研究成果

research

拡張万博の経済波及効果:UPDATE

Abstract

2022年関西経済白書の第6章3節において、拡張万博の経済効果について2015年関西地域間産業連関表(暫定版)を用いて分析した。本稿では、消費単価と日帰り客の新たな想定に基づき、大阪・関西万博の経済効果を再推計した。本試算は3つのケース(基準ケース、拡張万博ケース1、拡張万博ケース2)に分けて分析を行った。得られた分析結果と含意は以下のようである。

 

1. 経済効果を生産誘発額でみれば、基準ケースでは2兆3,759億円、拡張万博ケース1では2兆7,875億円、拡張万博ケース2では2兆8,818億円と試算された。拡張万博の効果を考慮した場合、経済効果は約4千~5千億円程度の上振れが見込まれる。
2. 拡張万博の経済効果は基準ケースに比べて、大阪府以外の地域ではかなり大きくなる。生産誘発額の地域別シェアをみれば、大阪府のシェアが基準ケースの74.5%から、拡張万博ケース2では62.4%まで低下する。すなわち、拡張万博の展開に伴う延泊と日帰り客の増加により、大阪府以外の地域での経済効果が相対的にも高まることになる。
3. 関西広域にわたって拡張万博に類する様々な取り組みが広がり、観光客にとって魅力的なコンテンツ、滞在型消費を促すようなインセンティブが高まれば、本試算を上回る経済効果が期待できる。
4. 大阪・関西万博に代表される大規模なイベントの経済効果は、特定の地域や特定の時期に留まるのではなく、関西広域で中長期的な取り組みがなされていくことが求められる。大阪・関西万博をひとつの「呼び水」として、関西経済の成長に繋げていくことが重要である。

本文

はじめに

本稿の目的は、当研究所が独自に作成した2015年関西地域間産業連関表(暫定版)を用いて、大阪・関西万博の経済効果を再試算することである。
今回の経済効果の試算では、夢洲会場のパビリオンを中心として最終需要が発生するケース(以下では基準ケースと呼ぶ)に加えて、拡張万博の展開・関西のパビリオン化という概念を取り入れ、関西全体で参加者が増加するケースの経済効果も計算する。拡張万博ケースでは、宿泊者数の泊数が増加するケース(以下では拡張万博ケース1と呼ぶ)と、これに加えて日帰り客が20%増加するケース(以下では拡張万博ケース2と呼ぶ)の2パターンを検討する。これらの想定は、後述する各種イベント等の状況を踏まえる形で再検討したものである。また、国内客及び海外客の旅行一日当たりの支出額(単価)を最新年のデータに基づいてupdateした。
拡張万博とは、万博のテーマ・時間軸・空間軸の概念を拡張し、関西全体を仮想的なパビリオンに見立て、万博本体では実施しにくい事業も含めて様々な経済活動を展開する取り組みを指す。テーマの拡張としては、各自の活動を万博のテーマだけでなくSDGs、Society5.0といった目標の切り口で新たなアクションを検討する。時間軸の拡張としては、万博の開催前から開催後にわたる長期的なアクションを考えるものである。空間軸の拡張としては、万博が開催される夢洲会場だけではなく広域関西(さらには全国)において、万博と親和性の高い活動の展開が考えられる。
こうした拡張万博の取り組みは、関西で既に始まっている。例えば東大阪市は、2022年11月に「HANAZONO EXPO」を開催した。イベントの趣旨は、ポストコロナ社会における新しい生活様式や価値観、最先端の技術によるデジタル化を来場者が体験してもらい、万博の意義や可能性を周知しようとするものであった。当初2万人の来場者を予定していたところ、当日は7万人の来場があり、イベントの目的である大阪・関西万博に向けた機運の醸成と、一定の経済効果を生み出すことに成功したといえる。また兵庫県でも、大阪・関西万博の開催に合わせて、県全体をパビリオンに見立てた「フィールドパビリオン」を展開し、観光客を呼び込むプランを検討している。こうした取り組みが事前・事後に関西全体で展開されていけば、一層の経済効果となることが期待できる。

 

1. 万博最終需要の再想定

ここでは、分析の前提となる最終需要の想定について述べる。万博の開催により発生する最終需要は、①主催者および出展者等による事業運営費と、②来場者による消費支出に大別される。

① 事業運営費

事業運営費は、大阪・関西万博関連事業の進捗を反映した国際博覧会協会および大阪市の公表資料をもとに会場建設費、運営費、関連基盤整備費に分けて想定する(後掲参考図表1参照)。会場建設費は会場内のインフラ整備やパビリオンやサービス施設の建設費等が該当し、主催者・出展者合わせて2,497億円と想定している。運営費は会場管理や広告宣伝費等が該当し、主催者・出展者合わせて2,269億円となる。関連基盤整備費は、会場アクセスのための鉄道整備や道路改良のための費用で、1,128億円と見込んでいる。これらを合計すると5,894億円となる。なおこの金額は、基準ケース・拡張万博ケースで共通である。

 

②-1 基準ケースにおける来場者による消費支出

来場者による消費支出については、1人あたり消費単価に想定来場者数を乗じて算出する。まず基準ケースの想定について述べる。
1人あたり消費単価は、観光庁「旅行・観光消費動向調査」及び「訪日外国人消費動向調査」を基礎資料として、日帰り客、国内宿泊客、海外宿泊客のそれぞれについて交通費、宿泊費、飲食費、買物代、娯楽サービスの費目単価を算定する(図表1)。なお、国内宿泊者及び海外の単価は、1人1回あたり旅行消費単価を日本人及び外国人の平均泊数(日本人:2.24泊、外国人:8.84泊)で除して、それぞれ1人1泊ベースの消費単価に変換されている。いずれもコロナ禍前の2019年統計から計算されている。

 

図表 1 国内客及び海外客消費単価の想定(単位:円/泊)

出所:観光庁『旅行・観光消費動向調査』及び『訪日外国人消費動向調査』より作成

 

想定来場者数は、日本国際博覧会協会「基本計画」に従い、来場者総数を約2,820万人とする。
2,820万人の内訳は、関西2府4県から約1,560万人、関西以外の国内地域から約910万人、海外から約350万人である。ここで関西2府4県からの来場者は日帰り、関西以外の国内地域からの来場者は関西で1泊すると想定する。また海外からの来場者は3泊4日と想定する。なお拡張万博ケースでの各費目の増加分については以下のように想定している。国内宿泊者について、宿泊費は2泊分、交通費、飲食費、娯楽サービス費については1.5泊分の単価を想定している。また、海外について、宿泊は5泊分の単価、交通費、飲食費、娯楽サービス費については4.5泊分の単価を想定している。なお、買い物代は基準ケースと同じとする。

②-2 拡張万博ケースにおける来場者による消費支出

拡張万博ケースでは、万博参加の機運醸成によるリピーター増や、夢洲会場以外の各地で実施されるイベントへの追加的な参加を想定する。このケースでは、宿泊者数の泊数が増加するケース(以下では拡張万博ケース1と呼ぶ)と、これに加えて日帰り客が増加するケース(以下では拡張万博ケース2と呼ぶ)の2パターンを検討する。

拡張万博ケース1・ケース2ともに、国内宿泊客の泊数は1泊から2泊に、海外客は3泊から5泊に、それぞれ増えるとする。また海外客の2泊増については、1泊は大阪で、もう1泊は国内の宿泊客と同様のシェアになるとする。

これに加えてケース2では日帰り客の交通費・飲食費・娯楽サービス費が20%増えるとする。愛知万博の経験によれば、来場者の約40%がリピーターと報告されている5。関西各自治体の努力により、すなわち関西各府県のパビリオン化により国内日帰り客が更に 20%増加し、大阪以外の当該地域を訪問するという想定を行った。2019年関西圏の国内日帰り客(大阪府を除く)の訪問パターンを計算し、その想定で各府県の消費支出額を試算した。

以上の想定の結果、来場者による消費支出は図表 2 のようになる。消費支出総額は、基準ケースでは7,866億円、拡張万博ケース1では1兆143億円(基準ケース比+29.0%)、拡張万博ケース2では1兆646億円(同+35.4%)となる。最終需要は①事業運営費と②来場者による消費支出の合計である。基準ケースで1兆 3,760億円、拡張万博ケース1では1兆6,037億円(基準ケース比+16.6%)、拡張万博ケース2では1兆6,540億円(同+20.2%)となる。なお、基準ケースの最終需要額を産業大分類別にみると図表3のようになる。ここで最終需要は、万博会場となる大阪府だけで発生するとは限らないため、大阪府内と府外に分けて示している。最終需要は,サービス業・その他が6,325億円と最も多く、次いで、建設業3,312億円、運輸・通信業2,356億円、製造業953億円となっている。

 

図表 2 来場者による消費支出(単位:億円)

 

 

 

図表 3 産業別にみた最終需要額

出所:筆者作成

 

2.経済波及効果の再推計

(2)で算出した最終需要の想定について、関西地域間産業連関表(暫定版)に適用し、基準ケースと拡張万博ケースの生産誘発額、粗付加価値誘発額、雇用者所得誘発額をそれぞれ算出する(図表 4)。生産誘発額は、基準ケースでは2兆3,759億円、拡張万博ケース1では2兆7,875億と4,116億円上振れしている。また拡張万博ケース2では 2 兆 8,818 億円と5,059億円上振れしている。ちなみに拡張万博ケース2と拡張万博ケース1の差額は943億円と試算されるが、これは各自治体の一層の努力による拡張万博の効果とみてよい。
次に粗付加価値誘発額をみれば、それぞれ2,221億円、2,782億円上振れしている。雇用者所得誘発額では1,105億円、1,381億円上振れしている。

 

図表 4 基準ケース・拡張万博ケースの経済効果(単位:億円)

出所:筆者作成

 

次に、拡張万博ケース2での生産誘発額が基準ケースに比べてどの程度変化したかについて、地域別に増加額をみたものが図表5である。最も大きく増加しているのは京都府1,566億円であり、次いで兵庫県848億円、その他地域792億円、三重県482億円となっている。なお、「拡張万博ケース 2」における生産誘発額の各産業への影響については後掲参考図表2で示している。

 

図表 5 生産誘発額の基準ケースと拡張万博ケース 2 の差

注:拡張万博ケース2の結果から基準ケースの結果を減じている。
出所:筆者作成

 

また図表6は地域別に各ケースの経済効果、ケース間の差分、経済効果の地域別シェアをまとめたものである。経済効果の地域別シェアをみれば、大阪府のシェアが基準ケースの 74.5%から、拡張万博ケース2では62.4%まで低下している。今回新たに推計された拡張万博ケース2では延泊と日帰り客の増加により、各府県への経済効果がさらに高まる結果となったといえよう。
今後、関西広域にわたって万博開催に向けて様々なイベント開催が予定されている。観光客にとって魅力的なコンテンツ開発で盛り上げることにより、一層の日帰り消費や滞在型消費を促すことができ、経済効果を十分に発揮することが期待されることを本試算は示している。

 

図表 5 府県別経済効果の比較(単位:億円)

出所:筆者作成

 

3.分析のまとめと含意

本稿では、2015年関西地域間産業連関表(暫定版)を用いて、大阪・関西万博の経済効果を試算した。経済効果として、夢洲会場のパビリオンを中心として最終需要が発生する基準ケースと、拡張万博の展開・関西のパビリオン化の下、関西全体で参加者が増加する拡張万博ケースを想定した。
生産誘発額は、基準ケースでは2兆3,759億円、拡張万博ケース1では2兆7,875億円、拡張万博ケース2では2兆8,818億円と試算された。拡張万博の効果を考慮した場合、約4千~5億円程度の上振れが見込まれる。
関西広域にわたって拡張万博に類する様々な取り組みが広がり、観光客にとって魅力的なコンテンツ、滞在型消費を促すようなインセンティブを展開することになれば、経済効果を十分に発揮することが期待できる。
また京都府や兵庫県など大阪府以外の地域では、拡張万博ケースの経済効果は基準ケースに比べてかなり大きくなる。生産誘発額の地域別シェアをみれば、大阪府のシェアが基準ケースの74.5%から、拡張万博ケース2では62.4%まで低下する。すなわち、拡張万博の展開に伴う延泊と日帰り客の増加により、大阪府以外の地域での経済効果が相対的にも高まることになる。
大阪・関西万博に代表される大規模なイベントの経済効果は、特定の地域や特定の時期に留まるのではなく、関西広域で中長期的な取り組みがなされていくことが求められる。大阪・関西万博をひとつの「呼び水」として、関西経済の成長に繋げていくことが重要である。

関連論文

  • 稲田 義久

    147回景気分析と予測:速報版<依然遠い内需主導の回復、厳しい内外需好循環への道- 実質GDP成長率予測:23年度+1.3%、24年度+0.8%、25年度+1.1% ->

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1. 2月15日発表のGDP1次速報によれば、10-12月期の実質GDPは前期比年率-0.4%(前期比-0.1%)減少し、2四半期連続のマイナス成長。市場コンセンサスの最終予測(同+1.28%)は実績を大幅に上回った。またCQM最終予測の支出サイドは同+2.0%、生産サイドは同+1.7%、平均は同+1.9%と、実績を大幅に上回った。

     

    2. 10-12月期の実質GDP成長率(前期比-0.1%)への寄与度を見ると、国内需要は同-0.3%ポイントと3四半期連続のマイナス寄与。うち、民間需要は同-0.2%ポイントと3四半期連続のマイナス寄与。民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備及び民間在庫変動といずれも減少した。公的需要は同-0.1%ポイントと7四半期ぶりのマイナス寄与。一方、サービス輸出(知的財産権等使用料)の大幅増という特殊要因もあり、純輸出は同+0.2%ポイントと2四半期ぶりのプラス寄与。結果、2023年の実質GDPは前年比+1.9%と3年連続のプラスとなった(前年:同+1.0%)。

     

    3. 10-12月期の国内需要デフレータは前期比+0.4%と12四半期連続のプラス。交易条件は4四半期連続で改善の後横ばい。結果、GDPデフレータは同+0.4%と5四半期連続の上昇となった。このため、名目GDPは前期比+0.3%、同年率+1.2%となり、2四半期ぶりの増加。結果、2023年の名目GDPは前年比+5.7%と3年連続のプラス。バブル崩壊の影響が残る1991年の+6.5%以来の高成長である。

     

    4. 10-12月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2023-25年度日本経済の見通しを改定。実質GDP成長率を、23年度+1.3%、24年度+0.8%、25年度を+1.1%と予測。前回(146回予測)から、23年度は-0.4%ポイント、24年度は-0.7%ポイント、25年度-0.1%ポイント、それぞれ下方修正。24年1-3月期は輸出の反動減や自動車の減産から低迷が予想される。24年前半は内需主導の回復は遠のき、外需との好循環は厳しい。回復が見込まれるのは24年後半以降となろう。

     

    5. 実質賃金がプラス反転しないため、10-12月期の民間最終消費支出は3四半期連続の減少、24年1-3月期の回復も緩やかにとどまり、結果、23年度の民間需要寄与は-0.3%ポイント。一方、交易条件の改善もあり貿易赤字が縮小し、また引き続き好調なインバウンド需要によりサービス輸出が増加し、23年度の純輸出の寄与は+1.3%ポイントと前年から大きくプラス反転する。実質賃金のプラス反転は、インフレ高止まりの影響が剥落する24年後半以降となろう。このため24‐25年度の民間需要の寄与は小幅にとどまり、また純輸出の寄与も前年からほぼ横ばいとなる。

     

    6. 23年度前半に3%台で高止まりした消費者物価インフレ率は徐々に減速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、23年度+2.8%、24年度+2.0%、25年度を+1.4%と予測する。前回予測から変化なし。23年度に交易条件が前年から大幅改善するためGDPデフレータは+3.8%上昇する。このため、同年の名目GDPは+5.2%の高成長となる。24‐25年度については、交易条件改善の裏が出るため、GDPデフレータは24年度+1.5%、25年度+1.8%となる。

     

    ※本レポートの詳細版については2/27(火)に公表予定

    予測結果の概要
    PDF
  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:12月レポート No.55

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、12月の訪日外客総数(推計値)は273万4,000人、2019年同月比+8.2%と2カ月ぶりのプラス。2023年通年では年後半の回復が影響し、2,506万5,862人となり、コロナ禍前の8割程度(19年比-21.4%)を回復した。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば10月は251万6,623人。観光客は224万5,892人でコロナ禍前(19年同月比+3.1%)を回復した。

    ・訪日外客の先行きについては、回復が遅れている訪日中国人客の動向が気になるところである。2月は10日から春節が始まり、中国人客の増加が期待されている。一方で、中国経済減速の影響もあるため、大幅な増加は見込めず、緩やかな回復にとどまる可能性が高い。

    【トピックス1】

    ・関西12月の輸出は8カ月連続で前年比減少。また、輸入は9カ月連続で減少し、8カ月連続で2桁のマイナスであった。結果、輸入の減少幅が輸出のそれを大きく上回ったため、貿易収支は11カ月連続の黒字となった。

    ・12月の関西国際空港への72万1,677人となり、12月単月で過去最高を記録。2023年通年では652万5,158人となり、コロナ禍前の8割弱(19年比-22.1%)を回復した。

    ・11月のサービス業の活動は悪化傾向が続く。第3次産業活動指数は3カ月連続の前月比低下。また、対面型サービス業指数は2カ月ぶりに同低下した。観光関連指数も飲食店、飲食サービス業や宿泊業が低下に寄与し、3カ月連続の同低下となった。

    【トピックス2】

    ・10月の関西2府8県の延べ宿泊者数は11,417.1千人泊、2019年同月比では+10.1%となった。前月に引き続き外国人宿泊者の増加が延べ宿泊者全体の増加に寄与した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は7,709.1千人泊、2019年同月比+4.7%と2カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は3,708.0千人泊となり、同+23.1%と3カ月連続で増加した。

    【トピックス3】

    ・2023年10-12月期における訪日外国人消費額(1次速報、全目的ベース)は1兆6,688億円、19年同期比+37.6%と2四半期連続のプラス。23年通年では5兆2,923億円となり、過去最高額を更新した。

    ・2023年10-12月期の1人当たり旅行支出(全目的)は21万201円となった。2019年同期比+28.0%と、4四半期連続のプラス。1人1泊当たり旅行支出でみれば、2万5,493円となり、2019年同期比+30.5%増加した。費目別では、宿泊費、飲食費、交通費、娯楽等サービス費、買物代いずれも増加した。

     

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.129-景気は足下局面変化、先行きは悪化の兆し: 自然災害の影響や生産の下振れがリスク要因-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 宮本 瑛 / 新田 洋介 / 壁谷 紗代

    ABSTRACT
    • 関西の景気は、足下局面変化、先行きは悪化の兆しがみられる。足下、生産は2カ月連続の減産となり、弱い動き。雇用環境は失業率が3カ月連続で改善したが、7-9月期と比べて回復は緩やかである。消費は優勝セールや好調なインバウンド需要の増加もあり堅調。貿易収支は黒字だが、依然輸出入とも減少が続いており、貿易活動は停滞している。自然災害の影響や自動車生産停止による生産の下振れリスクもあり、先行き悪化の兆しがみられる。
    • 11月の生産は2カ月連続で前月比低下しており、低調な動きとなった。業種別では汎用・業務用機械を中心に減産が目立った。
    • 11月の失業率は前月から改善し、労働力人口と就業者数はいずれも増加に転じた。ただし、回復は緩やかであるため、10‐11月平均は依然7-9月期より低調である。足下労働需要の動きは弱く、製造業や建設業に加えて、サービス業での新規求人も減少した。
    • 10月の現金給与総額は23カ月連続の前年比増加となり、伸びは2カ月連続で拡大した。一方、実質ベースでは減少が続いているが、名目賃金の伸びが前月より拡大したため、減少幅は2カ月連続で前月より縮小した。
    • 11月の大型小売店販売額は26カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンド需要の高まり、身の回り品と衣料品などの好調で、21カ月連続のプラス。スーパーも14カ月連続で拡大した。
    • 11月の新設住宅着工戸数は4カ月ぶりの前月比減少となった。持家、貸家と分譲はいずれも減少した。
    • 11月の建設工事は前年比23カ月連続の増加。足下の伸びは低いものの3カ月連続で加速した。また、12月の公共工事請負金額は前年比大幅増加した。結果、23年通年では全国に比して関西の伸びは大きなものとなった。
    • 12月の景気ウォッチャー現状判断は2カ月連続の改善。コロナ5類移行後、初めての年末商戦などの開催が好影響した。先行き判断は2カ月連続の改善したものの、能登半島地震の影響を考えると1月指標は悪化の可能性が高い。
    • 12月の貿易は輸出入ともに前年比減少。輸出は8カ月連続で前年比減少したが減少幅は小幅にとどまる。輸入は高騰していたエネルギー価格の落ち着きから9カ月連続の減少。結果、貿易収支は10カ月連続の黒字となった。
    • 12月の関空経由の外国人入国者数は70万人を超え、12月単月過去最高を記録。23年通年は年後半の回復が影響し、コロナ禍前の7割強の回復となった。
    • 中国の10-12月期実質GDPは前期から加速した。その結果、23年通年の経済成長率は+5.2%となり、政府目標の「5%前後」を小幅に上回った。ただし、足下では雇用回復の遅れと不動産市場の不況は依然として改善が見られず、生産と消費の回復は勢いが鈍化している。そのため、1-3月期の経済成長率は前期より大きな改善は見られないだろう。
    【関西経済のトレンド】
    PDF
  • 稲田 義久

    大阪・関西万博の経済波及効果 -最新データを踏まえた試算と拡張万博の経済効果-

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 野村 亮輔 / 高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 下田 充

    ABSTRACT

    本稿の目的は、万博関連事業費などの最新データを踏まえた大阪・関西万博の経済波及効果の試算を示すとともに拡張万博の重要性を主張するものである。今回の試算の背景にはCOVID-19パンデミックやロシアのウクライナ侵攻の影響によるインフレの加速と供給制約の高まりがある。このような環境下においても、大阪・関西万博を開催することには重要な意義があるとわれわれは考える。万博開催が、関西経済、ひいては日本経済の反転に向けてのチャンスであり、これを生かすことは、反転を実現するための将来への投資でもある。分析結果の要約と含意は以下のとおりである。

    1. 今回の最終需要は、万博関連事業費7,275億円、消費支出8,913億円と想定した。前回より前者は1,381億円(前回比+23.4%)、後者は1,047億円(同+13.3%)の上振れとなった。
    2. 上記最終需要をもとにAPIR関西地域間産業連関表を用いて経済波及効果を計算した結果、生産誘発額は夢洲会場のみで発生する基準ケースで2兆7,457億円、夢洲会場以外のイベントによる追加的な参加(泊数増加)を想定した拡張万博ケース1で3兆2,384億円、加えてリピーター増を考慮した拡張万博ケース2で3兆3,667億円。前回よりそれぞれ3,698億円(前回比+15.6%)、4,509億円(同+16.2%)、4,849億円(同+16.8%)と上振れた。
    3. 得られた試算値は、最終需要が発生した場合、その需要を満たすために直接・間接に一定の産業構造の下でどの程度の需要が諸産業に発生するかを計算したものであり、明瞭な供給制約がないことを前提としている。その意味で本試算値は一定の幅を持って理解される必要がある。
    4. また、試算結果を実現するためには供給制約の緩和は必須である。そのためにDXの活用が重要となり、それが日本の潜在成長率を高めることになる。加えて万博が海外の旅行者に興味を持ってもらうためには、万博と絡めた旅行コンテンツの磨き上げが重要となる。
    PDF
  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:11月レポート No.54

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、11月の訪日外客総数(推計値)は44万800人となり、6カ月連続で200万人を超えた。なお、中国人客を除いた総数は218万2,500人(同+29.1%%)で、5カ月連続でコロナ禍前を上回っている。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば、9月は218万4,442人となった(2019年同月比-3.9%)。うち、観光客は190万5,162人(同-0.4%)とコロナ禍前をほぼ回復。商用客は9万7,835人(同-36.5%)、その他客は18万1,445人(同-11.8%)であった。

    ・2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」により、これまで順調に回復してきた訪日外客への悪影響が懸念されている。突発的なリスクに弱いインバウンド需要に対して、日本の危機対応力を磨き上げ訪日外客に訴求していく戦略が必要である。すなわち、旅行先での「安全・安心」の確保に加え、ストレスなく旅行ができる「安堵」を得られることが重要となろう。

     

    【トピックス1】

    ・関西11月の輸出額は前年同月比-7.7%と7カ月連続の減少。また、輸入額も同-12.6%と8カ月連続で減少し、7カ月連続で2桁のマイナス。輸出、輸入いずれも減少だが、後者の落ち込み幅が前者を上回り、貿易収支は10カ月連続で黒字を維持した。

    ・11月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は66万3,795人と2カ月連続で60万人超の水準となった。

    ・10月のサービス業の活動は2カ月連続で悪化し、足踏みがみられた。第3次産業活動指数は2か月連続で、対面型サービス業指数は3カ月連続でいずれも前月比低下。また、観光関連指数も2カ月連続で同低下した。

     

    【トピックス2】

    ・9月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,375.7千人泊。外国人延べ宿泊者の増加が全体に寄与した影響もあり、2019年同月比では9カ月ぶりに増加に転じた。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は7,413.3千人泊と6カ月ぶりに2019年同月の水準を上回った。また、外国人延べ宿泊者数は2,926.4千人泊で、2019年同月比+19.8%と2カ月連続でコロナ禍前を上回った。日本人延べ宿泊者に比して外国人の回復の方が先行している。

     

    【トピックス3】

    ・2023年7-9月期における関西各府県の訪問率をみれば、大阪府39.5%が最も高く、次いで京都府30.2%、奈良県8.7%、兵庫県5.8%、和歌山県1.3%、滋賀県0.9%と続く。

    ・2023年7-9月期の関西2府4県の訪日外国人消費単価(旅行者1人1回当たりの旅行消費金額)は19年同期比+12.1%増加。費目別では、飲食費は減少したが、その他費目が増加した。

    ・関西の訪日外客数と消費単価を用いて、2023年7-9月期の関西における消費額を推計した。結果、訪日外客消費額は1,253億2,262万円となり、19年同期比-5.5%と、コロナ禍前の9割超を回復。全国の消費額が同+17.7%とコロナ禍前を回復したのに比して、関西の回復は依然遅れている。

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.128-景気は足下局面変化、先行きは悪化の兆し: 海外経済減速による輸出停滞が景気下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 関 和広 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 新田 洋介 / 宮本 瑛

    ABSTRACT

    ・関西の景気は、足下局面変化、先行きは悪化の兆しがみられる。足下、生産は3カ月ぶりに減産し、一進一退の動きが続く。雇用環境は失業率が2カ月連続の改善だが、求人倍率は横ばい。消費は好調なインバウンド需要の増加もあり百貨店を中心に増加。貿易収支は黒字だが、輸出入とも減少が続いており、貿易活動は停滞しつつある。先行きについては、海外経済減速による輸出停滞の景気下押しリスクもあり、悪化の兆しがみられる。
    ・10月の生産は3カ月ぶりの前月比低下。生産用機械、化学(除.医薬品)、鉄鋼・非鉄金属や電子部品・デバイス等が減産した。10月生産を7-9月平均と比較すれば、小幅低下しており、生産は一進一退の動きが続く。
    ・10月の失業率は前月から改善した一方、労働力人口と就業者数はいずれも減少に転じた。また、就業率も低下した。雇用情勢は一時的な足踏みとなった。なお、足下求職活動の低調と新規求人数の増加から、労働需給の逼迫度合いが幾分強まった。
    ・9月の現金給与総額は22カ月連続の前年比増加となり、伸びは4カ月ぶりに拡大した。一方、実質ベースでは減少が続いているが、減少幅は前月より縮小した。
    ・10月の大型小売店販売額は25カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店はインバウンド需要が高まり、身の回り品と衣料品などの好調で、20カ月連続のプラス。スーパーも13カ月連続で拡大した。
    ・10月の新設住宅着工戸数は3カ月連続の前月比増加だが、2カ月連続で1桁の伸びにとどまった。持家の着工戸数の減少も影響が大きい。
    ・10月の建設工事は前年比増加となった。6月以降伸びは低迷していたが8月に底を打ち、足下の伸びは低いものの2カ月連続で加速した。また、11月の公共工事請負金額は前年比大幅増加だが、前月の大幅減を回復できていない。
    ・11月の景気ウォッチャー現状判断は、好調なインバウンド需要と在阪球団のセールもあり3カ月ぶりの前月比改善。先行き判断は、クリスマス・年末商戦での売上増加への期待が好影響し、4カ月ぶりに改善した。
    ・11月の関西の貿易は輸出入ともに7カ月連続で前年比減少した。輸出は米国向けの停滞が顕著。輸入は前年に高騰していたエネルギー価格が落ち着いた影響で7カ月連続の2桁の減少。結果、貿易収支は10カ月連続の黒字となった。
    ・11月の関空経由の外国人入国者数は66.4万人と2カ月連続で60万人を超えたが、コロナ禍前の水準は幾分下回った。
    ・11月の中国経済は、雇用回復の遅れと不動産市場の不況は依然として改善が見られない。一方、生産と消費は緩やかに持ち直しているものの、ゼロコロナ政策が続いていた前年同月に対する反動の影響もあると思われる。10-12月期の経済成長率は前期より幾分加速するだろう。

     

    【関西経済のトレンド】
    PDF
  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:10月レポート No.53

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、10月の訪日外客総数(推計値)は251万6,500人、2019年同月比+0.8%と初めてコロナ禍前を上回った。なお、中国人客を除いた総数は226万200人(同+28.0%)で、4カ月連続でコロナ禍前を上回っている。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば8月は215万7,190人となった(2019年同月比-14.4%)。うち、観光客は189万7,129人となり、コロナ禍前の8割強(同-14.0%)を回復。また、商用客は7万4,600人(同-34.0%)、その他客は18万5,461人(同-7.4%)であった。

     

    【トピックス1】

    ・関西10月の輸出額は前年同月比-8.8%と6カ月連続の減少。また、輸入額も同-14.9%と7カ月連続で減少し、6カ月連続で2桁のマイナス。輸入の減少幅が輸出のそれを大きく上回ったため、貿易収支は9カ月連続で黒字を維持した。

    ・10月の関西国際空港(以下、関空)への訪日外客数は65万5,571人で、初めてコロナ禍前を回復した。

    ・9月のサービス業の活動は悪化だが、持ち直しを維持。第3次産業活動指数は3カ月ぶりに、対面型サービス業指数は3カ月連続でいずれも前月比低下。また、観光関連指数も3カ月ぶりに同低下した。

     

    【トピックス2】

    ・8月の関西2府8県の延べ宿泊者数は12,017.0千人泊。2019年同月比では8カ月連続で減少し、前月から減少幅は拡大。なお、2府4県ベースでも2カ月ぶりに減少した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は9,058.2千人泊と5カ月連続で2019年同月の水準を下回っており、回復ペースは鈍化。一方、外国人延べ宿泊者数は2,958.8千人泊で、2019年同月比+3.7%とコロナ禍前を初めて回復した。

     

    【トピックス3】

    ・2023年7-9月期関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は1兆614億円。2019年同期比-0.4%と2四半期連続のマイナスだが、4-6月期からマイナス幅は縮小。夏季休暇による旅行需要の増加もあり、宿泊旅行消費額が増加に寄与した

    ・うち、7-9月期の宿泊旅行消費額は8,511億円で、2019年同期比+6.3%と2四半期ぶりのプラス。一方、日帰り旅行消費額は2,103億円で、同-20.5%と減少が続いているが、4-6月期(同-49.2%)からマイナス幅は縮小した。

    PDF
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.67 -GDP2次速報を反映し関西経済予測を改定 23年度+1.3%、24年度+1.6%、25年度+1.4%-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2023年7-9月期の実質GDP成長率(2次速報値)は、前期比-0.7%(同年率-2.9%)となり、1次速報の前期比-0.5%(同年率-2.1%)から下方修正された。設備投資が上方修正されたが、民間消費・民間在庫変動・公共投資が下方修正となった。消費・投資など国内民間需要が停滞している。また22年度の実質GDP成長率は+1.3%から+1.5%、21年度も+2.6%から+2.8%に、いずれも上方修正された。

    2. GDP2次速報を反映し関西経済予測を改定。関西の実質GRP成長率を2023年度+1.3%、24年度+1.6%、25年度+1.4%と予測する。21年度以降は1~2%の緩やかな回復基調を維持し、23年度にコロナ禍前(19年度)のGRP水準を回復する。GDPの遡及改定に伴い、前回予測(11月29日公表)に比べて、22年度の実績見通しを+0.1%ポイントずつ上方修正した。23年度以降のGRP成長率予測の修正はない。

    3. 成長に対する寄与度を見ると、民間需要は2023年度+0.6%ポイント、24年度+1.1%ポイント、25年度+1.0%ポイントと成長の牽引役となる。また公的需要も23年度+0.4%ポイント、24年度+0.3%ポイント、25年度+0.2%ポイントと成長を下支える。域外需要は23年度+0.3%ポイント、24年度+0.2%ポイント、25年度+0.2%ポイントと低調な推移となる。

     

    予測結果の概要
    PDF