ABSTRACT
<総括判断>
- 関西の景気の現況については、景気動向指数(現況判断CI)は当月の前月差がマイナスとなり、3カ月後方移動平均も5カ月連続でマイナスとなった。このため基調判断を、前月と同様に「悪化」とした。
- 先行きについては、景気先行指数(関西CLI)は当月の前月差がマイナス、7カ月後方移動平均も4カ月連続で悪化したため、基調判断を「足踏み」から「下方への局面変化」へと下方修正した。
<項目別動向>
- EXPO2025の来場者数は6月28日に18.5万人と過去最高を更新した。今夏の来場者動向について気温と来場者データからみると、暑さが来場の妨げとなるものの、夜の来場者促進策等の工夫により堅調な推移が期待されよう。
- 生産・労働関連のうち、5月の生産は2カ月ぶりの減産。4-5月平均を1-3月平均と比較すると低下しており、生産は弱い動きとなっている。同月の失業率は2カ月ぶりに悪化し、就業者数と労働力人口はともに減少。4月の現金給与総額は実質賃金が2カ月連続のマイナスとなったが、減少幅は前月から縮小した。
- 内需関連のうち、5月の大型小売店販売額は3カ月連続で前年を下回った。同月の新設住宅着工戸数は建築基準法改正の影響により2カ月連続で大幅な減少。また、公共工事出来高は10カ月連続で前年を下回った。6月の公共工事請負金額も8カ月連続で前年を下回っており、低迷が続いている。
- 景況感をみれば、6月の景気ウォッチャー現状判断DIは小幅ながら2カ月連続で改善した。大阪・関西万博の来場者が順調に増加していることから、サービス関連や小売関連が改善に寄与した。一方、先行き判断DIは2カ月ぶりに小幅悪化となった。
- 外需関連では、6月の貿易収支は5カ月連続の黒字だが、黒字幅は縮小した。同月の関空経由の外国人入国者数は89.3万人。コロナ禍の影響が剥落した24年1月以降、2桁台の伸びが続いていたが、今月の伸びは1桁台にとどまった。
- 中国経済は、6月の生産の回復ペースは加速したが消費の回復は減速した。物価はプラスに転じたが内需不足で依然低迷。不動産市場、雇用情勢の改善もみられない。足下、消費者心理の低下と長引く景気低迷で家計の節約志向が定着している。そのため、4-6月期の景気は1-3月期の伸びから小幅減速した。