142回景気分析と予測<強まるインフレと海外経済減速の影響 - 実質 GDP成長率予測: 22年度 +1.3%、 23年度 +0.9%、 24年度 +1.5% ->
1. 2022年10-12月期GDP1次速報によれば、実質GDPは前期比年率+0.6%(前期比+0.2%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。ただ回復は緩やかで、7-9月期の落ち込みを回復できていない。このためコロナ禍前のピークから依然1.8%低い。10-12月期の実質GDP成長率は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト2月調査)最終予測(前期比年率+2.43%)やCQM最終予測(同+2.2%)から下振れた。
2. 10-12月期の実質GDP成長率(前期比+0.2%)への寄与度を見ると、国内需要は同-0.2%ポイントと5四半期ぶりのマイナス。うち、民間需要は、民間最終消費支出は堅調であったが、民間住宅、民間企業設備、民間在庫変動が減少したため、同-0.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナス寄与、公的需要は同+0.1%ポイントと3四半期連続のプラス寄与。これに比して、純輸出は同+0.3%ポイントと2四半期ぶりのプラス寄与となった。
3. 8四半期ぶりに交易条件が改善したため実質GDI成長率は10四半期ぶりに実質GDPの伸びを上回った。このため、家計や企業の海外への所得流失は幾分和らいだといえよう。
4. 10-12月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2022-24年度日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、22年度+1.3%、23年度+0.9%、24年度+1.5%と予測。前回(第141回予測)から、22年度-0.2%ポイント、23年度-0.2%ポイント下方修正し、24年度+0.1%ポイント上方修正した。22年度については民間需要、23年度については純輸出の下方修正が影響した。また実質GDI成長率を、22年度-0.4%、23年度+1.7%、24年度+1.5%と予測する。
5. 予測期間において家計に新たな行動制約が課されないと想定する。インフレが減速する2023年度後半には累積した強制貯蓄が取り崩され、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。一方、23年度の海外経済は欧米を中心に低迷することから純輸出のマイナス寄与は避けられず、また民間需要の寄与度が減速するため、同年の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年4-6月期以降となろう。回復に約5年(19四半期)を要することになる。
6. 足下、消費者物価コア指数は前年比4%を上回る勢いである。政府の経済政策の影響もあり、しばらくはエネルギー価格が消費者物価指数基調のかく乱要因となる。23年度後半は原材料高と円安は落ち着きを見せ、インフレ率は減速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、22年度+3.1%、23年度+2.2%、24年度+1.3%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し22年度を+0.1%ポイント、23年度を+0.2%ポイント、24年度を+0.1%ポイントそれぞれ上方修正した。
※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。
①01’01”~02’35” :Executive summary
②02’36”~36’39”:第142回「景気分析と予測」<強まるインフレと海外経済減速の影響>
③36’40”~53:02:Kansai Economic Insight Quarterly No.63<景気は足下、先行きともに改善を見込む:消費者物価上昇と海外経済減速のリスクに注意>
④53’03”~58’54”:トピックス<大阪・関西万博と拡張万博の経済効果:アップデート>
※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください