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「人口変動が関西の消費に与える影響」の研究成果発表

「人口変動が関西の消費に与える影響」の研究成果発表

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財団法人関西社会経済研究所(所長 本間正明)は、マクロ経済分析プロジェクト特別研究 による「人口変動が関西の消費に与える影響」についての研究成果を下記の通り発表しました。 (主査:関西学院大学経済学部教授 高林喜久生氏)
関西の人口変動に関しては、①高齢化進行が早く、②働き盛り層の人口流出が大きい、 ③学生層の流入が多いということが特徴的です。また、関西の消費行動に関しては、 ①高齢者世代の教養・娯楽への出費が多いこと、②女性単身世帯の交際費等への支出が大きい、 ③団塊ジュニア世代が積極的に住宅を取得しているといった傾向が見られました。
詳細については、同研究所のホームページ(http://www.kiser.or.jp)の「調査研究成果」の カテゴリーのうち、「特別研究」の1つとして掲載されています。

【関西の人口変動の特徴】
* (1)高齢化の進行が速く、今後もその傾向が続く
o 65歳以上人口増加率(%ポイント)
①関西3.3 ②関東3.0 ③中部2.8、全国2.8(2001→2006年度の推移)
①関西9.9 ②関東9.3 ③中部8.6、全国9.1(2005→2020年度の推計)
* (2)働き盛り層とその子供たちの流出が多い
o 大阪府の25-49歳人口は12.8万人、関西は24.2万人の減少でその減少幅は拡大傾向。
その子供たちである0-14歳層も2.6万人減少(2000→2005年度)
* (3)学生層の流入が多い
o 大阪府の15-24歳人口は5.3万人、関西全体では4.1万人の増加。

【少子高齢化と消費行動】
* (1)近年の高齢者世代は消費意欲が衰えず、教養・娯楽への出費も多いこと
→65?69歳の夫婦のみ世帯の消費支出は1989?2004年の15年間で1.12倍に増加。
* (2)就業女性による消費が今後拡大していく可能性があること
→女性単身世帯は夫のみ有業世帯より「被服・履物」「理美容用品」「交際費」への支出大。
* (3)団塊ジュニア世代(1971-74年生)が積極的に住宅を取得し都心回帰傾向を支えていること
→30代前半での持ち家率:団塊ジュニア世代29.7%、5歳上世代28.2%、10歳上世代27.1%
* (4)関西では若年層が地元教育機関に進学するため、教育関連費用が安くてすむこと
→仕送り費用①関西6.4万円、②全国11.7万円 (2006年)

【関西経済活性化のカギ】
* (1)「まちづくり」
o 鉄道ネットワークの整備(阪神なんば線)や、小学校の新設を柱にした遊休地の活用(藤井寺球場跡地への四天王寺学園小学校開校など)。
* (2)「教育」
o 2006-10年にかけての関関同立の附属小学校開校や、関西の大学・教育機関に集まる若年層に関連するビジネスの提供。
* (3)「アジア」
o 2007年に訪日旅行者数で初めて中国人(構成比11.3%)が米国人(同9.8%)を上回り、韓国・台湾・中国の上位3カ国・地域で69%を占めることは、アジアと関係の深い関西に追い風。

問い合わせ先
財団法人 関西社会経済研究所
前市岡、武者
TEL:06?6441?0145

日本経済の四半期予測発表:2008年1?3月期は減速

日本経済の四半期予測発表:2008年1?3月期は減速

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日本経済の四半期予測発表:2008年1?3月期は減速するが、2008年度の実質GDP成長率は、1.6%の小幅減速となる。
財団法人関西社会経済研究所(所長 本間正明)のマクロ経済分析プロジェクト研究チームに による最新の「日本経済四半期予測」が本日発表されました。 (主査:甲南大学経済学部長教授 稲田義久、関西学院大学経済学部教授 高林喜久生氏)
これは、2月14日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受けた2007-2009年度の改訂経済見通しとなっており、ポイントは以下の通りです。
* 2007年度10-12月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は弱気な市場コンセンサス予測を上回り、前期比+0.9%、同年率+3.7%と2期連続のプラス成長となった。好調な新興市場への輸出と民間企業設備が成長に貢献した。
* 2007 年度、2008年度の改訂見通し‥‥2008年1-3月期経済は減速するものの、2007年10-12月期が比較的好調であったため、2007年度の実質 GDP成長率は+1.8%となろう(前回予測+1.5%から上方改訂)。2008年度の日本経済は、改正建築基準法による民間住宅の落ち込みの影響が剥落するため民需の貢献は上昇するものの、米国経済の急減速により、景気回復のギア(輸出)が逆回転する可能性が高まる。2008年度の実質GDP成長率予測は小幅減速の+1.6%と予測する。
* 2009年度の見通し‥‥世界経済の回復による輸出の拡大と民間需要の回復により、2009年度の実質GDP成長率は+2.0%となろう。ただ、民間最終消費の伸びは低迷する。エネルギー・食料価格の上昇に加え、所得環境の改善の遅れ、社会保障負担増や定率減税廃止による実質増税等が家計に影響してくるためである。民間企業設備も 2008年度前半に循環的な減速局面に入り、その影響は長引くであろう。

以上の予測レポートの詳細については、同研究所のホームページ(http://www.kiser.or.jp)の「経済動向」の「四半期経済予測」画面からアクセスできます。
尚、当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っていますが、「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表しています。 2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れており、今回の予測もこのマクロ計量モデルを用いている。

問い合わせ先
財団法人 関西社会経済研究所
大久保、藤田
TEL:06?6441?0145

太平洋経済協力会議(PECC)「State of the Region(SOTR:太平洋地域の現況報告)2007-2008」の発表

太平洋経済協力会議(PECC)「State of the Region(SOTR:太平洋地域の現況報告)2007-2008」の発表

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太平洋経済協力会議(PECC)「State of the Region(SOTR:太平洋地域の現況報告)2007-2008」の発表
太平洋経済展望(PEO)日本委員会(財団法人関西社会経済研究所内)は、PECC地域 体の2007年の実質GDP成長率は4.9%程度で、2006年からわずかに低下するというアジア大洋州地域の経済予測を発表しました。詳細については、特に下記のSOTRのポイントを参照下さい。
(稲田 義久氏 太平洋経済展望(PEO)日本委員会 短期予測部門主査、
(財)関西社会経済研究所 マクロ分析プロジェクト主査、甲南大学経済学部長・教授)
太平洋経済協力会議(PECC)地域の「State of the Region(SOTR)2007-2008」について
アジア太平洋の産学官で組織する太平洋経済協力会議(PECC)の作業部会=太平洋経済展望(PEO)は、これまで、加盟国・地域のうち18ヵ国・地域の経済予測をとりまとめ毎年、公表してきたが、18年度より、PECCとして別添のとおり「State of the Region」(SOTR)を取りまとめ公表することになりました。この度その2007-2008年版が発行されましたので、その概要を発表いたします。
* SOTRは、①域内専門家へのアンケート調査に基づくアジア太平洋地域の課題の評価と、②従来から行なってきた産学官の共同による中立的な経済予測の分析(今回で20回目)、から構成されており、APEC(アジア太平洋経済協力会議)への政策提言を意図した内容になっている。
* アンケート調査は2007年8月に実施したもので、アジア太平洋各国・地域の382名から回答を得た。
* 日本経済の予測については、PEO日本委員会(事務局=(財)関西社会経済研究所)の稲田義久・短期予測部門主査(甲南大学経済学部教授)が中心となりとりまとめた。

SOTRのポイント
(短期予測)
* PECC地域全体の2007年の実質GDP成長率は4.9%程度で、2006年からわずかに低下する。米国の景気減速を東アジアが補った格好。2008年も同程度の成長であるが、米国経済は回復し、東アジア経済の多くが純輸出の低調により緩やかに減速。
* 新たなリスクとしては、最近の不安定な金融市場が、実体経済、特に米国に波及すること。サブプライムローン問題による被害の程度は、約3,000億ドルになりうる。これは、ドル下落とともに、投資、雇用、資産価格、消費者マインドに対する下方圧力となるだろう。金融部門のシステミック・リスクや米国の深刻な景気後退をもたらす深刻な市場崩壊が起こる可能性も全くないとは言えない。
* ただし、米国では主要中央銀行による信用市場支援措置が功を奏し、一般住宅ローン市場、金融派生商品投資や消費活動に対する資金の流れが着実に改善している。米国の2007年の実質GDP成長率は2006年(2.9%)より鈍化の2%程度となるが、減速は2008年半ばには底を打ち、2009年を通じて成長は加速するとみる。
* 日本経済は2007年後半に減速し、年平均で2.1%、2008年1.8%の成長を予測。民間消費は引き続き成長の牽引役となり、GDP成長への寄与率は 2007年1%ポイント、2008年0.8%ポイント、2009年0.7%ポイントの伸びとなる。労働需給逼迫に対して就業者が増加し世帯全体の家計所得を増やすため、2007年後半から2008年、2009年を通じて個人消費は緩やかに拡大。国内のダウンサイドリスクの一つは、構造改革推進への政治的意思に対する新たな疑念。(中長期の課題、地域機構)
* オピニオン・リーダーに対する調査で重要と確認された中長期の課題として、①環境問題とエネルギー安全保障への関心の増加②ドーハラウンドの行き詰まりとその結末③継続する環太平洋におけるインバランスという3つの大きなリスクがある。
* APECは最大範囲のメンバーシップを擁し、進んだ活動プログラムをつくっているが、自発的な経済協力という大きな制限があるとともに、交渉やルール化をはかる組織ではないため、機関としての発展は困難。
* アンケート調査では、環太平洋レベル、サブ・リージョナル・レベルのいずれにおいても地域機関の現状にかなりの不満があることを示す。一般には、APECとASEANは、後発の東アジアサミット(EAS)とASEANプラス3よりは良い評価で、EASがAPECの重要な競争相手になると考えているのは 30%に過ぎない。