2011年関西地域間産業連関表を公表しました。
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2011年関西地域間産業連関表の公表
関西では、インバウンド(訪日外国人旅行)需要増加による交流人口拡大や、高速道路や鉄道の交通網整備をはじめとするインフラの充実などにより、府県域を越えた財・サービスの流動が近年増加しており、広域で経済活動を把握することが重要となっている。このため、関西を広域的にとらえ、モノやサービスの地域間交易構造を一つの表にまとめた地域経済分析ツールとして、関西地域間産業連関表の活用が有効となる。
当研究所では、前身の関西社会経済研究所において、2002年から関西の地域間表の研究に取り組んでおり、その成果は「2005年 関西地域間産業連関表」としてとりまとめた。2005年表を作成した後、近年の広域的な経済活動の進展を踏まえ、7年ぶりに同連関表の改訂作業を2018年度自主研究プロジェクトとして実施し、このほど「2011年 関西地域間産業連関表」を作成した。
経済産業省が、2005年表を最後に各地域の「地域産業連関表」の作成を中止されたため、当研究所の2011年表が関西地域を対象とする唯一の本格的な連関表となる。
2005年表との対比で、2011年表の作成で工夫を加えた特徴は、以下の三点である。
- 対象地域を拡張している。具体的には、従来の関西2府4県(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)に加えて、福井県、三重県、徳島県、鳥取県の4県を合わせた2府8県(10府県)をベースとする広域関西地域を対象とした。
- 産業部門数を拡大している。具体的には、2005年表は104部門だったが、2011年表では159部門へと部門数を増加させた。
- 移出・移入の分割で、部門ごとに交易マトリクスを作成することで精緻化を図った。特に、サービス部門では独自に実施したWebアンケート調査結果を活用することで、より実態に合った地域間産業連関表を作成することに努めた。
以上のように、「2011年 関西地域間産業連関表」は地域の取引実態が正確に反映されていることに加え、行政や経済界における経済波及効果推計だけでなく、アカデミックな研究としても耐えられる質の高いものとなっている。
関西では、2019年度、6月にG20サミットが開催され、9月にラグビーワールドカップが開催される。翌年以降もワールドマスターズゲームズ関西(2021年)や大阪・関西万博(2025年)など、関西地域が会場となる大規模国際イベントの開催が予定されている。これらのイベントの経済波及効果の推計・分析を行うと共に、他の自主研究プロジェクトとの連携や産業連関表自体の拡張や精度改善等をさらに図っていく予定である。