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「日本経済」の検索結果 [ 18/25 ]

  • 後藤 健太

    中所得国の新展開

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » アジア太平洋地域の経済的ダイナミズムと今後の行方

    RESEARCH LEADER : 
    後藤 健太

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 後藤健太 関西大学教授

     

    研究目的

    戦後の目覚ましい経済成長を通じ、アジアは世界経済の中で着実に存在感を高め、20世紀の終わりには「世界の工場」としてその地位を確立した。しかし21世紀に入ってからのアジアの隆盛を顧みたとき、今日のアジアが世界の工業製品のサプライヤーとしての立場から、消費と投資の側面を中心に、より重要なアクターへと変貌する萌芽的局面に差し掛かっているかのように見える。すでに所得水準で日本を越えてしまったシンガポールについて、そのポジションがアジアはもとより世界の中でも重要となった点はこれまでも言及されてきたことではあるが、中国をはじめマレーシア、タイ、インドネシアやベトナムなどといった「中所得国」がアジアで次々と台頭したことで、アジア域内の経済・ビジネス関係のあり方も一気に多極化・多様化した。こうした変化は、日本経済と企業にとって重要な意味を持つと思われる。つまり、これまで日本が一定のリーダーシップを発揮しながらアジアの国々と関わることで域内の発展を形作ることができた時代から、こうした「中所得国」の出現により、アジア域内でのこれまでのキャッチアップ型の序列、あるいは階層に準じた発展パターンに従わない、多様な発展ダイナミズムが起こりつつあることを示しているのではないだろうか。

    こうしたアジア観を前に、ますます深化する日本経済とアジアとの関係の多極化・多様化に注目し、まずはその現状を関西企業の立場から整理して理解することを試みる。その際、アジアの中でもダイナミックな展開を見せる、上述の「中所得国」に焦点を当てる。また、本研究案件ではさらに関西・アジア中所得国の双方にとってwin-winとなるような発展の可能性を、企業の戦略的な視点およびそれらを取り巻く制度的・環境的な視点から考察する。

     

    研究内容

    まずはアウトバウンド・インバウンドの双方で、現在どのような関係が日本経済・関西企業とアジア中所得国との間で展開しているのかを広くレビュー・分析し、可能であれば何らかの基準・方法で類型化する。

    具体的な研究方法としてはマクロレベルのデータの活用や先行研究の整理も必要に応じて実施するが、特に現在関西でアジアとの関わりを持っている企業や、これから持とうとする企業などへの個別インタビュー調査やフォーカス・グループ・ディスカッションなどを通じて、現場レベルの情報を汲み上げることで課題や可能性を考察する予定である。

    調査対象としては、関西在住の企業を中心とするが、場合によっては東南アジアへの出張調査もありうる(第1回目の研究会で検討予定)。

    東南アジアをはじめ、世界の中所得国についてはこれまで「中所得の罠」といったようなネガティブな観点からとらえたものが多かったが、本研究ではこれらの国々の展開可能性を日本(関西)経済との関係の中でポジティブにとらえなおしてみたい

     

    統括

    林 敏彦 APIR研究統括

    リサーチャー

    小井川広志 関西大学 商学部教授)

    夏田 郁 立命館アジア太平洋大学 国際経営学部准教授)

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    関西経済と中所得国東南アジアとの間で、アウトバウンド・インバウンドの双方でどのような関係が展開しているのかを広くレビュー・分析し、可能であれば何らかの基準・方法で類型化した概説的なレポートの作成を目指す。

    今後の東南アジアとのビジネス関係の構築の際の参考資料となるようにする。

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  • 前田 正子

    関西における女性就業率の拡大に向けた提言

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » 人口減少下における関西の成長戦略

    RESEARCH LEADER : 
    前田 正子

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 前田正子 甲南大学教授

     

    研究目的

    関西では、滋賀県と京都府以外の府県で女性の就業率が全国平均より低く、奈良県・大阪府・兵庫県でワースト3を占めている。関西の女性の就業率が全国平均まで高まれば、就業者数約25万人増加し、関西のGRPは約1.5兆円(約1.8%)増加すると、2014年の関西経済白書で分析した。さらに、アベノミクスの成長戦略では、「女性活躍推進」が目標として掲げられている。

    しかし2015年度の本研究会での分析によると、関西は保守的な意識が強く、女性の就業率が全国的に見ても低い一方で、未婚率が高く出生率も低い状況にある。関西から企業の流出とともに正規雇用の場が失われており、大卒女性は関西から流出し、主に首都圏に移動している。さらに、新卒時に正規の職に就けなかった女性は、著しく就業意欲が低く、支援策が講じにくい状況にある。他方で、一度でも正規就労したものの結婚・出産でやむなく離職した女性たちは就業意欲も能力も高い傾向にあり、支援のターゲットとして効果的である。女性の置かれている状況を丁寧に把握し、それぞれに対応する支援策や対策を講じることが必要だと指摘しており、こうした昨年度の分析と提案を深掘りし、地域ごとの状況・意識の違いを分析し、地域別・状況別にみた効果的な対応策を検討する。

     

    研究内容

    意識調査:インタビュー調査を、関西内の複数県の女性を対象に行い、地域ごとの違いを比較するとともに、必要な支援策について深掘りする。

    データ分析:国勢調査の詳細集計や就業構造基本調査を用い、配偶状態・就業状態などについて分析する。

    大阪府(都市部、若年無業女性が多い)、奈良県(周辺部、既婚無業女性が多い)、滋賀県(女性就業率は高いが管理職比率が低い)を取り出して分析することで、日本全体で応用することができる。状況別に課題と対応策を整理し、読者が自分の地域・会社に当てはまるところから取組みを考えることができる。

     

    リサーチャー

    長町理恵子 日本経済研究センター 大阪支所主任研究員

     

    オブザーバー

    藤原由美 大阪府 商工労働部女性の就業推進チーム課長補佐

    佐野由美 21世紀職業財団 関西事務所長

    梅村その子 関西経済連合会 労働政策部ダイバーシティ担当部長

    九後順子 阪急電鉄株式会社 経営企画部課長

    高木和彦 滋賀県 商工観光労働部女性活躍推進課課長補佐

    夏原二朗 奈良県 健康福祉部こども・女性局女性活躍推進課課長補佐

    幡 恵子 奈良県 健康福祉部こども・女性局女性活躍推進係係長

    期待される成果と社会還元のイメージ

    提案を含む報告書をまとめ、HPで公開し、成果報告会を行い、広く発信する。対応策は、昨年度の関西の女性の分類に基づき、地域ごとの課題や意識とクロスさせて提案する。各読者はそれぞれ、表の分類により自社や各自の地域で当てはまるところを見て、それぞれの取組に活かす。

    各自治体の政策立案、各企業・団体での女性活躍推進のための計画・目標策定や女性活躍推進の必要性の理解(男性も含めて)、教育機関でのキャリア教育やインターンシップ、就活指導などの際の参考となる。特に、関西での女性の長期就業に関する意識形成や、人手不足の企業と意欲ある女性のマッチング促進に資する。

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  • 稲田 義久

    経済フォーキャスト

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2016年度 » 経済予測・分析、シミュレーション

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

     

    研究目的

    企業や政策主体(中央政府及び地方政府)にとって、正確で迅速な景気診断が、各主体の意思決定や政策判断にとって決定的に重要となる。本プロジェクトは、日本経済及び関西経済の高頻度の定点観測とともに、超短期予測モデル(CQM)や四半期マクロ計量モデルを用いてタイムリーで正確な短期経済見通しの提供に加え、刻一刻変化する経済に対する適切なコメントならびに政策評価を行うことを意図している。

     

    研究内容

    1. 月次レポートの作成

    経済の月次見通しに加え、関西経済の月次レポート(Kansai Economic Insight Monthly)を所内研究員の協力を経て毎月中旬以降に作成している。また翌月の初旬には関経連向けに『関西経済レポート』を提出している。この作業を通して所内エコノミストの分析力の向上を図っている。

    2. 日本経済予測・関西経済予測の四半期レポートの作成

    超短期予測の足下の正確な予測成果を反映し、QE(四半期GDP一次速報値)発表の1週間後に日本経済の四半期予測とともに関西経済の年次予測の四半期改訂が発表される。予測結果や予測改訂は、『景気分析と予測』と『Kansai Economic Insight Quarterly』として発表され、プレスリリリースされる。

    3. 府県別GRP早期推計と超短期予測

    各府県の県民経済計算確報値が発表され次第、5月予測では関西2府4県経済の成長率予測がアップデートされる。11月には、当該年度の月次指標を基にして超短期予測を行なう。

    4. 関西DSGEモデルの開発と関西GRP四半期QEデータベースの作成

    DSGEモデルの特性を活かし、地域固有の構造的課題の抽出や各種政策シミュレーションを行う。その際、DSGEモデルの実用にあたって考えられる課題に十分配慮する。またこのとき、関西の四半期データが必要になると思われるが、足りないところは線形補間や推定によって補い、必要に応じて新しい関西データの指標を作成する。

    また8月予測では関西2府4県経済の成長率予測がトッピクスとして発表される。これらの成果は関西各府県の早期推計として注目されている。また11月予測を受けて景気討論会を企画している。

     

    リサーチャー

    入江啓彰 近畿大学短期大学部准教授(早期推計、関西モデル、DSGEとデータベース)

    小川 亮 大阪市立大学大学院経済学研究科・経済学部准教授(早期推計、関西モデル)

    下田 充 日本アプライドリサーチ主任研究員(日本モデル、早期推計、関西モデル)

    松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科 教授(DSGEとデータベース)

    岡野光洋 大阪学院大学講師(DSGEとデータベース)

    井田大輔 桃山学院大学経済学部 准教授(DSGEとデータベース)

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果はHP上で高頻度に提供。プレスリリースを行うことでマスコミに周知。一部成果はマクロモデル研究会やその他学会でも報告予定である。

    モデルを用いた関西経済の経済予測・構造分析の結果を客観的かつ定量的に示すことで、足元の経済情勢判断の材料として用いることが可能であるとともに、企業の経営戦略や自治体の政策形成を構築するうえでの重要な指針となり、関西経済の現状および構造的特徴を内外において説明する際の貴重な資料となりうる。

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.30 <一部明るい兆しもあるが、総じて停滞している関西経済 先行きはリスク要素多く不透明感が強い>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 小川 亮 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1.2016年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.7%(前期比+0.4%)と2四半期ぶりのプラスとなった。内需は+0.9%ポイントと2四半期ぶりのプラス、純輸出は+0.8%ポイントと3四半期連続のプラスとなった。しかし閏年要因を除けば小幅のプラス成長にとどまっており、日本経済の景気の実態は横ばいないし停滞といえる。

    2.関西経済は、一部明るい兆しもあるが、総じて停滞している。家計部門は、弱含みである。雇用環境では堅調な改善が続いているものの、消費者心理、所得、大型小売店販売など弱い動きが目立つようになってきている。企業部門は、景況感については足下減速しており先行き不透明感が強いが、生産の動向や設備投資計画にはやや明るい兆しも見られる。域外取引では、輸出の失速が続いている。同時に輸入も縮小しており、貿易収支は黒字基調である。

    3.関西の実質GRP成長率を2016年度+1.2%、17年度-0.3%と予測する。今回の予測改定では、2013年度までの県民経済計算の公表を受けて、県内GDP早期推計の結果をもとに実績見通しを見直した。前回予測と比較すると、2016年度0.2%ポイントの下方修正、17年度は修正がなかった。

    4.成長に対する寄与度を見ると、16年度は翌年の消費税率引き上げに伴う駆け込み需要から、民間需要が成長を押し上げる(+0.9%ポイント)。公的需要と外需の寄与はそれぞれ+0.1%ポイント、+0.2%ポイントと小さい。17年度は、消費税率引き上げにより民間需要は-0.6%ポイントと成長を抑制。公的需要と外需の寄与は+0.1%ポイントずつにとどまり、16年度に続き経済成長への影響は僅少である。

    5.今回の標準予測では、2017年4月に消費税率が引き上げられると想定している。しかし6月1日に安部首相は、消費税率引き上げを2年半延期すると表明した。シミュレーション結果によると、増税が延期された場合の実質GRP成長率は16年度+0.8%、17年度+0.6%と見込む。16年度は駆け込み需要が発生しないため成長率は抑制される(-0.4%ポイント)が、17年度は実質所得の増加から民間需要が増加し、成長率は+0.9%ポイント押し上げられる。影響の出方については、関西と全国で大きな差異はない。

    6.県内GDP早期推計を改定した。関西2府4県の実質GRP成長率は2014年度+0.04%、15年度が-0.83%と予測。国のGDPとは異なり、消費税率引き上げのあった2014年度から一年遅れて15年度にマイナス成長となる。

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  • 稲田 義久

    第106回景気分析と予測<民需を中心とするより緩やかな回復パターンへ>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1. 7-9月期実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率-0.8%と2四半期連続のマイナス。同期は市場コンセンサスやCQM予測から下振れたが、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しにより、4-6月期の実質成長率は上方修正された。半期ベースでみると、2014年度後半(10-3月期)の前期比年率+1.5%から15年度前半(4-9月期)同+0.6%へと伸びは大幅に減速しており、景気は踊り場局面といえよう。
    2. 7-9月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は-1.2%ポイント減少し3四半期ぶりのマイナス。一方、純輸出は+0.4%ポイントと3四半期ぶりのプラスとなった。4-6月期に大幅減少した民間最終消費支出と財貨サービスの輸出は、7-9月期にそれぞれ増加に転じたが、いずれも前期の落ち込みを回復できていない。また民間企業在庫品増加が在庫調整の進捗で成長率を大きく引き下げたのが今回の特徴である。
    3. 7-9月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+0.8%、16年度+1.5%、17年度を-0.2%と予測する。前回(第105回)予測に比して、15年度を0.2%ポイント、16年度を0.3%ポイント、17年度0.9%ポイント、いずれも下方修正した。
    4. 15年度の成長率の下方修正には、公的需要と純輸出が幾分上方修正されたものの、民間企業設備を中心とする民間需要の下方修正が影響している。先行き不透明感の強さから企業は当初の高い設備投資計画を先送りしているようである。
    5. 16年度については、前回予測より回復がより緩やかなものと見ている。民間需要を中心とする回復パターンとなる。純輸出の改善に加え、年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。今回の下方修正は、消費増税の影響をより厳しく見たためである。
    6. 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+0.9%、17年度+2.2%となる。国内企業物価指数は-2.6%、-0.2%、+2.0%となる。GDPデフレータは+1.7%、0.0%、+1.3%と予測している。日銀は10月の展望レポートの中で、コア消費者物価指数の見通しを、16年度+1.4%、17年度+3.1%としているが、実現には困難が伴うと思われる。
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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.27 <緩やかな回復局面から踊り場を迎える関西経済 先行きは内外需とも弱含み、成長のカギは企業設備投資>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT
    1. 2015年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と、3期ぶりのマイナス成長となった。内需は-0.5%ポイント減少し3期ぶりのマイナス。純輸出は-1.1%ポイントと2期連続のマイナス。内需のうち民間最終消費支出は4期ぶりに減少に転じ、実質成長率を大幅に引き下げた(-1.8%ポイントの寄与)。
    2. 足下の関西経済は、緩やかな回復局面から踊り場に移りつつあることを示唆するシグナルが出始めている。家計部門では所得環境の改善が進まず、消費者心理は足踏みが続いている。域外取引は中国経済の減速を契機とした不透明感が強い。企業部門の景況感は改善しつつあり、設備投資計画も積極的な姿勢がうかがえるが、家計や輸出の状況、株価の推移から判断すると、楽観視はできない。
    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2015年度+1.4%、16年度+2.0%、新たに17年度+0.7%と予測する。前回予測から15年度0.6%ポイント、16年度0.3%ポイントのいずれも下方修正となった。日本経済予測と同様に、足下の民需と外需の停滞を織り込んだことによる。
    4. 2015-16年度は民間需要、特に企業設備投資が成長を牽引する。しかし15年度は先行きの不透明感から回復のペースは緩慢で、16年度は駆け込み需要を織り込んだ成長である。17年度は反動減が表れるため、民間需要の貢献は小さい。公的需要は、財政制約から大幅な支出拡大は見込めない。外需も、輸出の低調から力強さに欠く。
    5. リスクシナリオ・シミュレーションとして、日本経済予測と同様に、中国経済や新興国経済の低迷により世界貿易の伸びが半減した場合の影響を検討した。結果、関西の実質輸出は1.3%程度減少し、実質GRPは0.5%程度低下する。日本での影響よりも関西での影響が幾分大きい結果となっている。
    6. 2015年度以降の関西経済は、民間企業設備投資の動向に大きく左右される。この点、日銀短観の設備投資計画の「修正率」や、その他アンケート調査統計を見ていくと、関西企業の設備投資に対する積極的姿勢が確認できる。

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  • 稲田 義久

    第105回景気分析と予測<基本回復シナリオに変化なし、景気は一時的な踊り場へ>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1. GDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と3期ぶりのマイナスとなった。CQM最終予測と同じ結果である。アベノミクスが始まった2013年1-3月期以降、10四半期のうち4四半期がマイナス成長である。潜在成長率が低下する中、外的ショックにより成長率はマイナスに陥りやすくなっている。
    2. 4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は-0.5%ポイント減少し3期ぶりのマイナス。一方、純輸出は-1.1%ポイントと2期連続のマイナスとなった。内需のうち、民間最終消費支出は4期ぶりに減少に転じ、実質GDP成長率を大幅に引き下げた(-1.8%ポイントの寄与)。緩やかに回復していた民間最終消費支出は、結果、消費増税直後の水準をわずか0.2%上回る程度にまで低下した。足下、民間消費は停滞色が濃い。
    3. 4-6月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+1.0%、16年度+1.8%、新たに17年度を+0.7%と予測する。前回(第104回)予測に比して、15年度を0.7%ポイント大幅に、16年度を0.2%ポイント小幅に下方修正した。
    4. 15年度の下方修正には民間最終消費支出と純輸出の大幅見直しが影響している。基本シナリオとしては、消費増税の影響剥落に加え、実質賃金上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくるため、実質所得増を伴った緩やかな民間消費の回復や企業設備の増加を想定している。しかし、足下雇用者所得の回復は幾分遅れており、世界経済の減速、特に中国経済及び新興国経済の減速が最大の懸念材料となっている。
    5. 16年度は15年度と同じように民間需要を中心とする回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。
    6. 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+0.8%、17年度+2.3%となる。国内企業物価指数は-1.9%、+0.7%、+2.7%となる。GDPデフレータは+1.1%、+0.1%、+1.5%と予測している。16年度のインフレ率は日銀目標の2%に至らない。
    7. リスクシナリオ・シミュレーションとして8月の中国経済をめぐるイベントの影響が深刻化するケースを検討した。実質世界貿易の伸びが半減した場合、日本の実質輸出は1.5%程度減少し、実質GDPは0.3%程度低下する。マイナス成長に陥らない(成長率の天井を高める)ためにも、成長戦略の加速が重要な課題となる。
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  • 前田 正子

    関西における女性就業率の拡大に向けた提言「女性は関西で夢を描けるか?鉄は熱いうちに打て」

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2015年度 » 関西の成長牽引産業

    RESEARCH LEADER : 
    前田 正子

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    主席研究員 前田正子 甲南大学教授

     

    研究目的

    アベノミクスの成長戦略では女性の活躍が重視されている。今後は少子高齢化で労働力人口が減少し人手不足が予想されており、女性の能力は社会に欠かせない。だが、関西には女性が夢を描いて働ける場があるのだろうか。一方、関西の女性は「できれば働きたくない」という人が多いという説もある。

    能力のある女性が関西で働く場がないのか、それとも女性が働く意欲を失うのは、本人の責任だろうか、親や周りの大人の責任だろうか、それとも企業の責任だろうか。女性の問題は様々だが、今回の調査では特に関西の大卒女性に焦点を当て、高い教育を受けた女性たちが関西に留まり、その能力を地域の職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには、何が必要かを探る。

     

    研究内容

    女性の活用に関しては様々な提言が出ているが、多くのものが、年金や税制改革・保育所整備・柔軟な働き方・仕事の見える化・成果主義といった同じような項目となっているが、例えばそれを個々の企業や職場に具体的にどう導入するかにはまだ壁がある。また、すでに女性を対象とした様々な調査も実施されている。そこでより関西ならではの課題や問題点を明らかにするために、関西の自治体や企業の聞き取りだけでなく、大学卒業時の女性の進路や大学での進路指導なども踏まえ、関西の女性の実態や職場の課題を明らかにする。また企業で働くことだけでなく、女性自らが社会的起業やNPO設立など、求められる社会的ニーズにこたえる仕事づくりが可能かどうかについても検討する。

    そのなかで、関西の女性たちが、その能力を地域や職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには、何が必要かを探る。

     

    リサーチャー

    加藤久和 明治大学教授

    長町理恵子 日本経済研究センター 大阪支所主任研究員

     

    オブザーバー

    藤原由美 大阪府 商工労働部女性の就業推進チーム課長補佐

    森田文子 関西電力 ダイバーシティ推進グループダイバーシティ推進部長

    佐野由美 21世紀職業財団 関西事務所長

    梅村その子 関西経済連合会 労働政策部ダイバーシティ担当部長

    宇野優子 関西経済連合会 労働政策部主任

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    報告書をまとめ、高い教育を受けた女性が、その能力を地域の職場で生かす意欲を持ち、それを実現していくためには何が必要か、高校・大学での教育、就職先での経験、自体の施策、等それぞれの段階で提案する。報告会も実施し、企業、自治体、大学等に広く発信する。

    高校や大学での女子学生へのキャリア教育を実施する際、企業や自治体での女性育成の際、さらに地域の女性の活性化や地方創生を模索する行政の施策形成に活用されたい。

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  • 稲田 義久

    経済の定点観測と予測

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2015年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    数量経済分析センター長 稲田義久 甲南大学教授

     

    研究目的

    企業や政策主体(中央政府及び地方政府)にとって、正確で迅速な景気診断が、各主体の意思決定や政策判断にとって決定的に重要となる。本プロジェクトは、日本経済及び関西経済の高頻度の定点観測とともに、超短期予測モデル(CQM)や四半期マクロ計量モデルを用いてタイムリーで正確な短期経済見通しの提供に加え、刻一刻変化する経済に対する適切なコメントならびに政策評価を行うことを意図している。

     

    研究内容

    1.週次予測

    特徴は、高頻度(超短期)予測がベースにある。よく知られた超短期予測モデル(CQM)の手法を用いて、週次ベースで日米経済に対する超短期予測が週末に行われる。毎翌週の初めに当該四半期の日米経済の成長率予測が発表される。また月末には、週次予測は月次レポートとして整理、要約される。予測結果は、いずれもHPで発表される。

    2.月次経済見通しの作成

    日米経済の月次見通しに加え、関西経済の月次レポート(Kansai Economic Insight Monthly)を所内研究員の協力を経て毎月中旬以降に作成している。また翌月の初旬には関経連向けに『関西経済レポート』を提出している。この作業を通して所内エコノミストの分析力の向上を図っている。

    3.四半期予測と年次予測の四半期改訂

    超短期予測の足下の正確な予測成果を反映し、QE(四半期GDP一次速報値)発表の1週間後に日本経済の四半期予測とともに関西経済の年次予測の四半期改訂が発表される。予測結果や予測改訂は、『景気分析と予測』と『Kansai Economic Insight Quarterly』として発表され、プレスリリリースされる。

    また8月予測では関西2府4県経済の成長率予測がトッピクスとして発表される。これらの成果は関西各府県の早期推計として注目されている。また11月予測を受けて景気討論会を企画している。

     

    リサーチャー

    入江啓彰 近畿大学短期大学部講師

    小川 亮 大阪市立大学大学院経済学研究科・経済学部専任講師

    下田 充 日本アプライドリサーチ主任研究員

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果はHP上で高頻度に提供。プレスリリースを行うことでマスコミに周知。一部成果はマクロモデル研究会やその他学会でも報告予定である。

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.26 <2013-14年度の関西2府4県のGDP早期推計結果を公表 14年度は大阪府・京都府が成長に貢献>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 林 万平 / 木下 祐輔 / James Brady

    ABSTRACT
    1. 2015年5月20日に公表された2015年1-3月期のGDP1次速報によると、実質GDP成長率は前期比年率+2.4%(前期比+0.6%)と、2四半期連続のプラス成長となった。市場コンセンサスを上回る回復となったものの、成長に最も貢献した需要項目は民間在庫品増加で、中身に乏しい結果となった。
    2. 2015年1-3月期の関西経済は、緩やかな回復の動きを継続している。企業部門については、収益環境の改善から足下の景況感に明るい兆しが見えつつある。特に生産は依然として全国を大きく上回る水準で推移している。また家計部門も緩やかに持ち直しの動きが見られる。域外取引も堅調に推移している。
    3. 最新の日本経済予測の結果を織り込み、関西の実質GRP成長率を2015年度+2.0%、16年度+2.3%と予測する。前回予測から、15年度は修正なし、16年度は0.2%ポイントの上方修正である。
    4. 2015年度は民間需要+1.2%ポイント、外需+0.8%ポイントとそれぞれバランスよく経済成長に貢献する。16年度も民間需要+1.4%ポイント、外需+0.8%ポイントと堅調に成長を下支えする。公的部門の寄与は15年度・16年度とも+0.1%ポイントで、景気に対する寄与は小さい。
    5. 県民経済計算確報が未公表である2013-14年度の実績見通しについて、関西2府4県のGDP早期推計を更新した。推計結果によると13年度+1.39%、14年度+0.10%となった。全国の実績値と比較すると、13年度は全国を下回り、14年度は上回っていたことになる。13年度は2府4県とも前年度比プラスとなり、寄与度でみると成長の大部分を担ったのは大阪府であった。14年度は、前年度比プラスとなったのは大阪府・京都府のみであった。

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  • 稲田 義久

    第104回景気分析と予測

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    〈予測のハイライト〉

    1. GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.4%(前期比+0.6%)と2期連続のプラス。市場コンセンサスを上回る回復となった。しかし、2014年度でみると消費増税の影響が大きく実質成長率は-1.0%のマイナスとなり、前回増税時(+0.1%)と比較して大きく下回った。
    2. 1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は+3.0%ポイント増加し2期連続のプラス。一方、純輸出は-0.7%ポイント減少し4期ぶりのマイナスとなった。内需のうち、実質民間在庫品増加は実質GDP成長率を+2.0%ポイント押し上げた。内需の寄与度の2/3が在庫投資であり、これによって成長率が嵩上げされており、中身に乏しい結果となった。
    3. 1-3月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+1.7%、16年度+2.0%と予測する。14年度のマイナス成長から2%を目指す回復となる。前回(第103回)予測に比して、15年度を0.2%ポイント、16年度を0.1%ポイントそれぞれ下方修正した。
    4. 14年度成長率が小幅下方修正された理由は、純輸出の下方修正による。米国経済の一時的な停滞、中国や新興国経済の不振による輸出の減速と消費増税の影響剥落による輸入の回復が影響している。しかし、民間需要が景気押し上げのメインエンジンとなり、先行き見通しは悪くない。
    5. 15年度は消費増税の影響が剥落することに加え、実質賃金の上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくる。所得増を伴った民間消費の回復や企業設備の増加が期待できる。
    6. 16年度は15年度と同じような民間需要を中心とする回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。
    7. 3月の貿易収支は21カ月ぶりに黒字に転じたが、世界経済の回復が緩やかなものにとどまっていることや原油価格がすでに反転していることから、再び赤字に戻る可能性が高い。旅行収支の改善によりサービス収支の赤字は着実に縮小し、第一次所得収支は安定的に拡大するため、15年度の経常収支は前年度から大幅拡大する。16年度は幾分縮小する。
    8. 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+1.2%となる。国内企業物価指数は-1.4%、+1.3%となる。GDPデフレータは+1.8%、0.0%と予測している。原油価格の下落によりインフレ見通しは下方修正されており、15-16年度のインフレは日銀目標の2%に至らない。
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