研究者紹介
下田 充2019年4月現在
本研究者は以前に在籍されていた、または研究活動に関わっていた方です。
日本アプライドリサーチ研究所 主任研究員
論文一覧
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143回景気分析と予測:詳細版<サービス消費支出中心の回復と海外経済減速の引き合い - 実質GDP成長率予測:23年度+0.9%、24年度+1.4% ->
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
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ABSTRACT
1. 5月17日発表のGDP1次速報によれば、2023年1-3月期の実質GDPは前期比年率+1.6%増加し3四半期ぶりのプラス成長となったが、前期と均してみれば回復は緩やかである。結果、23年度の実質成長率は+1.2%と2年連続のプラス成長となった。しかし、足下のGDPの水準はピーク(19年7-9月期)から依然1.5%低い。民間最終消費支出、民間資本形成の回復の遅れが主要因である。一方、インバウンドの急回復もありサービス輸出はほぼ戻りつつある。今後は、社会経済活動の正常化からサービス消費中心の回復が期待できる。
2. 1-3月期の実質GDP成長率(前期比+0.4%)への寄与度を見ると、国内需要は同+0.7%ポイントと2四半期ぶりのプラスとなった。うち、民間需要は同+0.6%ポイントと2四半期ぶりのプラス寄与。民間最終消費支出(同+0.6%)、民間住宅(同+0.2%)、民間企業設備(同+0.9%)がいずれも増加したためである。公的需要は同+0.1%ポイントと4四半期連続のプラス寄与。一方、純輸出は同-0.3%ポイントと2四半期ぶりのマイナス寄与となった。
3. 交易条件が2四半期連続で改善したため、国内総所得(GDI)成長率は前期比年率+4.0%となり、実質GDPの伸び(同+1.6%)を2四半期連続で上回った。
4. 1-3月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2023-24年度日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、23年度+0.9%、24年度+1.4%と予測。前回(第142回予測)から、23年度は据え置き、24年度-0.1%ポイント下方修正した。23年度については民間需要の上方修正が純輸出の下方修正で相殺され、24年度は民間需要及び純輸出がともに小幅下方修正されたためである。
5. COVID-19の5類移行に伴い社会経済活動が一層正常化することから、家計は累積した強制貯蓄を取り崩すため、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。一方、海外経済は欧米を中心に低迷することから純輸出のマイナス寄与は避けられず、また民間需要の寄与度が減速するため、23年度の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年7-9月期以降となろう。回復に5年(20四半期)を要することになる。ちなみに、リーマンショックはピークからは22四半期を要している。
6. 足下、政府の激変緩和政策の影響もありエネルギー価格は下落に転じたが、電気料金は再び値上げが予定されており、消費者物価指数基調のかく乱要因となる。加えて賃金の動きに連動するサービス価格の上昇もあり、インフレ率は23年度前半には3%台で推移するが、後半は原材料高と円安は落ち着きを見せ減速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、23年度+2.5%、24年度+1.3%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し、23年度を+0.3%ポイント上方修正した。※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。
①00’00”~00’56”: Executive summary
②00’56”~27’23”: 第143回「景気分析と予測」
<サービス消費支出中心の回復と海外経済減速の引き合い>③27’23”~39:58: Kansai Economic Insight Quarterly No.64
<消費の復元を起点として好循環に向かう関西経済:景気は足下改善、先行きも改善を見込む>④39’58”~42’42”: トピックス<関西2府4県GRPの早期推計>
⑤42’42”~47’27”: トピックス<急回復するインバウンド需要と関西経済>
※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください
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142回景気分析と予測<強まるインフレと海外経済減速の影響 - 実質 GDP成長率予測: 22年度 +1.3%、 23年度 +0.9%、 24年度 +1.5% ->
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
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ABSTRACT
1. 2022年10-12月期GDP1次速報によれば、実質GDPは前期比年率+0.6%(前期比+0.2%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。ただ回復は緩やかで、7-9月期の落ち込みを回復できていない。このためコロナ禍前のピークから依然1.8%低い。10-12月期の実質GDP成長率は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト2月調査)最終予測(前期比年率+2.43%)やCQM最終予測(同+2.2%)から下振れた。
2. 10-12月期の実質GDP成長率(前期比+0.2%)への寄与度を見ると、国内需要は同-0.2%ポイントと5四半期ぶりのマイナス。うち、民間需要は、民間最終消費支出は堅調であったが、民間住宅、民間企業設備、民間在庫変動が減少したため、同-0.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナス寄与、公的需要は同+0.1%ポイントと3四半期連続のプラス寄与。これに比して、純輸出は同+0.3%ポイントと2四半期ぶりのプラス寄与となった。
3. 8四半期ぶりに交易条件が改善したため実質GDI成長率は10四半期ぶりに実質GDPの伸びを上回った。このため、家計や企業の海外への所得流失は幾分和らいだといえよう。
4. 10-12月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2022-24年度日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.3%、23年度+0.9%、24年度+1.5%と予測。前回(第141回予測)から、22年度-0.2%ポイント、23年度-0.2%ポイント下方修正し、24年度+0.1%ポイント上方修正した。22年度については民間需要、23年度については純輸出の下方修正が影響した。また実質GDI成長率を、22年度-0.4%、23年度+1.7%、24年度+1.5%と予測する。
5. 予測期間において家計に新たな行動制約が課されないと想定する。インフレが減速する2023年度後半には累積した強制貯蓄が取り崩され、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。一方、23年度の海外経済は欧米を中心に低迷することから純輸出のマイナス寄与は避けられず、また民間需要の寄与度が減速するため、同年の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年4-6月期以降となろう。回復に約5年(19四半期)を要することになる。
6. 足下、消費者物価コア指数は前年比4%を上回る勢いである。政府の経済政策の影響もあり、しばらくはエネルギー価格が消費者物価指数基調のかく乱要因となる。23年度後半は原材料高と円安は落ち着きを見せ、インフレ率は減速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+3.1%、23年度+2.2%、24年度+1.3%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し22年度を+0.1%ポイント、23年度を+0.2%ポイント、24年度を+0.1%ポイントそれぞれ上方修正した。※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。
①01’01”~02’35” :Executive summary
②02’36”~36’39”:第142回「景気分析と予測」<強まるインフレと海外経済減速の影響>
③36’40”~53:02:Kansai Economic Insight Quarterly No.63<景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意>
④53’03”~58’54”:トピックス<大阪・関西万博と拡張万博の経済効果:アップデート>
※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください
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141回景気分析と予測<7-9月期GDP2次速報を更新し、日本経済見通しを改定 - 実質GDP成長率予測:22年度+1.5%、23年度+1.1%、24年度+1.4% ->
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
1. 2022年7-9月期GDP2次速報によれば、実質GDP成長率は前期比年率-0.8%となり、1次速報(同-1.2%)から幾分上方修正された。季節調整の掛け直しや基礎統計の改定により、過去値が遡及改定された。実質GDP成長率を1次速報と比較すると、22年1-3月期は-2.0%ポイント(同+0.2%→同-1.8%)と大幅に下方修正された。このため、2次速報では7-9月期は4四半期ぶりから2四半期ぶりのマイナスとなった。また22年度の成長率の下駄が1次速報から0.2%ポイント下方修正されたことに注意。
2. 2次速報と同時に2020年度の第二次年次推計値と21年度の第一次年次推計値が発表された結果、20年度実質GDP成長率は1次速報から+0.4%ポイント(-4.6%→-4.1%)、21年度は+0.2%ポイント(+2.3%→+2.5%)、それぞれ上方修正された。また2次速報ではコロナ禍前の実質GDPのピークは2019年7-9月期となった。
3. 7-9月期GDP2次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2022-24年度の日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.5%、23年度+1.1%、24年度+1.4%と予測。前回(第140回予測)から、22年度-0.2%ポイント、23年度-0.1%ポイント下方修正し、24年度+0.1%ポイント上方修正した。22年度の下方修正については、成長率の下駄の低下が影響している。
4. 2022年7-9月期実質GDPはコロナ禍前のピークから依然1.9%低い。この主要因は、民間最終消費支出(-3.2%)、民間資本形成(-3.3%)、及びサービス輸出(-15.1%)がピークより低水準にとどまっているためである。予測期間において家計に新たな行動制約が課されない場合、22年度後半は累積した強制貯蓄が取り崩され、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。10-12月期以降、海外経済が低迷することからしばらく純輸出の押し上げは期待できないうえに、23年度は民間需要の寄与度が減速するため、同年の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年1-3月期以降となろう。なお、2次速報で過去値が上方修正されたため、コロナ禍前のピークを超えるのが前回予測から2四半期早くなった。
5. エネルギー価格の高騰、円安と輸入品価格上昇による食料品価格高騰の影響で、22年度後半の消費者物価コア指数は前年比3%台後半を上回る勢いで推移する。23年度はエネルギー価格高騰の影響が剥落するため、消費者物価指数の基調はサービス価格の動向が決める。その意味で23年度の賃上げの中身が重要である。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+3.0%、23年度+1.9%、24年度+1.2%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し22年度を+0.3%ポイント上方修正した。また24年度を-0.1%ポイント下方修正した。 -
140回景気分析と予測<世界経済の減速を反映し、23年度成長率を下方修正に - 実質GDP成長率予測:22年度+1.7%、23年度+1.2%、24年度+1.4% ->
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
1. 11月15日発表のGDP1次速報によれば、7-9月期の実質GDPは前期比年率-1.2%(前期比-0.3%)と4四半期ぶりのマイナス成長となった。市場コンセンサスやCQMの最終予測から大幅に下振れて、ネガティブ・サプライズとなった。ただし、4-6月期の成長率が前回から大幅上方修正されており、7-9月期と均した半期ベースでみれば緩やかな回復が続いている。
2. 7-9月期の実質GDP成長率(前期比-0.3%)への寄与度を見ると、国内需要は同+0.4%ポイントと4四半期連続のプラスとなった。うち、民間需要は同+0.3%ポイントと4四半期連続のプラス、公的需要も同+0.1%ポイントと2四半期連続のプラス。一方、純輸出は同-0.7%ポイントと2四半期ぶりのマイナスとなった。純輸出が大幅なマイナス寄与となった原因は輸入の大幅増加であり、特にサービス輸入の急増が影響した(海外への大口支払い等による一時的要因)。GDPに交易条件の変化から生じる交易利得を加えた実質GDI(国内総所得)は同-1.0%となり、7四半期連続で実質GDPの伸びを下回った。交易条件の悪化による所得流出が続いている。
3. 7-9月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、22-23年度の日本経済の見通しを改定するとともに新たに24年度の予測を追加した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.7%、23年度+1.2%、24年度+1.4%と予測した。前回(第139回予測)から、22年度は+0.2%ポイント上方修正、23年度は-0.3%ポイント下方修正した。この予測における海外外生変数の想定は、原油価格の高止まり、世界貿易の一層の停滞、円安の加速と特徴づけられる。世界経済の減速、金融引き締め政策の影響は、22年度後半から23年前半にかけて世界経済に一層の下押し圧力となる。
4. 22年7-9月期実質GDPはコロナ禍前のピーク(19年4-6月期)から依然2.5%低い。この主要因としては、民間最終消費支出及び民間資本形成が低水準にとどまっていることを指摘できる。予測期間において家計に行動制約が課されない場合、22年度は累積した強制貯蓄が取り崩され、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。10-12月期以降、しばらく純輸出の押し上げは期待できないうえに民間需要の寄与度が減速するため、23年度の成長率は前年から低下すると予測。このため、コロナ禍前のピークを超えるのは24年7-9月期以降となろう。
5. エネルギー価格の高騰、円安と輸入品価格上昇による食料品価格高騰の影響で、22年度後半の消費者物価コア指数は前年比3%台後半で推移する。23年度はエネルギー価格高騰の影響が剥落するため、消費者物価指数の基調はサービス価格の動向がポイントとなる。この意味で23年度の賃上げ動向が重要である。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+2.7%、23年度+1.9%、24年度+1.3%と予測する。前回予測から、22年度+0.4%ポイント、23年度+0.9%ポイント、いずれも上方修正した。※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。
①00’00”~02’56” :Executive summary
②02’57”~34’42”:第140回「景気分析と予測」<世界経済の減速を反映し、23年度成長率を下方修正に – 実質GDP成長率予測:22年度+1.7%、23年度+1.2%、24年度+1.4% ->
③34’43”~47:52:Kansai Economic Insight Quarterly No.61<持ち直しの動き続くも、景気後退への警戒感強まる:懸念材料は海外経済の減速と物価高>
④47’53”~53’33”:トピックス<「関西各府県GRP早期推計」「中国経済減速リスクと関西経済へのインパクト」>
※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください
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139回景気分析と予測<弱い輸出の見込みを反映し、成長率を下方修正に - 実質GDP成長率予測:22年度+1.5%、23年度+1.5% ->
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
1. 8月15日発表のGDP1次速報によれば、4-6月期の実質GDPは前期比年率+2.2%(前期比+0.5%)増加した。1-3月期が同+0.1%と前回(同-0.5%)から上方修正されたため、3四半期連続のプラスとなった。また、21年度の実質GDPは前年度比+2.3%へと前回から0.2%ポイント上方修正された。不適切処理された建設工事受注動態統計が2012年1月まで遡及改訂された影響により、公的固定資本形成が修正されたためである。
2. 4-6月期の実質GDP成長率(前期比+0.5%)への寄与度を見ると、国内需要は同+0.5%ポイントと3四半期連続のプラス。うち、民間需要は同+0.3%ポイントと3四半期連続のプラス寄与。COVID-19による行動制限が解除されたこともあり、民間最終消費支出の寄与度は+0.6%ポイントと成長けん引の主要因となった。公的需要も同+0.2%ポイントと3四半期ぶりのプラス寄与。また、純輸出は同+0.0%ポイントと小幅ながら2四半期ぶりのプラス寄与となった。GDPに交易条件の変化から生じる交易利得を加えた実質国内総所得(GDI)成長率は前期比-0.3%(同年率-1.2%)となり、2四半期連続のマイナス。家計や企業にとって、実質GDPよりGDIのほうが生活実感を反映しているといえよう。
3. 4-6月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、22-23年度の日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.5%、23年度+1.5%と予測。前回(第138回予測)から、22年度は-0.4%ポイント、23年度は-0.2%ポイント、いずれも下方修正した。海外外生変数の前回想定から、原油価格の高止まり、円安の加速が22年度予測の下方修正に、また世界貿易の停滞が23年度予測の下方修正につながっている。ロシアのウクライナ侵攻によるインフレの昂進、世界経済の減速、金融引き締め政策の影響は、22年後半から23年前半にかけて世界経済に下押し圧力となる。
4. 四半期ベースでみれば、22年4-6月期実質GDPはコロナ禍前の水準(2019年10-12月期)を初めて上回ったが、消費増税前のピークから依然2.7%低い。その意味で回復のスピードは非常に緩慢である。7-9月期以降、しばらく純輸出の押し上げは期待できないが、COVID-19の感染再拡大が行動制限につながらなければ、サービス消費の拡大による比較的高めの成長が見込め、潜在成長率を上回るペースが持続すると予測する。しかし、コロナ禍前のピーク(19年4-6月期)を超えるのは24年度となろう。
5. 22年後半はエネルギー価格や食料品価格の高騰の影響で、消費者物価コア指数は前年比2%台後半で推移する。23年度はエネルギー価格の影響が剥落し、サービス価格が下押し圧力となるため、消費者物価指数の基調は低調となる。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+2.3%、23年度+1.0%と予測する。前回予測から、22年度+0.5%ポイント、23年度+0.2%ポイント、いずれも上方修正。※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。
①00’00”~02’19” :Executive summary
②02’20”~37’46”:第139回「景気分析と予測」<弱い輸出の見込みを反映し、成長率を下方修正に – 実質GDP成長率予測:22年度+1.5%、23年度+1.5% ->
③37’46”~58:59:Kansai Economic Insight Quarterly No.60<総じて持ち直しているが回復テンポはまだら模様:先行き弱含みだが関西全体での投資増が反転のポイント>
④59’00”~1’04’43”:トピックス<関西経済の反転にむけて:大阪・関西万博、IR を梃子に>
※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください