研究者紹介
野村 亮輔2021年2月現在
APIR研究員
学歴
- 甲南大学経済学部経済学科卒業
- 甲南大学大学院社会科学研究科経済学専攻修了
職歴
- 2018 - 2019年 近畿運輸局 観光部 観光地域振興課 政策調査員
主な著作物
- 『令和時代の「所有」と「利用」』(共同通信『Kyodo Weekly』、11月4日号、2019年11月)
- 『サバ缶ブームをどう考えるか』(共同通信『Kyodo Weekly』、2月3日号、2020年2月)
- 『冷静な頭脳と温かい心』(共同通信『Kyodo Weekly』、5月4・11日号、2020年5月)
- 『新常態とビアガーデン』(共同通信『Kyodo Weekly』、9月7日号、2020年9月)
- 『地域の魅力を再発見』(共同通信『Kyodo Weekly』、12月28日&1月4日号、2021年1月)
その他
- <講演>
- 2019年12月5日 北陸経済連合会・(一社)中央日本総合観光機構 合同セミナー 第9回 北陸観光(HOT)サロン:「オープンデータを利用したインバウンド・ビジネス戦略の分析」
- 2020年11月11日 大阪府・大阪市経済動向報告会:「関西経済白書2020について」
論文一覧
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都道府県別訪日外客数と訪問率:2月レポート No.45
インバウンド
インバウンド
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ABSTRACT
【ポイント】
・JNTO訪日外客統計によれば、2月の訪日外客総数(推計値)は147万5,300人と、回復基調が続く。また、1-2月期では297万2,600人と、爆買いが始まった15年1-2月期の水準を上回るペースとなった。
・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば12月は137万114人。うち、観光客は125万2,391人と、20年1月以来、100万人を超えた。
・先行きの訪日外客数の回復については、訪日中国人客の動向が重要となろう。これまで中国との直行便の到着は成田空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港の4空港に限定されていたが、水際対策緩和に伴い、3月1日以降、上記空港以外の入国も認められた。加えて、成田空港、羽田空港などで中国-日本間の直行便の復便や増便も予定されている。このため今後、訪日中国人客数の回復が期待されよう。
【トピックス1】
・関西2月の輸出は2カ月ぶりの前年比増加。また、輸入は25カ月連続の同増加だが、伸びは小幅にとどまった。結果、関西の貿易収支は2カ月ぶりの黒字となった。
・2月の関西国際空港への36万9,191人と、3カ月連続で30万人超の水準。1-2月期では74万8,489人となり、全国と同様に15年1-2月期の水準を上回っている。
・1月のサービス業の活動は、対面型サービス業を中心に改善。第3次産業活動指数は3カ月ぶりに前月比上昇。また対面型サービス業指数は娯楽業や飲食サービス業が改善し、2カ月ぶりに同上昇した。また、観光関連指数は2カ月連続の同上昇となった。
【トピックス2】
・12月の関西2府8県の延べ宿泊者数は9,828.6千人泊、2019年同月比+0.1%と小幅プラスに転じ、コロナ禍前を上回った。
・うち、日本人延べ宿泊者数は8,301.0千人泊と3カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外外国人延べ宿泊者数は1,527.6千人泊、2019年同月比-37.7%と減少幅は前月から縮小。府県別にみれば、京都府や大阪府を中心に回復しつつある。
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Kansai Economic Insight Monthly Vol.119-景気は足下、先行きともに改善を見込む:海外経済減速による景気下振れリスクが懸念材料-
経済予測
経済予測 » Monthly Report(関西)
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ABSTRACT
・ 関西の景気は足下改善、先行きも改善を見込む。足下、生産は大幅減産し、弱い動きとなった。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられる一方で、消費・景況感は持ち直している。先行きは改善を見込むものの、欧米を中心とした海外経済減速による景気の下振れリスクに注意が必要である。
・ 1月の生産は2カ月ぶりに前月比低下。生産用機械や輸送用機械が大幅減産となり、中国ロックダウンの影響が大きかった22年5月以来の低水準となった。
・ 1月は失業率が低下したと同時に、就業者数の増加と非労働力人口の減少が見られた。雇用情勢は持ち直しの動きを維持している。なお、新規求人数はサービス業を中心に大幅に増加したことから、今後も人手不足感が続こう。
・ 12月の現金給与総額は22カ月連続の前年比増加。しかし、消費者物価指数の上昇傾向が続き、実質では10カ月連続の減少となった。今春闘で、多くの大手企業は労働組合の要求に応じて賃上げを実現した。ただし、賃上げが全体に波及するかは中小企業における動向が重要である。
・ 1月の大型小売店販売額は16カ月連続の前年比増加。うち、百貨店は高額品の好調とインバウンド需要の回復により11カ月連続の増加。スーパーは食料品の値上げもあり4カ月連続の増加となった。
・ 1月の新設住宅着工戸数は2カ月連続で前月比増加した。うち、マンションが好調で全体の増加に大きく寄与した。
・ 1月の建設工事出来高は13カ月連続の前年比増加で、伸びは2カ月連続で加速した。特に公共工事は22年3月以来の2桁の伸びとなった。また、2月の公共工事請負金額は2カ月連続で同増加となっている。
・ 2月の景気ウォッチャー現状判断及び先行き判断DIはいずれも3カ月連続の前月比改善。インバウンド需要の増加や感染状況の落ち着きにより、ホテルや百貨店などを中心に景況感が改善した。
・ 1月は春節の影響を受けたため貿易収支は赤字となったが、2月は2カ月ぶりの黒字。ただし、1-2月を均してみれば赤字にとどまった。
・ 2月の関空への外国人入国者数は36.9万人、3カ月連続で30万人超の水準となった。中国人客の戻りが依然遅れていることもあり、回復のペースは緩慢。
・ 1-2月期の中国経済は、生産の回復が加速したことに加え、個人消費も対面型サービスを中心に大幅に改善した。しかし、民間企業が先行き不安を払拭し雇用拡大に踏み込むまで、景気回復のカギとなる雇用の改善は見込めない。そのため、1-3月期の景気回復が持続可能となるかは民間企業次第である。 -
拡張万博の経済波及効果:UPDATE
インサイト
インサイト » トレンドウォッチ
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ABSTRACT
2022年関西経済白書の第6章3節において、拡張万博の経済効果について2015年関西地域間産業連関表(暫定版)を用いて分析した。本稿では、消費単価と日帰り客の新たな想定に基づき、大阪・関西万博の経済効果を再推計した。本試算は3つのケース(基準ケース、拡張万博ケース1、拡張万博ケース2)に分けて分析を行った。得られた分析結果と含意は以下のようである。
1. 経済効果を生産誘発額でみれば、基準ケースでは2兆3,759億円、拡張万博ケース1では2兆7,875億円、拡張万博ケース2では2兆8,818億円と試算された。拡張万博の効果を考慮した場合、経済効果は約4千~5千億円程度の上振れが見込まれる。
2. 拡張万博の経済効果は基準ケースに比べて、大阪府以外の地域ではかなり大きくなる。生産誘発額の地域別シェアをみれば、大阪府のシェアが基準ケースの74.5%から、拡張万博ケース2では62.4%まで低下する。すなわち、拡張万博の展開に伴う延泊と日帰り客の増加により、大阪府以外の地域での経済効果が相対的にも高まることになる。
3. 関西広域にわたって拡張万博に類する様々な取り組みが広がり、観光客にとって魅力的なコンテンツ、滞在型消費を促すようなインセンティブが高まれば、本試算を上回る経済効果が期待できる。
4. 大阪・関西万博に代表される大規模なイベントの経済効果は、特定の地域や特定の時期に留まるのではなく、関西広域で中長期的な取り組みがなされていくことが求められる。大阪・関西万博をひとつの「呼び水」として、関西経済の成長に繋げていくことが重要である。 -
都道府県別訪日外客数と訪問率:1月レポート No.44
インバウンド
インバウンド
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ABSTRACT
【ポイント】
・JNTO訪日外客統計によれば、1月の訪日外客総数(推計値)は149万7,300人と、150万人に迫る水準となり、コロナ禍前の5割強を回復した。なお、訪日中国人客を除いた総数では146万6,100人(同-24.2%)となり、コロナ禍前の7割強である。
・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば11月は93万4,599人。うち、観光客は77万3,983人と、前月(32万6,699人)から大幅増加し、20年2月(89万8,976人)以来の水準となった。
・先行きの訪日外客数については、水際対策の更なる緩和により一層の回復が見込まれよう。これまで続いていた中国からの入国者に対する水際対策の強化が、3月1日から緩和された。このため、これまで回復が遅れていた訪日中国人客数の増加が見込まれ、訪日外客数の回復ペースは加速すると考えられる。
【トピックス1】
・関西1月の輸出は中国の春節休暇の時期のズレもあり23カ月連続の前年比減少。一方、輸入は24カ月連続で同増加した。結果、輸関西の貿易収支は5カ月ぶりの赤字となった。
・1月の関西国際空港への37万9,298人と2カ月連続の30万人超の水準だが、訪日中国人客の回復が遅れていることもあり、回復のペースは緩やかである。
・12月のサービス業の活動は小幅悪化だが、持ち直し傾向を維持。第3次産業活動指数、対面型サービス業指数はいずもれ3カ月ぶりに前月比低下した。一方、観光関連指数は飲食店、飲食サービス業の上昇もあり、2カ月ぶりに同上昇した。
【トピックス2】
・11月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,070.4千人泊、2019年同月比では-7.3%となった。全国旅行支援事業や水際対策緩和の継続により、日本人宿泊者及び外国人宿泊者数が回復しつつある。
・うち、日本人延べ宿泊者数は8,915.0千人泊と2カ月連続でコロナ禍前の水準を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は1,155.4千人泊と前月(555.9千人泊)から倍増。京都府や大阪府は5割程度の回復となっているが、他府県では2~3割程度の回復にとどまっている。
【トピックス3】
・2022年10-12月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆2,651億円となった。10月11日から開始された全国旅行支援事業が国内旅行需要回復に大きく影響した。
・2022年通年では4兆2,581億円(19年比+3.1%)と、経済活動の正常化に加え、国内旅行需要喚起策の影響もあり、関西ではコロナ禍前を上回った。
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DMOの観光誘客への取組-マネジメントエリア別の分析:滋賀県の事例から-
インサイト
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ABSTRACT
本稿では滋賀県にかかわる観光基礎統計を用いて、県の観光戦略に光をあて、観光地域づくり法人(以下、DMO)の活動に注目し抱える課題を分析した。得られた含意は以下のようにまとめられる。
1. 滋賀県の各DMOにおける、それぞれの特徴や活動状況、マネジメントエリア、観光資源、誘客ターゲット層に対する取り組みを比較した。注目している観光課題に違いがあるものの、その活動内容から県内広域を活動エリアとするDMOと限定された地域(地場)に密着した活動を行うDMOに分けられる。
2. びわこビジターズビューロー、近江ツーリズムボード、比叡山・びわこDMOは、滋賀県の認知度向上に向けた情報発信や持続可能な観光を実現させるための環境整備など、県内広域にわたり、周遊滞在型観光の活動に注力している。
3. 近江八幡観光物産協会、長浜観光協会は、その地域ならではの食文化、暮らし体験や地域住民の郷土愛の醸成等、まちづくりを基軸とした地域密着の交流型観光の活動に注力している。
4. DMOのマネジメントエリア別に宿泊施設数と稼働率の動向をみれば、宿泊施設数は大津市と高島市を除くエリアで微減ないしは横ばいで推移している。稼働率は、大津市では春と夏に上昇する傾向がある。また、近江八幡市、長浜市、米原市、彦根市では春、夏、秋に上昇する。一方、高島市では夏に高まる傾向がある。季節性の平準化が重要となろう。
5. コロナ禍を経て観光スタイルが変化してきており、琵琶湖を中心に各地域の自然資源や歴史文化遺産をつなぐ宿泊滞在型観光の促進も重要である。上記季節性の平準化の課題を踏まえれば、各地域ならではの観光資源を活かした閑散期の新たなコンテンツの造成が必要であろう。また、県域DMOと地域連携及び地域DMOが連携し、各地域の観光資源を繋ぐことで、観光客の滞在日数を増やすなど、地域間の連携を意識したコンテンツの造成も必要となろう。