「ASEAN」の検索結果
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日米の超短期経済予測とASEAN への適用可能性
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2013年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
研究成果概要
本プロジェクトの一部として、ASEAN 諸国の超短期経済モデル(CQM*)構築に必要なハイフリークエンシー(High Frequency)統計と国民所得・生産勘定表(NIPA)のデータインフラの整備を調査しました。*:「Current Quarter Model」
日米のCQM はすでに構築されており、このプロジェクトにおいては毎週、毎月末に日米のCQM 予測が行われ、その結果をもとに日米経済の景気動向に関するCQMレポートがアジア太平洋研究所のホームページに掲載されました。これらの日米のCQM予測に見られるように、CQM 予測は景気の現状を常に数値とトレンドで表すことができ、また景気の転換点を市場のコンセンサスより少なくとも1 ヶ月早く指摘できるなどの特徴があります。これは、政策当局(特に、金融政策者)、エコノミスト、投資家、経営者などの政策決定に価値ある情報となります。特に、経済のグローバル化が急速に進展し、各国の相互依存が高まる中で、ハイフリークエンシー統計を用いた現状の景気判断は欠かせません。それ故、日米経済のCQM をASEAN 経済にまで拡大する日米―ASEAN CQM LINK 構想が生まれました。その第1ステップとして、2012年度においてASEAN の中のマレーシア、フィリピン、タイのそれぞれの経済に対してCQM 構築の可能性を調査しました。(報告書はこちら)第2ステップとして、2013年度においてシンガポール、インドネシア、ベトナムのそれぞれの経済に対してCQM構築の可能性を調査し、その結果をまとめました。詳細はこちら
目的
・超短期経済モデル(CQM)により、毎週日米経済の現状を捉える。
・ASEAN経済の今後の重要性を考え、日米 + ASEAN-CQM-LINK構築への準備を行う。
・日米経済に関しては毎週と月末にCQM予測をWeeklyレポートに、月末にはMonthlyレポートを作成して、APIRのwebsiteに掲載。
・経済政策担当者(特に金融)、経営者、エコノミスト、投資家と彼ら自身のそれぞれの経済政策、経営・投資戦略に使用できる。
内容
・活用できるHFD(High Frequency Data)を使用し、景気の現状・転換点を市場コンセンサスよりも1,2ヶ月早く捉えることが一つの特長。
・現地調査においては、各国でHFDのavailabilityが非常に異なることから、それらに詳しいマクロエコノミストとの議論を行う。
・毎週日米経済の現状を捉え、金融政策当局の政策判断もできる。
・景気の転換点を捉えるのに市場のコンセンサスより、1,2ヶ月は早い。
・経済政策担当者、経営者、投資家などの政策、投資戦略に役立つ。
期待される成果と社会還元のイメージ
・毎週、日米経済の現状を数値とトレンドで捉え、また景気の転換点を早く捉えられることから、企業、経済団体の経営戦略に役立つ。昨年度のこのProjectの開始時期早々にも、APIRに関して1年先の円安を見越して、1ドル70円台でのドル預金を提唱していた。
・常に、日米経済の現状を把握できていることは、長期の企業戦略を打ち立てる場合にも重要な情報となる。
・ASEANのCQM調査は、これらの国々の経済発展の進歩を捉えることができる。 精度の高い、High Frequency Dataが十分にそろっている国の経済発展には希望がもてる(マレーシア、フィリピン)。
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アジア太平洋地域の政治・経済的協力のあり方
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2022年度 » アジア太平洋軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 木村 福成 慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト
研究目的
COVID-19が猛威を振るっている中においても、多少の動揺はあったが、GVCs、IPNsはレジリンエントかつロバストであり続けた。また、2022年に入りRCEPが発効し、世界の通商環境に明るい兆しが見えかけたと思われたが、ウクライナ危機が発生し、世界経済に対し暗い影が覆い始めている。米国が民主党政権に代わり、米中貿易戦争の緩和が期待されたものの、人権問題をはじめとした、中国との論争は収まることがなく、その中で台頭してきた「経済安全保障」が、ウクライナ危機により強まる気配が生じている。
今年は秋に米国では中間選挙、中国では5年に一度の共産党大会という大きなイベントが控えており、その結果は今後の世界経済の動向を大きく左右する可能性が高い。
アジアは自由貿易に対する向かい風に抗していけるのか、進みつつあった高いレベルの自由化と新たな国際ルール作りは「経済安全保障」の前に進路を保つことができるのか、グローバル企業の事業活動に強い影響を及ぼす局面はますます早いスピードで更新されている。本プロジェクトでは、国際経済学のみならず、国際法学、政治学ならびに企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジア太平洋地域の政治・経済協力のあり方について研究を進めていく。研究内容
2022年度は2021年度に引き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点を固めていく。
また、米国中間選挙や中国共産党大会あるいはウクライナ危機等の最新状況を踏まえながら、日本、関西経済への影響についても分析していく。
木村リサーチリーダーによるASEANと日本の経済活動研究による考察を軸に、学識者、研究者並びに実務家に登壇いただき、複眼的な見地に立ったディスカッションや話題提供につなげる。企業の見識を高め、事業活動に資する情報提供の場としたい。<研究体制>
研究統括
本多 佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授リサーチリーダー
木村 福成 APIR上席研究員、慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト期待される成果と社会還元のイメージ
オープンなシンポジウム形式の研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々を中心に還元する。
対海外、特にアジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。 -
足下の関西・台湾間貿易に基づく台湾のCPTPP加盟による影響の考察
インサイト
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ABSTRACT
2021年9月22日、台湾が環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(以下CPTPP)への加盟申請を行った。台湾は関西にとって中国と米国に次ぐ重要な貿易相手である(ASEANとEUを除く)。本稿は、台湾の加盟が関西の産業に与える影響を考察した。
具体的に、貿易統計のデータを詳細に分析することで、関西・台湾間における貿易の特徴を明らかにするとともに、台湾がCPTPPに加盟した場合、関税撤廃により関西の産業がどのような影響を受けるかを示した。加えて、関西企業のグローバル・サプライチェーン構築に台湾のCPTPP加盟が及ぼす影響について考察した。
分析の結果、台湾がCPTPPに加盟した場合、電子部品・デバイス・電子回路製造業、機械器具製造業、電気機械器具製造業、化学工業、非鉄金属製造業、自転車・同部分品製造業等、関西の主要産業の多くは関税撤廃によって価格競争力が強化されることがわかった。関西の対台湾輸出の主要品目である電子部品・デバイス、電気機器及び機械類において、海峡両岸経済協力枠組協定によって低い関税率が適用されている中国は関西の最大の競争相手となるが、関税撤廃によって関西企業の対台湾輸出が拡大することが期待される。一方、化学工業、プラスチック製品製造業、卑金属製造業等は価格が低下した輸入品の増加による負の影響を受ける。なお、関税削減率を試算したところ、関西が輸出で得られる関税削減率の方が、輸入で台湾に与える関税削減率を上回ることから、加盟は台湾よりも関西に大きな関税削減効果を与える。
また、関西と台湾は主要産業において産業内分業体制が築かれており、台湾がCPTPP加盟国となった場合、完全累積制度の下で原産地規則を満たすことがより容易になるだけでなく、輸出入のコスト削減と貿易手続きの簡素化が可能となろう。加えて、投資と通商に関するルールが共有されることで、台湾と連携したグローバル・サプライチェーンの構築がより容易となる。日台間の産業協力が更に促進されることで、産業の競争力が向上し、互いの利益増加に繋がることが期待される。
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アジアをめぐる経済統合の展望と課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2021年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
APIR上席研究員 木村 福成 慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト
研究目的
アジア諸国は、日EU EPA、TPP11(CPTPP)の発効、RCEPの署名を受け、新たな段階に入りつつある。グローバリゼーションを押し戻した感もあるコロナ禍はワクチン普及が切望されるものの各国ごとの格差は大きい。バイデン政権に代わった米国は、前政権の保護主義的な通商政策からの転換が期待されるが、人権問題をはじめとした中国との論争は政治問題に拡大し、米中貿易戦争の終結は見通しにくい状況にある。アジアは自由貿易に対する向かい風に抗していけるのか、デジタルエコノミーの急速な進歩はこれまでのグローバル・バリューチェーンをどう変えていくのか、高いレベルの自由化と新たな国際ルール作りは進むのかなど、グローバル企業の事業活動に強い影響を及ぼす局面は多岐にして早いスピードで更新されている。本プロジェクトでは、国際経済学のみならず、国際法学、企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジアの経済統合について研究を進めていく。
研究内容
2021年度は2020年度に引き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点を固めていく。また、コロナ禍の影響でアジアをめぐる情勢は急激に変化しているため、日本、関西経済への影響についても最新状況を踏まえて分析していく。
木村リサーチリーダーによるASEANと日本の経済活動研究による考察を軸に学識者、研究者並びに実務家に登壇いただき、複眼的な見地に立ったディスカッションや話題提供につなげる。企業の見識を高め、事業活動に資する情報提供の場としたい。オープンなシンポジウム形式の研究会とすることで、会員企業等の方々との情報共有を進め、また同時に多方面の方々からアンケート等でフィードバックを受ける。時事的な課題についても積極的にテーマに取り込むため、事態の新展開を常に追っていく必要がある。それら最新の情勢に関して専門性をもって解釈し、将来を見据えた議論を展開していくところに、本プロジェクトの独自性が存在する。
<研究体制>
研究統括
本多 佑三 APIR研究統括、大阪学院大学教授、大阪大学名誉教授リサーチリーダー
木村 福成 APIR上席研究員、慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト期待される成果と社会還元のイメージ
講演会の内容を基にした会員企業向けの年次報告書は、2021年度内に取りまとめる。
オープン研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々に還元する。
アジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。 -
アジアをめぐる経済統合の展望と課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2020年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 木村福成 慶應義塾大学経済学部教授
研究目的
アジア諸国は、日EU EPAの大枠合意、TPP11の署名、RCEP交渉の継続などを受け、新たな段階に入りつつあったが、Brexitと米トランプ政権の登場に象徴される保護主義的風潮が高まり、さらにコロナ禍がそれを加速させているような状況が生じている。アジアは自由貿易に対する向かい風に抗していけるのか、デジタルエコノミーの波はこれまでの製造業ベースのグローバル・バリューチェーンを中心に据えた開発戦略をどう変えていくのか、高いレベルの自由化と新たな国際ルール作りは進むのかなど、最新の情報を踏まえつつ検討すべき課題は多い。本プロジェクトでは、国際経済学のみならず、国際法学、企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジアの経済統合について研究を進めていく。
研究内容
2020年度は昨年度に引き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点を固めていくことに力を傾けながらも、コロナ禍の影響でアジアをめぐる情勢は時々刻々、急激に変化しており、日本、関西経済への影響もその時点での最新の状況の中での本質を分析する。
「アジアにおける経済のダイナミズムとグローバリゼーションの展望」をテーマにシンポジウム形式のオープン研究会にて適宜、外部講師を招聘し、最新情勢の把握と認識の共有を促進したい。
オープンなシンポジウム形式の研究会とすることで、会員企業の方々等との情報共有を進め、また同時に多方面の方々からのフィードバックも受ける。喫緊の課題についての研究実施となるため、事態の新展開を常に追っていく必要がある。それら最新の情勢に関して専門性をもって解釈し、将来を見据えた議論を展開していくところに、本プロジェクトの独自性が存在する。
研究体制
研究統括
本多佑三 APIR研究統括
リサーチリーダー
木村福成 APIR上席研究員、慶應義塾大学経済学部教授
期待される成果と社会還元のイメージ
会員企業向けの年次報告書は、2021年3月末に取りまとめる。
アジアをめぐる情勢は時々刻々と変化しており、日本、関西経済への影響も流動的であるため、研究活動をオープン研究会として開催する事を想定している。
シンポジウム形式のオープン研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々に還元する。
アジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。
<研究会の活動>
研究会
・2020年 6月26日 第1回オンラインフォーラム「アジアにおける経済のダイナミズムとグローバリゼーションの展望-コロナ禍がグローバル・バリューチェーンに及ぼす影響-」開催
・2020年10月29日 第2回オンラインフォーラム「アジアにおける経済のダイナミズムとグローバリゼーションの展望-これからの東アジア-保護主義の台頭とメガFTAs-」開催
・2020年12月14日 第3回オンラインフォーラム「アジアにおける経済のダイナミズムとグローバリゼーションの展望-米大統領選後の世界経済・政治の展望-」開催
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アジアをめぐる経済統合の展望と課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2019年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 木村福成 慶應義塾大学経済学部教授
研究目的
アジア諸国は、Brexitと米トランプ政権の登場に象徴される保護主義的風潮の高まりに危機感を抱きつつも、日EU EPAの大枠合意、TPP11の署名、RCEP交渉の継続などを受け、新たな段階にはいりつつある。アジアは自由貿易に対する向かい風に抗していけるのか、デジタルエコノミーの波はこれまでの製造業ベースのグローバル・ヴァリュー・チェーンを中心に据えた開発戦略をどう変えていくのか、高いレベルの自由化と新たな国際ルール作りは進むのかなど、最新の情報を踏まえつつ検討すべき課題は多い。本プロジェクトでは、国際経済学のみならず、国際法学、企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジアの経済統合について研究を進めていく。
2018年度はデジタルエコノミーの到来と国際分業・貿易の大変革を踏まえ、アジアの経済統合がどのような方向に向かっていくべきなのかにつき、有用な示唆を得るに至った。
研究内容
2019年度は昨年度に引き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点を固めていくことに力を傾けたい。ルールに基づく国際貿易体制の揺らぎをも踏まえつつ「アジアにおける経済のダイナミズムとグローバリゼーションの展望(仮)」をテーマに講演会形式のオープン研究会にて適宜、外部講師を招聘し、最新情勢の把握と認識の共有を促進したい。
研究会は、オープン形式の講演会とし、会員企業の方々等との情報共有を進め、また同時に多方面の方々からのフィードバックも受ける。喫緊の課題についての研究実施となるため、事態の新展開を常に追っていく必要がある。それら最新の情勢に関して専門性をもって解釈し、将来を見据えた議論を展開していくところに、本プロジェクトの独自性が存在する。
研究体制
研究統括
本多佑三 APIR研究統括
リサーチリーダー
木村福成 APIR上席研究員、慶應義塾大学経済学部教授
期待される成果と社会還元のイメージ
会員企業向けの年次報告書は、2020年3月末に取りまとめる。
アジアをめぐる情勢は時々刻々と変化しており、日本、関西経済への影響も流動的であるため、研究活動をオープン研究会として開催する事を想定している。講演会形式のオープン研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々に還元する。
アジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。
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アジアビジネスにおけるSDGs実装化
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2019年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
主席研究員 後藤健太 関西大学経済学部教授
研究の背景
アジアにおけるビジネス戦略を考えるうえで、SDGs(Sustainable Development Goals)の達成、持続可能なサプライチェーンの構築はかかせない視点である。
当研究所においては、設立当社おからASEAN諸国の研究機関等との連携を通じて、アジア太平洋地域の持続的な発展をサポートしていく調査研究を進めていくことを一つの使命としている。
研究概要
2019年度は、ILO、EUが秋口に予定している会議をターゲットに、日本におけるSDGsの取り組みなどを整理するとともに、シンポジウムを開催する。関西SDGsプラットフォームも積極的に活用する。
2020年度以降は、国内外のSDGsへの貢献事例調査を通じて、SDGsの社会実装化に向けた課題整理、提案を検討し、さらにアジアにおけるビジネス展開におけるSDGsの社会実装化に向けた提案を作成し、国内外でアウトリーチする。
研究体制
研究統括
猪木 武徳 APIR研究顧問
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アジアにおける開発金融と金融協力
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2018年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
上席研究員 京都大学教授 岩本 武和
研究目的
2017年度は、アジアにおける開発金融の実態について、(1)中国からの資本の純流出と外貨準備高減少の問題、(2)マイクロ・ファイナンスやイスラム金融などの新たな金融手法に焦点を当て、ゲストスピーカーを招聘し、足下の実態について考察した。
中国に関しては、景気回復を企図とした人民元安が資本流出を招き、その対応策としての金融政策の引き締めが当初の景気回復策を打ち消してしまうという典型的な「国際金融のトリレンマ」に直面した状態が継続している。今年度においても、「生産能力の過剰」、「不動産在庫の過剰」及び「債務の過剰」という3つの過剰問題を中心とした中国の資本フローの研究を継続する一方で、2017年に続いてアジアの成長に資する開発金融のあり方に関して、カンボジアを中心とする途上国のドル化の問題や行政経験のある有識者を招聘して金融面からみたアジア経済の主要な課題についての検討を試みたい。
研究内容
アジアの開発金融(アジアの経済成長に資する投資のために動員される国内外の公的及び民間金融)について、以下のようなテーマを理論的かつ実証的に解明する。
(1)リーマン・ショック後の中国経済の減速を背景にした「アジアの新興国、特に中国からの資本流出」についての昨年度の研究を継続する。
(2)東南アジアの金融メカニズムの実態(カンボジアにおける基軸通貨のドル化)調査を実施。
(3)東南アジアの国際機関の勤務経験を有する専門家を招聘し、金融面からみたアジア経済の主要な課題の検討を実施。
(4)アジアインフラ投資銀行(AIIB)とインフラ開発及びアジアにおける金融システム改革や 銀行部門の資金調達等に関して、中国・ASEAN数カ国に現地調査を行う予定である。
以下のようなテーマ、研究会、ワークショップ、フォーラムを行う予定である。
(1)「東南アジアの金融メカニズムの実態」に関する研究会
(2)「金融面からみたアジア経済の主要な課題を考える」ワークショップ
(3)「ASEAN+3の枠組みによる金融協力の成果と今後の課題」に関する研究会
(4)「人民元改革とアジアの金融統合」に関する研究会(3年間の研究成果のまとめ))
統括
本多佑三 APIR研究統括
リサーチャー
三重野文晴 京都大学 東南アジア研究所教授
矢野 剛 京都大学 大学院経済学研究科教授
青木浩治 甲南大学 経済学部教授
中山健悟 APIR調査役・研究員
リサーチアシスタント
芦 苑雪 京都大学アジアアフリカ地域研究科
期待される成果と社会還元のイメージ
(1)中国における国際資本フローに関する報告(時系列などの金融市場データを含む)
(2)『アジアにおける開発金融と金融協力』に関する報告書
(3)本研究会の研究成果を踏まえた書籍の出版
そのほか、政策立案、ビジネス戦略策定、将来予測の裏付けとなる理論的・実証的裏付け、公共財や研究インフラとなる研究成果やデータに資する。
<研究会の活動>
研究会
・2018年8月8日 第1回研究会開催
「カンボジアのドル化:アジア開発金融への示唆」講師:一橋大学大学院 奥田英信 教授
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アジアをめぐる経済統合の展望と課題
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2018年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 木村福成 慶應義塾大学経済学部教授
研究目的
アジア諸国は、Brexitと米トランプ政権の登場に象徴される保護主義的風潮の高まりに危機感を抱きつつも、日EU EPAの大枠合意、TPP11の署名、RCEP交渉の継続などを受け、新たな段階にはいりつつある。アジアは自由貿易に対する向かい風に抗していけるのか、デジタル・エコノミーの波はこれまでの製造業ベースのグローバル・ヴァリュー・チェーンを中心に据えた開発戦略をどう変えていくのか、高いレベルの自由化と新たな国際ルール作りは進むのかなど、最新の情報を踏まえつつ検討すべき課題は多い。本プロジェクトでは、国際経済学のみならず、国際法学、企業研究などさまざまな知見を得ながら、アジアの経済統合について研究を進めていく。
2018年度は、過去3年間の研究プロジェクトの後継として、改めて研究のスコープを設定し、特に企業経営に影響を与えうる諸要因の抽出を行っていく。
研究内容
2017年度までの3年プロジェクトから仕切り直しとなる初年度は、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点を固めていくことに力を傾けたい。また最新情勢の把握のため、適宜、外部講師を招聘し、認識の共有を促進したい。
研究会は、オープン形式のワークショップとし、会員企業の方々等との情報共有を進め、また同時に多方面の方々からのフィードバックも受ける。喫緊の課題についての研究実施となるため、事態の新展開を常に追っていく必要がある。それら最新の情勢に関して専門性をもって解釈し、将来を見据えた議論を展開していくところに、本プロジェクトの独自性が存在する。
リサーチャー
期待される成果と社会還元のイメージ
オープン形式のワークショップにおいて、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々に還元する。また、アジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。
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アジア太平洋地域におけるFTAとEPAのあり方
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2017年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 木村福成 慶應義塾大学経済学部教授
研究目的
2017年1月、米国トランプ大統領がTPPからの撤退の意志を明確にした。今後、「ポストTPP」がどのような方向に行くのか、他の選択肢も含めて注意深くその動向を調査・分析する必要がある。また、「ポストTPP」が他の多国間経済連携協定(AEC、RCEPなど)へ与える影響もふまえ、東アジア諸国の経済はどのように変わっていくのか、またそれは日本・関西の企業にどのような変化をもたらすのか、経済、国際法、国際政治など多方面から分析を加える。
研究内容
研究3年目の最終年度となる2017年度は、商業出版も視野に入れながら、研究会を進めていく。内容としては、第一に、国際通商政策体系の再編と東アジアが目指すべき経済統合の姿について、経済学、国際政治学、国際経済法の視点から議論を深める。それを踏まえ、第二に、東アジア経済統合の進展を、台湾のケース、ASEAN・東アジア経済統合、連結性、企業活動などの切り口から、検討を加えていく。
リサーチャー
阿部顕三 大阪大学大学院経済学研究科教授
春日尚雄 福井県立大学地域経済研究所教授
川島富士雄 神戸大学大学院法学研究科教授
椎野幸平 拓殖大学国際学部准教授
清水一史 九州大学経済学研究院教授
陳 永峰 東海大学副教授・日本地域研究センター長
湯川 拓 大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授
期待される成果と社会還元のイメージ
オープン形式のワークショップにおいて、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々に還元する。研究成果の集大成として商業出版を実施し、一般の方々にも広く研究に理解を得る。また、アジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。
<研究会の活動>
研究会
・2017年4月14日 キックオフミーティング開催
・2017年6月27日 第1回研究会開催
・2017年10月02日 第2回研究会開催
・2017年12月18日 第3回研究会開催
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アジアにおける開発金融と金融協力
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2017年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 京都大学教授 岩本 武和
研究目的
2016年度のプロジェクトでは、「アジア新興国における国際資金フロー」について、特に「中国からの資本の純流出と外貨準備の減少」に焦点を当て、「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)と「一帯一路」構想を、こうした文脈において考察した。現在の中国では、景気回復のための元安が資本流出を招き、それに対応するためには金融を引き締めざるを得ず、当初の景気回復策を打ち消してしまうという意味で、典型的なトリレンマに直面している。今年度においても、中国を中心としたアジアにおける国際資本フローの研究を継続する一方で、中国のみならず広く「金融協力」という側面から、アジアの成長に資する開発金融のあり方を検討する。
研究内容
アジアの開発金融(アジアの経済成長に資する投資のために動員される国内及び海外の公的及び民間の金融)について、以下のようなテーマを理論的かつ実証的に解明する。第一に、リーマン・ショック後の中国経済の減速を背景にした「アジアの新興国、特に中国からの資本流出」についての昨年度の研究を継続する。第二に、ASEAN+3の枠組みによる金融協力の成果を検証し、今後の課題を展望する。(3)アジアインフラ投資銀行(AIIB)とインフラ開発、およびアジアにおける金融システム改革や銀行部門の資金調達等に関して、中国およびASEAN数カ国に現地調査を行う予定である。
具体的には、以下のようなテーマを取り上げ、以下のような研究会、ワークショップ、フォーラムを行う予定である。(1)「東南アジアの金融メカニズムと政策的取り組み」に関する研究会、(2)「リーマン・ショック後の中国の国際資本フロー」に関するワークショップ、(3)「ASEAN+3の枠組みによる金融協力の成果と今後の課題」に関する研究会、(4)「アジア太平洋における地域統合と金融統合」に関するフォーラム(「アジア太平洋地域におけるFTAとEPAのあり方」プロジェクト(木村福成上席研究員)とのジョイント・フォーラム)
統括
猪木武徳 研究統括
リサーチャー
三重野文晴 京都大学 東南アジア研究所教授
矢野 剛 京都大学 大学院経済学研究科准教授
青木浩治 甲南大学 経済学部教授
Cao, Thi Khanh Nguyet APIR研究員
辻 俊晴 APIR総括調査役
研究協力者
北野尚宏 国際協力機構 JICA研究所所長
高野久紀 京都大学 大学院経済学研究科准教授
伊藤亜聖 東京大学 社会科学研究所講師
リサーチアシスタント
芦 苑雪 京都大学アジアアフリカ地域研究科
期待される成果と社会還元のイメージ
(1)中国における国際資本フローに関する時系列データ
(2)アジアにおけるよる金融協力の成果に関する報告
(3)アジアのインフラ開発に時系列データ
(4)マイクロ・ファイナンスに関する実験データ
(5)アジアにおける開発金融と金融協力に関する報告書
(1)政策立案、ビジネス戦略策定、将来予測の裏付けとなる理論的・実証的裏付け
(2)公共財や研究インフラとなる研究成果やデータ
<研究会の活動>
研究会
・2017年5月18日 第1回研究会開催
・2017年8月3日 第2回オープン研究会(予定)
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環太平洋経済連携協定(TPP)と東アジア経済統合
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2016年度 » アジア太平洋地域の経済的ダイナミズムと今後の行方
ABSTRACT
リサーチリーダー
上席研究員 木村福成 慶應義塾大学経済学部教授
研究目的
2015年10月の環太平洋連携協定(TPP)大筋合意は、東アジア諸国にも大きな影響を与えつつある。TPPが早期に批准・発効するかどうかについては、米議会の動向等、未だに不確定要素が存在する。しかし、協定文ドラフトが公表された今、TPP交渉参加国は対応策を練り、周辺国もTPPに参加するか否かについて真剣な検討を始めている。日EU経済連携協定の交渉は加速されつつあるが、一方で東アジア経済連携協定(RCEP)や日中韓FTAの交渉はモメンタムを失いつつあるように見える。
このような新しいメガFTAsの展開のもと、東アジア諸国の経済はどのように変わっていくのか、またそれは日本あるいは関西の企業にとってどのような変化をもたらすのかは、緊急に検討すべき課題である。本プロジェクトでは、官民学のステークホルダーに対し直近の情報を提供しつつ、自由化と国際ルール作りにつき、経済と国際法の両面から分析を加えていく。
研究内容
第2年度となる2016年度は、TPPがASEANおよび東アジアの経済社会に与えうる影響、それに伴うASEAN経済統合やRCEPの変容、それらを踏まえての日本・関西企業のビジネスチャンスに焦点を絞り、国際政治学、国際経済法、国際貿易論、アジア経済論の気鋭の研究者を集め、議論を深めていく。
リサーチャー
阿部 顕三 大阪大学大学院経済学研究科教授
春日 尚雄 福井県立大学地域経済研究所教授
川島富士雄 神戸大学大学院法学研究科教授
清水 一史 九州大学経済学研究院教授
陳 永峰 東海大学副教授・日本地域研究センター長
湯川 拓 大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授<研究会の活動>
研究会
2016年 7月 4日 第1回研究会開催
2016年 8月31日 第2回オープン研究会開催
2016年12月13日 第3回オープン研究会開催 -
日本の対アジア太平洋外交政策と通商政策のあり方
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2014年度 » アジア太平洋地域の経済成長と発展形態
ABSTRACT
リサーチリーダー
主席研究員 大矢根聡 同志社大学教授
研究目的
緊張感が高まる東アジア地域の外交関係の中で、日本の通商政策のシナリオオプションを探る。
研究内容
今般、日中・日韓関係が混迷し対米関係にも影を落としていることに鑑み、政治学・国際関係論分野の地域研究、政治経済・安全保障研究の観点から、二国間外交における対立緩和メカニズムの変化や対応策を検討する。日本と中国、韓国、ASEAN、アメリカの国内政治・外交上の変化と、それが通商政策、ひいては地域秩序に及ぼす影響をとらえ、対応策に関して提言をまとめる。
リサーチャー
大西 裕 神戸大学 教授
三宅康之 関西学院大学 教授
西山隆行 成蹊大学 教授
多湖 淳 神戸大学 准教授
湯川 拓 大阪大学 准教授
期待される成果と社会還元のイメージ
関西においては、政治や国際関係に関するオープンな研究会、シンポジウムの開催が少ない。前年度までの本研究会の活動が多くの企業関係者、市民の参加を得て、好評であった。本年度はより発展的なシンポジウム開催や研究成果の刊行等をとおして社会への一層の還元を図る。
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日米の超短期経済予測
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2014年度 » アジア太平洋地域の経済成長と発展形態
ABSTRACT
リサーチリーダー
主席研究員 熊坂侑三 ITeconomy CEO
研究目的
日米の超短期予測の精度をより高め、今四半期・次四半期の経済動向を他のエコノミストができない「数値」と「トレンド」で常に語ることを目的とする。
研究内容
日米の超短期予測を週次ベースで実施する。超短期予測による簡潔でタイムリーな分析レポートは原則毎週月曜日にHP上で発表される。毎月の最終週には、超短期予測から見た日米経済の月次動向が発表される。経済トピックスを踏まえ四半期経済の月次変化が解説される。H26年度は引き続きASEAN地域での超短期予測の可能性を検討し準備を行う。
リサーチャー
稲田義久 APIR研究統括
期待される成果と社会還元のイメージ
超短期予測の特徴は市場の見方よりもいち早く日米経済の景気転換点を把握できることにある。このため、経済政策者、エコノミスト、企業経営者の意思決定に役立つ情報を提供できる。
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世界の人口と経済に関する超長期データベースの作成
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2013年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
目的
OECDが発表した2060年までの加盟国の実質GDPに関する予測によれば、中国およびインドは、GDPにおいて21世紀中葉にアメリカを凌駕し一人当たりGDPも順調に上昇すると推定されている。英国エコノミスト誌も、2050年までの世界の経済、人口、社会構造等に関する長期予測を発表するなど、世界的に長期予測に関心が高まっている。この研究においては、2100年までの世界160カ国について、人口、実質GDP、および一人当たりGDPを予測し、それをデータベースとして広く一般に提供することを目的とする。
内容
初めに、アンガス・マディソンの歴史統計(西暦1年~2006年)によって、各国の人口と実質GDPの統計的関係性を推定する。次いで、国連の人口推計を手がかりとして、160カ国について、2100年までの実質GDPと一人当たりGDPの年次推定を行う。最後に、それらのデータを公表するための、簡易データベースを構築し、APIRデータとしてホームページ上に英文で公表する。国連の人口推計もIMF経済展望も定期的に改訂されるため、このデータベースも再推定した結果を継続的にアップデートすることとする。
期待される成果と社会還元のイメージ
・人口動態が経済に与える影響を明示する。100年におよぶ超長期予測のベースとなる変数は人口であることにもとづく。
・世界の中には人口増加に伴って一人当たりGDPが低下するという「マルサスのわな」に陥っている国もあることを明らかにする。
・21世紀の中央まで一人当たりGDPの国別格差が縮小する方向に動くが、それ以降再び国別格差が拡大することを示す。
・2100年時点の世界経済においてもアメリカの優位性は保たれ、中国やインドは人口減少でマイナス成長に転移すると予想する。
・ASEAN(+6)、TPP参加予定国、EUなどの地域経済の長期的展望についても明らかにする。
・APIRでの各研究の基礎データとなるとともに、投資先を検討する企業にも、カントリーリスク推定などに利用価値が高いと思われる。
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環太平洋経済協力をめぐる日・米・中の役割
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2013年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
研究成果概要
本研究では、主要国において政権交代後に一定の傾向を示しつつある通商政策を把握し、TPP(環太平洋連携)協定やRCEP(東アジア地域包括的経済連携)協定の交渉の動向を考察して、アジア太平洋地域における経済協力の枠組みの変化を説明した上で、日本が果たすべき役割を提示しました。詳細はこちら
?目的
この研究の背景には、日・米・中・韓で2012年に政権選挙と、政治的指導者の交代が相次いだことがある。政権交代によって、主要国の環太平洋経済協力を巡る対応はどのように変化するか。地域貿易協定(RTA)に関するTPPのような契約型アプローチと、ASEAN型の合意型アプローチの間で、日本はどのような役割を果たすことができるか。この研究では、地域経済協力の可能性と限界について、国際関係、歴史、政治経済学的視点から分析する。 本研究では、政権交代の通商政策への影響とそれを踏まえた日本の役割への提言を、企業関係者と一般市民を対象にまとめる。
内容
関西を代表する米・中・韓各国政治および国際政治、国際政治経済の専門家で研究会を構成し、それぞれが各国及び国際関係の情勢を調査・分析し、それを会員企業及び一般市民に開かれたオープンなワークショップ・シンポジウムを通じて知見の共有と発展を図る。現地調査にはアメリカで関係学会への出席及び政府関係者へのヒアリングを予定する。 ?政治学的なテーマでのオープンなワークショップ・シンポジウムの開催は、会員企業、市民に対する関西発の特徴ある社会還元となる。
期待される成果と社会還元のイメージ
アジア太平洋地域における地政学的分析を踏まえ、日本がTPP、日中韓間FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉にどのような態度で臨むべきか明らかにする。 2012年に日、米、中、韓で改まった政治指導体制が2013年には本格的に始動する。2013年体制がもたらすアジア太平洋地域の新たな政治秩序と、経済協力との関係についての展望を明らかにする。アジア太平洋地域における経済協力と政治的安定性との間の因果関係を分析し、国際政治的リスクの視点から、日本企業が留意すべきポイントを明らかにする。
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日本経済(月次)予測(2013年3月)<日本企業はChina plus oneに向けて本格的な舵を切ったか?>
経済予測
経済予測 » Monthly Report(日本)
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ABSTRACT
この1ヵ月の予測動向の特徴は、2月後半から両モデルの予測値は3%を超える上昇トレンドを示したが、3月後半には純輸出の予測が反転縮小したことから2%台前半に低下したことだ。今後を占ううえで、純輸出の動向が重要になってくる。 ?2月の貿易統計で注目すべきポイントは、対ASEAN輸出が対中輸出を久方ぶりに上回ったことである。 ?中国がWTOに加盟し国際市場にリンクされるに至り、急速にそのシェアを拡大し2005年半ばにはASEANを抜いた。しかし、その後拡大傾向にあった対中輸出シェアは昨年9月以降、日中関係の悪化により急速に低下したためである。
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日米アセアン経済の超短期経済予測
研究プロジェクト
研究プロジェクト » 2012年度 » アジア太平洋地域軸
ABSTRACT
リサーチリーダー
熊坂 侑三 ITeconomy CEO研究成果概要
日米の超短期経済モデル(CQM*)が日米経済の現状の景気判断に適し、それが政策当局(特に金融政策者)、エコノミスト、投資家、経営者等の政策決定に役立つことから、日米―ASEAN CQM LINKの構想が生まれました。経済のグローバル化が急速に進展している今、ハイフリークエンシー(High Frequency)統計に基づく現状の景気判断が常に数値とトレンドで客観的になされることは地域経済の景気判断・安定化に役立ちます。最初のステップとして、マレーシア、フィリピン、タイにおけるCQM構築の可能性を調べました。これらの国々においてはCQM構築に十分なハイフリークエンシー統計の整備がなされています。CQMに望ましい季節調整統計によるCQMはタイ経済においてのみ可能でありますが、フィリピン、マレーシアに関しては季節調整がなされていないCQMの構築が可能です。*:「Current Quarter Model」 詳細はこちら研究目的
グローバル経済下、ハイフリークエンシーデーターを活用した超短期経済モデル(CQM)による予測は、現 在の景気動向を常に数値と方向性で捉えることができることから、経済政策当局や企業経営者にとって重要な役割を果たす。ほぼ毎週、日米の景気動向を捉える と同時に、ASEAN諸国の超短期モデル構築にむけた調査を行う。研究内容
○日米経済動向について、重要な経済指標の発表による経済動向の変化を毎月3回の超短期レポートで報告
○詳細な日米経済の動向や連銀等の金融政策のあり方を月次レポートで報告
○年に2?3回セミナーを開催
○ASEAN諸国におけるCQM構築にむけ、タイ、フィリピン、マレーシアに関する調査、CQM構築の具体的構想を作成メンバー
稲田義久 (甲南大学)
<海外協力者(予定)>
国家経済社会開発委員会(タイ)、
国家経済開発庁(フィリピン)、
Bank Negara Malaysia(マレーシア)等 6名程度期待される研究成果
・日米経済動向を数値と方向性で捉えることによる景気判断の明確化
・CQM予測から景気の転換点を市場のコンセンサスよりも約1カ月早く予測
・企業の投資戦略にも重要な情報を提供
・日米とASEAN諸国のCQMをリンクして予測することでアジア地域のリセッションの緩和・回避