都道府県別訪日外客数と訪問率:3月レポート No.34

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ABSTRACT

【ポイント】

  • JNTO訪日外客統計によれば、3月の訪日外客総数(推計値)は入国者数上限引き上げの緩和策もあり6万6,100人となった。
  • 目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、1月は1万7,766人。うち、観光客は649人(同-100.0%)、商用客は1,455人(同-98.9%)、その他客は1万5,662人(同-92.4%)であった。
  • 4月に入り1日当たりの入国者数の上限が1万人へと引き上げられる等、日本の水際対策が更に緩和された。観光目的での入国は依然認められていないが、今後も留学生や技能実習生などを中心に訪日外客数は増加すると予想される。

 

【トピックス1】

  • 関西3月の輸出は13カ月連続の前年比増加だが伸びは減速。一方、輸入はエネルギー関連財の価格高騰の影響が続き、14カ月連続の同増加。結果、関西の貿易収支は2カ月連続の黒字だが、伸びは縮小した。
  • 3月の関西国際空港への訪日外客数は入国緩和策が影響し、1万284人と前月から増加。また、日本人出国者数も6,197人と前月から増加した。
  • 2月のサービス業はまん延防止等重点措置の影響により活動指数は悪化した。第3次産業活動指数は3カ月連続の前月比マイナス。2月中にまん延防止等重点措置の対象が最大36都道府県まで拡大された影響で、対面型サービス業や観光関連業の悪化が影響した。

 

【トピックス2】

  • 1月の関西2府8県の延べ宿泊者数は5,210.5千人泊となった。三重県、京都府、大阪府、兵庫県にまん延防止等重点措置が実施された影響もあり、2019年同月比は-38.0%と前月から減少幅が拡大した。
  • うち日本人延べ宿泊者数は5,171.6千人泊で、2019年同月比-14.1%と前月から再びマイナスに転じた。一方、外国人延べ宿泊者数は38.9千人泊と、同-98.4%減少した。
  • 延べ宿泊者を居住地別でみると、県内の延べ宿泊者数は1,451.0千人泊(2019年同月比+32.2%)、県外は3,578.2千人泊(同-48.1%)。まん延防止等重点措置が実施され、自府県民を対象とした旅行需要喚起策が一時停止されたこともあり、県内のプラス幅は前月から縮小した

 

DETAIL

ポイント

4月発表データのレビュー:JNTO 訪日外客数

▶JNTO訪日外客統計によれば(図1及び表2)、3月の訪日外客総数(推計値)は6万6,100人となった(2019年同月比-97.6%)。3月1日以降、1日当たりの入国者数の上限が7,000人へ引き上げられたこともあり、前月(1万6,700人)から大幅増加し、21年7月(5万1,055人)以来の5万人超の水準となった。結果、1-3月期では、10万566人(2019年同期比-98.8%)と、水準は20年10-12月期(14万2,732人)以来となったが、依然低位での推移が続く。

 

 

 

▶訪日外客数のトップ5を国・地域別にみると、ベトナムが1万100人で最も多かった。次いで中国が9,800人、韓国が6,700人、インドネシアが5,500人、フィリピンが4,200人であった。

 

▶目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、1月は1万7,766人となった(2019年同月比-99.3%)(図2及び表3)。うち、観光客は649人(同-100.0%)、商用客は1,455人(同-98.9%)、その他客は1万5,662人(同-92.4%)であった。商用客とその他客は前月(商用客:1,063人、その他客:1万320人)から増加したものの、観光客は依然低水準で推移している。

 

 

 

▶4月に入り日本の水際対策が更に緩和された。政府は4月8日に水際対策として106カ国・地域に対して実施していた入国拒否措置を解除するとともに、10日から1日当たりの入国者数の上限を1万人へと引き上げた。観光目的での入国は依然認められていないが、今後も留学生や技能実習生などを中心に訪日外客数は増加すると予想される。また、政府は4月1日に日本人の海外渡航に関し、感染症危険情報レベルを米国、英国など106カ国に対して引き下げた。今後、各国の水際対策緩和の進捗次第ではあるが、インバウンド需要よりアウトバウンド需要の方が早期に回復する可能性がある。なお、3月の日本人出国者数(推計値)をみれば、7万700人(19年同月比-96.3%)と前月(4万6,932人)から増加している(図1)。

 

 

▶世界では入国規制の緩和が更に進み、観光客の受け入れを再開している。シンガポールやマレーシアでは4月1日から、ワクチン接種を条件に隔離期間を設けず外国人の入国を認め、観光客の受け入れを再開した。また、シンガポールにおいては、ワクチンの追加接種が進捗したこともあり、屋外でのマスク着用義務を解除する等の規制緩和も併せて進めている。先行きはウクライナ情勢の悪化が懸念されているものの、規制緩和によって世界の旅行需要の回復が見込まれている。

 

トピックス1

3月関西の財貨・サービス貿易及び2月のサービス産業動向

▶関西3月の輸出は前年同月比+15.1%と13カ月連続の増加だが、前月(同+20.3%)から減速した(図 4)。輸出増に寄与したのは主に医薬品や映像機器等であった。一方、輸入額はエネルギー関連財の価格高騰の影響が続き、同+27.1%と 14 カ月連続で増加した(前月:同+30.8%)。結果、関西の貿易収支は2,825億円と2カ月連続の黒字だが、伸びは同-24.9%と2カ月連続で縮小した。1-3月期の貿易収支は2,970億円の黒字、黒字幅は前年同期比-60.1%と2 四半期連続で縮小した(10-12月期:同-12.5)。

 

 

▶対中貿易動向をみると(図 5)、関西 3 月の対中輸出は前年同月比+6.2%と22カ月連続の増加だが、前月(同+26.8%)から大幅減速した。うち輸出増に寄与したのは映像機器や電気回路等の機器等であった。一方、対中輸入は同+24.8%と10カ月連続で増加し、前月(同+2.5%)から加速。うち、輸入増に寄与したのは通信機や衣類及び同附属品等であった。1-3 月期の対中輸出は前年同期比+10.9%と8四半期連続の増加だが、前期(同+17.4%)から縮小。一方、対中輸入は同+20.4%と 3 四半期連続で増加し、前期(同+18.9%)から拡大した。

 

 

▶3月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は1万284人と前月(3,499 人)から増加した(2019 年同月比-98.6%)。また、日本人出国者数は6,197人と前月(4,736人)から増加(同-98.5%)。結果、1-3 月期の訪日外客数は 1 万 7,279 人(19 年同期比99.2%)、日本人出国者数は1万7,589人(同-98.2%)と、日本人出国者数が訪日外客数の水準を幾分上回った。

 

 

▶2 月のサービス業はまん延防止等重点措置の影響により活動指数は悪化した。サービス業の生産活動を示す第3次産業活動指数(季節調整済み:2015年平均=100)をみれば(図7)、2月は96.8で前月比-1.3%低下し、3 カ月連続のマイナスとなった(前月:同0.2%)。対面型サービス業指数*は82.8で同-3.8%低下し、2カ月連続のマイナス(前月:同-1.5%)。2月中にまん延防止等重点措置の対象が最大36都道府県まで拡大された影響で、飲食店、飲食サービス業(同-8.4%)や娯楽業(同-5.7%)の経済活動が低下した。

 

 

▶観光関連指数**(2015年平均=100)は、72.8と前月比-2.0%低下し、2カ月連続のマイナス(図7)。まん延防止等重点措置の延長に伴い、各自治体の旅行需要喚起策の停止が継続された影響もあり、宿泊業(同-6.2%)や旅行業(同-13.1%)はいずれも 2 カ月連続で悪化した(前月:宿泊業:同-23.2%、旅行業:同-40.6%)。

 

*対面型サービス業は、運輸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、その他の生活関連サービス業及び娯楽業を指す。

**観光関連指数は第3次産業活動指数のうち、観光庁「旅行・観光サテライト勘定」の分類に対応する、鉄道旅客運送業、道路旅客運送業、水運旅客運送業、航空旅客運送業、旅客運送業、その他のレンタル、自動車賃貸業、宿泊業、飲食店、飲食サービス業、旅行業、映画館、劇場・興行団の各指数の加重平均。

 

トピックス2

1月延べ宿泊者数の動向:関西2府8県

▶観光庁によれば、1月の関西2府8県の延べ宿泊者数(全体)は5,210.5千人泊であった(表1)。1月に入り、三重県、京都府、大阪府、兵庫県にまん延防止等重点措置が実施された影響もあり、2019年同月比は-38.0%と前月から減少幅(同-21.6%)は拡大した。

 

 

▶日本人延べ宿泊者数は5,171.6千人泊であった。2019年同月比-14.1%と前月の減少幅(同+3.9%)から再びマイナスに転じた(表1及び図8)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府が1,746.1千人泊、京都府が1,106.6千人泊、兵庫県が920.8千人泊、三重県が426.7千人泊、和歌山県が268.0千人泊、滋賀県が190.9千人泊、福井県が166.3千人泊、奈良県が126.3千人泊、徳島県が115.5千人泊、鳥取県が104.4千人泊であった。

 

▶外国人延べ宿泊者数は38.9千人泊と、2019年同月比-98.4%減少した(前月:同-98.1%)(表1及び図9)。府県別に延べ宿泊者数を降順にみれば、大阪府が26.8千人泊、京都府が6.1千人泊、兵庫県が1.6千人泊、三重県が1.4千人泊、滋賀県が1.0千人泊、奈良県が0.7千人泊、和歌山県が0.5千人泊、福井県が0.3千人泊、徳島県が0.2千人泊、鳥取県が0.1千人泊であった。

 

 

▶関西2府8県延べ宿泊者を居住地別でみると(図10)、県内の延べ宿泊者数は1,451.0千人泊(2019年同月比+32.2%)、県外は3,578.2千人泊(同-48.1%)であった。まん延防止等重点措置が実施され、自府県民を対象とした旅行需要喚起策が一時停止されたこともあり、県内のプラス幅は前月(同+73.9%)から-41.7%ポイント縮小した。

 

 

▶2月の全国延べ宿泊者数(全体、1次速報ベース)は23,644千人泊であった。19年同月比-45.7%と減少幅は前月(同-33.4%)から拡大した。関西の先行きについては、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県のまん延防止等重点措置の期間が延長されたこともあり、延べ宿泊者数は弱い動きが続くと予想される。

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