ABSTRACT
【ポイント】
- JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は137万人と前月から大幅増加し、20年2月以来、単月で100万人超の水準まで回復。2022年通年では年後半の水際対策の大幅緩和も影響し383万1,897人と、過去最少となった前年から大幅増加した。
- 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば10月は49万8,646人。うち、観光客は32万6,699人と前月(4万2,108人)から大幅増加し、2020年3月以来の値となった
- 今後のインバウンドの見通しについては、訪日中国人客の動向が重要となる。中国政府は2月6日以降、団体旅行を一部の国・地域に限って認めると発表したが、日本は今のところ含まれていない。このため、訪日外客の回復については依然不確実性が高い。
【トピックス1】
- 関西12月の輸出は22カ月連続の前年比増加だが、伸びは前月から減速。また、輸入は23カ月連続で同増加したが、エネルギー価格の落ち着きもあり伸びは前月から減速した。輸出入の伸びが前月からいずれも減速したが、後者の下落幅が前者の下落幅を上回ったため、関西の貿易収支は4カ月連続の黒字となった。
- 12月の関西国際空港への訪日外客数は33万1,249人と前月(24万7,090人)から増加。2022年通年では、88万5,472人(19年比-89.4%)となった。
- 11月のサービス業の活動は感染再拡大の影響もあり小幅悪化。第3次産業活動指数は2カ月ぶりの前月比低下。また、観光関連指数も飲食店、飲食サービス業の大幅低下もあり、4カ月ぶりの同低下となった。
【トピックス2】
- 10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は8,708.3千人泊、2019年同月比では-16.0%となった。全国旅行支援事業の開始と水際対策の大幅緩和もあり、減少幅は前月から縮小した。
- うち、日本人延べ宿泊者数は8,152.4千人泊、2019年同月比+10.8%とコロナ禍前を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は555.9千人泊となり、2019年同月比-81.5%と減少幅は大幅縮小。水際対策の大幅緩和により、大阪府、京都府を中心に外国人宿泊者数が回復している。
DETAIL
ポイント
1月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数
▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表2)、12月の訪日外客総数(推計値)は137万人と前月(93万4,500人)から大幅増加し、20年2月(108万5,147人)以来、単月で100万人超の水準まで回復した(2019年同月比-45.8%)。一方、同月の日本人出国者数は43万2,100人と前月(37万9,200)から増加したものの、インバウンド需要と比して回復のペースは緩やかである(2019年同月比-74.8%)。
▶2022年通年の訪日外客数は年後半の水際対策の大幅緩和も影響し383万1,897人と、過去最少となった前年(24万5,862人)から大幅増加した(19年比-88.0%)。日本人出国者数も277万1,381人と前年(51万2,200人)から大幅増加した(同-86.2%)。
▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると(図2及び表2)、韓国は45万6,100人と最多(19年同月比+83.9%)となり、2019年月平均(46万人)の水準までほぼ回復した。次いで台湾が17万200人(同-51.1%)、香港が14万1,300人(同43.4%)、米国が10万9,500人(同-24.2%)、タイが8万3,000人(同-49.7%)と続く。結果、2022年のトップ5は、韓国が101万2,665人、台湾が33万1,105人、米国が32万3,540人、ベトナムが28万4,132人、香港が26万9,282人の順となった。
▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、10月は49万8,646人となった(2019年同月比-80.0%)(図3及び表3)。うち、観光客は32万6,699人(同-85.0%)と前月(4万2,108人)から大幅増加し、20年3月(11万9,645人)以来の値となった。また、商用客は8万2,686人(同-43.2%)、その他客は8万9,261人(同-43.2%)であった。
▶今後のインバウンドの見通しについては、訪日中国人客の動向が重要である。12月の訪日中国人客数は3万3,500人(2019年同月比-95.3%)と低水準にとどまっている(表2参照)。中国では4年ぶりに行動制限のない春節(1月21日~27日)となり、海外旅行も解禁された。また、中国政府は2月6日以降、団体旅行を一部の国・地域に限って認めると発表したが、日本は今のところ含まれていない。このため、訪日外客の回復については依然不確実性が高い。
トピックス1
12月関西の財貨・サービス貿易及び11月のサービス産業動向
▶関西12月の輸出は前年同月比+9.5%と22カ月連続の増加だが、前月(同+18.9%)から減速した(図4)。また、輸入は同+16.4%と23カ月連続の増加だが、エネルギー価格の落ち着きもあり前月(同+23.9%)から減速。輸出入の伸びが前月からいずれも減速したが、後者の下落幅が前者の下落幅を上回ったため、関西の貿易収支は+2,090億円と4カ月連続の黒字となった(前年同月比-26.6%)。2022年通年では、輸出は前年比+16.3%、輸入は同+34.1%といずれも2年連続のプラス。前年から輸出が減速し、輸入が加速した結果、貿易収支は8年連続の黒字(+8,246億円)となったが、黒字幅は同-73.3%と3年ぶりに縮小した。
▶対中貿易動向をみると(図5)、関西12月の対中輸出は前年同月比+0.2%と8カ月連続の増加だが、中国経済減速の影響もあり前月(同+5.4%)から減速した。また、対中輸入は同+4.4%と8カ月連続の増加だが、前月(同+20.3%)から減速。2022年通年では、輸出は前年比+7.7%と3年連続の増加だが、伸びは前年(同+18.4%)から減速。一方、輸入は同+22.3%と2年連続で増加し、前年(同+15.7%)から加速した。結果、貿易収支は-8,811億円の赤字となり、赤字幅は同+531.5%拡大した(前年:同-36.2%)。
▶12月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は33万1,249人と前月(24万7,090人)から増加した。一方、日本人出国者数は6万4,060人と前月(5万1,940人)から増加。2019年同月比でみれば、前者は-48.6%と前月(同-63.1%)から減少幅は大幅に縮小した一方、後者は同-81.4%であり、依然回復が遅れている。2022年通年では、訪日外客数は88万5,472人(19年比-89.4%)、日本人出国者数は32万4,863人(同-96.1%)となった。円安の影響もあり、インバウンド需要は回復しつつあるが、アウトバウンド需要は依然低調である。
▶11月のサービス業の活動は感染再拡大の影響もあり小幅悪化。サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば(図7)、11月は100.0で前月比-0.2%小幅低下し、2カ月ぶりのマイナス(前月:同+0.5%)。一方、対面型サービス業指数*は91.9と同+0.2%小幅上昇し、2カ月連続のプラスとなった(前月:同+1.8%)。
▶観光関連指数**(2015年平均=100)は、84.1と前月比-1.0%低下し、4カ月ぶりのマイナス(前月:同+3.1%)(図7)。旅行業(同+13.9%、3カ月連続)や宿泊業(同+8.9%、2カ月ぶり)は上昇した一方で、飲食店、飲食サービス業(同-8.3%)が大幅低下した。
*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。
**観光関連指数は第3次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店,飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。
トピックス2
10月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県
▶観光庁によれば、10月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は8,708.3千人泊、2019年同月比では-16.0%となった(表1)。全国旅行支援事業の開始と水際対策の大幅緩和もあり、減少幅は前月(同-24.2%)から縮小した。
▶日本人延べ宿泊者数は8,152.4千人泊であった。2019年同月比では+10.8%となり、コロナ禍前を上回った(前月:同-0.8%)(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府が2,800.8千人泊、京都府が2,047.9千人泊、兵庫県が1,097.6千人泊、三重県が625.2千人泊、和歌山県が366.5千人泊、滋賀県が352.8千人泊、福井県が274.5千人泊、奈良県が233.8千人泊、鳥取県が192.8千人泊、徳島県が160.4千人泊であった。19年同月比をみれば、京都府が5カ月連続のプラスとなり、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県はそれぞれ前月のマイナスからプラスに転じた(表1参照)。
▶外国人延べ宿泊者数は555.9千人泊であった。2019年同月比では-81.5%と減少幅は前月(同-93.6%)から大幅縮小した(表1及び図9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府が291.0千人泊、京都府が216.3千人泊、兵庫県が15.1千人泊、三重県が11.9千人泊、和歌山県が9.2千人泊、滋賀県が3.8千人泊、奈良県が3.1千人泊、徳島県が2.4千人泊、福井県が1.7千人泊、鳥取県が1.5千人泊であった。水際対策の大幅緩和により、大阪府、京都府を中心に外国人宿泊者数が回復している。
▶関西2府8県延べ宿泊者を居住地別でみると(図10)、府県内の延べ宿泊者数は1,652.4千人泊となった(2019年同月比+35.7%)。伸びは13カ月連続のプラス。また、2府8県以外からの宿泊者は6,795.4千人泊であった(同-20.6%)。前月(同-30.6%)からマイナス幅は縮小した。
▶11月の全国延べ宿泊者数(全体、1次速報ベース)は45,700千人泊、2019年同月比-8.0%と減少幅は前月(同-11.6%)から縮小。うち、日本人宿泊者は41,696千人泊(同+2.7%)、外国人宿泊者は4,004千人泊(同-55.8%)となった。日本人宿泊者は2カ月連続で増加し、外国人宿泊者の減少幅は前月(同-79.4%)から大幅縮小した。