Kansai Economic Insight Quarterly No.60 -総じて持ち直しているが回復テンポはまだら模様:先行き弱含みだが関西全体での投資増が反転のポイント-
1. 2022年4-6月期の関西経済は、総じて緩やかに回復しているものの、部門、業種、規模などによって、好調な指標と停滞を示す指標が混在するまだら模様となっている。物価高、半導体不足等の供給制約、世界経済の減速、地政学的リスクの高まりなど景気下押し要因も多く、先行き不透明感が強まっている。
2. 家計部門は、持ち直している部分もあるが、本格的な回復には至っていない。各種行動制限は解除となったことで百貨店では回復し、求人倍率も全国に比べると緩やかではあるが持ち直している。しかし物価高のペースに賃上げが追いついておらず、家計を圧迫している。
3. 企業部門は、生産動向や景況感については総じて弱含みとなった。特に製造業で原材料価格の高騰や中国でのロックダウンの影響が大きい。一方、22年度の設備投資計画については、積極的な姿勢がうかがえる。
4. 対外部門は、財については輸出・輸入とも増加基調が続いている。輸出を地域別に見ると、米国向けおよびEU向けは堅調だったが、中国向けはロックダウンの影響もあり欧米に比べると小幅な伸びにとどまった。インバウンド需要などのサービス輸出については、持ち直している。
5. 公的部門は、全国に比べて堅調に推移している。
6. 関西の実質GRP成長率を2022年度+1.8%、23年度+1.5%と予測。前回予測と比較すると、22年度は、民間需要・公的需要・域外需要のいずれも小幅ではあるが下方修正。23年度の下方修正は、世界経済の回復の遅れなど海外リスク要因を織り込み輸出を下方修正したことによる。
7. 日本経済予測と比較すると、22年度は、関西での公的需要の寄与が全国よりも大きいことから、成長率全体も関西が全国を上回る。23年度は、大きな違いはない。
8. 成長に対する寄与度をみると、民間需要は22年度+1.8%ポイント、23年度+1.2%ポイントと成長を牽引する。また公的需要も22年度+0.3%ポイント、23年度+0.3%ポイントと成長を下支える。一方、域外需要は22年度-0.2%ポイントと成長を押し下げ、23年度は成長に寄与しない。
9. 今号のトピックスでは「関西経済の反転にむけて:大阪・関西万博、IRを梃子に」を紹介する。関西経済の反転の実現には、ベイエリアでの投資を端緒として、関西全体での投資増を持続する必要がある。
※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。
①00’00”~02’19” :Executive summary
②02’20”~37’46”:第139回「景気分析と予測」<弱い輸出の見込みを反映し、成長率を下方修正に – 実質GDP成長率予測:22年度+1.5%、23年度+1.5% ->
③37’46”~58:59:Kansai Economic Insight Quarterly No.60<総じて持ち直しているが回復テンポはまだら模様:先行き弱含みだが関西全体での投資増が反転のポイント>
④59’00”~1’04’43”:トピックス<関西経済の反転にむけて:大阪・関西万博、IR を梃子に>
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