ポスト万博を見据えた観光戦略 -ブランド力と周遊化に関する分析-

Trend Watch No.96

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ABSTRUCT

本稿では、オーバーツーリズム解消の一助ともなる広域・周遊化を目指したプログラムを提案する。APIRでは、関西の観光地における「ブランド力」指標確立に向けたWebアンケート調査を実施した。今回はその結果に基づき、単に近隣の観光地を結んだ周遊プランではなく、観光客の旅行目的に基づく属性別の新たな関西広域周遊プランを示す。以下は分析の要約と得られた含意である。

 

  1. 本調査では、観光地のブランド力を3つの定量的な指標(満足度、紹介意向と再来訪意向)で評価した。紹介意向については、在留外国人の方が日本人より高い傾向にある。紹介意向と総合満足度との関係では、在留外国人の方が日本人よりも、紹介意向の評価が総合満足度のそれを上回っている。すなわち、在留外国人は観光地の満足度に関わらず、当該地の紹介意向が高い。
  2. また、再来訪意向についてみると、欧米豪の人は、日本の観光地に満足し、何度でも行きたいと思っている。これは、彼らは特に日本の文化、自然に関心が強いことが影響していると考えられる。また、日本人やアジアの人は観光地に満足するが、再来訪意向は低く、訪問は1回で十分と考える人が多い。アジアや関西の人は観光地の情報量が多いこともあり、相対的に評価が厳しい。
  3. アンケート調査から得られた結果を基に、旅行者の関心事の高い3つの旅行目的を抽出し、それらの目的を繋いだ属性別の周遊プランを作成した。その結果、日本人に共通する要素としては、「食」、「都市観光」や「買物」がキーワードである。うち、関西在住者と関西以外在住者とでは、幾分異なったルートも考えられる。すなわち、前者は「温泉」が、後者はそれに加え「自然の豊かさ」の体験がキーワードとなっている。在留外国人には、「地域文化」や「自然の豊かさ」を体験するルートが考えられる。これらのルートは、地理的には遠方のエリアを繋いだものとなっているが、外国人の目的からすれば、許容できるものと考えられる。
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