研究成果

research

2023年阪神・オリックス優勝の地域別経済効果-APIR関西地域間産業連関表による分析-

Abstract

2023年のプロ野球は、セントラル・リーグは阪神タイガース、パシフィック・リーグはオリックス・バファローズと、ともに関西に本拠地を置く球団が優勝した。本稿では、高林ほか(2023)に引き続き、阪神タイガースおよびオリックス・バファローズの優勝による経済波及効果について、APIR関西地域間産業連関表を用いて計測した。分析結果の概要は以下の通りである。

1. 両球団の優勝により全国で発生する経済波及効果は1,283億7,300万円となった。うち阪神による効果は1,011億5,800万円、オリックスは272億1,400万円と、阪神優勝の経済波及効果はオリックス優勝の4倍程度となっている。

2. 関西各府県での効果をみると、阪神の場合、大阪府268億7,000万円(効果全体の6%)、兵庫県172億1,800万円(同17.0%)。オリックスの場合、大阪府94億1,100万円(同34.6%)、兵庫県31億7,100万円(同13.0%)と、いずれも圧倒的に2府県に集中している。ただ阪神に比して、オリックスの経済波及効果は大阪府により大きく発生することがわかる。

3. 関西二球団の優勝による経済波及効果は、関西以外の地域でも479億円発生する。これは、関西以外の地域のファンによる消費に加え、関西での直接需要を満たすために関西以外の地域で一定程度の需要が発生していることを意味している。

4. 阪神のファン人数はオリックスの6倍であることを考慮すると、上記の数値から計算されるオリックスファンの1人当たり経済波及効果は阪神を上回っていることになる。この背景にはSNS等を通じたPR活動による着実なファン人口の増加に加え、より付加価値の高い消費単価の反映がある。

本文

はじめに:分析の特徴

2023年のプロ野球は、セントラル・リーグでは阪神タイガース、パシフィック・リーグではオリックス・バファローズが優勝した(以下ではそれぞれ「阪神」「オリックス」と記す)。阪神は2005年以来18年ぶりの優勝、一方オリックスは2021年以来3年連続のリーグ制覇である。なお両リーグともに関西に本拠地を置く球団が優勝したのは1964年の阪神タイガース・南海ホークス以来、59年ぶりのことである。

当研究所では高林ほか(2023)において、APIR関西地域間産業連関表により2023年の阪神タイガースの優勝の経済波及効果を計測した。本稿は、高林ほか(2023)で行われた阪神優勝の経済波及効果の計測に加え、オリックス優勝にも拡張展開して経済波及効果を計測するものである。

本稿の分析においても、高林ほか(2023)と同様に、APIR関西地域間産業連関表を用いて、地域別に経済波及効果を計測する。経済波及効果の計測の手順は、以下の通りである。まず優勝により発生する新規需要を推計する。新規需要は、(1)球場観戦者による消費と(2)球場外での消費(優勝セール含む)に分けて、それぞれ推計を行う。ここでの新規需要は地域別・産業別に想定し、できるだけ実態を反映するべく精緻に行う。推計された新規需要に対してAPIR関西地域間産業連関表を用い、全国ならびに関西2府8県に及ぼす経済波及効果を計算する。

我々の分析の最大の特徴は、経済波及効果の計測において独自に開発したAPIR関西地域間産業連関表を用いていることである。本表を用いることにより、新規需要の発生を地域別に設定することができる。後述するように、阪神とオリックスではファンの地域分布、すなわち需要が発生する地域が異なることから、実態に近い分析が可能となっている。また経済波及効果の結果も地域別に捉えることができる。地域での経済波及効果を計測した先行事例においては、全国の経済波及効果の一定割合とするような、かなり大胆な仮定を置いた分析がしばしば散見される。しかしこの方法でおおよその規模は捉えられるとしても、例えば関西内に限っても府県ごとに産業構造や自給率は大きく異なるため、新規需要の発生状況が異なっておれば、関西の割合が一定ということはありえない。そもそも一定割合とする数字の根拠が明示されていない限り、信憑性に欠くといえよう。このため本稿では単に経済波及効果の計測結果を示すだけでなく、可能な限り前提条件やその算出方法を明示することを心がけた。

1.球場観戦者の消費

ここでは、球場観戦者による消費を考える。球場観戦者による消費は、球場観戦者数に一人当たり消費単価を乗じて求められる。これらを優勝しなかった場合(以下「平時」と呼ぶ)と優勝した場合について想定し、その差分を優勝によって発生する新規需要と捉える。以下、1-1で球場観戦者数、1-2で一人当たり消費単価を推計し、1-3でこれらを乗じた結果を示す。

1-1. 球場観戦者数の想定

まず平時と今年の球場観戦者数を確認する。図 1は、2005年以降の阪神・オリックス両球団主催ゲームの観客動員数の推移を示したものである3。特に目に付くのはコロナ禍にあった20年・21年で、無観客試合や入場制限などの影響で観客動員は大きく落ち込んだ。オリックスは21年に25年ぶりとなる優勝を果たしたが、年間観客動員は43万1,601人(1試合あたり7,315人)にとどまった。また22年は開幕から入場制限が撤廃されたものの、コロナ禍前の水準を回復するには至らなかった。23年の優勝による観客動員数の増加分を検討する際には、20年から22年までの動向は除外する必要がある。

阪神の平時の観客動員数は、前回優勝の翌年2006年からコロナ禍前の19年まで15年間の1試合平均観客数4万861人に、23年の主催ゲーム数である71試合を乗じて、290万1,110人とする。また2023年の観客動員数は291万5,528人であった。

オリックスの平時の観客動員数も、同様に計算する。1試合平均観客数は、阪神のケースに合わせて2006年からコロナ禍前の2019年までの平均値2万939人とする。23年の主催ゲーム数72試合を乗じて、オリックスの平時の観客動員数は150万7,583人と推計される。また23年の観客動員数は194万7,453人であった。

 

図 1  2005 年以降の阪神・オリックス主催試合観客動員数の推移

(出所)日本野球機構ホームページ、プロ野球Freakホームページより筆者作成

 

以上をまとめると表1のようになる。平時と2023年の観客動員数の差を優勝によって増加した観客数と考えると、阪神は1万4,418人、オリックスは43万9,870人となる。阪神は平時から1試合当たり4万人程度の観客動員があり、1試合あたりでは今年は平時に比べて203人しか増加していない。20年に座席改修が行われたため座席数が減少した影響もあるが、06年から19年の間の阪神は優勝には至らないものの上位に食い込むシーズンが多く(平均順位3.1位)、23年の優勝で観客動員数が大きく増加したということはなかったといえる。

一方オリックスは、平時に比べて年間で約44万人、1試合あたりでは6,109人増加しており2023年は観客動員が大きく増加した。06年から19年の間のオリックスは低迷期にあり(平均順位4.8位)、観客動員数が伸び悩んでいたと考えられる。

 

表1  平時と2023年の比較:観客動員数:単位:人

(注)阪神とオリックスの試合数が異なるのは、交流戦での本拠地球場の主催試合数が隔年で異なるため。
(出所)日本野球機構ホームページ、プロ野球Freakホームページより筆者作成

 

1-2. 球場での消費単価の想定

次に、球場観戦時の消費項目として、チケット代、交通費、飲食費、グッズ等購入費の4項目について、平時・2023年の消費単価を球団別に想定する。

チケット代は、平時・2023年ともに阪神は1試合1人あたり3,653円、オリックスは3,441円とする。チケット料金は、球場・席種・曜日等によって異なるが、阪神甲子園球場および京セラドーム大阪のチケット料金表をもとに、座席数・日数等を考慮してそれぞれ算出した。チケット代は、阪神の場合は兵庫県、オリックスの場合は大阪府の需要となる。

交通費・飲食費は、MURC(2022)のアンケート調査結果より「スタジアム観戦にかかる出費」(1回あたりの金額)を参照し、この結果を利用する。平時の消費単価については、MURC(2022)の結果である交通費2,825円、飲食費2,064円とする。一方2023年については、足下の物価上昇を考慮して消費者物価指数の伸び(近畿地区、2023年9月、対前年同月比)を乗じて、交通費2,927円、飲食費2,171円とする。

グッズ等購入費についても、MURC(2022)のアンケート調査結果をベースとする。MURC(2022)によると、平時のグッズ等購入費は1回当たり1,862円となっている。ただし表2に示すように球団によって応援グッズの単価が異なるため、これを反映する。表2は、球場観戦時の標準的な応援グッズ(レプリカユニフォーム、選手名入りタオル、応援用バット)を買い揃えた場合にかかる費用を球団別に示したものである。12球団の平均値は1万2,766円であるが、阪神は12球団のうち最も安上がりで9,800円(対平均値比77%)、オリックスは1万3,150円(同103%)と平均よりやや高額となっている。ここでの12球団平均値に対する比率を前出のMURC(2022)の調査結果(1 回あたり1,862円)に乗じて、平時のグッズ等購入費を阪神1,429円、オリックス1,918円とする。一方2023年は好成績による売上の伸びを織り込み平時に比べて1.5倍になると想定し、さらに足下の物価上昇を考慮する。結果、2023年のグッズ等購入費は阪神2,245円、オリックス3,012円となる。

 

表 2  12球団別の応援グッズ価格

(注)ここでの価格は、レプリカユニフォーム、選手名入りタオル、応援用バットの合計額
(出所)東洋経済ONLINE記事より筆者作成

 

なお交通費については、手段(鉄道旅客輸送か道路旅客輸送か)と需要発生地の内訳を考慮する。
阪神については、高林ほか(2023)と同様であるので、本稿では割愛する。オリックスについては、手段はすべて鉄道旅客輸送であるとし、需要発生地はファン人口比により按分した。

またグッズ等購入費の内訳について、阪神・オリックスともに選手名が入ったレプリカユニフォームやタオル等の繊維製品が83%、選手アクリルスタンドや缶バッジ、試合終了後の演出時に用いられるペンライトなどの雑貨類が17%を占めると想定する。この割合は、商品単価および店舗の売上ランキングをもとに算出した。なおこの購入費は商業マージン・運賃を含んだ購入者価格表示であるため、これを生産者価格に変換する作業を施している。作業手順については、後掲の2-4優勝セールの項で記している。

1-3. 結果

1-1の球場観戦者数と1-2の消費単価の想定を乗じると、平時と今年それぞれの球場観戦者による消費支出額が算出できる。算出結果をまとめると表3のようになる。球場観戦者による消費は、平時に比べて阪神では31.3億円、オリクスでは70.5億円押し上げられたことになる。平時に比べて球場観戦者数が大きく増加したオリックスの方が、消費額の増加幅も大きくなっている。

表3 球場観戦時における消費の1試合単価と年間消費支出額(平時と2023年の比較)

 

2.球場外での消費・優勝セール

次に、球場外での消費を考える。ここでの推計は前節と同様に、優勝を契機として追加的に消費を行うファンの人数と、その追加的消費の単価の積として算出する。消費品目は、飲食費とその他の消費に分けて検討する。飲食費は、阪神ファン・オリックスファンが勝利を祝して、平時に比べて追加的に飲食する際の支出額がこれにあたる。またグッズ等購入費は、球団関連グッズ、優勝記念グッズ、スポーツ新聞、雑誌等を購入する際の支出額である。

また2-4で、ファンによる消費とは別に、阪神百貨店および近鉄百貨店で実施された優勝セールについても新規需要として想定する。

2-1. ファン人口の想定

ここでは、阪神およびオリックスの優勝を契機として球場外での消費を行う人数、すなわち阪神ファンとオリックスファンが全国および各府県に何人いるのかについて、推計を行う。

阪神ファン人口は、高林ほか(2023)において、中央調査社が毎年実施している「人気スポーツ調査」およびMURC(2022)での調査結果を用いて、全国および関西2府8県の阪神ファン人口を推計した。推計手順の詳細はここでは割愛するが、全国の阪神ファン人口は404万人で、府県別では大阪府が最多で119.0万人となっている。

今回新たにオリックスファン人口を推計した(後掲参考表2参照)。阪神に比べると情報量が限られているが、中央調査社の結果によると、20歳以上人口に占める割合が全国では1.6%、関西2府4県では5.2%となっている。そこでまず阪神ファン人口404万人に、阪神とオリックスのファン割合の比率(16.6%)を乗じて、全国のオリックスファン総数を67万3,333人と推計した。また関西2府4県についてはファン割合が5.2%と判明しているため、関西2府4県の20歳以上人口に

これを乗じて算出した。その他地域は、全国のオリックスファン人口とこれまで推計された関西のオリックスファン人口の残差として推計した。
以上の結果をまとめると表4のようになる。ファン人口総数では阪神がオリックスを凌駕している。特に関西ではその傾向が強く、オリックスは阪神に相当数のファンを奪われているといえる。

逆に関西以外の地域(表4ではその他地域と記載)においては、阪神ファン全体に占める割合が30.2%にとどまるが、オリックスでは同47.0%となる。具体的な数字を見ると、大阪府では阪神ファン119.0万人に対してオリックスファンは15.4万人となっており、倍率にして8倍近い開きがある。これに対して、その他地域では阪神ファン121.9万人に対してオリックスファンは31.6万人であり、倍率は3.9倍にまで縮小する。すなわち、阪神のファン層は関西に偏在し、オリックスのファン数は阪神に比して少ないものの、全国的に点在していると言える。こうした阪神とオリックスのファン地域分布の違いは、球場外における追加的消費の規模の差異に影響する。

 

表4 地域別ファン人口の推計

(出所)中央調査社、MURCのアンケート調査結果および総務省
「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」より筆者作成

 

2-2. 消費単価の想定

次に球場外での消費として、飲食費とその他の消費の単価を想定する。ここでは、阪神ファンとオリックスファンでの違いはないとする。

飲食費については、関西社会経済研究所(2003)での想定を踏襲し、阪神ファン一人当たり年間 1万円を追加支出すると想定する。またグッズ等購入費については1,000円を追加的に支出すると想定する。1-2で示した球場観戦者によるグッズ等購入費の平時と今年の差(1,099円)に近い値としている。なおここでの追加的グッズ等購入費1,000円の内訳としては、食料品 10%、繊維製品40%、雑貨類40%、書籍・雑誌・映像商品等10%とする。この割合も1-2と同様に商品単価と店舗売上ランキングを参考に想定しているが、球場での応援グッズが多い球場内での購入品目とは構成が異なっている。

 

2-3. 結果

2-1の地域別ファン人口と2-2の消費単価の想定を乗じると、各地域のファンが優勝に伴い球場外での消費支出額を算出できる。算出結果をまとめると表 5 のようになる。優勝に伴う全国の阪神ファンによる追加的飲食費は404.0億円、その他消費は40.4億円、オリックスファンによる追加的飲食費は67.3億円、その他消費は6.7億円となる。

 

表5 各地域の阪神・オリックスファンによる追加的消費
【阪神】

 

【オリックス】

(出所)筆者作成

 

2-4. 優勝セール

本稿で取り上げる優勝セールについては、阪神については阪神百貨店梅田本店、近鉄については近鉄百貨店あべのハルカス近鉄本店に限定して、その効果を以下のように推計した。なお当該百貨店の売上高については、月次での前年同月比は公表されているが、金額は四半期ベースのみにとどまり、月次では発表されていない。

そこで売上高対前年同月比について、コロナの5類移行に伴い社会活動が正常化した2023年5月から8月までの平均(阪神梅田店:19.1%、近鉄あべのハルカス店:5.6%)と、優勝セールが実施された9月(阪神梅田店:58.3%、近鉄あべのハルカス店:22.4%)を比較し、伸び率の差を求める。

この差を阪神およびオリックス優勝セールの効果とみなすことにした。ベースとなる売上高の金額は22年度の月平均売上額を用いて、優勝セールによる上振れ金額を推計した。

結果、優勝セールの売上高は阪神梅田本店17億9,900万円、近鉄あべのハルカス店 5億600万円、合わせて23億500万円と推計した。
なお優勝セールでの対象品目は、阪神百貨店・近鉄百貨店ともに詳細は不明であるが、報道によると売場商品の大半が割引対象となったとされることから、優勝セールにおける品目の構成は、統計で把握されるそれと大きく異なることはないと想定する。これを踏まえ、産業連関表の産業部門への対応については、まず商業動態統計調査における大阪市内の百貨店売上高により大枠の構成比を設定する。次に、APIR関西地域間産業連関表の消費ベクトルの構成比により大枠を按分し、産業連関表の部門に対応した構成比を算出する。また売上高は購入者価格表示であるため、これを生産者価格に変換する。具体的には、商業マージンと運賃を全国表の対購入者価格比率に基づいて剥ぎ取り、それぞれ大阪府の商業部門と道路貨物輸送部門に計上した。なお前節で示したグッズ等購入費についても同様の作業を行っている。

 

3.優勝による経済波及効果

1節および2節の想定を前提とし、APIR関西地域間産業連関表を用いて、阪神・オリックス優勝の経済波及効果を算出する。

3-1. 新規需要の整理

ここまで阪神及びオリックス優勝による新規需要を、球場観戦者の消費と球場外の消費及び優勝セールに分けて推計した。優勝により発生する新規需要の総額は、阪神が493.7億円、オリックスが149.6億円、合計で643.3億円となる。これらを支出項目別および地域別に整理すると表6のようになる。

項目別に見ると、球場観戦者の消費は阪神が31.3億円、オリックスが70.5億円、合計101.8億円となる。球場外での消費は阪神が444.4億円、オリックスが74.1億円、合計518.5億円となる。

優勝セール等は阪神が18.0億円、オリックスが5.1億、合計23.1億円となる。

また地域別にみると、阪神・オリックスとも大阪府が最多でそれぞれ175.8億円、69.6億円となっている。金額は阪神の方が大きくなっているが、最終需要全体に占める大阪府の割合でみると、阪神36%に対してオリックスは46%となっている。またその他地域の割合は阪神19%、オリックス28%となっており、関西の球団の優勝により発生する最終需要は関西だけに留まらないこと、また阪神とオリックスでやや差異があることも確認できる。

 

表6 優勝により発生する新規需要の想定:単位:100万円
【支出項目別】

 

【地域別】

(出所)筆者作成

 

3-2. 阪神・オリックス優勝の経済波及効果:関西経済に与える影響

表6に示した新規需要を基に、経済波及効果を計測したのが図2である。ここでは新規需要発生による効果(直接需要)と、直接需要を満たすべく追加的に発生する間接的な効果、さらに所得増により発生する需要(1次・2次の波及効果)に分けて示している。両者の合計が経済波及効果の総額となる。

後掲参考表3が示すように、阪神優勝の全国で発生する経済波及効果の総計は1,011億5,800万円、うち直接効果は 443億7,500万円、間接効果は567億8,300万円となる。オリックスの経済波及効果の総計は 272億1,400万円、うち直接効果は128億円、間接効果は144億1,500万円となる。両球団の優勝による経済波及効果の合計額は1,283億7,300万円、うち直接効果は571億7,400万円、間接効果は711億9,800万円となる。阪神優勝の経済波及効果はオリックス優勝の4倍程度となっている。阪神のファン人数はオリックスの6倍であることを考慮すると、オリックスファンの1人当たり経済波及効果が阪神を上回っていることになる。

 

図2 地域別にみた経済波及効果

(出所)筆者作成

 

前述の効果は全国ベースの経済波及効果であるが、地域経済への影響という観点が重要である。我々の分析ではAPIR関西地域間産業連関表を用いているため、どの地域で経済波及効果が発生しているかについても把握することができる。

参考表3が示すように、両チーム優勝の地域別波及効果をみれば、関西2府8県での経済波及効果は803億9,600万円(62.6%)であるが、関西を除くその他地域では479億7,700万円(37.4%)となる。うち、阪神優勝の地域別波及効果は、関西で648億9,500万円(64.2%)であるが、関西を除くその他地域は362億6,300万円(35.8%)。オリックスの場合は、関西は155億100万円(57.0%)であるが、関西を除くその他地域は117億1,300万円(43.0%)となる。ファンの分布の違いにより、オリックスの場合は阪神に比して、関西以外の効果が高く出ている。関西各府県での効果をみると、阪神の場合、大阪府は268億7,000万円(26.6%)、兵庫県は172億1,800万円(17.0%)。オリックスの場合、大阪府は94億1,100万円(34.6%)、兵庫県は31億7,100万円(13.0%)と、いずれも圧倒的に2府県に集中している。ただ、阪神に比して、オリックスの経済波及効果は大阪府でより大きく発生することがわかる。

 

4.分析の整理と含意

以上の分析を整理し、得られた含意は以下の通りである。

1. 阪神及びオリックス優勝により発生する新規需要を(1)球場観戦時の消費及び(2)球場外の消費(優勝セール含む)に分けて想定した上で、APIR関西地域間産業連関表を用いて経済波及効果を計測した。計測結果は、全国で発生する経済波及効果総計は1,283億7,300万円、うち直接効果は571億7,400万円、間接効果は711億9,800万円となった。うち、阪神は1,011億5,800万円、オリックスは272億 1,400万円と、阪神優勝の経済波及効果はオリックス優勝の4倍程度となっている。

 

2. 我々の分析の特徴は、どの府県で経済波及効果が発生しているかを見ることができる点にある。関西(2府8県ベース)の経済波及効果は803億9,600万円(62.6%)であるが、関西を除くその他地域では479億7,700万円(37.4%)となる。全体の効果のうち、関西には62.6%、その他地域には37.4%が帰属している。関西を除く地域では479億円の経済波及効果を発生させているが、その大部分が間接効果(358億9,100万円)となっており、関西での直接需要を満たすため、関西以外の他府県で一定程度の需要が発生していることを意味している。

 

3. 関西各府県での効果をみると、阪神の場合、大阪府は268億7,000万円(26.6%)、兵庫県は172億1,800万円(17.0%)。オリックスの場合、大阪府は94億1,100万円(34.6%)、兵庫県は31億7,100万円(13.0%)と、いずれも圧倒的に2府県に集中している。阪神に比して、オリックスの経済波及効果は大阪府でより大きく発生することがわかる。

 

4. 阪神のファン人数はオリックスの6倍であることを考慮すると、オリックスファンの1人当たり経済波及効果が阪神を上回っていることになる。この背景にはSNS等を通じたPR活動による着実なファン人口の増加に加え、より付加価値の高い消費単価の反映がある。

 

5. APIRの最新予測によれば、2023年度 2府4県の名目GRPを93兆6,580億円と予測しており、今回の阪神・オリックスの優勝の経済波及効果は、375億3,400万円である(付加価値ベース)。上記の押し上げ効果は0.04%程度となる。

 

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    大阪・関西万博の経済波及効果 -最新データを踏まえた試算と拡張万博の経済効果-

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    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 野村 亮輔 / 高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 下田 充

    ABSTRACT

    本稿の目的は、万博関連事業費などの最新データを踏まえた大阪・関西万博の経済波及効果の試算を示すとともに拡張万博の重要性を主張するものである。今回の試算の背景にはCOVID-19パンデミックやロシアのウクライナ侵攻の影響によるインフレの加速と供給制約の高まりがある。このような環境下においても、大阪・関西万博を開催することには重要な意義があるとわれわれは考える。万博開催が、関西経済、ひいては日本経済の反転に向けてのチャンスであり、これを生かすことは、反転を実現するための将来への投資でもある。分析結果の要約と含意は以下のとおりである。

    1. 今回の最終需要は、万博関連事業費7,275億円、消費支出8,913億円と想定した。前回より前者は1,381億円(前回比+23.4%)、後者は1,047億円(同+13.3%)の上振れとなった。
    2. 上記最終需要をもとにAPIR関西地域間産業連関表を用いて経済波及効果を計算した結果、生産誘発額は夢洲会場のみで発生する基準ケースで2兆7,457億円、夢洲会場以外のイベントによる追加的な参加(泊数増加)を想定した拡張万博ケース1で3兆2,384億円、加えてリピーター増を考慮した拡張万博ケース2で3兆3,667億円。前回よりそれぞれ3,698億円(前回比+15.6%)、4,509億円(同+16.2%)、4,849億円(同+16.8%)と上振れた。
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  • 高林 喜久生

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 下田 充 / 稲田 義久 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    2023年のプロ野球は、セントラル・リーグが阪神タイガース、パシフィック・リーグがオリックス・バファローズ、ともに関西に本拠地を置く球団が優勝した。またクライマックスシリーズはセ・パ両リーグともリーグ優勝チームが勝ち上がり、59年ぶりに関西勢同士の対決、いわゆる「関西ダービー」が実現した。結果、日本シリーズは阪神が38年ぶり2回目の日本一に輝いた。
    本稿は、高林ほか(2023)、APIR関西地域間産業連関表プロジェクトチーム(2023)での阪神タイガースおよびオリックス・バファローズの優勝の分析に加え、クライマックスシリーズ、日本シリーズ、その後の優勝関連セール及び優勝パレードによる経済波及効果も含めた「決定版」となるレポートである。分析結果の概要は以下の通りである。

     

    1. 全国で発生する経済波及効果総計は1,607億3,300万円、うち直接効果は719億9,900万円、間接効果は887億3,300万円となった。

    2. 関西2府8県では経済波及効果は935億5,700万円であるが、関西を除くその他地域では671億7,600万円。うち、関西が58.2%、その他地域が41.8%を占めており、その他地域では大部分が間接効果となっている。これは、関西での需要を満たすため、関西以外の他府県で一定の需要が発生していることを意味している。

    3. 関西各府県での効果をみると、うち大阪府は427億2,200万円(26.6%)、兵庫県は250億8,700万円(15.6%)となっており、2府県で42.2%と関西地域(58.2%)の大部分を占める。

    4. 優勝関連セールについては、経済波及効果は大阪府(62.8%)が圧倒的な割合を、優勝パレードについては大阪府(42.1%)、兵庫県(35.4%)と2府県で効果の77.5%を占めている。

    5. 今回のリーグ優勝、ポストシーズン及び優勝パレードの2府4県の経済波及効果は関西の名目GRPを0.05%程度押し上げる。全国ベースでは名目GDPを0.01%程度押し上げる。

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  • 高林 喜久生

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    高林 喜久生 / 入江 啓彰 / 下山 朗 / 下田 充 / 稲田 義久 / 野村 亮輔

    ABSTRACT

    今回の阪神タイガース優勝は慶賀に堪えない。本稿では、阪神タイガース優勝により発生する新規需要を球場観戦時の消費及び球場外の消費(優勝セール含む)に分けて想定した上で、APIR関西地域間産業連関表を用いてその経済波及効果を計測した。その際、地域経済に与える影響という視点が重要であり、この観点から分析を行った。分析結果を整理し、得られた内容は以下の通りである。

     

    1. 阪神タイガースの優勝により全国で発生する経済効果総計は1,051億2,400万円、うち直接効果465億8,700万円間接効果585億3,800万円となった。

    2. うち、関西(2府8県ベース)の経済効果は686億9,600万円関西を除くその他地域では364億2,800万円となる。

    3. 地域間交易を考慮した関西地域間産業連関表の分析によれば、全体の効果は、関西に65.3%、その他地域に34.7%配分される。関西を除く地域では364億円の経済効果を発生させているが、その大部分は間接効果である。すなわち、関西での直接需要を満たすため、関西以外の他府県で一定程度の需要が発生していることを意味している。

    4. 次に関西各府県での効果をみると、大阪府は306億4,400万円(29.2%)兵庫県は172億7,000万円(16.4%)圧倒的に2府県に効果が集中している。

    5. 阪神のファン数は減少しているにもかかわらず、今回の優勝は一定の経済効果をあげている。これから得られる含意としては、新たなファン層の拡大やリピーター率の向上によりファン数の減少トレンドを抑制し、加えてファンサービスの高付加価値化による消費単価の引き上げにより一層の経済効果が期待できよう。

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  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

     

    研究の背景

    関西2府8県+1地域を対象地域とする唯一無二の地域間産業連関表である。当プロジェクトでは様々な事象による経済社会活動に対する影響について産業連関表を用いて府県別・産業部門別に推計してきている。今後関西においては大阪・関西万博をはじめとするイベント、さらにIRを機に新たな産業が予想され、産業連関表を用いた様々な経済分析が重要である。

     

    研究内容

    ・奈良県DATA取得後に正式版関西地域間産業連関表の作成:奈良県のDATAの差し替えを行い再度統合作業とバランス調整を行う

    ・昨年度算出した大阪・関西万博の経済波及効果の再算出:万博アクションプランVer3を反映し、さらに正式版関西地域間産業連関表完成後に再度試算する。

    ・分析結果を関西経済白書、APIRの各種レポートへの掲載、マスコミ取材時、セミナー等における経済波及効果試算のPR

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部商経科教授

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、経済部門の一部をAPIRのホームページ上で発表する。また、分析成果は景気討論会や環太平洋産業連関分析学会やセミナー等で報告することを予定している。

    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行う上での重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表2015年表の作成と利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

     

    研究目的

    これまで、本プロジェクトでは、COVID-19が経済社会活動にもたらした影響について、産業連関表を用いた分析を行ってきた。2020年度は,COVID-19感染拡大が関西のスポーツ関連産業に与えた生産減少額を「負の経済波及効果」として府県別・産業部門別に推計した。また、2021年度は,観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、独自の観光産業の分析を行うとともに、観光消費額減少が地域経済にもたらす経済波及効果や、観光関連消費回復のための需要喚起策として行われた「Go Toトラベル事業」の効果についても分析を行った。2021年度の研究成果は『アジア太平洋と関西―2021年関西経済白書』の「Chapter6 関西と観光産業:産業連関表を用いた分析」にまとめられている。

    また、APIRでは前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成や利活用に関する研究に継続して取り組んでいる。2021年度は2020年度に実施した基礎調査(関西居住者や関西への来訪者を対象に、消費費目や金額、消費場所などについて尋ねたWEBアンケート調査)の結果をまとめ、関西経済白書に掲載するとともに、2015年の関西地域間産業連関表(以下、2015年表)作成のために、統合中分類(107部門)をベースに統合・調整を行うなどの基礎作業を実施した。それを受けて、2022年度は,2015年表の完成を目指すとともに、その利活用を行う。

     

    研究内容

    1)「2015年 APIR関西地域間産業連関表」の作成
    2021年度、地域間表の作成に必要な関西2府8県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県)の「2015年地域産業連関表」をほぼ全て入手し、入手した府県については産業分類の統合・調整を行い、産業中分類(107部門)をベースに2015年表の作成作業を行った。2022年度はこの作業を継続するとともに、未公表の県については暫定版をAPIRで推計し、それを用いて地域間表の統合作業を行う(暫定版の作成)。その後、当該府県より2015年の産業連関表が公表され次第、差し替え・再度統合作業・バランス調整を行う(確定版の作成)という二段階の作業を行う(※1)。
    また、作業過程において必要な移出入等に関する情報について、APIRマクロ経済研究プロジェクト等のネットワークを活用して府県の統計担当者へのヒアリングを行う(※2)。
    (※1)本項を執筆している5月23日時点で、対象府県のうち、奈良県のみ未公表である。
    (※2)これまでに関係が深い大阪府、兵庫県、和歌山県などを予定している。
    2)「2025年大阪・関西万博 」の経済波及効果の分析
    足下で入手できる最新の情報に基づき、「2025年大阪・関西万博」の経済波及効果の推計を行う。
    なお、2025年大阪・関西万博の経済効果は2019年の関西経済白書で試算を行っているが、コロナ禍による訪日外国人の激減,予算額の変更等が報道されていることを受け、来場者数や訪日外国人の人数、工事費等について再検討を行う。必要な情報については、APIR所内の万博検討チームや万博関連プロジェクトとも連携して、効率的な把握に努める。
    3)インフラ整備の経済効果に関する勉強会
    2021年度に引き続き、「2025年大阪・関西万博」に関連した取り組みを行っている組織や、広域的な交通ネットワーク整備や今後備えるべき災害への対応など,関西で問題となっているインフラ課題について専門家を招聘し、勉強会を行う。
    2022年度は、事業整備を通じた生活の質向上や時間短縮による生産性向上といった「ストック効果」に着目するとともに、産業連関表やマクロ計量モデルを用いてどのように分析を行うかといった手法面についても議論を行う。年2回程度実施を検討している。
    4)対外的な成果報告
    メンバーは各々の立場で分析結果を報告することを通じて、積極的な対外発信に努める。。

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部教授
    藤原 幸則  APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授
    木下 祐輔  大阪商業大学経済学部専任講師

     

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会や外部の研究会で報告することを予定している。
    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表2015年表の作成と応用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2021年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 関西学院大学経済学部教授

     

    研究目的

    APIRでは、前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成や利活用に関する研究に継続して取り組んでいる。
    COVID-19は経済社会活動に大きな影響をもたらし、特に観光産業に大きな打撃を与えた。世界的な感染拡大に伴い、観光消費額は日本人、外国人ともに大きく落ち込んだ。観光消費額に関する統計は「旅行・観光消費動向調査」などがあるが、観光消費額の減少が地域経済にどのような経済波及効果をもたらすか分析した研究は少ない。したがって、2021年度は観光産業に焦点を当て、全国や関西各府県の産業連関表を用いて分析を行う。
    また、昨年度末にかけて地域間表の作成に必要な関西2府8県の「2015年地域産業連関表」がほぼ出そろったことから、「2015年 APIR関西地域間産業連関表(以下2015年表)」の作成を行う。

     

    研究内容

    1)観光庁TSAに基づく観光産業分析のフレームワークの構築
    現在入手できる最新版の全国表である経済産業省「平成29年 延長産業連関表(平成27年基準)」の各産業部門を観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、「観光部門」と「非観光部門」に分割し、他産業と比較した観光産業の特徴を明らかにする。同様に、関西2府8県の「2015年地域産業連関表」を用いて、観光産業の特徴を分析する。
    2)「2015年 APIR関西地域間産業連関表」の作成
    2020年度実施したWEBアンケート結果を基に、府県間の取引関係を示した交易マトリックスを更新する。また、関西2府8県の「2015年地域産業連関表」から統合小分類をベースに産業部門の統合・調整を行い、2015年表の作成を行う。
    3)インフラ整備の経済効果に関する勉強会
    2025年に予定されている大阪・関西万博に向けた交通ネットワークの整備や今後備えるべき災害への対応を始め、関西で課題となっているインフラに関する勉強会を数回程度実施する。

    既存の研究との差異は以下の2点である。
    1つ目は、観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、観光に関連する産業を「観光部門」と「非観光部門」に分割する。観光産業はすそ野が広く、産業連関表の産業分類では観光関連とそれ以外が分かれておらず、分析が粗くなってしまうという問題がある。そのため、観光部門と非観光部門を分けることで、分析の精緻化を図っている。
    2つ目は、分析ツールとしてAPIRが持つ2015年表を用いることである。現存する最新版の関西の地域間産業連関表はAPIRが作成した2011年表のみである。地域間かつ広域で経済活動を把握することができる地域間産業連関表について、年次を2015年に更新したものを用いることで2011年表よりも直近の経済構造を反映でき、より実態に即した分析が可能となると考えられる。
    なお、関西地域間産業連関表の対象地域は広域関西2府8県であり、関西広域連合や関西観光本部の対象地域をカバーしている。これにより関西を広域で捉えた際の経済波及効果等の分析を行うことが可能となる

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、関西学院大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部准教授
    藤原 幸則  APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授
    木下 祐輔  APIR調査役兼研究員

     

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会など外部の研究会で報告することを予定している。
    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行う上での重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2020年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 高林喜久生 関西学院大学経済学部教授

     

    研究目的

    APIRでは,前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成に取り組んでいる。昨年度の自主研究プロジェクト(関西地域間産業連関表の利活用と2015年表に向けての検討)では、「2011年版APIR関西地域間産業連関表(以下,2011年表)」を暫定版から確定版へと改定するとともに、利活用に重点を置くという趣旨からG20大阪サミットや夏の甲子園開催、大阪・関西万博などを対象に経済波及効果の分析を行った。これらの成果は夏のフォーラムやトレンドウォッチ、『アジア太平洋と関西』等で発表し、これらを通じて地域間産業連関表の有用性を伝えることができた。

    その一方で、対象年である2011年から約10年が経過し、関西経済を取り巻く状況は大きく変化している。インバウンド需要の増大による交流人口の拡大や、交通網整備によるインフラ整備、グローバル・サプライチェーンの進展による貿易構造の変化は関西の経済構造に大きな影響を与えている。そのため、地域間かつ広域で経済活動を把握することができる地域間産業連関表は、今まで以上に関西経済の分析に重要な役割を果たすと考えられる

    産業連関表は通常、5年ごとに更新されるため、次のベンチマークイヤーは2015年である。2011年から15年にかけては,2013年以降のアベノミクスによる景気の好転、14年以降の外国人観光客急増とそれに伴うインバウンド需要の高まりなど、関西経済にとって重要な出来事が多く起こった期間でもある。ただし、関西各府県における2015年産業連関表の公表はまだ一部府県にとどまっているため、2015年を基準年とした作表に着手できるのは、来年度以降となる。そこで2020年度は、2011年APIR関西地域間産業連関表をベンチマークとした、2015年の関西地域間産業連関表延長表(以下、2015年延長表)作成を行うとともに、引き続き2011年表を利用した分析に取り組む。なお、本年度の調査研究で実施するWEBアンケート等の交易マトリックスに関する調査結果は、来年度以降に実施する2015年基準表の作成においても利用することを見込んでいる。

     

    研究内容

    WEBアンケート結果を利用し2015年延長表の作成作業を行うとともに、今後関西地域で開催が予定されている大規模イベント等の経済波及効果の推計について検討する。作業過程で蓄積された知見や分析の成果はトレンドウォッチなどの形で適宜報告を行うとともに、学会などでも対外発表を行いたい。

    1)「2015年 APIR関西地域間産業連関表延長表」作成に向けた基礎調査の実施

    2011年表作成時に実施した調査から得られた課題(サンプルサイズや設問の尋ね方)を踏まえ、WEBアンケート調査を実施する。

     

    2)「2015年 APIR延長関西地域間産業連関表延長表」の作成

    1)で得られたアンケート調査結果を利用し、府県間の取引関係を示した交易マトリックスを更新するとともに、2015年延長表の作成を行う。

     

    3)対外的な成果報告

    メンバーは各々の立場で2011年表を活用した分析結果を報告することを通じて、積極的な対外発信に努める。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、 甲南大学教授

    リサーチリーダー

    高林喜久生  上席研究員、関西学院大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充  日本アプライドリサーチ研究所主任研究員

    下山 朗  奈良県立大学地域創造学部教授

    入江啓彰  近畿大学短期大学部准教授

    藤原幸則  APIR主席研究員

    木下祐輔  APIR調査役・研究員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    近畿経済産業局「近畿地域産業連関表」は2005年表を最後に作成中止となっており、当研究所の表が関西を対象とする唯一の本格的な産業連関表となる。対象地域は広域関西2府8県で、関西広域連合や関西観光本部の対象地域をカバーしている点も特徴である。また、年次を2015年に更新することで、2011年表よりも直近の経済状況を反映できることから、2015年延長表を活用した分析や対外発表等は非常に価値が高いと考えられる。

    加えて、産業連関表は政策評価を行う上での基礎資料でもあるため、所内の他の自主研究(インバウンド等)とのクロスオーバー、関連する調査を受託することでの外部資金獲得等が期待できる。

    成果物である2015年延長表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会や外部の研究会で報告することを予定している。

    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。また、外部資金獲得についても、既に受託している大阪府の調査(新型コロナウイルス感染症に関する大阪経済への影響分析等調査)の中で、産業別の影響を推計した結果を報告するなどして活用している。

     

    <研究会の活動>

    研究会・分科会

  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用と2015年表に向けての検討

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2019年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 高林喜久生 関西学院大学経済学部教授

     

    研究目的

    APIRでは,前身の関西社会経済研究所の時代から,関西における地域間産業連関表の作成に取り組んでいる.昨年度の自主研究プロジェクト(2011年版・APIR関西地域間産業連関表の作成と活用)では,2011年度に2005年表作成後,7年ぶりに同連関表の改訂作業を実施した。

    「2011年版APIR関西地域間産業連関表(以下2011年表)」は現在暫定版が完成している。2011年表は対象地域の拡大,産業部門数の拡大,交易マトリクスの作成を通じた域外取引の精緻化など,地域の取引実態を正確に反映させるための様々な工夫を行った。その結果,自治体やシンクタンクにおける経済波及効果推計だけでなく、アカデミックな研究としても耐えられる質の高いものとなっている.そこで,今年度は暫定版を確定版へと修正するとともに,産業連関表自体の利活用に重点を置いて取り組む。

     

    研究内容

    1)「2011年版APIR関西地域間産業連関表」確定版への更新

    昨年度の研究成果である2011年表は現在暫定版である.これを自治体の統計担当者へのヒアリングや,各部門の推計に利用した既存統計を再度見直すことで,暫定版を確定版へと修正する.

    2)関西が会場となる大規模イベントの経済波及効果の推計

    2019年度はG20やラグビーワールドカップの開催が予定されている.また,翌年以降もワールドマスターズゲームズ(2021年)やIR開業(2024年)、大阪・関西万博(2025年)など,関西地域が会場となる大規模イベント開催が多数予定されており,これらのイベントがもたらす経済波及効果の推計を行う.

    3)対外的な成果報告

    夏頃を目途に,2011年表(確定版)を基に関西地域における取引構造について報告する成果報告会を実施する.また,各々の立場で2011年表を活用した分析結果を報告することを通じて,積極的な対外発信に努める。

    4)2015年産業連関表作成に向けた交易マトリックスの更新に向けての準備作業

    次の産業連関表のベンチマークイヤーは2015年である.2011年から15年にかけては,2013年以降のアベノミクス,14年以降の外国人観光客急増によるインバウンド需要の高まりなど,関西経済にとって重要な出来事が多く起こった重要な期間でもある.よって,交易マトリックスの更新を行うことで,2015年の関西地域間産業連関表作成の準備作業を行う。

     

    研究体制

    研究統括

    稲田義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、 甲南大学教授

    リサーチャー

    下田 充  日本アプライドリサーチ研究所主任研究員

    下山 朗  奈良県立大学地域創造学部教授

    入江啓彰  近畿大学短期大学部准教授

    藤原幸則  APIR主席研究員

    木下祐輔  APIR調査役・研究員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    関西全体を一地域として捉えた近畿経済産業局の「近畿地域産業連関表」は2005年表を最後に作成中止となっており,本表が関西地域を対象とする唯一の本格的な2011年表となる.そのため,2011年表を活用した分析結果や対外発表等は非常に価値が高い.

    また,2011年表は政策評価を行う上での基礎資料でもあることから,所内の他の自主研究(インバウンドや地域創生等)とクロスオーバーが期待できる。

    2011年表を確定版へと修正作業を行うとともに,関西経済の構造分析を行い、また今後関西地域で開催が予定されている大規模イベントの経済波及効果の推計についても検討する予定である。こうした作業の過程で蓄積された知見は,トレンドウォッチ,コメンタリーの形で適宜報告を行うとともに,学会などでも対外発表も行いたい。

     

    <研究会の活動>

    研究会・分科会

    ・2019年4月26日  第1回研究会開催

    ・2019年5月17日  第1回分科会開催

    ・2019年6月7日   第2回分科会開催

    ・2019年6月25日  第3回分科会開催

    ・2019年7月30日  第4回分科会開催

    ・2019年10月28日  第5回分科会開催(予定)

  • 高林 喜久生

    2011年版 APIR関西地域間産業連関表の作成と活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2018年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 高林 喜久生 関西学院大学経済学部教授

     

    研究目的

    企業活動のグローバル化に伴い、地域経済を取り巻く状況は大きく変化している。中でも関西では、インバウンド需要の増加による交流人口の拡大や、交通網整備を始めとするインフラの充実など、地域を越えた財・サービスの流動が近年増加しており、地域間かつ広域で経済活動を把握することが重要となっている。

    APIRでは、前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成に取り組んでおり、その成果は「2005年 関西地域間産業連関表」として公表されている。しかし、それから10年以上が経過し、当時と比べて関西の経済構造は大きく変化している。そこで、本プロジェクトでは、関西経済の構造分析や観光消費による経済波及効果分析のために、APIRが持つ「関西地域間産業連関表」の更新・拡張を行うことを目的として実施する。

    また関西全体を一地域として捉えた近畿経済産業局の「近畿地域産業連関表」が2005年表を最後に作成中止となったため、本表が関西地域を対象とする唯一の本格的な2011年産業連関表となり、その意義はさらに大きくなるものと考えられる。

     

    研究内容

    関西経済の構造分析や観光消費による経済波及効果分析のために、APIRが持つ「関西地域間産業連関表」を2011年版へと更新・拡張を行う。具体的には、関西の各府県の「2011年地域産業連関表」及び総務省「2011年全国産業連関表」の統合・調整を行う。その作業過程において必要な移出入等に関する情報について、APIRマクロ研等のネットワークを活用して各府県統計担当者へのヒアリングを行う。

    対象となる府県は従来の関西2府4県(滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・和歌山県)に加えて、福井県、三重県、徳島県、鳥取県の4県を合わせた2府8県をベースとする。これにより、関西広域連合(2府6県)、関西観光本部(2府8県)など、関西を広域で捉えた際の経済波及効果等の分析を行うことが可能となる

    産業連関表の作成においては、企業間の取引状況の把握と同時に、消費者がどこで消費行動を行っているか把握することが重要である。そのため、既存統計に加えて、関西域内外の消費者を対象としたWEBアンケート調査を実施することで、より実態に即した産業連関表を作成する

     

    リサーチャー

    下田 充  日本アプライドリサーチ研究所主任研究員

    下山 朗  奈良県立大学地域創造学部教授

    入江啓彰  近畿大学短期大学部准教授

    木下祐輔  APIR調査役・研究員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    成果物である「2011年 関西地域間産業連関表」は、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、各リサーチャーがそれぞれの持つネットワークを通じて、2011年表の紹介や分析成果を報告する。

    産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状及び特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できよう。

     

    <研究会の活動>

    研究会

    ・2018年7-10月   第1回研究会開催(予定)

    ・2018年11-12月   第2回研究会開催(予定)

    ・2019年2-3月   第3回研究会開催(予定)

  • 高林 喜久生

    関西・アジア諸国間の経済連動関係の分析と関西独自景気指標の開発

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » イノベーション

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生 / 稲田 義久

    ABSTRACT

    研究成果概要

     

    本研究では関西の府県別の変動パターンに着目しました。「国際収支(=輸出-輸入)の地域版」である域際収支(=移出-移入)の関西府県分析からは、あらためて大阪府の重要性が浮き彫りになりました。一方、関西の府県別景気指標の分析によると、シェアが必ずしも大きくない滋賀県や福井県が関西の景気変動にとって重要な位置を占めています。そして韓国が関西の府県に先行していることも注目点です。また、ユニークな景気指標として「段ボール生産」に昨年度着目しましたが、大型小売店販売額等との時差相関係数を分析したところ、関西の消費動向の1 ヶ月の先行指標として利用可能なこともわかりました。詳細はこちら

    目的

    地域ごとの景気変動パターンの独自性が高まっている。この研究プロジェクトは、関西とアジア諸国・諸地域間の経済連動関係を明らかにし、その結果を踏まえて関西景気指標を独自に開発・応用を行うことを目的とする。読者は、このような情報提供を最も必要とする関西の企業・地方自治体を第一に想定する。

    内容

    アジア諸国・地域との経済的な連動関係を数量的に把握する。具体的には、国際地域間産業連関表の作成を行う。その際、常に新たな成長牽引産業を意識する。関西はバランスのよい産業構造を持っているとされるが、リーディング産業が無いという見方もできる。バランスのよい産業構造を生かすには産業間・企業間の連携が必要で、それが新たな成長を生み出すことに繋がると考えられる。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・関西と特定アジア諸国・地域間の国際地域間産業連関表の作成。

    ・景気指標による関西とアジア諸国間の経済連動関係の抽出。

    ・関西景気個別指標(例えば段ボール生産が有望視される)の発見。

    ・関西独自の景気指標の開発と応用・公表。

    これらの研究成果を体系的に整理したものを書籍(「関西経済論」の教科書としても利用可能なもの)としても世に問いたいと考えている。