研究・論文

search results

「中小企業」の検索結果 [ 3/3 ]

  • -

    「東アジアとの新産業ネットワーク構築調査」概要

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2003年度

    ABSTRACT

    趣旨
    本調査では、長引く景気低迷や工場の海外移転により空洞化の危機に直面している、関西の中小製造業が、いたずらに中国脅威論に陥ることなく、中国の台頭 を現実のこととして、受け入れたうえで生き残り、さらなる発展を遂げるために、中国などの東アジアとの産業ネットワークをどのように構築すべきか、また課 題は何か、を調べた。
    関西の中小製造業と中国のローカル企業とが共存共栄をはかり得る国際分業体制の構築や、中国市場参入のための、ネットワークの在り方を探るという、問題 意識に加え、単なる「中国進出のための調査」にしないために、先進的な取り組みを進めている企業のヒアリングに重点を置いた。これらのヒアリング調査を通 じて産業ネットワークの視点として、次の3パターンに絞り、あるべき姿を視野に入れつつ、これからの産業ネットワークのイメージを提言した。

    (1) 自立した中小企業による主体的な取り組み。
    (2) 中国を単に輸出生産拠点に加え、巨大市場として捉える。
    (3) 産業集積や技術集積また人材の活用を目的とする。

    また、中国台頭の背景にある日本の製造業における構造転換の問題を取りあげることにより、ネットワーク構築の前提として今後の中小製造業が目指すべき戦略像を示した。
    従来の下請け構造が崩れ、自立を強いられる中小製造業においては、独自性の発揮、製品の高付加価値化には外部資源の活用が不可欠であり、まず何らかの形 で、存立基盤のある国内でのネットワークを構築することが必要となる。ネットワーク構築には製品や分野ごとに様々なパターンがあるが、国内において、得意 分野に経営資源を集中する一方、弱い分野を補強するために異業種企業などのの他企業、あるいは大学と連携しネットワークを構築すべきである。
    一方、経営資源の集中等により、相対的に付加価値の低い生産工程等はある程度アウトソーシングせざるを得ず、ファブレス化が進む。その際、世界的な競争 のなかで中国等はアウトソーシングの相手先としてふさわしく、直接生産拠点を設けるにせよ、ローカル企業を活用するにせよ、中国等との間で何らかのネット ワークを構築することが競争上有利となる。また、中国等は市場として魅力を増しており、販売拠点の設置やローカルの販売パートナーとの提携による売込み 等、市場参入のためのネットワーク構築が今後は重要となり、仲介役として元日本留学生等の新華僑の活用が一つのポイントになる。
    また、中小製造業が国内でネットワークを構築しながら単独で中国等のローカル企業と交流するのではなく、企業や大学等を含めたネットワークグループ全体 で行う中国等のローカル企業との交流では、受注可能な案件の拡大が期待でき、また海外市場に向けての情報収集力や営業力が強化され、新しいビジネスモデル として重要なものとなる。

    PDF
  • -

    地域経済の空洞化問題に関する調査研究

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2002年度

    ABSTRACT

    (内閣府経済社会総合研究所 平成14年度委託調査)

    関西社会経済研究所は、平成14年度において内閣府経済社会総合研究所より『持続可能な成長経路への戦略に関する国際共同研究調査(国内等研究グルー プ)』)*を受託し、その一環として、「地域経済の空洞化問題に関する調査研究」(委員長 齊藤 慎大阪大学大学院経済学研究科教授)を実施した。本研究 の趣旨以下の通り。

    趣旨
    グローバル化、賃金格差や税等負担の格差などを背景として、日本各地にある工場などが海外へ移転する動きが加速し、また日本企業が価格競争に敗れ、機能 を縮小したり、廃業したりする動向が相次ぐなどの要因から地域経済の活力が低下し、その結果これまでの日本ではみられなかったほどの失業問題等が発生して いる。この空洞化と言われる動向は、典型的には製造業にみられ、大企業から中小企業までが製造拠点を海外、特に近年は成長めざましい中国へ移転する例が多 い。先端産業から金属加工業などの在来型産業まで、幅広くこの現象が観察される。製造業の海外生産比率は平成4年度以降急激に増加しており、近年特に輸送 機械、電気機械、一般機械や精密機械などにこの傾向が顕著である。
    しかし、注意すべきは、製造業のみでなく、伝統的産業である農業さらにはサービス産業にも同様の現象が観察されることである。特に、後者が注目されるの は、インターネットに代表される情報通信の高速化、大容量化にともない、労働力の移動をともなわない形で、海外からの労働サービスを直接利用可能としてい ることである。金融業を中心とするコールセンター業務やデータ入力業務等が中国へ、情報産業におけるソフト開発がインドへ発注されている例などがよく知ら れている。
    現時点での地域別の空洞化の実態は明らかではないが、日本商工会議所が平成14年6月20日に行った「地域産業空洞化の実態調査」が参考になる。この調 査によると、「空洞化の認識については、東北、北陸信越、近畿、九州で『深刻である』との回答が8割を超えた。関東、北海道でも6割を超える地域が『深刻 である』と回答した。一方、東海は『それほど深刻ではない』との回答が約4割あった」とされている。このように、地域経済の空洞化問題は地域ごとに特色が あり、さらに深刻さの程度も異なるが、空洞化が日本経済全体の今後の持続可能性への大きな阻害要因となっていることは間違いない。
    そのため、本調査では、空洞化が深刻とされている関西についての産業構造、産業立地や労働市場に関する実証研究を中心としながらも、中国地域・九州をも 対象地域として研究を進め、空洞化の原因を究明するとともに、そこから日本全体に敷衍できる方策を引き出すことを目的としている。
    一方で、これまでにも各地域で既に自治体を中心としてさまざまな形での空洞化対策が行われており、どの程度の効果があったのかを確認することも目的の1 つである。これまで、自治体の行う政策・施策についてはほとんどその効果が評価されてこなかったように思われるが、近年になってようやく先進的な一部の自 治体が政策・施策評価に取りかかりつつある。2002年度から本格運用され始めた三重県の政策推進システム・みえ政策評価システム、2001年度から施策 評価を導入した大阪府などの新たな動きを期待しつつ、本研究では異なった観点から政策効果の評価を試みた。それは現実経済というアウトカムと、空洞化対策 などの政策・施策がどのような形で、どの程度リンクしているのかを過去のデータから実証的に明らかにすることである。
    経済がグローバル化すればするほど地域の問題がより重要になるという意味で、「地球規模で考え、地域的に行動する(think globally, act locally)」という言葉がよく言われる。グローバル化時代に向けて模索している今日の日本にあって、よりよき地域が存立するための条件を探ることは 有意義と思われる。

    * 国際共同研究の成果は内閣府hpでご覧いただけます。
    http://www.esri.go.jp/jp/prj-rc/kankyou/kankyou14.html
    http://www.esri.go.jp/en/prj-rc/kankyou/kankyou14-e.html
    http://www.esri.cao.go.jp/index.html
    http://www.esri.cao.go.jp/jp/prj/menu.html
    http://www.esri.go.jp/jp/prj-rc/menu.html
    http://www.esri.cao.go.jp/index-e.html
    http://www.esri.go.jp/en/prj-rc/menu-e.html