(図 5)、関西 2 月の対中輸出は前年同月比4.4%と 2 カ月連続で減少した(前月:同-12.4%)。また、対中輸入は同-0.8%と 10 カ月ぶりの減少(前月:同+2.9%)。輸出減に寄与した品目は非鉄金属、コンデンサー等で、輸入減に寄与した品目は衣類及び同附属品、事務用機器等であった。
▶2 月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は 36 万 9,191人と、3 カ月連続で 30 万人超の水準となった。2019 年同月比では-45.3%と前月(同-45.4%)とほぼ同程度落ち込みであった。1-2 月期では 74 万 8,489 人となり、全国と同様に 15 年 1-2 月期の水準(62 万 4,459 人)を上回っている。また、2 月の日本人出国者数は 8 万 8,078 人で、前月(6 万 3,437 人)から増加した。2019年同月比では-71.2%と、11 カ月連続で減少幅は縮小しているが(前月:同-78.0%)、インバウンド需要に比してアウトバウンド需要の回復のペースは依然緩慢である。
▶1 月のサービス業の活動は、対面型サービス業を中心に改善した。サービス業の生産活動を示す第 3 次産業活動指数(季節調整済み:2015 年平均=100)をみれば(図 7)、1 月は 100.5 で前月比+0.9%上昇し、3 カ月ぶりのプラスとなった(前月:同-0.4%)。結果、1 月は 10-12 月平均比+0.6%となった(10-12 月期:前期比+0.3%)。また、対面型サービス業指数*は 96.1 で同+5.8%上昇し、2 カ月ぶりのプラス(前月:同-1.1%)。うち、娯楽業(同+11.6%)、飲食店、飲食サービス業(同+8.1%)や運輸業(同+6.0%)がそれぞれ改善した。1 月の対面型サービス業指数を 10-12 月平均と比較すれば+5.3%として好調である(10-12 月:前期比+1.3%)。
▶観光関連指数**(2015 年平均=100)は、87.0 と前月比+1.4%上昇し、2 カ月連続のプラス(前月:同+1.8%)(図 7)。結果、1 月は10-12 月平均比+2.0%となった(10-12 月期:前期比+4.9%)。
*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。
**観光関連指数は第 3 次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店,飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。
トピックス2
12 月延べ宿泊者数の動向:関西 2 府 8 県
▶観光庁によれば、12 月の関西 2 府 8 県の延べ宿泊者数(全体)は 9,828.6 千人泊であった(表 1)。2019 年同月比+0.1%と前月(同-7.3%)から小幅プラスに転じ、コロナ禍前を上回った。
▶日本人延べ宿泊者数は 8,301.0 千人泊、2019 年同月比+12.7%と 3 カ月連続で増加した(前月:同+11.2%)(表 1 及び図 8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 2,875.9千人泊、京都府 2,088.4 千人泊、兵庫県 1,210.9 千人泊、三重県 693.0 千人泊、和歌山県 362.2 千人泊、滋賀県 324.5 千人泊、福井県 250.4 千人泊、奈良県 174.3 千人泊、鳥取県 169.3千人泊、徳島県 152.2 千人泊であった。2019 年同月比では、福井県、滋賀県、鳥取県、徳島県を除く府県がプラスとなった。
▶外国人延べ宿泊者数は 1,527.6 千人泊と前月(1,155.4 千人泊)から増加した。2019 年同月比-37.7%と減少幅は前月(同59.3%)から縮小(表 1 及び図 9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府 839.4 千人泊、京都府 589.1 千人泊、兵庫県 40.5 千人泊、和歌山県 17.9 千人泊、滋賀県 11.8 千人泊、奈良県 11.5 千人泊、三重県 8.9 千人泊、徳島県 4.5 千人泊、福井県 2.0 千人泊、鳥取県 2.0 千人泊であった。2019 年同月比でみると、京都府(同-26.2%)、大阪府(同-40.3%)では着実に回復しつつある。
▶関西 2 府 8 県延べ宿泊者を居住地別でみると(図 10)、県内の延べ宿泊者数は 1,808.6 千人泊(2019 年同月比+42.9%)、県外は 7,813.1 千人泊(同-2.1%)であった。伸びをみれば、県内は 15 カ月連続のプラス。また、県外は前月(同-8.9%)から減少幅は縮小しており、コロナ禍前を回復しつつある。
▶2022 年の関西の延べ宿泊者数は 8,794.3 万人泊、19 年比29.0%となった(21 年:5,787.1 万人泊、同-53.3%)。うち、日本人延べ宿泊者数は 8,393.3 万人泊(同-6.9%)、外国人延べ宿泊者数は 400.5 万人泊(同-88.1%)であった。22 年 10 月から行われた全国旅行支援事業と水際対策の大幅緩和が、日本人及び外国人宿泊者数の回復に好影響した。