第108回景気分析と予測<牽引力不足の脆弱な回復>

2016-06-02

〈予測のハイライト〉

1. GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+1.7%(前期比+0.4%)と2四半期ぶりのプラスとなった。市場コンセンサスから大幅に、CQM予測から小幅に上振れた。内閣府は季節調整において閏年調整を行っておらず、その分1-3月期の成長率を押し上げたようである。したがって、閏年要因を除けば小幅のプラス成長にとどまっており、景気の実態は横ばいないし停滞といえよう。
2. 結果、2015年度の実質成長率は+0.8%と2年ぶりのプラスとなった。この1年の成長率四半期パターンを見れば、15年4-6月期は前期比年率-1.7%、7-9月期同+1.6%、10-12月期同-1.7%と交互にプラス・マイナスを繰り返しており、均せば景気の停滞感が強い1年であったといえよう。
3. 1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は+0.9%ポイントと2四半期ぶりのプラスだが小幅の拡大にとどまった。一方、純輸出は+0.8%ポイントと3四半期連続のプラスとなった。うち、輸出は2四半期ぶりのプラスとなったが、輸入は内需減速を反映し2四半期連続で減少しており、景気の実態は決してよくないといえよう。
4. 1-3月期GDP1次速報値を織り込み、2016年度の実質GDP成長率は前年を幾分上回る+0.9%、17年度は消費増税の影響もあり-0.1%と予測する。前回(第107回)予測に比して、16年度0.2%ポイント、17年度0.1%ポイント、いずれも下方修正である。
5. 2016年度については、前回予測より回復がより緩やかと見ている。純輸出の寄与度はほぼ横ばいで、民間需要を中心とする回復パターンだが脆弱なものとなる。年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年(0.8%)から加速するが小幅にとどまる。17年度は消費増税の影響によりマイナス成長となる。また円高の影響もあり、純輸出の寄与度を前回予測から低めに見ている。
6. 標準予測では2017年4月に消費増税を想定しているが、安倍首相は6月1日に、消費増税再延期を国民に表明した。増税が延期された場合、16年度の実質GDP成長率は+0.5%、17年度+0.7%と試算される。16年度は駆け込み需要が発生しないため標準予測より成長率は引き下げられるが、17年度は駆け込み需要の反動減や物価上昇に伴う実質所得減の効果がなくなるため、成長率は大幅に引き上げられる。

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『訪日外国人消費動向調査』個票データを用いた インバウンド需要の計量分析

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本稿では観光庁『訪日外国人消費動向調査』の個票データを用いて、インバウンド需要の決定要因について定量的に考察する。具体的には11の国、地域からの訪日外国人の消費額の決定要因を、2015年第1四半期から17年第4四半期までの各期のクロスセクションデータを用いて分析する。分析結果より、為替レートや世帯収入などインバウンド需要の基本的決定要因は有意にプラスの影響を与えていることが明らかとなった。為替レートの変動は訪日外国人の収入の多寡よりも強く作用しており、その影響は自国通貨が円に対して割安であるほど大きくなっていることが確認できた。またビザ緩和は発動当初には強く影響しており、徐々にその効果が低下していく点も明らかとなった。 APIR_Trend_Watch_56
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・5月の生産は2カ月連続で増産となった。結果、4-5月平均は1-3月期平均比+0.6%上昇した。近経局は生産の基調判断を「生産は底堅い動きがみられる」と4カ月ぶりに上方修正した。 ・6月の貿易収支は2カ月ぶりの黒字だが、輸出、輸入ともに減少しており、貿易総額は対中国を中心に7カ月連続で減少。 ・6月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月連続で前月から悪化し、7カ月連続で50を下回った。ゴールデンウィークの反動減の影響やG20サミットによる企業の売上減少がみられる。 ・4月の関西2府4県の現金給与総額は2カ月連続の前年比マイナス。実質現金給与総額も2カ月連続で同マイナスとなった。 ・5月の大型小売店販売額は2カ月ぶりに前年を上回った。高額品の好調に加え、気温の上昇の影響で百貨店もスーパーも季節品の売り上げによりプラスに寄与した。 ・5月の新設住宅着工戸数は前年比-27.5%と2カ月連続で減少。減少幅は2009年8月以来最大。分譲の大幅減少が影響した。 ・5月の有効求人倍率は前月比小幅のマイナスだが、求人数、求職者数ともに5カ月ぶりに増加した。一方、完全失業率は前月比横ばいだが、労働力人口、就業者数いずれも増加している。雇用情勢に引き続き改善がみられる。 ・5月の建設工事出来高は15カ月連続で前年比増加した。好調なインバウンド需要は宿泊業の建設投資の増加に寄与している。6月の公共工事請負金額(季節調整値)は3カ月ぶりに前月比減少した。結果、4-6月期は3四半期ぶりに前期比小幅減少した ・6月の関空の外国人入国者数は9カ月連続で前年比増加し、2018年6月以来の二桁の伸びだが、前年同月の自然災害の影響が一巡したためである。 ・中国4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比+6.2%で、1992年以降で最低の伸び率であった。また、6月の製造業購買担当者景況指数(PMI)は5月から横ばい、2カ月連続で50を下回っている。
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・4月の生産は6カ月ぶりの前月比プラス。結果、4月実績は1-3月期平均比-0.5%下落した。近経局は生産の基調判断を「足踏みをしている」と前月から引き続き据え置いた。 ・5月の貿易収支は4カ月ぶりの赤字。輸出、輸入ともに減少しており、貿易額は6カ月連続で縮小。米中貿易摩擦の影響を受け、対中貿易額は7カ月連続で減少している。 ・5月の景気ウォッチャー現状判断DIは、2カ月ぶりに前月から悪化し、6カ月連続で50を下回った。月初は大型連休の好影響が見られたが、その後は節約志向が強まった。 ・3月の関西2府4県の現金給与総額は3カ月ぶりの前年比マイナス。実質現金給与総額も3カ月ぶりに同マイナスとなった。 ・4月の大型小売店販売額は2カ月ぶりの前年比マイナス。百貨店はインバウンド需要の影響でプラスに寄与したが、スーパーは、気温の影響もあり、季節品の不調によりマイナスに寄与した。 ・4月の新設住宅着工戸数は主に貸家の大幅減少が影響し、2カ月ぶりに前年同月比減少した。分譲も減少したものの、持家は引き続き増加した。 ・4月の有効求人倍率は前月比小幅のプラスだが、求人数、求職者数ともに4カ月連続の減少。一方、完全失業率は前月比横ばいだが、労働力人口、就業者数いずれも減少している。雇用情勢には一服感がみられる。 ・4月の建設工事出来高は14カ月連続で前年比増加した。5月の公共工事請負金額は2カ月連続の増加となった。補正予算の効果が出ている。 ・5月の関空の外国人入国者数は8カ月連続で前年比増加だが、一桁台の伸びが続いている。国籍別にみると、3月の中国からの入国者は6カ月連続で前年比増加だが、台湾からは2カ月連続、韓国・香港からは10カ月連続でいずれも同減少している。 ・中国の5月の製造業購買担当者景況指数は2カ月連続で前月から悪化し、3カ月ぶりに景気分岐点を下回った。また、対米貿易収支は4カ月連続で拡大したが、貿易総額は6カ月連続で減少していることに注意。 APIR_KEIM_Vol74_統合版