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「2023年度」の研究・論文一覧 [ 3/4 ]

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.123-景気は足下改善、先行きは足踏みの兆し: 消費は緩やかに回復も輸出減速が景気下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 新田 洋介

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下改善、先行きは足踏みの兆しがみられる。足下、生産は2カ月連続の減産だが、1-3月期から幾分持ち直している。雇用環境は底堅く推移し、消費は緩やかに回復している。一方、景況感は物価やコストの上昇もあり悪化が続く。先行きについては海外経済悪化による輸出の減速が景気下押しリスクとなっており、足踏みの兆しがみられる。
    ・5月の生産は2カ月連続の前月比低下。電気・情報通信機械、輸送機械や化学(除.医薬品)等が減産に寄与した。4-5月平均は1-3月期平均に比して幾分持ち直している。
    ・5月は失業率が2カ月連続で改善し、4‐5月期の労働力人口と就業者数の平均値はいずれも1‐3月期平均を上回っている。また、有効求人倍率が横這いで、新規求人倍率が上昇した。雇用環境は底堅く推移している。
    ・4月の現金給与総額は26カ月連続の前年比増加となったが、目立った増加が見られず、春季労使交渉の結果は速報値に十分に反映されていないようである。実質ベースでは14カ月連続で減少した。
    ・5月の大型小売店販売額は20カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は外出機会の増加で、衣料品と化粧品などが好調。スーパーは8カ月連続の増加となった。
    ・5月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比増加。前月の反動増の影響もあり、貸家と分譲は大幅に増加した。
    ・5月の建設工事出来高は17カ月連続の前年比増加。4カ月連続で2桁の伸びとなった。うち公共工事は2桁の伸びが5カ月続いている。また、6月の公共工事請負をみれば、兵庫県神戸市の再開発工事に関連する発注が影響し、2カ月連続の大幅増加となった。
    ・6月の景気ウォッチャー現状判断は2カ月連続の前月比悪化。物価やコスト上昇が続いたことに加え、天候不順で客足が減少したことが影響した。また、先行き判断も3カ月連続で悪化した。
    ・6月の貿易は輸出入ともに前年比減少となり、どちらも減少幅は前月から拡大した。特に輸入は2カ月連続で2桁のマイナスとなった。結果、4-6月期の輸出は前年同期比-4.3%と11四半期ぶりの減少、輸入は同-11.0%と10四半期ぶりの減少となった。
    ・6月の関空への外国人入国者数は2カ月連続で50万人超の水準となり、コロナ禍前の7割を回復した。4-6月期では、16年4-6月期に次ぐ水準となった。
    ・中国の4-6月期実質GDPは前年同期比+6.3%と前期から加速した。しかし、その背景には前年に実施されたロックダウンに対する反動増がある。足下は雇用回復が緩慢なため家計の先行き不安が強く、需要の持ち直しは弱い。そのため、雇用の大幅な改善が見込めない限り、7-9月期の経済成長率は前期より減速する可能性が高い。

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:5月レポート No.48

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、5月の訪日外客総数(推計値)は189万8,900人と、着実に回復しつつある

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば3月は181万7,616人。うち、観光客は158万2,518人と4か月連続で100万人を超える水準となった。観光客を国・地域別にみれば、米国が2カ月連続でコロナ禍前を回復した。

    ・訪日外客の先行きについては引き続き回復が見込まれているが、地域への誘客促進による一層の消費拡大が今後の課題となろう。

     

    【トピックス1】

    ・関西5月の輸出は4カ月ぶりに前年比減少。また、輸入は2カ月連続で同減少した。結果、輸出入とも減少したが、輸入の減少幅が大幅拡大したため関西の貿易収支は4カ月連続の黒字となった。

    ・5月の関西国際空港への50万1,210人と50万人超の水準となり、回復傾向を維持している。空港別に訪日外客数の戻りをみてみると、羽田空港は2カ月連続でコロナ禍前を上回り、成田空港はコロナ禍前の8割を回復しているが、関空は依然6割程度の回復にとどまっている。

    ・4月のサービス業の活動は社会経済活動の進展から改善。第3次産業活動指数は2カ月ぶりの前月比上昇。また対面型サービス業指数、観光関連指数はそれぞれ2カ月ぶりにそれぞれ上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・3月の関西2府8県の延べ宿泊者数は10,462.3千人泊、2019年同月比-3.2%と3カ月連続で減少したが、減少幅は前月より縮小した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は8,386.6千人泊と6カ月連続の増加。また、外国人延べ宿泊者数は2,075.8千人泊、2019年同月比-25.3%と減少幅は前月から縮小した。

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  • 木村 福成

    アジア太平洋地域の政治・経済的協力のあり方

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » アジア太平洋軸

    RESEARCH LEADER : 
    木村 福成

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 木村 福成 慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト

    成果報告

    2023年度は、世界を取り巻く様々な状況を踏まえて日本の経済外交はいかにあるべきか、日本企業のアジア戦略はどのように展開していくべきかを探るため、以下3つのテーマでフォーラムを開催しました。

    ①拡大する半導体産業の日本・関西経済への影響

    世界各国に張り巡らされた半導体産業のサプライチェーンの全体像と、米中対立をきっかけとした米国によるサプライチェーン巻き戻しの動き、今後の日本における半導体産業の可能性について

    ②ASEAN経済の将来シナリオと日本経済への影響

    10加盟国により着実に経済統合、貿易自由化を進めているASEANにおける2025年以降の中長期的な政策シナリオと課題について

    ③権威主義体制の弊害を「無害化」する通商ルール構築を~中国とどう向き合うか~

    中国の異質な経済体制とそれに起因する法的不安定性・予見不可能性のリスク、国際通商ルールが実効的なものになるための規律づけの可能性や中国経済の今後の見通しについて

    当初計画

    研究の背景

    広島で開催された主要7か国首脳会議では、対中国を念頭にまとめられた共同文書に「経済的威圧を抑止し対抗する」と明記され、半導体やレアアース(希土類)といった重要物資のサプライチェーン(供給網)の枠組みを構築する方針が示された。特定の分野でのサプライチェーンのデカップリングが進むなか、一方で東アジア全域において展開されている国際的生産ネットワークは引き続き活発に動いている。

    本プロジェクトでは、経済安保上の利益とグローバル化の経済的利益の間の折り合いをつけながら、国際通商ルールに基づき自由で開かれた経済活動を発展させていくことの重要性を再確認していく。

    国際経済学のみならず、国際法学、政治学ならびに企業研究など様々な知見を得ながら、アジア太平洋地域における政治・経済協力のあり方について研究を進めていく。

     

    分析の手法または現地調査の詳細

    2022年度に引き、刻々と変化する国際貿易体制の状況を踏まえながら、マクロ的には自由貿易体制の行方、ミクロ的には自由化と国際ルール作りの要点につき、学際的な視点を深めていく。
    また、米中対立、ウクライナ戦争の影響による地政学的緊張が継続するなか、今年度は日本が米国や欧州諸国と協調し実施する輸出管理の日本・関西経済への影響についても分析しつつ、あわせて活力を維持している東アジア生産ネットワークの現状とルールに基づく国際貿易秩序の行方についても検討してく。

    木村リサーチリーダーによるASEANと日本についての経済研究を軸に、学識者、研究者並びに実務家に登壇いただき、複眼的な見地に立ったディスカッションにつなげる。企業の見識を高め、事業活動に資する情報提供の場としたい。

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    オープン研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々を中心に還元する。
    対海外、特にアジア太平洋地域における事業展開戦略の策定に資する。

    研究体制

     
    研究統括

    本多 佑三  APIR研究統括、大阪大学名誉教授

     
    リサーチリーダー

    木村 福成  APIR上席研究員、慶應義塾大学経済学部教授、ERIAチーフエコノミスト
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  • 後藤 健太

    サステイナビリティと人権

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » アジア太平洋軸

    RESEARCH LEADER : 
    後藤 健太

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR主席研究員 後藤 健太 関西大学経済学部教授

    当初計画

    研究の背景

    アジアにおけるビジネス戦略を考える上で、SDGs(Sustainable Development Goals)の達成、ESG投資、持続可能なサプライチェーンの構築は欠かせない視点である。

    2019年度から4年にわたり企業経営についてSDGs視点が不可欠であることを情報発信するとともに、具体的な事例(ベトナムにおけるエビ養殖業サプライチェーン)について調査研究してきた。これらの成果を土台とし、2023年度からは繊維産業のグローバル・バリューチェーンにおける日本企業の強みを生かしたSDGs経営のあり方を探る。

     

    研究内容

    日本国内の地方にある「産地」を訪問し、サステイナビリティと人権の視点でSDGs経営の実態と課題を明らかにする。その上でグローバル・バリューチェーン全体に対してどのようにSDGs経営を担保していくかを考察する。

    *グローバル・バリューチェーンの維持を通じて社会経済活動の持続可能性を高める啓蒙活動

    *繊維産業のグローバル・バリューチェーンの中で日本が今も強みを持つ分野を明らかにすることを通じて、日本のDe Facto型SDGs経営がもつ優位性を示す

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・地域経済活性化の視点をもつ。

    ・人権に関する国際社会、日本政府での動きを踏まえ、まだ踏み込めていない企業に対する理解促進につながるエビデンスとなるように意識する。

    ・SDGs経営が地域産業の特性・強みを生かした企業経営、地域経営につながる視点であることを発信する。

    ・消費者の行動変容が起点になり生産者の行動変容が促され、社会全体が変化する

    研究体制

    研究統括

    本多 佑三  APIR研究統括、大阪大学名誉教授

    リサーチリーダー

    後藤 健太   APIR主席研究員、関西大学経済学部教授

    リサーチャー

    菊池 淳子  日本工営 サステナビリティデザイン室長
    草郷 孝好  関西大学 社会学部教授
    佐井 亮太  コーエイリサーチ&コンサルティング 主任コンサルタント
    佐藤 寛   開発社会学舎 主宰
    田中 竜介  ILO駐日事務所 プログラムオフィサー/渉外・労働基準専門官
  • 稲田 義久

    持続可能なツーリズム先進地域・関西をめざして

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

    当初計画

    研究目的

    自治体・DMO等での、持続可能なツーリズム戦略策定への情報提供の必要性

    コロナ後の観光戦略には、万博開催に向けて急回復が見込まれるインバウンドの獲得に加えて、国内客も含めた高付加価値化、さらにSDGs・観光地域づくりも踏まえ、経済、環境、地域社会いずれの面でも持続可能であることが求められている。自治体・DMO等での今後の戦略策定に寄与するため、数量分析を中心に現状の課題と解決の方向性を検討したい。

    観光地の「ブランド力」指標の必要性

    本研究が示してきたインバウンド消費の4つの決定要因のうち、地域のツーリズム関係者が唯一、自力で向上できる「ブランド力」には定量的な指標が確立されていない。ブランド力向上の戦略策定に寄与すべく、これを定量化する指標を作りたい。

     

    研究内容

    2022年度に引き続き、以下の5つの軸でバランスよく進める。

    ①関西基礎統計の整理

    ②マイクロデータによる実証分析

    ③ブランド力指標の開発のための、アンケート調査と結果の解釈

    ④観光戦略の在り方や、成長戦略立案の課題検討

    ⑤万博に向けた戦略を官民で意見交換する場の設定

    期待される成果と社会還元のイメージ

    研究成果としては、関西インバウンド基礎統計の整備(月次レポート、トレンドウォッチ)、マイクロデータの分析成果(トレンドウォッチ)、関西観光戦略の課題の共有化(研究会、フォーラム等での情報提供と議論)を予定している。
    また、上記研究成果を「ポストコロナにおける観光政策の立案」、「観光ハード面とソフト面のインフラ整備」、「推計値を用いた観光DMOのプロモーション施策の検証」等に活用できるであろう。

    研究体制

    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチャー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科教授
    野村 亮輔  APIR副主任研究員
    郭 秋薇  APIR研究員
    KARAVASILEV Yani  APIR研究員、京都文教大学総合社会学部講師
  • 下條 真司

    関西・大阪における都市ぐるみ、都市レベルのDX

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    下條 真司

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 下條 真司 青森大学教授

    成果報告

    政府は「デジタル田園都市国家構想」の検討を開始し、デジタルを最大限活用して公共サービスの維持・強化と地域経済の活性化を図り、地域の個性を生かしながら「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」を目指すとしています。しかし、国内での取組み以上に、GAFAを中心とする米系プラットフォーマーによるデータ収集と利活用の動きは目覚ましく、個人や地域のデータが、米系プラットフォーマーに一極集中する事態を招いています。

    研究会では、様々な論点で都市OS基盤の在り方を議論し、以下提言を示しました。

    【データ主権の確保】
    集中型プラットフォームによる富(データ)の集中を防ぐには、 データ主権を維持する仕組みが必要

    【多様性・寛容性のあるスマートシティの実現】
    自己組織的、かつ、データの地産地消が可能な“地域のプラットフォーム”を適用すべき

    【個人データの二次利用拡大】
    利活用審査による二次利用も認めることが必要であり、そのための第三者機関を新たに設置すべき

    【データの所有権と利用権の分離】
    データは所有権と利用権を分離して、データの価値創出を加速する取組みが必要

    【住民のリテラシー向上】
    住民にリスキリングの機会(リカレント教育)の提供が必要

    【デジタル民主主義の構築】
    地域住民自身による熟議を促すプラットフォームと、市民参加型予算の導入について検討すべき

    当初計画

    ※期中の研究会の進捗(議論の方向性)により、一部変更となりました。

    研究の背景

    本研究プロジェクトはICTによる「人々の幸せを中心とする、持続的に成長する都市」の実現に向けて、ICTの負の影響を避けるための留意点を検討する、2016年度発足の研究の一環である。

    わが国では岸田内閣の「デジタル田園都市国家構想」等、内閣府、国土交通省、総務省等主導で、スマートシティに関連する計画や事業が、全国で実装へ進みだした。大阪府市でも、2025年度 大阪・関西万博に向け、2つのフィールド(夢洲、うめきた2期)で先端的なサービスの提供を強力に推進して、実証・実装や規制改革によりスーパーシティ構想の実現に取り組んでいる。

    各自治体は、取り組みを進める上で、海外でのスマートシティの先進成功事例(バルセロナ、アムステルダム等)を学ぶ一方、うまく進まなかった事例(トロント、ポートランド、国内自治体DX街づくり等)について、必ずしも十分に検証尽くされていません。また、国主導の街づくり推進事業では、自治体の安易なIT企業への依存により、成果がなく実用化されない事例も問題視されている。

    そこで、大阪府市が2つのフィールド(夢洲、うめきた2期)で、スーパーシティ構想への取り込みを進めている一方、一般市民の日常生活には、現状あまり具体的な変化や展望が伝わっていない。

    各地のスマートシティ事例調査から過去経験した課題を抽出し、今後必要となる要件を明らかにし、スマート技術で一般市民の日常を可視化し改善する、データ利活用の方向性を提案していく。

     

    研究内容

    (1)  スマートシティや、自治体DXの(失敗)事例から、諸課題を抽出、論点を整理。

    (2) 課題を設定し、新たな視点からの解決策を議論。

    (3)  フォーラムを開催、(1) (2)で得た課題や解決策を討議し、方向性を共有する

    (4)  研究会(3)で得た知見や方向性で更に課題抽出

    (5)  大阪で実装へ進みだした、各スマートシティの取組との、情報共有や意見交換を実施し、成功に資する協力をすすめる。

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    オープン研究会において、多方面からの理論・実証・政策研究の成果を提供し、企業の方々を中心に還元する。

    大阪府市のスーパーシティ、都市OSに向けた提言、産官学・各社の枠を超えたDX/スマートシティの諸課題に関する情報共有と議論の場(研究会、フォーラム)を提供することで、交流の場として各社での取り組み事例や先進事例を共有できる機会としていただく。

    研究体制

    研究統括

    宮原 秀夫  APIR所長

    リサーチリーダー

    下條 真司  APIR上席研究員、青森大学ソフトウェア情報学部教授

    リサーチャー

    岸本 充生  大阪大学データビリティフロンティア機構教授
    木多 道宏  大阪大学大学院工学研究科教授

    オブザーバー

    行政、団体、民間企業、より適宜参加を要請(※1)(※2)

    ※1:必要に応じて、大学、自治体や企業等にも参画いただく。
    ※2:万博・スーパーシティ構想に向けた実証実験の実施が想定される官民の組織を研究会のオブザーバーとしており(昨年実績16団体)、今年度も参画を打診する。

  • 松繁 寿和

    Digital XがもたらすCareer X

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    松繁 寿和

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 松繁 寿和 高松大学経営学部教授、大阪大学名誉教授

    成果報告

    業務効率改善や人材不足解消等の手段として、多くの企業や団体がDXを展開しています。本プロジェクトは、統計データや企業へのフィールド調査を通じてDXがもたらす人々の働き方や必要なスキルの変化を明らかにし提言としてまとめることを目的にしてきました。

    研究2年目となる2023年度は、主にデジタルツールを導入している業種(介護サービス業、宿泊業、食品製造業)のフィールド調査を実施しました。その結果、デジタルツールの活用を通じて業務の可視化や情報共有がなされ、書類作成や申し送り等の事務的な業務に要する時間が大幅に短縮されていました。さらに、それにより利用者に向ける時間が確保できるようになり、従業員のモチベーションの向上に繋がった事例も多く確認され、実効性のあるDXの取り組みが実現されていることを紹介しました。また、DXを実現したいと考えた人、DXへのシフトを現場に浸透させる人、デジタルツールを使い実際業務を行う人といった役割ごとの人材や組織の特性およびスキルについても議論しました。

    当初計画

    研究の背景

    AIに代表される技術革新や新型コロナウイルスによるパンデミックなどによる社会の変化により、仕事の中身やその進め方が大きく変化していると思われる。特に、DX(Digital Transformation)の加速化により、要求されるスキルが急速に変化している可能性は高く、労働者のスキルマッチングが重要な課題となっている。

    そこで本研究では、近年の新技術の導入により人々の働き方がどのように変化したのか、特に求められるスキルと持っているスキルのギャップはどのように生じているのかを明らかにする。統計分析だけでなくフィールド調査を通じてより詳細な情報を入手し吟味することで、DXがCX(Career Transformation)におよぼす影響を明らかにしたい。

    研究内容

    ・フィールド調査(ヒアリング調査)によるDXがもたらす仕事の変化分析。

    ①酒造、②介護、③宿泊の3分野で、調査対象企業を選定

    ヒアリング項目は、
    ①コンピテンシー項目の変化、職場の配置転換
    ②リスキリング、職務変化(職種構成)
    ③技術の変化⇒求められる人材、スキルの変化など分野に応じた観点も含めて調査

    ・DXの進展に伴うCareer Xの変化、ミスマッチングの現状把握(マクロ)を行い、日本の現状と動向を分析。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・DXの進展・加速化がもたらすCareer Xの変化に、個人・企業・国はどう対応すべきかに関する提言を報告書としてまとめる。

    ・フィールド調査結果により得られた知見を基にフォーラムを開催。

    ・DXによる仕事の変化に関して、現状を分析し、課題を抽出する。自社でDXによる業務や組織改革を行う際の、方針や考えるべきポイントを提供する。

    研究体制

    研究統括

    本多 佑三  APIR研究統括、大阪大学名誉教授

    リサーチリーダー

    松繁 寿和  APIR上席研究員、大阪大学名誉教授、高松大学経営学部教授

    リサーチャー

    勇上 和史  APIR主席研究員、神戸大学大学院経済学研究科教授
    岡嶋 裕子  京都先端科学大学経済経営学部准教授
    久米 功一  東洋大学経済学部教授
    小松 恭子  労働政策研究・研修機構研究員
    平尾 智隆  摂南大学経済学部准教授
    郭 秋薇   APIR研究員
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  • 稲田 義久

    関西経済の持続的発展に向けて ~大阪・関西万博を契機に~

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 日本・関西経済軸

    RESEARCH LEADER : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR研究統括兼数量経済分析センター長 稲田 義久

    成果報告

    当プロジェクトは、2年間にわたり研究活動を行いました。初年度は、1970年大阪万博以降 50 年にわたる経済のシェア低下の原因・理由を分析し、関西経済の持続的発展を実現するための課題を整理しました。
    2年目の2023年度は、前年度整理した課題から「人材・投資が集まる関西」に向け、人材を呼び込むための生活環境や、投資を呼び込むためのビジネス環境の現状把握と改善策を検討しました。また、2025年大阪・関西万博を契機に、万博を体験した次世代を担う子どもたちが夢を描き、将来、世界で活躍するためには何が必要か、具体的には万博をきっかけとして子どもたちのモチベーションを高めるにはどのような教育が必要かについて議論しました。さらに、今回の万博は「関西」の名が付くことから、「関西はひとつ」の意識で世界に発信し、知名度・認知度を高める絶好の機会として、個性・特徴のある関西各府県が、それぞれの魅力を発揮し目指す方向をあわせていくにはどうすればよいかについて議論しました。

    当初計画

    研究概要

    今年度は、前年度に積み残した論点を引き続き議論し、研究成果をとりまとめる。

    前年度は、EXPO70をピークに関西経済のシェアが低下してきた原因・課題をもとに、関西経済の持続的発展に向け、もうかる産業(分野)を発掘する考え方を整理した。今年度は、経済発展を続ける都市の事例を参考に、投資、人材を関西に呼び込む方策を議論する。さらには、2025年大阪・関西万博を見た小・中学生(EXPO2025世代)が2050年に世界中で活躍している状況にするため、教育・人材育成をはじめ、Web社会がどのように変わっていなければならないかを議論し、成果を経済界・行政に向けに発信し、政策・戦略立案に活用していただく。

     

    研究内容

    ①関西へ投資・ヒトが集まる環境整備に向けて
    対日直接投資の状況、関西における行政の政策や経済団体等の提言を振り返るとともに、国内外で成果を上げている事例を参考に、関西への投資や人を呼び込むための制度・規制緩和、生活環境の整備の方策を議論する。

    ②EXPO2025世代が活躍している社会の実現
    万博を見に来た小・中学生(EXPO2025世代)が2050年には世界中で、また関西を中心に活躍いているようにしたい。そのためには、この世代にどのような教育・育成が必要か議論する。

    ③関西への帰属意識が定着
    地元への帰属意識が醸成されている他地域の調査・ヒアリング等を行い、その結果を参考に関西での帰属意識定着に向けた議論をする。

     

    研究体制

    研究統括・リサーチリーダー

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチャー

    足利 朋義  APIR総括調査役
    井上 建治  APIR総括調査役
    野村 亮輔  APIR副主任研究員
    吉田 茂一  APIR所員
    寺田 憲二  APIRアウトリーチ推進部長
    新田 洋介  APIR調査役

    研究協力者

    経済産業省近畿経済産業局、関西広域連合、公益社団法人関西経済連合会、一般社団法人関西経済同友会

    オブザーバー

    近畿2府4県(政策企画部署、産業政策部署、万博関連部署)

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・「フォーラム」、「研究報告書」等により情報発信を行う。

    ・関西経済の持続的発展につながる産業の発掘、関西のあらまほしき姿の実現に向けた提案を行い、経済団体・企業には新しいビジネスの発掘に、自治体には地域経済の持続的発展に向けた政策立案に活用いただく。

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  • 関 和広

    テキストデータを利用したS-APIR指数の実用化

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    関 和広

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR主席研究員 関 和広 甲南大学知能情報学部教授

    成果報告

    景況感指数は、金融当局の政策決定や企業の生産計画、機関投資家・個人の投資判断等、様々な経済活動の拠りどころとして重要な役割を担っています。本プロジェクトでは、日々配信されるニュース記事のテキストデータを事前学習させた言語モデルに読み込ませ、景況感を数値として推定する「S-APIR指数」を開発しています。政府による既存の景況感指数に比べて速報性があり、日次での集計も可能なことが特徴です。2023年度は、様々なテキストデータの組み合わせや言語モデルの選定とその設定の違いが及ぼす影響について調査し、政府の景況感指数との相関をより高めてきました。

    また、いくつか新たな機能も追加しています。例えば任意のキーワードを入力すると、それが指数にどのような影響を与えたのかについて可視化するだけでなく、そのキーワードを含む影響度の大きな文章(記事の一部)を例示したり、当月においてバーストしているキーワード(急上昇ワード)を表示したりする機能等です。

    当初計画

    研究目的

    従来、マクロ経済の動向を把握するには、集計データを用いることが一般的である。しかし、集計データは、リアルアイム性に欠けており、ミクロの経済要因を知るには不十分という課題がある。一方、昨今の情報技術の急速な進展により、国内外の経済活動において生成される大規模なデータ(ビッグデータ)が様々な形で利用可能になり始めている。きわめて豊富な情報を内包しているビッグデータの活用は、マクロ経済のより精緻な情勢判断と予測において、有効であると考えられる。このため、本研究プロジェクトではビッグデータの一つであるテキストデータを利用して、経済の動向を把握することを試みる。

     

    研究内容

    S-APIR指数(景気関連指数)を推定するため、Transformerを用いた大規模言語モデルを利用する。Transformerは、それ以前に用いられていた回帰的ニューラルネットワーク(RNN)のように単語の順番に入力して学習することはせず、文中の全ての単語を一度に入力することで全ての単語同士の依存関係を学習する。その処理を基本として、S-APIR指数を推定するモデルの精度向上を図る。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    景気動向を代理する「S-APIR指数」を見ることで、企業の経営判断を行う際の議論に使えるようにする。そして、国や自治体に対しても、政策決定に活用していただくことを検討する。また、本研究の成果の一つとして期待できるデモ・システムを、会員企業に試行的に提供する。システムのユーザー自身が、デモ・システムへ興味ある単語を入力すると、その単語がS-APIR指数にどのような影響を与えているのか知ることができる。例えば、「大阪関西万博」という語を入力した場合、ミクロの波及メカニズム(例、建設需要)までは見ることができないが、大阪関西万博が最終的に景気動向へ正の影響を及ぼすのかどうかを調べるための、きっかけとなる。

    研究体制

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    関 和広   APIR主席研究員、甲南大学知能情報学部教授

    リサーチャー

    松林 洋一  APIR上席研究員、神戸大学大学院経済学研究科教授
    生田 祐介  大阪産業大学経営学部准教授
    盧 昭穎  APIR研究員
    吉田 茂一  APIR研究推進部員
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  • 高林 喜久生

    関西地域間産業連関表の利活用

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2023年度 » 経済予測・分析軸

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    APIR上席研究員 高林 喜久生 大阪経済法科大学経済学部教授

    当初計画

    研究の背景

    関西2府8県+1地域を対象地域とする唯一無二の地域間産業連関表である。当プロジェクトでは様々な事象による経済社会活動に対する影響について産業連関表を用いて府県別・産業部門別に推計してきている。今後関西においては大阪・関西万博をはじめとするイベント、さらにIRを機に新たな産業が予想され、産業連関表を用いた様々な経済分析が重要である。

     

    研究内容

    ・奈良県DATA取得後に正式版関西地域間産業連関表の作成:奈良県のDATAの差し替えを行い再度統合作業とバランス調整を行う

    ・昨年度算出した大阪・関西万博の経済波及効果の再算出:万博アクションプランVer3を反映し、さらに正式版関西地域間産業連関表完成後に再度試算する。

    ・分析結果を関西経済白書、APIRの各種レポートへの掲載、マスコミ取材時、セミナー等における経済波及効果試算のPR

    期待される成果と社会貢献のイメージ

    成果物である2015年表は、2011年表と同様、経済部門の一部をAPIRのホームページ上で発表する。また、分析成果は景気討論会や環太平洋産業連関分析学会やセミナー等で報告することを予定している。

    地域間産業連関表を用いることで、関西における府県間・産業間の相互取引関係・供給構造の分析や、経済波及効果の推計を通じた政策評価を客観的かつ定量的に行うことが可能となる。これらの分析結果は、自治体の担当者にとっても、政策形成を行う上での重要な指針となるだけでなく、関西経済の現状および構造的特徴を説明する際の貴重な資料として活用されることが期待できる。

    研究体制

    研究統括

    稲田 義久  APIR研究統括兼数量経済分析センター長、甲南大学名誉教授

    リサーチリーダー

    高林 喜久生 APIR上席研究員、大阪経済法科大学経済学部教授

    リサーチャー

    下田 充   日本アプライドリサーチ研究所主任研究員
    下山 朗   大阪経済大学経済学部教授
    入江 啓彰  近畿大学短期大学部商経科教授
  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.122-景気は足下改善、先行きは足踏みの兆し: 消費は緩やかな増加も生産と輸出に陰り-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 新田 洋介

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下改善、先行きは足踏みの兆しがみられる。足下、生産は3カ月ぶりの減産となり、回復のペースは依然緩慢。雇用環境、消費は持ち直しているものの、景況感は食料品価格高騰の影響もあり悪化した。消費は緩やかに増加しているものの、欧米を中心とした海外経済減速リスクから生産と輸出の下振れが懸念されており、先行きは足踏みの兆しがみられる。
    ・4月の生産は3カ月ぶりに前月比低下。電気・情報通信機械や汎用・業務用機械等が減産に寄与した。生産の回復ペースは依然緩慢である。
    ・4月は失業率が前月から低下したと同時に、就業率の上昇が見られた。また、有効求人倍率は4カ月ぶりに上昇した。雇用情勢は前月より持ち直した。
    ・3月の現金給与総額は25カ月連続の前年比増加となったが、実質では13カ月連続で減少した。物価上昇が止まらず、実質賃金の低下が続いている。
    ・4月の大型小売店販売額は19カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は外出機会の増加とマスク着用ルールの緩和もあり、衣料品などの需要が増加し、売上をけん引した。スーパーは7カ月連続の増加となった。
    ・4月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比減少。貸家と分譲が大幅に減少した。
    ・4月の建設工事出来高は16カ月連続の前年比増加となった。伸びは3カ月連続で2桁の伸びが続く。うち公共工事は4カ月連続で2桁の伸びとなった。また、5月の公共工事請負をみれば、大学法人や万博に関連する発注が影響し、2カ月ぶりの大幅増加となった。
    ・5月の景気ウォッチャー現状判断は6カ月ぶりの前月比悪化。物価高の影響により小売関連が悪化したようである。また、先行き判断も2カ月連続で悪化。食料品の値上げやコストの価格転嫁などが悪影響した。
    ・5月は輸出入ともに前年比減少となったため、貿易収支は4カ月連続の黒字。輸出は4カ月ぶりに前年比減少に転じたが、輸入の減少幅が大幅に拡大したため黒字を維持した。
    ・5月の関空への外国人入国者数は50万人超の水準となり、インバウンド需要は回復傾向を維持。ただし、依然として中国からの団体旅行が認められていないため、先行き回復のペースは緩やかなものとなろう。
    ・5月の中国経済は、前年のロックダウンに対する反動増が弱まったため、生産と消費の回復は前月より減速した。その上、雇用と所得の改善は緩慢であるため、耐久財や住宅など高額消費支出は低迷している。そのため、4-6月期の経済成長率は前期より小幅加速にとどまろう。

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  • 野村 亮輔

    都道府県別訪日外客数と訪問率:4月レポート No.47

    インバウンド

    インバウンド

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    野村 亮輔 / 稲田 義久 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    【ポイント】

    ・JNTO訪日外客統計によれば、4月の訪日外客総数(推計値)は194万9,100人と、200万人に迫る水準まで回復した。

    ・目的別訪日外客総数(暫定値)をみれば2月は147万5,455人。うち、観光客は129万7,458人と3か月連続で100万人を超える水準となった。観光客を国・地域別にみれば、米国がコロナ禍前の水準を上回った

    ・先行きについては訪日中国人客の動向が重要となろう。日本の海外に対する水際対策は4月28日をもって終了したが、中国政府は依然として日本への団体旅行を認めていない。2月の訪日中国人観光客は2019年同月比-98.1%となっており、依然戻りは遅い。このため、訪日中国人観光客の回復には依然不確実性が高く、今後の動向には引き続き注視が必要である。

     

    【トピックス1】

    ・関西4月の輸出は3カ月連続の前年比増加だが、伸びは2カ月連続で減速。一方、輸入は27カ月ぶりに同減少した。結果、関西の貿易収支は3カ月連続の黒字となり、黒字幅は拡大した。

    ・4月の関西国際空港への47万1,895人と前月から増加。空港別に訪日外客数の戻りをみてみると、羽田空港はコロナ禍前を上回り、成田空港はコロナ禍前の7割強を回復しているが、関空は6割程度の回復にとどまっている。

    ・3月のサービス業の活動は前月から悪化するも持ち直し傾向は維持。第3次産業活動指数は3カ月ぶりに前月比低下。また対面型サービス業指数は2カ月ぶり、観光関連指数は4カぶりにそれぞれ同低下した。1-3月期でみれば、第3次産業活動指数は3四半期ぶり、対面型サービス業は6四半期連続、観光関連指数は4四半期連続でいずれも前期比上昇した。

     

    【トピックス2】

    ・2月の関西2府8県の延べ宿泊者数は7,782.2千人泊、2019年同月比-10.3%と2カ月連続で減少した。

    ・うち、日本人延べ宿泊者数は6,352.3千人泊と5カ月連続でコロナ禍前の水準を上回ったが、増加幅は前月から縮小。また、外外国人延べ宿泊者数は1,429.9千人泊、2019年同月比-41.1%と減少幅は前月から拡大した。

     

    【トピックス3】

    ・関西(2府8県ベース)の国内旅行消費額(速報)は8,349億円、前期からプラス幅は縮小するも2四半期連続でコロナ禍前を上回った。全国旅行支援事業が1月10日から再開されたものの、割引率が縮小された影響が出ている。

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  • 小川 亮

    関西2府4県GRPの早期推計 No.1

    経済予測

    経済予測 » 関西2府4県GRPの早期推計

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    小川 亮 / 稲田 義久 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    【トピックス:関西各府県のコロナ禍からの回復過程】

    ・コロナ禍から3年が経過した。今回のトピックスでは関西各府県GRPの回復過程をレビューする。2021年度以降の回復の推移を見れば、兵庫県、京都府、大阪府、和歌山県には順調な回復の兆しが見える。特に京都府や和歌山県では22年度における回復は急激である。一方で、滋賀県、奈良県においては他府県と異なり回復軌道に乗っているようにはみられず、コロナ禍によるダメージから未だ回復しきれていない状況が見える。

    【ポイント】

    ・2020年度のGRPは、関西各府県のマイナスの寄与度が大きく増し、国全体に近いマイナス成長になったと見込まれる。21年度には、大阪府と兵庫県を中心とした反転により関西全体でプラス成長であったが、関西の回復力は更に国を下回っている。そして、22年度では回復の傾向を強めたと予想される。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.64 -消費の復元を起点として好循環に向かう関西経済:景気は足下改善、先行きも改善を見込む-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 小川 亮 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1. 2023年1-3月期の関西経済は、コロナ禍に伴う行動制限の解除、また賃上げの動きの広がりにより、家計部門を中心に緩やかに持ち直した。一方、企業部門や海外部門では、原材料価格の高騰、海外経済の減速などの不安要因から、弱い動きが見られる。先行きは、消費の復元を起点として民間部門全体に好影響が波及し、投資増や賃上げの継続につながるかがポイントとなる。
    2. 家計部門をめぐる環境は、本格的な経済活動の再開、物価高に起因する賃上げ、マインドの回復と総じて改善している。このため家計部門は前期に引き続き、概ね持ち直している。センチメント、大型小売店販売、所得・雇用環境、住宅市場などいずれも堅調に推移している。依然として物価高の影響も見られるものの、政策効果もあり幾分緩和している。
    3. 企業部門は、業種間で明暗が分かれている。製造業は原材料価格の高騰や海外経済の減速などから生産・景況感ともに軟調である。一方非製造業は経済活動再開に伴い、宿泊・飲食・小売など対面型サービスを中心に総じて復調。また23年度の設備投資計画は、増勢となった前年度の水準を維持し、業種問わず底堅い。
    4. 対外部門のうち、財の貿易については輸出・輸入ともに前年比増となったが、増加幅は前期から縮小。輸出を地域別に見ると、欧米向けは伸びが鈍化、中国向けは前年を下回った。一方インバウンド需要は順調で、関空経由の外国人入国者数や免税売上高はコロナ禍前のピークの5割を超えるまでに回復した。
    5. 公的部門は、引き続き堅調に推移している。
    6. 関西の実質GRP成長率を2023年度+1.3%、24年度+1.7%と予測。19年度・20年度の2年連続のマイナス成長から、21年度以降は1~2%のプラス成長が続く。23年度にはコロナ禍前のGRP水準をほぼ回復する。前回予測(2月28日公表)に比べて、23年度は修正なし、24年度は+0.1%ポイントの上方修正とした。
    7. 成長に対する寄与度を見ると、民間需要は23年度+1.1%ポイント、24年度+1.4%と成長の牽引役となる。また公的需要も23年度・24年度ともに+0.2%ポイントと成長を下支える。域外需要は、アジア向け輸出が弱い動きにとどまることなどから、成長に対する寄与はほとんどない。
    8. 日本経済予測と比較すると、23年度日本経済予測では欧米経済の停滞で輸出の失速を見込むが、関西の輸出はウエイトの高いアジア向けの持ち直しにより、小幅増を見込む。24年度も民間部門・公的部門とも設備投資が堅調に推移し、日本経済を上回る成長となる。
    9. 今号のトピックスでは、「関西各府県GRPの早期推計」および「急回復するインバウンド需要と関西経済」を取り上げる。

     

    ※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

    ①00’00”~00’56”: Executive summary

    ②00’56”~27’23”: 第143回「景気分析と予測」
    <サービス消費支出中心の回復と海外経済減速の引き合い>

    ③27’23”~39:58: Kansai Economic Insight Quarterly No.64
    <消費の復元を起点として好循環に向かう関西経済:景気は足下改善、先行きも改善を見込む>

    ④39’58”~42’42”: トピックス<関西2府4県GRPの早期推計>

    ⑤42’42”~47’27”: トピックス<急回復するインバウンド需要と関西経済>

     

    ※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください

  • 稲田 義久

    143回景気分析と予測:詳細版<サービス消費支出中心の回復と海外経済減速の引き合い - 実質GDP成長率予測:23年度+0.9%、24年度+1.4% ->

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1. 5月17日発表のGDP1次速報によれば、2023年1-3月期の実質GDPは前期比年率+1.6%増加し3四半期ぶりのプラス成長となったが、前期と均してみれば回復は緩やかである。結果、23年度の実質成長率は+1.2%と2年連続のプラス成長となった。しかし、足下のGDPの水準はピーク(19年7-9月期)から依然1.5%低い。民間最終消費支出、民間資本形成の回復の遅れが主要因である。一方、インバウンドの急回復もありサービス輸出はほぼ戻りつつある。今後は、社会経済活動の正常化からサービス消費中心の回復が期待できる。
    2. 1-3月期の実質GDP成長率(前期比+0.4%)への寄与度を見ると、国内需要は同+0.7%ポイントと2四半期ぶりのプラスとなった。うち、民間需要は同+0.6%ポイントと2四半期ぶりのプラス寄与。民間最終消費支出(同+0.6%)、民間住宅(同+0.2%)、民間企業設備(同+0.9%)がいずれも増加したためである。公的需要は同+0.1%ポイントと4四半期連続のプラス寄与。一方、純輸出は同-0.3%ポイントと2四半期ぶりのマイナス寄与となった。
    3. 交易条件が2四半期連続で改善したため、国内総所得(GDI)成長率は前期比年率+4.0%となり、実質GDPの伸び(同+1.6%)を2四半期連続で上回った。
    4. 1-3月期GDP1次速報と新たな外生変数の想定を織り込み、2023-24年度日本経済の見通しを改定した。今回、実質GDP成長率を、23年度+0.9%、24年度+1.4%と予測。前回(第142回予測)から、23年度は据え置き、24年度-0.1%ポイント下方修正した。23年度については民間需要の上方修正が純輸出の下方修正で相殺され、24年度は民間需要及び純輸出がともに小幅下方修正されたためである。
    5. COVID-19の5類移行に伴い社会経済活動が一層正常化することから、家計は累積した強制貯蓄を取り崩すため、サービス支出を中心に民間最終消費支出主導の回復が期待できる。一方、海外経済は欧米を中心に低迷することから純輸出のマイナス寄与は避けられず、また民間需要の寄与度が減速するため、23年度の成長率は前年から低下すると予測。このため、実質GDPがコロナ禍前のピークを超えるのは24年7-9月期以降となろう。回復に5年(20四半期)を要することになる。ちなみに、リーマンショックはピークからは22四半期を要している。
    6. 足下、政府の激変緩和政策の影響もありエネルギー価格は下落に転じたが、電気料金は再び値上げが予定されており、消費者物価指数基調のかく乱要因となる。加えて賃金の動きに連動するサービス価格の上昇もあり、インフレ率は23年度前半には3%台で推移するが、後半は原材料高と円安は落ち着きを見せ減速する。結果、消費者物価コア指数のインフレ率を、23年度+2.5%、24年度+1.3%と予測する。前回予測から、足下の状況を反映し、23年度を+0.3%ポイント上方修正した。

     

    ※説明動画は下記の通り4つのパートに分かれています。

    ①00’00”~00’56”: Executive summary

    ②00’56”~27’23”: 第143回「景気分析と予測」
    <サービス消費支出中心の回復と海外経済減速の引き合い>

    ③27’23”~39:58: Kansai Economic Insight Quarterly No.64
    <消費の復元を起点として好循環に向かう関西経済:景気は足下改善、先行きも改善を見込む>

    ④39’58”~42’42”: トピックス<関西2府4県GRPの早期推計>

    ⑤42’42”~47’27”: トピックス<急回復するインバウンド需要と関西経済>

     

    ※要旨およびフルレポートは以下にてご覧ください

  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Monthly Vol.121-景気は足下改善、先行きも改善を見込む:消費は持ち直しも海外経済減速が下押しリスク-

    経済予測

    経済予測 » Monthly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 豊原 法彦 / 野村 亮輔 / 郭 秋薇 / 盧 昭穎 / 吉田 茂一 / 今井 功 / 新田 洋介

    ABSTRACT

    ・関西の景気は足下改善、先行きも改善を見込む。足下、生産は依然コロナ禍前の水準を下回るが、2カ月連続の増産。雇用環境は持ち直しの動きに一服感がみられるが、消費・景況感は持ち直している。消費の持ち直しから先行きは改善を見込むが、欧米などの海外経済の減速が景気下押しリスクとなろう。
    ・3月の生産は2カ月連続の前月比上昇。電気・情報通信機械や電子部品・デバイス等が増産に寄与した。ただし、1-3月期でみれば、1月の大幅減産が影響し、2四半期連続の低下。また水準は依然コロナ禍前を下回っている。
    ・3月は失業率が前月から上昇したと同時に、就業率の低下が見られた。また、有効求人倍率は3カ月連続、新規求人倍率は2カ月連続でいずれも低下した。1-3月期は雇用環境の回復が一服したとみられる。
    ・2月の現金給与総額は24カ月連続の前年比増加となったが、実質では12カ月連続で減少した。電気・ガス料金の抑制策にもかかわらず依然として消費者物価指数の上昇率は名目賃金の伸びを上回っているためである。
    ・3月の大型小売店販売額は18カ月連続の前年比増加となった。うち、百貨店は外出機会の増加で、衣料品と身の回り品の需要が増え、売上をけん引した。スーパーは6カ月連続の増加となった。
    ・3月の新設住宅着工戸数は2カ月ぶりに前月比増加した。1-3月期は分譲の寄与もあり、4四半期連続の増加となった。
    ・3月の建設工事出来高は15カ月連続の前年比増加となった。伸びは4カ月ぶりに減速したものの、うち公共工事は2カ月連続で大幅な伸びが続いている。なお、4月の公共工事請負金額は4カ月ぶりの減速となった。
    ・4月の景気ウォッチャー現状判断は5カ月連続の前月比改善。経済社会活動の正常化に加え、インバウンド需要の回復が好影響した。一方、先行き判断は5カ月ぶりに小幅悪化。生活必需品などの値上げが景況感に悪影響した。
    ・4月の貿易収支は3カ月連続の黒字となった。輸出は3カ月連続の前年比増加だが、小幅の伸びにとどまった。一方、輸入は27カ月ぶりに前年比減少に転じたためである。
    ・4月の関空への外国人入国者数は2カ月連続で40万人超の水準となった。先行きについては水際対策の終了で入国者数の回復が続くと見込まれるが、重要なのはこれまで遅れていた中国客の戻りである。
    ・4月の中国経済は、前年実施されたロックダウンに対する反動による影響もあり、生産と消費の回復は加速した。しかし、雇用の持ち直しが緩慢であるため、耐久財や住宅の回復は依然緩やかである。4-6月期は小幅な成長加速が見込まれるが、今後景気回復が持続的になるためには雇用回復が欠かせない。

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  • 後藤 健太

    グローバル・バリューチェーンにおける SDGs 実装化の課題 ― ベトナムのエビ養殖バリューチェーンの事例より

    ディスカッションペーパー

    ディスカッションペーパー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    後藤 健太

    ABSTRACT

    本稿では、グローバル・バリューチェーンの持続可能性に関し、日本企業を含む先進国の統括企業が、「持続可能な開発目標(SDGs)」を経営に実装・主流化する際に直面しうる課題と可能性を検討した。

    本稿ではベトナムのエビ養殖産業のバリューチェーンに注目した。その理由は、日本のエビ市場が大きなエコロジカル・フットプリントを残しながらベトナムのエビ養殖産業と非対称な形でつながっており、その持続可能な発展の可能性は日本企業の関りのありように大きく依存しているからである。こうした実態を踏まえ、本稿では同産業のバリューチェーンにおけるサステイナビリティ上の課題と可能性を検討した。

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