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「関西経済」の検索結果 [ 7/17 ]

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.112-景気は足下、先行きともに改善を見込む: 感染状況の悪化と物価高による消費下押しリスクに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、雇用環境・消費は持ち直している。一方、センチメントは感染状況の悪化を受け、大幅悪化。先行きは感染状況悪化と物価高による消費下押しリスクに注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数は関西ではピークアウトしている府県もあるが、全国では最高値を更新中であり、死亡者数も第6波のピークを越えた。さらなる感染拡大による消費の下押し圧力には注意が必要である。
    ・6月の鉱工業生産は2カ月ぶりの前月比上昇。前月大幅減産した輸送機械や電気・情報通信機械などの反動増の影響が大きい。しかし、4-6月期でみれば、中国ロックダウンの影響もあり2四半期ぶりにマイナスとなった。
    ・6月は失業率が小幅に上昇したものの、就業者数と労働力人口は増加に転じた。また、有効求人倍率は3カ月連続で改善した。4‐6月期は、就業者数、労働力人口と有効求人倍率はいずれも2四半期連続で増加し、休業率も低下した。総じて、雇用情勢は改善傾向にある。
    ・5月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で15カ月連続の前年比増加。一方実質では、消費者物価指数の上昇により、3カ月連続の減少となった。物価高は当面続くと見込まれるため、実質賃金はマイナスで推移していくだろう。
    ・6月の大型小売店販売額は9カ月連続で前年比増加。うち、百貨店は前年の緊急事態宣言の反動もあり4カ月連続の増加。スーパーは食品価格の上昇による買い控えの動きもあり3カ月連続の減少となった。
    ・6月の新設住宅着工戸数は3カ月ぶりの前月比増加。持家、貸家、分譲のすべてにおいて増加。結果、4-6月期の新設住宅着工戸数は3四半期ぶりの前期比増加となった。
    ・6月の建設工事出来高は6カ月連続の前年比増加。うち公共工事出来高は12カ月連続の同増加。一方、7月の公共工事請負金額は5カ月ぶりに同減少した。
    ・7月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続の前月比悪化。新規陽性者数の急増を受け、飲食関連やサービス関連が低下した。先行き判断DIも2カ月連続の悪化。感染状況悪化や商品価格の値上げの懸念から景況感は悪化した。
    ・7月の貿易収支は2カ月ぶりの赤字となった。輸出入ともに前年同月比2桁の伸びを維持したものの、輸出は前月から僅かに減速し、輸入は原油高や円安の影響を受け加速したためである。
    ・7月の関空への外国人入国者数は4カ月連続で2万人超の水準だが、1日当たりの入国者数や観光目的の個人旅行の制限もあり、インバウンド需要は本格的な回復には至っていない。
    ・7月の中国経済は、生産と個人消費はいずれも緩やかな回復にとどまっている。ゼロコロナ政策は雇用の悪化と相まって、内需の低迷に影響している。8月もその影響が続き、加えて米国経済の需要停滞や不動産部門の混乱など下押し圧力もあり、7-9月期の景気は大きな改善が見込めない。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.111-景気は足下、先行きともに改善を引き続き見込む:消費は緩やかに持ち直すも、物価上昇による下押し圧力に注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに引き続き改善を見込む。足下、雇用環境・消費は緩やかに持ち直している。一方、センチメントは食料品などの価格上昇が悪影響し現状判断は悪化。先行きは物価上昇による消費への下押し圧力に注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数は6月21日を底に増加に転じる。7月に入り増加のペースが拡大し、第7波は第6波のピークを超えた。
    ・5月の鉱工業生産は2カ月ぶりの前月比低下した。輸送機械や電気・情報通信機械が大幅減産したこともあり、2020年5月以来の大幅落ち込みとなった。
    ・5月は失業率が改善したものの、就業者数と労働力人口は減少に転じた。ただし、就業者数と労働力人口の4‐5月平均は、1-3月平均に比して増加傾向を維持している。また、有効求人倍率は2カ月連続で改善した。総じて、雇用情勢は改善傾向にある。
    ・4月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で14カ月連続の前年比増加となり、4カ月連続でコロナ禍前の水準を超えた。一方実質では、消費者物価指数の上昇により、2カ月連続の減少となった。物価高は当面続くと見込まれるため、実質賃金はマイナスで推移していくだろう。
    ・5月の大型小売店販売額は8カ月連続で前年比増加した。うち、スーパーは内食需要の鈍化と食品価格の上昇から2カ月連続の減少。百貨店は3年ぶりの行動制限のないGWによる来客増などにより3カ月連続で増加した。
    ・5月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前月比減少。持家、貸家、分譲のすべてにおいて減少。特にマンションは2カ月連続で大幅減少した。
    ・5月の建設工事出来高は3カ月連続の前年比増加。公共工事出来高は4カ月ぶりの小幅減少となった。4-6月期の公共工事請負金額は前期比大幅拡大した。公共工事には反転の兆しがみられる。
    ・6月の景気ウォッチャー現状判断DIは4カ月ぶりに前月比悪化。先行き判断DIも5カ月ぶりの悪化。現状、先行きとも物価上昇による消費マインドの低下や企業収益悪化の懸念が影響した。
    ・6月の貿易収支は2カ月ぶりの黒字となったが、4-6月期でみれば3四半期連続で前年比縮小し、マイナス幅は2四半期連続で拡大した。輸入の増加幅が輸出の増加幅を上回る状況が続く。
    ・6月の関空への外国人入国者数は3カ月連続で2万人超となった。段階的な入国緩和の影響で、4-6月期は7万人超と1-3月期の1万人超から大幅増加した。
    ・中国の4-6月期実質GDPは前年同期比+0.4%と、辛うじてプラス成長を維持したが、前期比年率では-10.4%と失速した。雇用と内需の回復が鈍いことに加えて、オミクロン株派生型の感染拡大によるゼロコロナ政策のリスクもあるため、7-9月期の景気については大幅な改善は見込めない。

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  • 木村 福成

    アジア太平洋地域の政治・経済的協力のあり方

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » アジア太平洋軸

    RESEARCH LEADER : 
    木村 福成

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 木村 福成 慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト

     

    研究目的

    COVID-19が猛威を振るっている中においても、多少の動揺はあったが、GVCs、IPNsはレジリンエントかつロバストであり続けた。また、2022年に入りRCEPが発効し、世界の通商環境に明るい兆しが見えかけたと思われたが、ウクライナ危機が発生し、世界経済に対し暗い影が覆い始めている。米国が民主党政権に代わり、米中貿易戦争の緩和が期待されたものの、人権問題をはじめとした、中国との論争は収まることがなく、その中で台頭してきた「経済安全保障」が、ウクライナ危機により強まる気配が生じている。
    今年は秋に米国では中間選挙、中国では5年に一度の共産党大会という大きなイベントが控えており、その結果は今後の世界経済の動向を大きく左右する可能性が高い。
    アジアは自由貿易に対する向かい風に抗していけるのか、進みつつあった高いレベルの自由化と新たな国際ルール作りは「経済安全保障」の前に進路を保つことができるのか、グローバル企業の事業活動に強い影響を及ぼす局面はますます早いスピードで更新されている。本プロジェクトでは、国際経済学のみならず、国際法学、政治学ならびに企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジア太平洋地域の政治・経済協力のあり方について研究を進めていく。

     

    研究内容

    2022年度は2021年度に引き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点を固めていく。
    また、米国中間選挙や中国共産党大会あるいはウクライナ危機等の最新状況を踏まえながら、日本、関西経済への影響についても分析していく。
    木村リサーチリーダーによるASEANと日本の経済活動研究による考察を軸に、学識者、研究者並びに実務家に登壇いただき、複眼的な見地に立ったディスカッションや話題提供につなげる。企業の見識を高め、事業活動に資する情報提供の場としたい。

     

    <研究体制>

    研究統括

    本多 佑三  APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授

    リサーチリーダー

    木村 福成  APIR上席研究員、慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    オープンなシンポジウム形式の研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々を中心に還元する。
    対海外、特にアジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。

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  • 藤原 幸則

    四半期開示制度の日本企業の経営に与えた影響

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    藤原 幸則

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    上席研究員 藤原幸則 大阪経済法科大学経済学部教授

     

    研究目的

    現在、金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、企業情報開示のあり方について幅広い検討が行われている。とりわけ、四半期開示制度の見直しは、重要課題として位置づけられている。
    企業ごとの実態を考慮せず、短期的かつ一律的な財務情報の開示を促す現行の四半期開示制度は、企業経営者や投資家の短期的利益志向を助長しているとの懸念がかねて指摘されている。また、SDGsやサステナビリティへの意識と関心が高まるなかで、四半期ごとの定型的な開示を求める制度が、果たして、中長期的な企業価値向上を見据えた企業と株主の建設的な対話に寄与するものなのか、疑問の声もあげられている。
    頻繁な情報開示を行う企業が大きな負担を負っていることから、関西経済界からは四半期開示の義務付け廃止の要望が、2009年以来、政府や取引所に対して幾度も行われている。これに対し、今年4月、新しい資本主義実現会議と金融審議会は、四半期開示は維持し、取引所の決算短信に一本化するとの方針を示した。主に情報利用者の便益からの意見が大勢になっており、実証分析による十分なエビデンスがあっての議論になっていない。

    研究内容

    四半期開示制度による投資家の短期的利益志向化(株式保有期間の短期化)が、企業の長期的な企業価値向上への取り組み(長期投資、研究開発等)にネガティブな影響を与えているのではないか、ということを仮説として実証分析したい。たとえば、長期投資や研究開発の水準を被説明変数、ROA、Leverage、投資家株式保有期間その他を説明変数とする回帰分析が考えられる。法人企業統計によるマクロベースと上場企業の財務データ(サンプル数:数百社、30年)によるミクロベースの両面で、実証分析を行うつもりである。

     

    研究体制

    研究統括

    本多 佑三  APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授

    リサーチリーダー

    藤原幸則  APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    四半期開示制度の日本の企業経営への影響(特にネガティブな影響)について、これまで十分な実証研究が行われていない現状から、日本企業の経営データ(上場企業対象)に基づく実証分析を行い、四半期開示制度の企業経営に与える影響を報告書にまとめる。報告書はWEBサイトに掲載、公表する。

    政府の制度見直しへの反映、企業や社会の課題認識と世論形成につなげる。

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  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表2015年表の作成と利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2022年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

     

    研究目的

    これまで、本プロジェクトでは、COVID-19が経済社会活動にもたらした影響について、産業連関表を用いた分析を行ってきた。2020年度は,COVID-19感染拡大が関西のスポーツ関連産業に与えた生産減少額を「負の経済波及効果」として府県別・産業部門別に推計した。また、2021年度は,観光庁「旅行・観光サテライト勘定(TSA)」に基づき、独自の観光産業の分析を行うとともに、観光消費額減少が地域経済にもたらす経済波及効果や、観光関連消費回復のための需要喚起策として行われた「Go Toトラベル事業」の効果についても分析を行った。2021年度の研究成果は『アジア太平洋と関西―2021年関西経済白書』の「Chapter6 関西と観光産業:産業連関表を用いた分析」にまとめられている。

    また、APIRでは前身の関西社会経済研究所の時代から、関西における地域間産業連関表の作成や利活用に関する研究に継続して取り組んでいる。2021年度は2020年度に実施した基礎調査(関西居住者や関西への来訪者を対象に、消費費目や金額、消費場所などについて尋ねたWEBアンケート調査)の結果をまとめ、関西経済白書に掲載するとともに、2015年の関西地域間産業連関表(以下、2015年表)作成のために、統合中分類(107部門)をベースに統合・調整を行うなどの基礎作業を実施した。それを受けて、2022年度は,2015年表の完成を目指すとともに、その利活用を行う。

     

    研究内容

    1)「2015年 APIR関西地域間産業連関表」の作成
    2021年度、地域間表の作成に必要な関西2府8県(福井県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、鳥取県、徳島県)の「2015年地域産業連関表」をほぼ全て入手し、入手した府県については産業分類の統合・調整を行い、産業中分類(107部門)をベースに2015年表の作成作業を行った。2022年度はこの作業を継続するとともに、未公表の県については暫定版をAPIRで推計し、それを用いて地域間表の統合作業を行う(暫定版の作成)。その後、当該府県より2015年の産業連関表が公表され次第、差し替え・再度統合作業・バランス調整を行う(確定版の作成)という二段階の作業を行う(※1)。
    また、作業過程において必要な移出入等に関する情報について、APIRマクロ経済研究プロジェクト等のネットワークを活用して府県の統計担当者へのヒアリングを行う(※2)。
    (※1)本項を執筆している5月23日時点で、対象府県のうち、奈良県のみ未公表である。
    (※2)これまでに関係が深い大阪府、兵庫県、和歌山県などを予定している。
    2)「2025年大阪・関西万博 」の経済波及効果の分析
    足下で入手できる最新の情報に基づき、「2025年大阪・関西万博」の経済波及効果の推計を行う。
    なお、2025年大阪・関西万博の経済効果は2019年の関西経済白書で試算を行っているが、コロナ禍による訪日外国人の激減,予算額の変更等が報道されていることを受け、来場者数や訪日外国人の人数、工事費等について再検討を行う。必要な情報については、APIR所内の万博検討チームや万博関連プロジェクトとも連携して、効率的な把握に努める。
    3)インフラ整備の経済効果に関する勉強会
    2021年度に引き続き、「2025年大阪・関西万博」に関連した取り組みを行っている組織や、広域的な交通ネットワーク整備や今後備えるべき災害への対応など,関西で問題となっているインフラ課題について専門家を招聘し、勉強会を行う。
    2022年度は、事業整備を通じた生活の質向上や時間短縮による生産性向上といった「ストック効果」に着目するとともに、産業連関表やマクロ計量モデルを用いてどのように分析を行うかといった手法面についても議論を行う。年2回程度実施を検討している。
    4)対外的な成果報告
    メンバーは各々の立場で分析結果を報告することを通じて、積極的な対外発信に努める。。

     

    <研究体制>

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部教授
    藤原 幸則  APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授
    木下 祐輔  大阪商業大学経済学部専任講師

     

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、部門を集約した上でAPIRのホームページ上で発表を行う。また、分析成果は景気討論会や学会や外部の研究会で報告することを予定している。
    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行ううえでの重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.110-景気は足下、先行きともに改善を見込む: 中国経済の減速リスクもサービス支出中心の回復に期待-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに改善を見込む。足下、行動制限がない大型連休(GW)で人流が回復し、センチメントは改善。先行きは、中国のゼロコロナ政策による経済減速と原材料高等は海外からのリスク要因だが、国内的にはサービス支出中心の回復が期待される。
    ・COVID-19の新規陽性者数はGW後減少傾向で推移してきた。しかし6月中旬以降、減少の推移に鈍化がみられる。
    ・4月の鉱工業生産は2カ月ぶりの前月比上昇。生産用機械や輸送用機械などの増産が影響した。
    ・4月は経済活動の正常化を受け、労働需給双方が拡大した。ただし、労働力人口の増加に比して、就業者数の回復が小幅にとどまったため、完全失業率は3カ月ぶりに前月から上昇。また、有効求人倍率は2カ月ぶりに改善した。
    ・3月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で13カ月連続の前年比増加し、3カ月連続でコロナ禍前の水準を超えた。一方実質では、消費者物価指数の上昇により、3カ月ぶりの減少となった。
    ・4月の大型小売店販売額は7カ月連続の前年比増加となったが、全国に比して消費の回復は弱い。うち、スーパーは内食需要が鈍化し3カ月ぶりの減少。百貨店は前年の営業時間短縮や休業の反動で2カ月連続の増加となった。
    ・4月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりの前月比減少。貸家は増加したが持家、分譲が減少に寄与。うちマンションは前月の反動で大幅減少した。
    ・4月の建設工事出来高は2カ月連続の前年比増加。公共工事出来高は3カ月連続の増加となった。5月の公共工事請負金額も3カ月連続で増加しており、減少傾向が続く全国に比して好調が続いている。
    ・5月の景気ウォッチャー現状判断DIは3カ月連続で前月比改善。行動制限のないGWによる人流の大幅増加で景況感は改善した。先行き判断DIも4カ月連続改善だが、中国のゼロコロナ政策による悪影響には注視が必要である。
    ・5月の貿易収支は4カ月ぶりの赤字。燃料価格の高騰により輸入が過去最高額を更新したことによる。地域別にみれば、中国の物流停滞解消により対中輸入が増加したことで、対中貿易赤字は拡大した。
    ・5月の関空への外国人入国者数は入国者数上限引き上げの影響もあり、2万7,161人と2カ月連続で2万人超の水準となった。
    ・5月の中国経済は、上海市で経済活動が段階的に再開されたため、生産再開の動きが見られ、工業生産は前月からプラスに転じ、輸出も拡大した。一方、雇用に改善は見られず、内需が低迷している。6月にもゼロコロナ政策の影響が続くと見られるため、4-6月期の中国経済には下押し圧力となろう。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.59 -経済活動の正常化に影差す海外要因:関西では中国ゼロコロナ政策の影響大-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    一般財団法人アジア太平洋研究所では、日本ならびに関西経済について、四半期ごとに景気分析と予測を行っています。2022年5月31日、最新の「日本経済予測」と「関西経済予測」を発表しました。経済見通しの説明動画を以下の通り配信しています。

     

    1. 1. 2022年1-3月期の関西経済は、従来型より感染力の強いオミクロン株の流行で新規陽性者数が第6波を迎えたことにより、再びまん延防止等重点措置が適用され、経済活動は停滞を余儀なくされた。またロシアによるウクライナへの軍事侵攻、原材料価格の高騰に起因する物価高、中国ゼロコロナ政策など海外リスク要因も景気回復に重荷となった。
    2. 家計部門は、第6波となる感染拡大とまん延防止等重点措置の適用により、弱い動きとなった。各種感染防止策が解除されるなど明るい材料もあるが、実質賃金や雇用など弱含みで、本格的な回復には至っていない。
    3. 企業部門は、生産動向、景況感、設備投資計画など、総じて弱含みである。オミクロン株による感染拡大、原材料価格の高騰、中国でのゼロコロナ政策の影響といったリスク要因が警戒されている。
    4. 対外部門は、財については輸出・輸入ともコロナ禍前の水準を上回り、増加基調が続いている。ただし中国向けは、ゼロコロナ政策の影響により弱含み。サービス輸出については、回復の兆しが見えてきた。
    5. 公的部門は、全国に比べて堅調に推移している。
    6. 関西の実質GRP成長率を2022年度+2.0%、23年度+1.9%と予測。21年度以降は2%前後のプラス成長が続き、23年度にはコロナ禍前のGRP水準を回復する。22年度は輸出を中心に-0.45%ポイントの下方修正。関西では、他地域に比べて中国ゼロコロナ政策の影響が大きい。23年度は-0.04%ポイントの小幅下方修正。
    7. 日本経済予測と比較すると、22年度は、成長率全体は同程度の伸びとなるが、中身がやや異なる。公的需要は、全国+0.1%ポイントに対して関西は+0.3%ポイントと関西が全国を上回る。一方域外需要は、関西では中国ゼロコロナ政策に関して全国以上に影響を受けるため、全国-0.0%ポイントに対して関西は-0.2%ポイントと成長を押し下げる。23年度は、大きな違いはない。
    8. 22年度は、民間需要が+1.9%ポイント、公的需要+0.3%ポイントと成長を下支える。一方、域外需要は輸出の伸び悩みから-0.2%ポイントと成長を押し下げる。23年度は、民間需要+1.2%ポイント、公的需要+0.3%ポイント、域外需要+0.4%ポイントと、3項目すべてがバランス良く成長に貢献する。
    9. 今号のトピックスでは、関西2府4県のGRP早期推計とロシアのウクライナ侵攻から見えてきた関西経済の諸リスクについて紹介する。

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.109-景気は足下局面変化、先行きは改善を示唆: 消費回復期待も中国経済減速による景気下振れに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 山守 信博

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下局面変化、先行きは改善を示唆。足下、感染状況が落ち着きセンチメントは改善した。先行きについては、中国の「ゼロコロナ政策」堅持による景気の下振れリスクには注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数はGW後の再拡大も懸念されたが、5月18日現在6,168人となっている。3回目のワクチン接種については、若年層の接種率の低さが課題である。
    ・3月の鉱工業生産は電子部品・デバイスや電気・情報通信機械などの減産が影響し3カ月ぶりの前月比低下。1-3月期は1-2月の増産が影響し、3四半期ぶりの前期比上昇となった。
    ・3月の完全失業率は2カ月連続で前月から改善。また、有効求人倍率は前月から横ばい。1-3月期は、完全失業率と有効求人倍率ともに2四半期ぶりに改善した。雇用情勢は総じて回復が見られるが、力強さを欠く。労働力人口と就業者数はともにコロナ禍前の水準に及ばず、休業率も高止まりしている。
    ・2月の関西2府4県の現金給与総額は、名目で12カ月連続の前年比増加でコロナ禍前とほぼ同水準となった。一方、消費者物価指数の上昇により、実質での増加幅は前月より縮小し小幅にとどまった。
    ・3月の大型小売店販売額はまん延防止等重点措置の解除もあり、6カ月連続の増加となった。うち、スーパーは内食需要が依然堅調で2カ月連続の増加。百貨店は衣料品や身の回り品が好調で2カ月ぶりの増加となった。
    ・3月の新設住宅着工戸数は8カ月ぶりの前月比大幅増加で、コロナ禍前の19年12月以来の水準。ただし、1-3月期では2四半期連続で前期比減少した。
    ・3月の建設工事出来高は2カ月連続の前年比増加。公共工事出来高は30カ月連続の同増加と堅調である。4月の公共工事請負金額も2カ月連続で増加しており、出来高、請負金額ともに減少傾向が続く全国に比して好調が続いている。
    ・4月の景気ウォッチャー現状判断DIは2カ月連続で前月比改善。人流の回復もあり飲食業や旅行業などが改善した。先行き判断DIは3カ月連続の改善だが、ロシアのウクライナ侵攻や原材料高の影響が懸念されている。
    ・4月の貿易収支は3カ月連続の黒字だが、輸出入ともに伸びは前月から減速していることに注意。地域別にみれば、対中貿易は上海市をはじめとする各地のロックダウンの影響を受け、輸出入ともに前年比大幅減少している。
    ・4月の関空への外国人入国者数は2万1,616人。1日当たり入国者数の上限が緩和された影響もあり、2020年3月以来の水準となった。
    ・4月の中国経済は、「ゼロコロナ政策」に伴う厳格な行動制限により、多くの経済指標は武漢のロックダウン以来の冷え込みとなっている。中国政府は同政策を堅持しており、このため4-6月期の中国経済への下押し圧力となろう。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.108-景気は足下、先行きともに局面変化へ: 国際情勢一層の悪化による景気下振れリスクに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに局面変化を見込む。足下では雇用・所得環境は幾分改善だが、消費は小幅増加にとどまった。先行きはウクライナ情勢影響長期化や中国の都市封鎖等、景気の下振れリスクに注意が必要である。
    ・COVID-19の新規陽性者数は、2月中旬をピークに減少が続いた。しかし新たな変異株の発現で、3月26日を底に拡大傾向へと転じた。足下は再び減少傾向を示しているものの、第5波のピークを依然上回っている。
    ・2月の鉱工業生産は2カ月連続の前月比上昇。主に電気・情報通信機械、輸送機械、電子部品・デバイスなどが上昇に寄与した。
    ・2月の完全失業率は失業者数の減少により2カ月ぶりに前月から改善。ただ、休業率は依然高止まっており、厳しい雇用情勢が続いていると言えよう。有効求人倍率は、求職者数の減少により、2カ月連続の小幅上昇となった。
    ・1月の関西2府4県の現金給与総額は名目及び実質ともに前年比大幅増加した。ただし、消費者物価の上昇基調は続いており、今後の実質賃金の先行きには注意が必要である。
    ・2月の大型小売店販売額は5カ月連続の前年比増加だが小幅にとどまった。感染拡大による外出自粛が影響した。うち、スーパーは内食需要によるまとめ買い等で4カ月ぶりの増加となったが、百貨店の売上は低調であった。
    ・2月の新設住宅着工戸数は7カ月連続の前月比減少。主に持家の減少が寄与し2カ月連続での1万戸割れとなった。ウクライナ情勢の緊迫化による原材料の流通停滞等で価格の上昇が懸念され、先行きは下押し圧力となろう。
    ・2月の建設工事出来高は前年比横ばいとなったが、公共工事出来高は29カ月連続の同増加と堅調。3月の公共工事請負金額も2カ月連続の増加となった。減少傾向の続く全国に比して関西は好調であった。
    ・3月の景気ウォッチャー現状判断DIは3カ月ぶりの前月比改善。まん延防止等重点措置解除が飲食業や宿泊業などに好影響した。先行き判断DIは2カ月連続の改善だが、ウクライナ情勢の緊迫化による原材料価格急騰が懸念される。
    ・3月の貿易収支は2カ月連続の黒字だが、輸入の伸びは高水準で推移し、輸出は減速傾向のため、黒字幅は縮小が続く。なお、中国上海市などのロックダウンの影響により、先行き対中輸出の停滞が懸念される。
    ・3月の関空への外国人入国者数は水際対策の緩和が影響し、前月から大幅増加。2021年1月以来の1万人超となった。
    ・中国の1-3月期実質GDPは前年同期比+4.8%と4四半期ぶりに前期から加速した。しかし前期比では減速しており、全人代の目標成長率を下回った。「ゼロコロナ」政策により、物流停滞や工場停止等が懸念され、4-6月期の景気は減速すると予想される。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.107-景気は足下、先行きともに局面変化へ: 国際情勢や原油高による下押し圧力が懸念材料-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに局面変化を見込む。足下の所得環境は弱く、消費も人流抑制で減少。センチメントも悪化した。先行きはロシアのウクライナ侵攻で国際商品市況が急騰し、景気の下押し圧力が高まっている。
    ・関西のCOVID-19の1日当たり新規陽性者数は、2月中旬にピークを打ち、足下では第6波のピーク時の3割程度まで減少した。まん延防止等重点措置の解除を受け、今後緩やかではあるがサービス消費の回復が見込まれる。
    ・1月の鉱工業生産は2カ月ぶりの前月比上昇。主に生産用機械、化学工業(除.医薬品)、電子部品・デバイスなどの増産が好影響した。
    ・1月の完全失業率は2カ月ぶりの前月差悪化。感染拡大に伴い非労働力人口が増加し就業者数が減少。雇用環境は悪化している。有効求人倍率は7カ月ぶりの上昇だが小幅にとどまり、緩やかに回復する全国と比べ差が広がっている。
    ・12月の関西2府4県の現金給与総額は名目で10カ月連続の前年比増加だが、伸びは小幅にとどまった。実質では4カ月連続の同減少で、マイナス幅も前月から拡大。通年では名目で3年ぶり、実質で4年ぶりの増加だが、コロナ禍の大幅落ち込みからの回復としては弱い。
    ・1月の大型小売店販売額は4カ月連続の前年比増加だが、2019年同月と比べて前月からマイナス幅は拡大。感染拡大でスーパーは内食需要の増加でマイナス幅は縮小。一方、百貨店は来店客数が急速に減少し、売上が悪化した。
    ・1月の新設住宅着工戸数は6カ月連続の前月比減少。主に貸家の大幅な減少が寄与した。足下は弱含みとなり、減少傾向が続いている。先行きはオミクロン株の感染拡大による住宅展示場への客足の減少、マンションの平米単価の高騰による需要減少等の下押し圧力が強まっている。
    ・1月の建設工事出来高は関西、全国ともに前年比減少が続いている。公共工事出来高は関西では増勢基調が続くが、全国は低調。2月の公共工事請負金額は関西、全国ともに減少が続いている。
    ・2月の景気ウォッチャー現状判断DIは、まん延防止等重点措置の延長により飲食や宿泊などの業種が悪影響を受け、2カ月連続の前月比悪化。先行き判断DIは5カ月ぶりに改善したものの、原材料価格高騰の懸念もみられる。
    ・2月の貿易収支は2カ月ぶりの黒字となった。医薬品やエネルギー関連の輸入増加が続くものの、アジア向け半導体等電子部品の輸出が好調であったため。
    ・2月の関空への外国人入国者数は3,499人と前月とほぼ同水準。外国人の新規入国停止継続が影響し、低水準が続く。
    ・1-2月期の中国経済は、生産の加速や、春節と冬期オリンピックの影響で消費が好調と安定基調が続いている。一方で国際商品市況の高騰で生産者物価が依然高水準であり、今後の国際情勢次第では、その加速が懸念されている。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.58 -不安材料多く、霞む本格回復への途:コロナ禍に加え国際情勢や物価高などが下押し圧力に-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2021年10-12月期の関西経済は、新型コロナ「第5波」が収束し、緊急事態宣言等の感染抑止策が全て解除となった。これにより経済活動は正常化したものの、半導体不足に伴うサプライチェーンの混乱や物価高など足下で不安材料が多く、下押し圧力がかかる。

    2. 家計部門は、「第5波」の収束と緊急事態宣言の解除で、百貨店販売額などで持ち直しの動きが見られた。センチメントや所得は伸び悩んでおり、本格的な回復には至っていない。雇用環境も横ばい続きで、全国に比べて回復が遅れている。

    3. 企業部門は、前期から引き続いて足踏み状態にある。景況感は緩やかに回復しているが、生産は部材供給不足や物流逼迫の影響から弱い動きとなった。またエネルギー価格の高騰は企業収益を圧迫している。

    4. 対外部門は、財については輸出・輸入とも増加してコロナ禍前の水準を上回っている。特に資源価格高の影響により、輸入の伸びが顕著で、足下1月の貿易収支は赤字となった。インバウンド需要などのサービス輸出は、底ばいが続いている。

    5. COVID-19感染状況は、秋口から新規陽性者数の減少が続いていたが、感染力の強いオミクロン株の広がりにより、12月下旬以降急速に増加し「第6波」を迎えた。このため22年1月以降、まん延防止等重点措置が各自治体に順次適用され、再び経済活動が制限されている。

    6. 関西の実質GRP成長率を2021年度+2.6%、22年度+2.5%、23年度+1.9%と予測。22年度にコロナ禍前の水準に戻り、23年度もプラス成長を見込む。ただしコロナ禍の収束見通し、地政学的リスク、エネルギー価格の高進など、懸念材料が非常に多く、下振れリスクは大きい。

    7. 日本経済予測と比較すると、21年度から23年度にかけて、関西が全国の伸びを上回って推移する見込み。公的需要と域外需要の寄与が関西の方が大きい。

    8. 実質GRP成長率について、前回予測(12月23日公表)に比べて、21年度は-0.28%ポイントの下方修正、22年度-0.30%ポイントの下方修正、23年度は+0.2%ポイントの上方修正。21年度は、民間需要を中心に、需要項目いずれも下方修正。22-23年度は、輸出の伸びを下方修正。

    9. 2021年度は、民間需要が+1.0%ポイントと4年ぶりに成長押し上げ要因となる。公的需要はコロナ対策の効果から+0.5%ポイント、域外需要も+1.0%ポイントとそれぞれ堅調。22年度以降は、経済活動の正常化により3項目すべてがバランス良く成長に貢献する。

    10. 今号のトピックスでは、「DMOのインバウンド誘客の取り組みとその効果」および「足下の関西・台湾間貿易に基づく台湾のCPTPP加盟による影響の考察」と題する当研究所レポート2篇の概要を紹介する。

     

    ※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

    ①00:00~02:27 :Executive summary

    ②02:28~29:16:第137回「景気分析と予測」<遅れる日本経済の回復:リスクは変異株、原油高と為替安>

    ③29:17~42:14:Kansai Economic Insight Quarterly No.58<不安材料多く、霞む本格回復への途>

    ④42:14~44:42:トピックス1<京都府におけるDMOのインバウンド誘客の取り組みとその効果>
            トピックス2<足下の関西・台湾間貿易に基づく台湾のCPTTP加盟による影響>

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.106-景気は足下、先行きともに足踏み: 原油高とオミクロン株拡大によるリスクが高まる-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに足踏みを見込む。生産や消費は足下で幾分改善したが所得環境は弱く、センチメントも感染拡大で悪化が見込まれる。
    ・関西のCOVID-19の1日当たり新規陽性者数(7日間移動平均)は、12月下旬以降急増していたが2月中旬にピークを打った。足下では新規陽性者数は減少傾向が見られるが、確保病床使用率は高水準で医療提供体制の逼迫が続く。
    ・12月の鉱工業生産は2カ月連続の前月比上昇だが、上昇幅は小幅にとどまった。2021年平均は3年ぶりのプラスだが、コロナ禍前の水準を下回った。
    ・12月の完全失業率は3カ月ぶりの小幅改善、有効求人倍率は4カ月連続の横ばい。緊急事態宣言解除後も雇用の改善は遅れている。10-12月期では、完全失業率は前期差横ばい、有効求人倍率は4四半期ぶりの小幅悪化。結果、通年ではいずれも2年連続で悪化しており、回復は遅れている。
    ・11月の関西2府4県の現金給与総額は名目で9カ月連続の前年比増加だが、伸びは小幅にとどまった。消費者物価の上昇基調が続いており、実質賃金は3カ月連続の同減少でマイナス幅も前月から拡大した。所得環境は悪化が続く。
    ・12月の大型小売店販売額は3カ月連続の前年比増加。新規陽性者数が低水準であることを背景に、外出機運の高まりや年末商戦の活況により、百貨店を中心に回復が続いた。結果、10-12月期は2四半期ぶり、通年は4年ぶりの前年比増加となった。
    ・12月の新設住宅着工戸数は3カ月連続の前月比減少。持家と分譲の減少が寄与した。これまで回復基調にあったものの、足下では減速傾向が目立つ。結果、10-12月期は3四半期ぶりのマイナスとなった。通年では2018年以降低迷していた貸家の大幅な回復により、3年ぶりの増加となった。
    ・12月の公共工事出来高は27カ月連続の前年比増加と、全国(6カ月連続の同減少)に比して好調。公共工事請負金額は関西、全国共に減少が続いている。1月は全国でマイナス幅が拡大したが、関西は縮小した。
    ・1月の景気ウォッチャー現状判断DIは、オミクロン株による感染急拡大で飲食やサービス関連が悪影響を受け、5カ月ぶりの前月比大幅悪化。先行き判断DIも感染状況の改善が依然不透明なこともあり、3カ月連続で悪化した。
    ・1月の貿易収支は24カ月ぶりの赤字となった。輸入が12カ月連続の増加に加え過去最高額となったため。品目別では、医薬品輸入が月別過去最高額となったことと、エネルギー関連の輸入増加が影響した。また、地域別では、春節の影響で中国からの輸入が増加した。
    ・1月の関空への外国人入国者数は3,496人と、外国人新規入国停止が継続されている影響もあり、低水準が続いている。
    ・中国1月のPMIは製造業では3カ月ぶり、非製造業では2カ月ぶりに、ともに前月から悪化した。また、石炭や鋼材などの価格低下の影響から、生産者物価指数は3カ月連続で減速し、5カ月ぶりに1桁の伸びとなった。

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  • 郭 秋薇

    足下の関西・台湾間貿易に基づく台湾のCPTPP加盟による影響の考察

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    郭 秋薇

    ABSTRACT

    2021年9月22日、台湾が環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下CPTPP)への加盟申請を行った。台湾は関西にとって中国と米国に次ぐ重要な貿易相手である(ASEANとEUを除く)。本稿は、台湾の加盟が関西の産業に与える影響を考察した。

     

    具体的に、貿易統計のデータを詳細に分析することで、関西・台湾間における貿易の特徴を明らかにするとともに、台湾がCPTPPに加盟した場合、関税撤廃により関西の産業がどのような影響を受けるかを示した。加えて、関西企業のグローバル・サプライチェーン構築に台湾のCPTPP加盟が及ぼす影響について考察した。

     

    分析の結果、台湾がCPTPPに加盟した場合、電子部品・デバイス・電子回路製造業、機械器具製造業、電気機械器具製造業、化学工業、非鉄金属製造業、自転車・同部分品製造業等、関西の主要産業の多くは関税撤廃によって価格競争力が強化されることがわかった。関西の対台湾輸出の主要品目である電子部品・デバイス、電気機器及び機械類において、海峡両岸経済協力枠組協定によって低い関税率が適用されている中国は関西の最大の競争相手となるが、関税撤廃によって関西企業の対台湾輸出が拡大することが期待される。一方、化学工業、プラスチック製品製造業、卑金属製造業等は価格が低下した輸入品の増加による負の影響を受ける。なお、関税削減率を試算したところ、関西が輸出で得られる関税削減率の方が、輸入で台湾に与える関税削減率を上回ることから、加盟は台湾よりも関西に大きな関税削減効果を与える。

     

    また、関西と台湾は主要産業において産業内分業体制が築かれており、台湾がCPTPP加盟国となった場合、完全累積制度の下で原産地規則を満たすことがより容易になるだけでなく、輸出入のコスト削減と貿易手続きの簡素化が可能となろう。加えて、投資と通商に関するルールが共有されることで、台湾と連携したグローバル・サプライチェーンの構築がより容易となる。日台間の産業協力が更に促進されることで、産業の競争力が向上し、互いの利益増加に繋がることが期待される。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.105-景気は足下、先行きともに足踏み: 半導体不足は緩和だが、オミクロン株拡大リスクが懸念-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下、先行きともに足踏みを見込む。半導体不足が幾分緩和されたが、オミクロン株拡大リスクの懸念で先行きのセンチメントは悪化した。
    ・関西のCOVID-19の1日当たり新規陽性者数(7日移動平均)は、12月下旬に増加に転じた後、急激に増加し、足下では第5波のピークを2.5倍上回り過去最高を更新した。確保病床使用率も上昇し、医療提供体制の逼迫が懸念される。
    ・11月は半導体不足等の影響が幾分緩和されこともあり、輸送機械が増産した結果、鉱工業生産は5カ月ぶりに前月比上昇した。
    ・11月の完全失業率は2カ月連続の悪化。感染状況が落ち着いた9-11月の変化を均すと労働力人口と就業者数が減少しており、労働市場改善の足取りは鈍い。11月の有効求人倍率は3カ月連続の前月差横ばい。
    ・10月の関西2府4県の現金給与総額は名目で8カ月連続の前年比改善だが、伸びは小幅にとどまった。消費者物価が上昇に転じたため、実質賃金は2カ月ぶりの同減少。所得環境は悪化している。
    ・11月の大型小売店販売額は2カ月連続の前年比増加。新規陽性者数が低水準で推移したことで人流の増加傾向が続き、百貨店を中心に回復が見られた。ただし、前々年同月比では依然低水準となっている。
    ・11月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前月比減少。持家と貸家の減少が寄与した。回復は鈍化したが、低迷していたアパートローンにも底打ちが見られることから、今後も持ち直しの基調が続こう。
    ・11月の公共工事出来高は26カ月連続の前年比増加と、全国に比して好調。一方、12月の公共工事請負金額は関西、全国共に大幅減少が続いている。
    ・12月の景気ウォッチャー現状判断DIは、クリスマスや年末商戦などの好調もあり、4カ月連続の前月比改善だが、オミクロン株の感染拡大懸念もあり小幅にとどまった。一方、先行きは感染拡大や原材料価格上昇の懸念の高まりから2カ月連続で悪化した。
    ・12月の輸出は10カ月連続、輸入は11カ月連続の前年比増加。貿易収支は23カ月連続の黒字。輸出は半導体等電子部品が、輸入はエネルギー関連が引き続き増加に寄与。通年では輸出は半導体等電子部品、建設用・鉱山用機械の好調で過去最高額を更新した。輸入は医薬品に加え、エネルギー関連の増加により、2014年に次ぐ大きさとなった。
    ・12月の関空への外国人入国者数は、外国人新規入国停止の影響もあり2,737人と前月(3,678人)から減少。通年では4万1,119人と、1994年の開港以来、過去最低となった。
    ・中国10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比+4.0%と7四半期連続のプラスだが、前期から-0.9%ポイント減速した。20年は、COVID-19の影響もあり前年比+2.2%の低成長だったが、21年は同+8.1%と回復し11年以来の高成長となった。また、「政府工作報告」の目標値(6.0%)を上回った。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.104-景気は足下、先行きともに足踏み: 半導体不足による減産に加え、新変異株拡大リスクに注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    ・ 関西の足下の景気は足踏みしており、先行きも足踏みを見込む。半導体不足で関連産業の大幅減産が続く。また、新変異株による感染拡大リスクなどの懸念から先行きのセンチメントは悪化した。
    ・ 関西のCOVID-19の1日当たり新規陽性者数(7日移動平均)は、8月下旬以降減少し、足下低水準が続く。先行きは新変異株拡大により国内旅行需要やサービス消費の回復に水を差す可能性が懸念されている。
    ・ 10月は半導体不足等の影響もあり、電気情報通信機械や電子部品・デバイスが減産した結果、鉱工業生産は4カ月連続で前月比低下した。
    ・ 10月の完全失業率は6カ月ぶりの小幅悪化。緊急事態宣言は解除されたものの、労働力人口と就業者数は減少し、労働市場の改善は遅れている。10月の有効求人倍率は2カ月連続の前月差横ばいであった。
    ・ 9月の関西2府4県の現金給与総額は名目で7カ月連続の前年比改善だが、伸びは前月から縮小した。実質賃金は9カ月ぶりの同減少。一昨年と比較すれば、依然として所得環境は厳しい状況が続いている。
    ・ 10月の大型小売店販売額は3カ月ぶりの前年比増加。新規陽性者数が低水準で推移し、緊急事態宣言が解除されたことで、人流が大幅に増加し、百貨店を中心に売上の回復が見られた。
    ・ 10月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりの前月比減少。貸家と分譲マンションの減少が寄与した。合板など建設資材価格の高騰等の下押し要因は強いため、今後回復は鈍化しよう。
    ・ 10月の公共工事出来高は25カ月連続の前年比増加と、全国(4カ月連続の減少)に比して好調。一方、11月の公共工事請負金額は関西(3カ月連続)、全国(5カ月連続)共に大幅減少が続いている。
    ・ 11月の景気ウォッチャー現状判断DIは、飲食やサービス関連の回復もあり3カ月連続の前月比改善。一方、先行きは新変異株の感染拡大や原材料価格高騰による値上げへの懸念から3カ月ぶりに悪化した。
    ・ 11月の輸出は9カ月連続、輸入は10カ月連続の前年比増加。貿易収支は22カ月連続の黒字だが、黒字幅は前月から大幅縮小した。輸出は原動機や半導体等電子部品が引き続き好調だが、輸入は原油高によるエネルギー関連輸入増が全体を押し上げたためである。
    ・ 11月の関空への外国人入国者数は、3,678人と入国緩和の影響は小さく前月(3,743人)とほぼ同水準となった。
    ・ 11月の中国経済は、COVID-19の感染再拡大によって多くの経済指標は減速傾向になっている。外出を控える一方で、インターネット経由の消費は堅調な動きを示している。オミクロン株の市中感染の懸念もあり、先行きの景気については減速の可能性が高まっている。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.56 -感染症対策により持ち直しの動き一服 本格回復は22年以降に後ずれ-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2021年7-9月期の関西経済は、持ち直しの動きに一服感が見られ、踊り場を迎えた。緊急事態宣言の長期化による消費活動の停滞や、半導体不足の影響により、持ち直しの動きが弱まった。
    2. 家計部門は、前期には緩やかながら持ち直しの動きが見られていたが、第5波となる感染拡大および緊急事態宣言の発令により、足踏み状態となった。センチメントや所得は伸び悩んでおり、雇用環境は全国に比べて回復が遅れている。
    3. 企業部門は足踏み状態にある。生産は半導体不足の影響により減速した。一方、景況感は堅調に回復している。
    4. 対外部門は、財については輸出・輸入とも持ち直しの動きが続いている。ただし関西では自動車輸出減や原油高の影響は小さく、全国に比べて緩やかな推移となっている。インバウンド需要などのサービス輸出は、依然低調である。
    5. COVID-19感染状況は、7-9月期は第5波の最中にあり、8月には緊急事態宣言が大阪府、次いで京都府と兵庫県、滋賀県に発令された。新規陽性者数は8月28日にピークを打ち、その後は減少傾向が続いている。こうした状況を受けて、政府は9月末で緊急事態宣言等を全て解除した。
    6. 関西の実質GRP成長率を2021年度+2.8%、22年度+2.9%、23年度+1.7%と予測。21年度以降に回復に転じる。ただし21年度の回復は緊急事態宣言長期化による消費の伸び悩みが影響し、20年度の大幅落ち込みに比べると小幅である。
    7. 前回予測(8月31日公表)に比べて、2021年度は-0.4%ポイントの下方修正、22年度は+0.4%ポイントの上方修正。21年度は、緊急事態宣言の長期化による消費の伸び悩みを反映したことによる民間需要の下方修正が主因である。一方、公的需要はコロナ対策による政府支出の増加を見込み、上方修正。22年度は民間需要を小幅下方修正、公的需要および域外需要を上方修正した。
    8. 2021年度は、民間需要が+1.1%ポイントと4年ぶりに成長押し上げ要因となる。公的需要は+0.5%ポイント、域外需要も+1.2%ポイントとそれぞれ底堅く成長を下支える。22年度も民間需要+1.8%ポイント、公的需要+0.5%ポイント、域外需要+0.6%ポイントと3項目すべてが成長に貢献する。23年度も同様に3項目すべてが成長に貢献するが、寄与度はいずれも前年から小幅となる(民間需要+0.9%ポイント、公的需要+0.3%ポイント、域外需要+0.6%ポイント)。
    9. トピックスでは、関西各府県GRPの早期推計(2019-20年度)の結果を示した。関西経済全体では2019年度・20年度と2年連続のマイナス成長であるが、日本経済に比べると落ち込みは小さかったと見込まれる。

     

    ※説明動画の一般公開は終了しました。会員企業の方は会員専用ページから閲覧可能です。

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.103-景気は足下足踏み、先行きの改善に陰り: 供給制約が懸念されるがサービス消費の回復に期待-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    ・関西の景気は、足下は足踏み、先行きは改善を見込む。半導体不足により関連産業で大幅減産がみられる一方、行動制限の緩和によりセンチメントが改善し、サービス消費の回復が期待される。
    ・関西のCOVID-19の1日当たり新規陽性者数(7日移動平均)は、8月下旬にピークを打ち低水準が続く。感染対策の解除や観光キャンペーン拡大の動きもあり、低迷していたサービス消費の回復が期待される。
    ・9月の鉱工業生産は、半導体不足による輸送機械の大幅減産が主因となり、3カ月連続の前月比低下。結果、7-9月期は5四半期ぶりに前期比低下した。
    ・9月の完全失業率は5カ月連続の小幅改善。7-9月期も3四半期連続の改善だが、就業者数が減少しており内容は良くない。9月の有効求人倍率は前月から横ばい。四半期ベースでも横ばいであった。
    ・8月の関西2府4県の現金給与総額は名目で6カ月連続、実質で8カ月連続の前年比増加だが伸びは小幅であった。コロナ禍の影響がない前々年比はいずれも減少しており、依然所得環境は厳しい状況が続く。
    ・9月の大型小売店販売額は2カ月連続の前年比減少。新規陽性者数の急速な減少と緊急事態宣言の解除が検討され始めたことにより、百貨店を中心に回復が見られた。7-9月期は2四半期ぶりの前期比減少。感染拡大(第5波)と4度目の緊急事態宣言が響いた。
    ・9月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりの前月比増加。分譲マンションの大幅増加が寄与した。7-9月期は持家と貸家の回復ペースが鈍化したが、持ち直しの基調が続いており、小幅な前期比増加となった。
    ・9月の公共工事出来高は24カ月連続の前年比増加と、全国に比して好調。一方、10月の公共工事請負金額は2カ月連続の同減少となった。
    ・10月の景気ウォッチャー現状判断DIは、新規陽性者数が低水準で推移していたことや、飲食店などへの時短要請解除決定もあり、2カ月連続の前月比改善。先行きも小幅ながら2カ月連続で改善した。
    ・10月の輸出は8カ月連続、輸入は9カ月連続の前年比増加。前者の伸びが後者を上回った結果、貿易収支は21カ月連続の黒字、黒字幅は前月から拡大。輸出はアジア向けの半導体等製造装置を中心に好調で、単月過去最高額を更新した。一方、輸入は原粗油の増加が寄与した。
    ・10月の関空への外国人入国者数は、1日当たりの入国者数の上限が緩和された影響もあり、3,743人と前月(3,079人)から増加した。
    ・10月の中国経済は、「ゼロ・コロナ」方針による経済活動抑制の影響が見られた。外需は堅調であるが、生産活動と雇用の停滞が続いている一方で、消費は拡大。財政金融政策の引き締めにより、国有資産投資の鈍化、不動産業の資金調達難など、景気減速が懸念される。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.102-景気は足下、先行きともに改善:今後センチメント改善によりサービス消費持ち直しに期待-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    ・関西の景気は、足下、先行きともに改善傾向が続いている。緊急事態宣言解除の決定もあり今後センチメントは改善が予想されるため、サービス消費の持ち直しが期待される。一方、中国の内需減速により対中輸出の不透明感が高まっている。
    ・関西のCOVID-19の1日当たり新規陽性者数(7日移動平均)は、8月28日にピークを打ち、足下では低水準が続いている。時短要請など感染対策の解除により、今後は緩やかではあるものの、サービス消費の回復が見込まれよう。
    ・8月の鉱工業生産は2カ月連続の前月比低下。世界的な半導体不足による電気・情報通信機械や輸送機械の大幅減産が影響した。
    ・8月の完全失業率は4カ月連続の小幅改善だが、感染対策の影響で就業者の減少が続く。8月の有効求人倍率は2カ月連続の下落。雇用情勢は依然厳しい状況が続いている。
    ・7月の関西2府4県の現金給与総額は名目で5カ月連続、実質で7カ月連続の前年比増加だが伸びは小幅にとどまった。コロナ禍の影響がない前々年比はいずれも減少。賃金は依然低調である。
    ・8月の大型小売店販売額は2カ月ぶりの前年比減少。急激な感染拡大と緊急事態宣言発令による外出自粛や長雨が影響し、百貨店とスーパーの販売額はいずれも前月より悪化した。
    ・8月の新設住宅着工戸数は3カ月ぶりの前月比減少。分譲マンションの大幅減少が寄与。ただし、ウッドショックの緩和とアパートローンの底打ちの兆しが出ており、今後持ち直しの基調が続くと予想される。
    ・8月の建設工事出来高は13カ月連続の前年比増加。うち、公共工事出来高は23カ月連続の同増加。9月の公共工事請負金額は5カ月ぶりの前年比減少となった。
    ・9月の景気ウォッチャー現状判断DIは緊急事態宣言解除の決定もあり2カ月ぶりの前月比改善。先行きはワクチン接種の進展や宣言解除による規制緩和の期待から3カ月ぶりに改善した。
    ・9月の貿易収支は20カ月連続の黒字だが、黒字幅は前月から縮小した。輸出は7カ月連続、輸入は8カ月連続の前年比増加。輸出はアジア向けの半導体等電子部品が好調で、輸入は中国からの通信機、EUからの医薬品の増加が寄与した。
    ・9月の関空への外国人入国者数は3,079人となり、前月から幾分増加した。7-9月期は前期から増加したが、コロナ禍前の水準と比べれば、依然低水準の状況が続く。
    ・7-9月期、中国の実質GDP成長率は前年同期比+4.9%と、前期に比して大幅下落した。自然災害の頻発や、一部地域における電力供給制限が製造業を中心に大きな影響を与えた。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.101-景気は足下、先行きともに改善:陽性者数減少も感染対策による消費下押し圧力に注意-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 木下 祐輔 / 郭 秋薇 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    ・関西のCOVID-19の1日当たり新規陽性者数(7日移動平均)は、8月28日にピークを打ち、足下ではピーク時の3分の1以下となった。一方、飲食店への時短要請や入場制限などの感染対策が継続されており、消費の下押し圧力が懸念される。
    ・7月の鉱工業生産は2カ月ぶりの前月比低下。電気・情報通信機械、金属製品、汎用・業務用機械などの減産が影響した。
    ・7月の完全失業率は3カ月連続の小幅改善だが、感染対策の影響から就業者が減少した。また、7月の有効求人倍率は3カ月ぶりの小幅下落。雇用情勢は厳しい状況が続いている。
    ・6月の関西2府4県の現金給与総額は名目で4カ月連続、実質で6カ月連続の前年比増加だが、コロナ禍の影響がない前々年比はいずれも減少。賃金は依然低調である。
    ・7月の大型小売店販売額は3カ月ぶりの前年比増加。前々年比でみても、2カ月連続で前月よりマイナス幅が縮小しており、回復している。
    ・7月の新設住宅着工戸数は2カ月連続の前月比増加。分譲マンションの大幅増加が全体の増加に寄与した。持ち直しの基調が続いているが、ウッドショックや感染再拡大等の要因による下押し圧力が今後も懸念される。
    ・7月の建設工事出来高は40カ月連続の前年比増加。うち、公共工事出来高は22カ月連続の同増加。8月の公共工事請負金額は4カ月連続の前年比増加となった。
    ・8月の景気ウォッチャー現状判断DIは緊急事態宣言発令や天候不順の影響もあり4カ月ぶりの前月比悪化。先行きは感染拡大による緊急事態宣言延長の見方もあり、2カ月連続で悪化した。
    ・8月の輸出は6カ月連続、輸入は7カ月連続の前年比増加。輸出は前月に引き続き、アジア向けの半導体等電子部品やプラスチックが好調。輸入は原油及び粗油、医薬品の増加が寄与した。
    ・8月の関空への外国人入国者数は2,476人となり、前月から減少し、21年前半の月平均(3,772人)を下回る状況が続いている。
    ・8月の中国経済は、多くの指標に減速傾向がみられる。COVID-19の再拡大によって、非製造業PMIは昨年2月以来の低水準。また、外需の軟調により生産も頭打ちとなっている。

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  • 稲田 義久

    134回景気分析と予測<岐路に立つ回復シナリオ:景気回復は後ずれ-実質GDP成長率予測:21年度+3.3%、22年度+2.3%->

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    一般財団法人アジア太平洋研究所では、日本ならびに関西経済について、四半期ごとに景気分析と予測を行っています。8月31日、最新の「日本経済予測」と「関西経済予測」を発表しました。経済見通しの説明動画を以下の通り配信しています。

     

    1.  8月16日発表のGDP1次速報によれば、4-6月期の実質GDPは前期比年率+1.3%(前期比+0.3%)増加した。2四半期ぶりのプラス成長だが、1-3月期の落ち込み(同-3.7%)を回復できておらず、前期の反動とみてよい。21年前半は世界主要国が着実に回復するのに比して、日本経済は停滞していたといえよう。4-6月期の実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト8月調査)の最終予測(同+0.66%)から上振れた。なお、CQM最終予測の支出サイドは同+0.9%であった。
    2.  4-6月期は3回目の緊急事態宣言期を含むため、マーケットは低調なパフォーマンスを見込んでいた。しかし、緊急事態宣言の人流抑制効果、特に消費抑制効果は小さかった。一方、期待されていた公的固定資本形成は2四半期連続のマイナス。実質GDP成長率(前期比+0.3%)への寄与度を見ると、国内需要は同+0.6%ポイントと2四半期ぶりのプラス。うち、民間需要は同+0.6%ポイント、公的需要は同+0.0%ポイントと、いずれも2四半期ぶりのプラス。一方、輸入の回復もあり純輸出は同-0.3%ポイントと2四半期連続のマイナスとなった。
    3. 新たに、4-6月期GDP1次速報を追加し、外生変数の想定を織り込み、21-22年度の日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、21年度+3.3%、22年度+2.3%と予測。暦年ベースでは、21年+2.3%、22年+2.5%と予測した。前回(第133回)予測に比して、21年度は-0.1%ポイント下方修正したが、22年度は変化なし。足下、ワクチン接種は遅ればせながら加速しているが、コロナ変異株のまん延が7-9月期の人流を抑制し、成長の加速を後ずれさせるとみる
    4.  実質GDP成長率への寄与度をみれば21年度は、民間需要(+2.3%ポイント)、純輸出(+0.7%ポイント)、公的需要(+0.3%ポイント)、すべての項目が景気を押し上げるが、民間需要は前年度の落ち込みに比すれば回復力に欠ける22年度も、民間需要(+1.8%ポイント)、公的需要(+0.3%ポイント)、純輸出(+0.2%ポイント)と、いずれも景気を押し上げるが、民間需要、純輸出の寄与度が前年から低下する
    5.  四半期パターンをみれば、21年7-9月期はCOVID-19感染再拡大(第5波)と4度目の緊急事態宣言の影響で民間消費の急回復は後ずれる。感染力が強いコロナ変異株のまん延と感染者数の急増から、センチメントの急回復は期待できない。22年以降、潜在成長率を上回るペースが持続するため、コロナ禍前の水準を超えるのは21年10-12月期、コロナ禍前のピークを超えるのは22年10-12月期となる。
    6.  消費者物価指数の基準年が2020年に移行した。先行きについて、宿泊料と通信料は基調に対するかく乱要因となろう。年後半以降前年同月比プラスに転じるが、サービス価格が下押し圧力となるため、消費者物価指数の基調は低調である。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、21年度-0.1%、22年度+0.7%と予測する

     

    ※説明動画の一般公開は終了しました。会員企業の方は会員専用ページから閲覧可能です。