136回景気分析と予測<21年7-9月期GDP2次速報を更新し、経済見通しを改定 – 実質GDP成長率予測:21年度+2.7%、22年度+2.6%、23年度+1.7% ->
1. 12月8日発表の2021年7-9月期GDP2次速報によれば、同期の実質GDP成長率は前期比年率-3.6%となり、1次速報(同-3.0%)から下方修正された。改定にあたって、21年1-3月期までの系列が速報値から年次推計値に置き換えられた上に、COVID-19の影響を考慮した季節調整のダミー処理が変更された。このため、過去の四半期パターンが比較的大きく改定された。
2. 7-9月期2次速報により過去のGDPの水準が改定されたため、これまでコロナ前のピークは2019年7-9月期であったが、2次速報で19年7-9月期が下方修正(556.6兆円)され、4-6月期が上方修正(557.3兆円)されたため、新たな過去のピークは19年4-6月期となった。新たなピークを100とすると、コロナ禍により20年4-6月期は89.9(501.1兆円)と過去のピークより10.1%(-56.1兆円)低下した。足下、21年7-9月期は95.6(532.8兆円)と依然ピークより4.4%(-24.5兆円)低い水準である。日本経済の回復は遅いことが確認された。
3. 新たに、7-9月期GDP2次速報を追加、外生変数の想定を織り込み、21-23年度の日本経済の見通しを改定した。今回(第136回)、実質GDP成長率を、21年度+2.7%、22年度+2.6%、23年度+1.7%と予測する。前回(第135回)予測に比して、21年度は-0.1%ポイントの下方修正、22年度は変化なし、23年度は+0.3%ポイントの上方修正となった。7-9月期の下方修正を反映した結果、21年度を下方修正し、23年度は回復が後ずれするため上方修正となった。
4. 実質GDP成長率への寄与度をみれば、21年度は、民間需要+1.7%ポイント、公的需要+0.4%ポイント、純輸出+0.9%ポイントと、前回予測から公的需要を下方修正、民間需要及び純輸出を上方修正した。23年度は、民間需要(+1.0%ポイント)及び純輸出(+0.4%ポイント)の寄与度を上方修正し、公的需要(+0.3%ポイント)は変化なし。
5. 実質GDPを四半期ベースでみれば、21年10-12月期は一旦制約条件が解消されるため、コロナ禍により累積していた強制貯蓄が取り崩され、民間最終消費の急拡大(リベンジ消費)が期待できる。このため、実質GDPの水準がコロナ禍前の水準を超えるのは22年1-3月期、コロナ禍前のピークを超えるのは23年1-3月期となろう。今回7-9月期のマイナス成長もあり、前々回(第134回)予測から1四半期遅れる。
6. 消費者物価指数の先行きについて、宿泊料と通信料は基調に対するかく乱要因となろう。エネルギー価格高騰で年後半以降前年比プラスに転じるが、サービス価格が下押し圧力となるため、消費者物価指数の基調は低調。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、21年度0.0%、22年度+0.9%(前回+0.8%)、23年度+0.6%(前回+0.7%)と予測する。