Kansai Economic Insight Monthly Vol.146
-景気は現況悪化、先行きは改善から足踏みへ: 物価の高止まりと米国の関税政策変更が先行きリスク要因-

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ABSTRACT

<総括判断>

  • 関西の景気の現況については、景気動向指数(現況判断CI)は当月の前月差が小幅プラスとなったが、7カ月後方移動平均がマイナスとなった。基調判断を上方修正する基準をみたしていなかったため、前月と同様に「悪化」とした。
  • 先行きについては、関西CLIは当月の前月差がマイナス、3カ月後方移動平均も悪化したため、基調判断を「改善」から「足踏み」へと下方修正した。

<項目別動向>

  • EXPO2025の来場者数は5月31日に18.8万人と過去最高を記録した。入場チケット販売数は会期中に約500万枚を超え、多様な券種により堅調に推移している。今後は夏パスの販売促進に加え、海外来場者に対するプロモーションの強化が必要となろう。
  • 生産・労働関連のうち、4月の生産は機械関連業種が増産となったこともあり6カ月ぶりに前月から上昇した。しかし、1-3月平均と4月を比較すると緩やかな回復にとどまっており、依然弱含んでいる。同月の失業率は3カ月ぶりに改善。就業者数と労働力人口はともに増加し、足下では雇用情勢が持ち直している。3月の現金給与総額は名目賃金が5カ月ぶりに3%台を下回り、このため実質賃金も2カ月ぶりに前年を下回った。
  • 内需関連のうち、4月の大型小売店販売額は2カ月連続で前年を下回った。同月の新設住宅着工戸数は建築基準法改正の影響により6カ月ぶりに減少。また、公共工事出来高は9カ月連続で前年を下回った。5月の公共工事請負金額も7カ月連続で前年を下回っており、低迷が続いている。
  • 景況感をみれば、5月の景気ウォッチャー現状判断DIは5カ月ぶりの改善。大阪・関西万博の開幕で、インバウンドや来場者が増加した影響が表れた。また、先行き判断DIは万博効果の期待もあり3カ月ぶりの改善となった。
  • 外需関連では、5月の輸出は8カ月連続で前年比増加したものの、輸入が3カ月ぶりに減少し、貿易収支は4カ月連続で黒字となった。同月の関空経由の外国人入国者数は中国の労働節やスクールホリデーで訪日旅行需要が高まった影響もあり、5月として過去最高値を更新した。
  • 中国経済は、5月の生産の回復ペースは減速がみられるが消費の回復は加速した。しかし、物価、不動産市場は引き続き低迷、雇用情勢の改善もみられない。中国当局は内需拡大対策を実施しているが、効果は限定的。足下、消費者心理の低下に加え、長引く景気低迷で家計の節約志向が強まっている。

【関西経済のトレンド】

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