第101回景気分析と予測<4-6月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2014年度+0.4%、15年度+1.4%、16年度+1.3%と予測>

2014-08-27

<予測のハイライト>

1. GDP1次速報値によれば、2014年4-6月期実質GDP成長率は前期比年率-6.8%と大幅なマイナス成長。消費増税の影響の大きさを確認した結果といえよう。過去の成長率が遡及改定されたため、13年10-12月期は同-0.2%とマイナス成長に、14年1-3月期も同+6.1%へ下方修正された。結果、14年度への成長率の下駄は前回より0.2%ポイント低下した。1-3月期は駆け込み需要の影響で拡大したが、4-6月期はその反動で大幅縮小したため、足下の実質GDPは昨年10-12月の水準を幾分下回っている。

2. 4-6月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2014年度+0.4%、15年度+1.4%、16年度+1.3%と予測した。前回(第100回)予測に比して、14年度を0.3%ポイント下方修正、15年度を0.2%ポイント上方修正した。16年度は変化なしである。

3. 14年度予測の下方修正については、(1)成長率の下駄の低下に加え、(2)前回予測で消費増税の影響を小さめに見ていたことが影響している。実質民間需要の寄与度は-0.4%ポイントと前回から0.8%ポイントの下方修正。特に、民間最終消費支出と民間住宅で消費増税の反動は大きく出た。一方、政策効果の後ずれや駆け込み輸入増の剥落で実質公的需要と純輸出はそれぞれ+0.2%ポイント、+0.3%ポイント上方修正され景気底割れ回避の下支えとなっている。

4. 15年度は10月に再度の消費増税が予定されているが、駆け込み需要もあり景気押し下げ要因は徐々に小さくなり回復基調に向かう。前回予測から民間最終消費支出と民間企業設備について強めの回復を見込んだ結果、民間需要の寄与度は+0.9%ポイントと大きく回復し、純輸出も+0.3%ポイント上昇する。16年度も前年度とほぼ同じような成長パターンとなるが、成長率は幾分低下する。

5. 2013年度は貿易赤字が加速した年であった。13年4-6月期以降3期連続で拡大した貿易赤字(季節調整値)は、足下14年4-6月期に4期ぶり縮小した。この数年、コモディティー化が進む電気機器産業では、円高期に生産ベースが海外移転する一方で、海外からの輸入が急増している。この背景のため、為替が円安に振れたとしても輸出が伸びにくくなっており、これまでのように純輸出に景気ドライバーの役割は期待薄である。

6. 消費増税が実現し、予測では来年10月の再増税も想定している。結果、消費者物価コア指数インフレ率は2014年度+3.3%、15年度+1.5%、16年度+1.6%となる。国内企業物価指数は+4.0%、+2.3%、+1.7%となる。GDPデフレータは+1.9%、+0.5%、+1.5%と予測している。14年度には3指標ともにデフレ脱却が実現できる。

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インバウンド,個票データに基づく分析,産業としてのツーリズム

リサーチリーダー

数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授  

研究目的

日本経済が人口減少化の下で、将来に亘って持続的な経済成長を実現するためには、新たな成長戦略が必要となる。特に関西経済においては、インバウンド・ツーリズムの戦略的価値が高い。昨年度は、関西におけるインバウンド戦略を検討するための関西基礎統計の整理、マイクロデータによる分析に取り組んだ。

研究の3つの方向:2017年度に引き続き、関西におけるインバウンド戦略を検討するために、以下の4つの軸を中心にバランスよく研究を進める。

①  関西基礎統計の整理

②  マイクロデータによる分析

③  観光戦略の在り方

④  MICEに関する調査分析

特に研究の中心は、②である。具体的には、観光庁が訪日外国人客の消費実態等を把握し、観光行政の基礎資料とする目的で実施してきた訪日外国人消費動向調査個票・宿泊旅行統計調査個票(今年度データ取得予定)を用いたマイクロデータの分析である。  

研究内容

<成長戦略立案のための実証分析>

産業としての「インバウンド・ツーリズム」を確立するために、近畿運輸局などの協力のもと、エビデンスにもとづいた戦略が議論できるための実証分析を行う。

具体的には「訪日外国人消費動向調査」等の個票データを用いて、消費品目別の需要関数を推定し、「爆買い」以降のインバウド需要決定の構造的要因を定量的に考察していく。

<成長戦略立案のための課題の認識>

政策担当官庁、推進組織、民間団体が認識する「爆買い」以降のマーケティング戦略をめぐる課題を議論できる場を提供し、その解決策を発信する。

 <関西のインバウンド需要の定量分析と他地域との比較分析>

今年度の個票データを活用した分析により、観光エリアとしての調査分析が可能となり、より詳細な成長戦略立案への具体的な資料提供が可能となる。

<観光施策についてより実現性のある研究>

本研究により観光DMOや観光庁、民間の事業方針とマーケティング分析や効果検証が実現できる。

 

リサーチャー

大井達雄 和歌山大学観光学部 教授  松林洋一 APIR主席研究員、神戸大学教授 

研究協力者

柴谷淳一 国土交通省・近畿運輸局観光部計画調整官 森 健夫 関西観光本部 事務局長 濱田浩一 関西観光本部 事務局次長 角倉洋介 日本旅行業協会 事務局長 筒井千恵 関西エアポート㈱ グループリーダー  

期待される成果と社会還元のイメージ

・関西インバウンド基礎統計の整備

・マイクロデータによる分析成果

・関西観光戦略の課題の共有化

 ・関西の観光産業の成長戦略の立案

・観光ハードとソフトのインフラ整備の選択・集中

・DMOのKPIとその検証  

<研究会の活動>

研究会 ・2018年9月   第1回研究会開催(予定) ・2018年11月   第2回研究会開催(予定) ・2019年1月   第3回研究会開催(予定) ・2019年2月   第4回研究会開催(予定) ・2019年3月   第5回研究会開催(予定)
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Kansai Economic Insight Monthly Vol.63-景気は足下、先行きともに悪化基調で推移-

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Abstract/Keywords

関西経済, 月次レポート, KEIM

- 景気は足下、先行きともに悪化基調で推移- ・5月の鉱工業生産指数は4カ月ぶりに前月比大幅マイナスとなり、近畿経産局は生産の基調判断を前月から下方修正した。一方、4-5月平均は1-3月平均比で大幅上昇した。 ・6月の貿易収支は5カ月連続の黒字となり、黒字幅は前年比大幅拡大した。アジア向けの半導体関連による輸出の伸びが、原油高による輸入の伸びを上回ったためである。 ・6月の景気ウォッチャー現状判断DIは、6カ月ぶりに前月比改善。大阪北部地震の影響はあったが、サッカーW杯開催による家電の販売増や好天に恵まれたことなどから、総じてみれば改善した。 ・4月の関西2府1県の「関西コア」賃金指数は12カ月連続の前年比増加。実質現金給与総額も2カ月連続の改善。所得環境は改善が見られる。 ・5月の大型小売店販売額は3カ月ぶりの前年比マイナス。百貨店では気温低下による夏物衣料品の販売が低調となり、スーパーでは主に農産品価格が低下したため。 ・分譲マンションの好調により、5月の新設住宅着工戸数は、2カ月連続で前年比大幅増加。水準は2015年6月以来の最高値。 ・5月の有効求人倍率は前月比横ばい。労働需給が引き締まった状態が続く。完全失業率は4カ月ぶりの小幅改善。雇用情勢は好調である。 ・6月の公共工事請負金額は前月から大幅なプラスの伸びに転じた。結果、4-6月期、公共工事請負金額は2四半期ぶりのプラスであった。 ・5月の建設工事は、3カ月連続で前年比増加した。大阪府北部地震の影響もあり、今後は増加が期待される。 ・6月の関空を利用した訪日外客数は16カ月連続の前年比増加。15カ月連続で2桁増が続いており好調である。国籍別では、4月は花見のため中国からの訪日客が8カ月ぶりに最多となった。 ・4-6月期の中国実質GDPは前年同期比+6.7%となり、前期から‐0.1%ポイント減速した。6月の工業生産は2カ月連続で前年比減速し、(累積)固定資産投資は4カ月連続で同減速した。 ※ 英語版はこちら