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「関西経済」の検索結果 [ 16/17 ]

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    第77回 景気分析と予測(2009年2月24日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

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    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部長・教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    当研究所のマクロ経済分析プロジェクトチームでは、在阪の大手企業・団体の若手スタッフの参加の下で研究会を組織し、予測に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同で作業を行っている。
    「景気分析と予測」については、四半期ごとに年4回(2003年度までは年2回)発表している。
    2005年度より四半期予測作業において、日本経済超短期予測モデル(CQM)による、直近2四半期のより正確な予測値を取り入れている。
    2月16日の政府四半期別GDP一次速報の発表を受け、2008-2009年度の改訂および2010年度の最新経済見通しとなっている。
    ポイントは以下の通り。

    * 2008年度10-12月期実績の評価‥‥当期の実質GDP成長率(一次速報)は、前期比▲3.3%、同年率▲12.7%と、第一次オイルショック期 1974年1-3月期に次ぐ急激な落ち込みとなり、3期連続のマイナス成長となった。これまで景気の牽引役であった輸出の急激な落ち込みと、低調な民間需 要が原因であり、輸出に大きく依存する日本経済成長モデルの脆弱性が示唆される。

    * 2008年度、2009年度の改訂見通し‥‥2008年度の実質GDP成長率は▲2.8%と7年ぶりのマイナス成長に転じよう(前回予測▲1.3%から大 幅下方修正)。主要貿易相手国である米国・EU経済のマイナス成長、消費の減速および企業設備の減少による民需の落ち込みの影響である。民需の回復が停滞 し、世界経済の不況が深化するため、2009年度の実質GDP成長率は▲3.7%(前回予測▲1.4%から大幅下方修正)と2年連続のマイナス成長とな る。

    * 2010年度の見通し‥‥2009年後半に一旦プラス成長に戻るが、緩やかながら持続的なプラス成長に転じるのは2010年以降となろう。2010年度の実質GDP成長率は+1.5%となろう。

    * 以上の標準予測に対して、追加的経済対策として定額給付金、住宅ローン減税、法人税減税、その他の財政支出の4つの政策を同時に実施した場合の効果は2009年度の実質GDPを約0.9%程度拡大させると検証された。

    * 関西経済は急激に悪化しており、成長率は2008年度▲2.2%、2009年度▲3.1%、2010年度+1.6%と予測している。

  • 熊坂 侑三

    今月のトピックス(2009年1月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <2009年度の日本経済・関西経済>

    年末年始にかけて、関西社会経済研究所では、リーマン・ショック以降の急激に変化する足下の状況を織り込み、昨年11月に発表した予測を改定するとともに、新たに関西経済の予測を行った。(予測改定の詳細は研究所HPに掲載)
    2009年度の日本経済
    今回の景気回復(2002年2月-07年10月)のメイン・エンジンは純輸出であり、かつ戦後の日本経済の景気回復局面でも最も寄与度が高い項目であっ た。今や成長のメイン・エンジンが逆回転し始めている。これを印象付ける象徴的なイベントは、2008年11月の貿易統計と鉱工業生産指数の落ち込みで あった。10-12月期の実質GDP成長率は2桁に届くほどのマイナスが予測されており、かつてない景気後退となりそうである。
    7-9月期GDP2次速報値を織り込み予測を改訂し、実質GDP成長率を2008年度-1.3%、2009年度-1.4%とした。前回(11月)予測から 2008年度は1.1%ポイントの、2009年度は1.5%ポイントの大幅な下方修正である。前回予測では捉えきれなかった、リーマン・ショック以降の急 速な経済の悪化が反映されている。
    2008年度の実質GDP成長率は前年の+1.9%から-1.3%へと7年ぶりのマイナス成長に転じる。民間需要の寄与度は-0.7%ポイントと、前年度 の+0.5%ポイントから大きく低下する。公的需要は-0.2%ポイントの寄与となり、純輸出の寄与度は前年の+1.2%ポイントから-0.4%ポイント へと大幅低下する。
    日本の主要貿易相手国のうち米国とEU経済の成長率は2009年にはマイナス成長となり、新興諸国の成長率も減速する。このため2009年度には純輸出の寄与度のマイナス幅は拡大する。
    2009年度の実質GDP成長率は-1.4%と2年連続のマイナス成長となる。民間需要の回復は期待できず、純輸出の寄与はさらに低下する。内外需の寄与 度を見ると、民間需要は前年の-0.7%ポイントから-0.8%ポイントと小幅悪化、公的需要は+0.1%ポイントとなる。純輸出の寄与度は前年の -0.4%ポイントから-0.7%ポイントへと更に低下する。
    幸いなことに原油価格や商品価格が大幅に下落しており、これが徐々に最終財価格に波及するであろう。このため、2008年度のコア消費者物価指数前年 比+1.3%となるが、2009年度は-0.4%とデフレに転じる。国内企業物価指数は同+3.6%、同-3.7%、GDPデフレータは同-0.7%、 同+0.9%と予測している。物価上昇率がプラスに転じるのは2010年度に入ってからである。
    景気回復は2010年度と見込んでいるが、景気回復が感じ取れるのは2010年後半からと予測している。2009年度の成長率の四半期パターンは一様な落 ち込みの後の回復の様相を呈さず、2008年末から2009年初にかけて経済は大がかりな生産調整が起こり、2009年央に一旦落ち着くものの、2009 年後半から2010年初にかけて再び落ち込むという、いわばダブルディップ型のリセッションを予測している。2009年度は非常にBumpy(荒っぽい) な経済となろう。
    2009年度の関西経済
    関西経済は、全国と比較して設備投資が相対的に底堅いことや、アジア向け輸出が緩やかな減速にとどまることから、昨年後半時点では、2009年度は緩やか な調整にとどまるとみていた。しかし、足下この想定には疑問符がつき始めた。2009年度の関西経済は前年度の-0.7%に続き、-0.8%と2年連続の マイナス成長となると見込まれる。
    雇用・所得環境の悪化、金融危機の深刻化を背景とした株安などから、個人消費および住宅投資のマインドは低調に推移するとみられる。企業の収益環境が厳し さを増すなか、投資意欲の低下に伴い、鈍化傾向であるものの、既に確定している大型投資が下支えとなると考えられる。近畿地区の企業短期経済観測調査をみ ても関西の投資計画は全国と比べ底堅さを維持している。ただし、パナソニックの薄型テレビ用パネル投資の約1,300億円の削減(2009年1月9日発 表)にも見られるように、今後下振れする可能性もある。
    これまで米国、EUの景気減速により、関西以外の地域では純輸出が減少し始めていたが、関西はアジア向けの割合が高く比較的持ちこたえていた。2009年 に入り、新興諸国および国内他地域の景気減速が顕著となり、タイムラグを持って関西に影響が出てきた。関西の地域別輸出動向をみると、2008年11月に は北米・EU向けよりもアジア向けの減少幅が大きい結果となっている。このような状況から、今後関西の輸出も減速していくとみられ、他地域よりも急激に悪 化するリスクがある。

    日本
    <10%近い下落が予想される10-12月期実質GDP成長率>

    今回の日本経済超短期モデル予測では、一部の12月データと多くの11月データが更新されている。最新の(支出サイドモデル)予測によれば、10-12月 期の実質GDP成長率は、前期比-2.4%、同年率-9.3%と見込まれる。前月の予測(-4.3%)から大幅の下方修正となった。
    今回の大幅下方修正を象徴的に示唆するデータは、2008年末に発表された11月の鉱工業生産と貿易収支である。11月の鉱工業生産指数は前月比8.1% 低下し、2ヵ月連続のマイナスとなった。下落幅は、政府が比較可能なデータを公表して(1953年2月)以来、最大となった。業種別に見ると、輸送機械工 業、一般機械工業、電子部品・デバイス工業等の輸出関連産業で落ち込みが大きかった。製造工業生産予測調査によると、12月の生産は前月比-8.0%、1 月は同-2.1%と予想されている。10-12月期の鉱工業生産指数は4期連続のマイナスになるのは確実で、かつてない景気後退になりそうである。
    11月の貿易収支は2ヵ月連続の赤字を記録した。輸出額は2ヵ月連続で前年の水準を下回り、下げ幅は月次統計が比較可能な1980年以来の最大(前年同月 比-26.5%)となった。輸入額も前年比14ヵ月ぶりのマイナス(同-13.7%)となった。輸出入の大幅減少は内外の市場が急速に収縮していることを 意味する。
    これらのデータを反映した12月末の超短期予測によれば、実質GDP成長率予測はそれまでの前期比年率-3%?-4%程度から、一気に同-9%程度に低下 した(図参照)。5%ポイントという大幅な予測の修正は、1993年から開始した週次ベースの超短期予測で初めての経験である。かつてないスピードで景気 の減速が起こっているのである。
    10-12月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比-0.3%となる。実質民間住宅も同-5.5%と、ともに2期ぶりのマイナス。実質民間 企業設備も同-1.6%となる。一方、実質政府最終消費支出は同+0.6%、実質公的固定資本形成は同+0.5%、それぞれ増加する。このため、国内需要 の実質GDP成長率(前期比-2.4%)に対する寄与度は-0.4%ポイントとなる。
    財貨・サービスの実質輸出は同6.1%減少し、実質輸入は同8.9%増加する。名目ベースの輸出入がそれぞれ同-15.1%、-12.1%と同程度の減少 にとどまっているが、円高の影響を受け輸出デフレータが同-9.6%と下落する以上に、輸入デフレータが円高に加え国際商品市況の急下落により同 -19.3%と輸出デフレータの下落幅を大きく上回るためである(交易条件の改善)。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する貢献度は-2.0% ポイントとなる。
    2009年1-3月期の実質GDP成長率については、内需拡大は小幅にとどまり、純輸出は引き続き縮小するため、前期比-1.6%、同年率-6.1%と予測している。この結果、2008年暦年の実質GDP成長率は-0.3%、2008年度は-2.0%となろう。

    [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    <両刃の剣: 景気刺激策と財政赤字>

    1月9日の超短期モデル予測は、2008年10-12月期の米国の実質GDP成長率を-5%?-6%と予測している。これは市場のコンセンサスより約1% 低い。また2009年1-3月期もマイナス成長が見込まれている。このようななか、1月20日にワシントンに入る次期大統領のオバマは1月8日、できるだ け速やかに景気刺激対策を議会で通過させるために、“米経済の回復と再投資計画”を発表した。景気刺激策の主な内容は次の通りである;
    ・ 3年間に代替エネルギーの生産を2倍にする。
    ・ 連邦政府の建物の75%を近代化する。
    ・ 200万戸に対してエネルギーの効率化を促進する。
    ・ 5年以内にすべての医療記録をコンピューター化する。
    ・ 学校に新しいコンピューターと技術を供給する。
    ・ 代替エネルギー供給のためのスマートグリッドの導入。
    ・ 全米におけるブロードバンドの拡張。
    オバマは更に労働者家計の95%に対して1,000ドルの減税を考えている。オバマはスピーチの中で景気刺激策の規模について明言はしていないが、約8,000億ドルと推定されている。
    一方、連邦議会予算局(CBO)は1月7日、“2009、2010財政年度の予算と経済見通し”を発表した。CBOは現在決まっている政策にのっとって予 算・経済予測をすることから、オバマの景気刺激策によるコストは考慮されていない。にもかかわらず、その内容は以下のように市場にとってショッキングな内 容であった。
    ・ 財政赤字は2009年度には1.2兆ドルにまで拡大する。GDP比率でみれば8.3%になる。
    ・ 実質GDP成長率は2009年に2.2%の下落となる。
    ・ 失業率は2009年、2010年度にはそれぞれ8.3%、9.0%にまで上昇する。
    ・ 2008年Q3?2010年Q2の期間において住宅価格は更に14%低下するだろう。
    オバマは景気刺激策による財政赤字拡大というジレンマを熟知しているため、景気刺激策を長期の経済成長の基盤に向けている。しかし、金融危機回避のために は、まだ住宅ローン貸し手のバランスシートの改善、住宅の抵当化の低減など課題が残っており、新大統領の船出は経済問題だけでも困難を極めている。

    [[熊坂侑三 ITエコノミー]]

  • 熊坂 侑三

    今月のトピックス(2008年9月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    <米国住宅価格はどこまで下落するか>

    米国の今月の見通しでも指摘しているように、当局が採るべき政策は、第一に、住宅ローン市場における人々の不安を解消すること。第二に、追加の景気刺激 策の導入である。9月7日にポールソン財務長官が連邦住宅抵当公庫と連邦住宅貸付抵当公社の2社を政府の管理下におくと発表し、第一の政策は実施された。 この結果、週明けの8日の米国株式市場は大幅高になった。しかし、それは1日しか続かなかった。
    米国政府が住宅公社救済に踏み切っても金融市場の動揺が収まらないのは、サブプライムローン問題の解決にまだしばらく時間がかかるとマーケットが見ている からだ。その主因は、住宅価格の下げ基調が止まらないことにある。図は米国住宅価格の代表的な指標であるS&Pケース・シラー指数(全国ベース) を見たものである。2006年4-6月期をピーク(100)として08年4-6月期は81.8となり、約20%下落したことになる。今後、住宅価格はどこ まで下落するのであろうか。

    去る9月8日に国際金融問題の専門家であるカリフォルニア大学のバリー・アイケングリーン教授の講演会(主催:関西社会経済研究所・関西経済連合会)が大 阪で開催された機会に、同教授と議論し、今後、住宅価格がどの程度下落するかの質問を行った。慎重ながら、彼は、過去の住宅購入価格と賃貸料の関係からす れば、現在の住宅価格は依然として14%高いという。すなわち、彼によれば、住宅市場が底入れするには、ピークから35%程度下落する必要があるという。 7月時点で住宅在庫が月間販売数の11ヵ月分を上回って積みあがっている。90年代平均はせいぜい5ヵ月程度であるから、住宅市場の底入れはさらに1年は かかりそうである。したがって、住宅価格がさらに14%下落するという予測は十分実現する可能性が高い。
    資金循環表によれば、2008年1-3月期末の家計の保有する住宅資産は20兆ドル程度ある。今後、家計の資産が2.8兆ドル減少することを示唆してお り、逆資産効果が民間消費を悪化させることになる。これは民間消費が今後2年で1,000億ドル程度(約1%)押し下げられることを意味する。逆資産効果 は、ホーム・イクイティー・ローンを中心とした消費者ローンが縮小することにより民間消費が直接削減される経路と、消費者が住宅価格下落によりネガティ ブ・イクイティーに陥ることにより消費マインドが悪化して消費性向が低下する経路を通じて、民間消費に影響を及ぼす。その意味で、第二に必要な政策として 追加の景気刺激策が重要となろう。

    日本
    <2008年後半は前期比年率+0.5%に減速、年度末減税は一定の効果>

    9月12日に発表された4-6月期GDP2次速報値によれば、同期の実質GDPの成長率は前期比年率-3.0%と1次速報値の同-2.4%から下方修正 された。4 半期ぶりのマイナス成長となり、また2001年7-9月期(同-4.5%)以来の大幅な下落となった。また1-3月期の成長率も同+3.2%から 同+2.8%へと下方修正された。図が示すように、前年比で見ればこの1年の成長減速は明瞭である。2007年1-3月期の前年同期比+3.2%をピーク として、4-6月期の同+1.8%、7-9月期の同+1.7%、10-12月期の同+1.6%、さらに2008年1-3月期同+1.2%から4-6月期は 同+0.7%へと5期連続して減速しており、ダウントレンドが明瞭である。

    今後の日本経済はどうような成長パターンを示すのであろうか。現在、マーケットには悲観的なムードが漂っている。その背景には、世界経済、特に米国・EU の成長減速があり、また新興諸国も明瞭ではないが成長減速の兆しが見られるからである。しかし、一方で原油価格の下落という明るい兆しがある。 7月の月 次データを反映した最新の超短期モデル予測によれば、7-9月期の実質GDP成長率を前期比+0.5%、同年率+1.9%と見込んでいる。 10-12月期は前期比+0.4%、同年率+1.4%と予測している。この結果、2008暦年の経済成長率は+1.0%となろう。前回(+1.2%)より 下方修正されたが、これは2008年前半のGDPデータが下方修正されたためである。 7-9月期の実質GDP成長率(前期比+0.5%)への寄与度を見れば、国内需要と純輸出がそれぞれ+0.2%ポイント程度、小幅の貢献となっている。国 内需要では、実質民間最終消費支出は前期比+0.3%と小幅ながら増加する。一方、実質民間住宅は同-4.2%と減少し、実質民間企業設備は同横ばいとな る。公的需要では、実質政府最終消費が同+0.2%、実質公的固定資本形成が同-0.6%となる。外需では、実質輸出は同0.5%増加するが、実質輸入は 同1.3%減少しよう。 半期ベースで見れば、2008年後半は前期比年率+0.5%と前半の同+1.2%から減速が避けられない。原油価格の下落が浸透 し、企業収益が回復するのは2009年後半と予想される。その間、民間最終消費支出が底割れしないように、年度末までに定額の所得税減税を実施することは それなりの効果を持つであろう。

    [稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]

    米国
    <失業増によるリセッションに直面、インフレ率も上昇>

    8月の非農業部門の雇用者数は前月比8万4千人減少し8ヵ月連続のマイナスとなった。この結果、今年に入ってからのネットの雇用減は60万6千人となった。失業率も7月の5.7%から6.1%へと0.4%ポイントも上昇した。
    9月5日の超短期予測は支出・所得の両サイドからの平均実質GDP成長率を7-9月期、10-12月期においてそれぞれ前期比年率-0.2%、同 -0.5%と2四半期連続のマイナス成長を予測している。新規失業保険申請件数もリセッションの入り口といわれる40万人を7月の半ばから超えている。一 方、GDP価格デフレーターや総合・コア個人消費支出価格デフレーターでみたインフレ率は前期比+4?+6%となっており、米国がスタグフレーションに直 面し ていることは間違いない。
    このような経済環境において当局が採るべき政策は、第一に、Fannie Mae(連邦住宅抵当公庫)とFreddie Mac(連邦住宅貸付抵当公社)の救済計画をできるだけ速やかに公表し、住宅ローン市場における人々の不安を解消することである。実際、9月7日にポール ソン財務長官は2公社を政府の管理下におくと発表し、第一の政策は実施された。その次に、政策担当者は追加の景気刺激策を導入すべきである。
    残念なことに、共和党のマケイン大統領候補のチーフ経済アドバイザーのダグラス・ホルツ・イーキンは、「米国経済は修復すべきファンダメンタルズの問題 を抱えており、追加的景気刺激策が無駄になる可能性がある」と追加の景気刺激策には悲観的である。一方、バラクオバマは雇用減少を重く見て、1150億ド ルの追加刺激策を考えている。中身は650億ドルを中間層への還付税とし、500億ドルをインフラ投資と州・地方政府への支出としている。マケイン・ペイ リンの共和党ペアもすぐにでも追加の景気刺激策を打ち出すことが選挙に勝つためには不可欠である。選挙が最終的には“It’s the economy, Stupid (結局、肝心なのは経済)”になることは間違いない。

    注)本レポート執筆は先週時点のものであり、リーマンブラザーズ経営破綻については触れていない。

    [熊坂有三 ITエコノミー]

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    橋下府政改革・広域連携に関するアンケート結果(2008年8月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2008年度

    ABSTRACT

    財団法人関西社会経済研究所(会長:下妻博関西経済連合会会長・住友金属工業会長)では、自治体改革や国と地方制 度改革の問題も重要な研究テーマとして取り組んでいます。橋下府政改革により地域住民の自治体改革に対する関心が高まっていることから、広域連携関連の意 識と併せてアンケート調査を実施しました。
    設問中、関西地域住民の橋下府政改革や広域連携に関する意識が端的に読み取れる内容を中心に紹介させていただきます。

    アンケート結果概要

    橋下知事の改革に対する支持率は73%と高く、しかも「生活への痛み」を十分に認識した上での評価となっている。これまでの財政悪化の責任者としては、自治体議員、職員、首長を挙げる比率が高くなっている。
    広域連携の必要性に関しては、82%が必要と認識し、関西広域連合への取り組みに対する期待は高いといえる。
    しかし、道州制導入による府県合併については意見がわかれており、現状ではコンセンサスはないといえる。

    ☆ 『自治体財政破綻のおそれを感じる』は74%。大阪府では80%と更に高い。
    ☆ 『橋下知事の改革による生活への痛み』は大阪府では62%が予想
    ☆ 橋下大阪府知事の財政再建プログラムは大阪府では「断固決行」63%と「来年度から」10%をあわせると73%の支持。
    ☆ 『大阪府財政悪化の責任』は、自治体議員、自治体職員、自治体首長が三大責任者との認識。
    ☆ 『行政サービスのための自治体増税』は「少々なら納得できる」が63%。「納得できる」は8%。このふたつの合計は3府県とも70%台。
    ☆ 『府県連携の行政協力について』は82%が必要と回答。(大阪府83%、京都府82%、兵庫県75%)
    ☆ 『関西広域連合が連携すべき分野』としては「救急医療」(70%)と「大規模災害」(40%)が上位。
    ☆ 『道州制による大阪府、兵庫県、京都府の合併』は、「合理性あり」「抵抗感あり」「どちらともいえない」が各30%台と意見がわかれる。但し、京都府で「抵抗感あり」が44%とやや多い。
    ☆ 尚、住民意識としては各府県とも「関西人」意識が最も高く(39?42%)、「府県民意識」が最も低い(4?14%)。中でも兵庫県での「県民意識」の低さは際立っている(4%)。

    <アンケートの実施方法>
    ・ ウェブアンケート形式、6月上旬
    ・ 分析対象数は大阪府400名、京都府100名、兵庫県100名で合計600名

    「橋下府政改革・広域連携に関するアンケート結果」

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    関西の全都市の財政健全性を評価 (2008年8月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2008年度

    ABSTRACT

    財団法人関西社会経済研究所(会長:下妻博関西経済連合会会長・住友金属工業会長)では、関西の全ての都市の財 政健全性分析を実施しました。そして、関西の各都市が全国の都市の中でどのポジションにあるかも明らかにしました。さらに、人口構成や産業構造などの要因 と財政指標の関係についても調査しました。
    これらの研究により、外部環境が悪い中で効率的な行政サービスを運営している自治体、或いは逆に、環境は良いが効率が悪い自治体などを数値で分類しました。

    研究成果のポイント

    ☆ 全国平均の一人当り基礎的経常収支(地方交付税除く)は2000年度から2005年度にかけて12.7千円悪化。地方交付税を含むベースで比較しても、12.5千円悪化。
    ☆ 地方交付税を含まないベースで見ると、2000年度、2005年度ともに芦屋市が全国最良で1位。また、兵庫県と大阪府の地方税収に恵まれた都市が上位にある。
    政令指定13都市の中で、大阪市は8位。
    ☆ 1人当り地方税収と65才以上人口比率は基礎的経常収支に影響している。
    これらを非裁量要因として、その影響を除去した数値と現実の値を比較することで、財政運営の効率性を評価した。
    関西では芦屋、田辺、三木の評価が高い。
    全国13政令市の中では、神戸市は上位にランクされるが、京都と大阪は下位にランクされており、課題が残されているといえる。

    今回の調査結果が、自治体住民及び行政に広く理解され、効率的な自治体運営につながることを期待しています。

    <政令指定都市中、下位の大阪市本庁舎>    <全国トップランクの芦屋市の街並み>

    **写真は大阪市、芦屋市提供

    関西社会経済研究所「自治体財政健全性」研究会メンバー
    主査:
    林  宏昭 関西大学経済学部教授
    アドバイザー:
    跡田 直澄 慶應義塾大学商学部教授
    委員:
    後藤 達也 大阪産業大学経済学部准教授

    関西社会経済研究所が、関西の全都市の財政健全性を評価

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    水都ジェントリフィケーション 大阪Triangle構想 を提案!!(2008年7月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2008年度

    ABSTRACT

    財団法人関西社会経済研究所では、かつての“港”としての賑わいを急速に失いつつある安治川、木津川、尻無川の川 沿いを中心としたエリアにスポットをあて、水辺の都市の長期的転換手法として、従来のハード主体・大規模開発手法とは異なった、文化芸術を含むソフト主 体・段階的転換の手法を研究し、「水都ジェントリフィケーション 大阪トライアングル構想」として、発表しました。
    これは昨年度の同研究所が提案したグレーター中之島に焦点をあて打ち出した「社交都心 21世紀版大阪の“都心の磁石”」(平成18年12月)の大阪 東西軸コンセプトを更に西に延長し完成させたものであり、水都大阪創生の1つの方向として、行政・経済界はじめ各界の関係者の皆様にご高覧、ご検討頂くこ とを期待しております。

    関西社会経済研究所「都市創生」研究会メンバー
    ・主査
    嘉名 光市 大阪市立大学大学院工学研究科都市系専攻准教授
    ・アドバイザー
    跡田 直澄 慶應義塾大学商学部教授
    ・アドバイザー
    橋爪 紳也 大阪府立大学特別教授
    ・委員
    竹林 幹雄 神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻准教授
    ・委員
    谷口 康彦 (株)URサポート執行役員・都市再生企画部長
    ・委員
    中谷ノボル (株)アートアンドクラフト代表・建築家
    ・委員
    弘本由香里 大阪ガス(株)エネルギー・文化研究所客員研究員
    ・オブザーバー
    藤原 幸則 (社)関西経済連合会地域連携部部長
    ・オブザーバー
    日高 明子 (社)関西経済連合会地域連携部次長
    ・コンサルタント
    岸田 文夫 (株)環境開発研究所専門部長

    「提言:水都ジェントリフィケーション 大阪Triangle構想」

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    産業創生報告書「関西における中小企業の現状と課題」(2008年5月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2008年度

    ABSTRACT

    産業創生研究会
    <研究体制>
    ・主査
    竹内 常善 大阪産業大学アジア共同体研究センター研究員
    ・委員
    後藤 達也 大阪産業大学経済学部准教授
    ・アドバイザー
    跡田 直澄 慶應義塾大学商学部教授
    ・協力者
    北浦 義朗 関西社会経済研究所研究員
    (順不同、敬称略)

    <研究テーマと狙い>
    ☆テーマ : 「関西における中小企業の現状と課題」
    ☆狙  い : 関西経済の発展を考える上で中小企業の発展は欠かせない。
    これまでも中小企業振興の観点から、様々な政策提言そして施策が実施されてきた。
    しかし、関西の中小企業の現況は全国平均を上回る廃業率に象徴される通り、満足できる状況にはない。真に効果的な産業振興策を立案するには、再度、中小企業の現況を分析し、成長の桎梏点を明らかにすることが有益である。

    <研究成果の概要>
    ☆成功している中小企業には様々なパターンがある。
    海外進出で成功、国内にとどまり成功
    伝統的技術で成功、新技術で成功
    伝統市場で成功、新市場で成功
    ☆共通する成功要因
    確固たる経営の意思と持続力
    人材育成
    世界レベルの技術とブランド
    ☆今後の課題
    モノづくりだけで競争に勝つのは困難か(収益性含め)
    地域、街、住民が産業レベルを向上させるとの観点からは、現状の関西の取り組みは不十分か
    国及び行政の産業振興への取り組みも再検討の必要有りか

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    「抜本的税制改革に向けた調査研究」最終報告 (2008年4月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2008年度

    ABSTRACT

    ((社)関西経済連合会委託調査研究)

    主査:
    跡田直澄 慶應義塾大学商学部教授

    ゆるやかな経済成長を続ける日本経済ではあるが、実際の成長率は2%程度と低迷している。経済構造改革は着実に進み、法人税収等にはその成果が明確に現 れている。一方、政府の財政構造改革はその端緒についたばかりであり、その成果はまだほとんど現れていない。にもかかわらず、先の参議院選挙の結果を勘案 すると、構造改革路線の一時的後退も予想されるところである。
    しかしながら、日本経済の再生には政府の構造改革は不可欠である。肥大化した財政のスリム化により、民間部門の活性化をはからなければ21 世紀の高齢社会は乗り切れない。この点からみれば、今、取り組まなければならない課題は、やはり、歳出の徹底的な削減であり、同時に民間活力の増強にむけ た税制の再構築である。そして、その結果を踏まえて、超高齢社会を乗り切るための次なる改革を考えることである。
    そこで、本研究では、総合的な財政改革とマクロ経済パフォーマンスとの関係をシミュレーション分析を踏まえて検討し、改革の必要性とそのあり方を模索し てみる。さらに、財政改革の中でも税制改革 は 経済のさまざまな側面に影響を与えることになるので、その影響を考慮しながら、抜本的改革のあり方を議論してみた 。

    第1章  2011年度までの財政の状況を予想しながら、取り組むべき改革を明らかにする。
    第2章  法人課税の実効負担分析に基づき税制が企業の投資行動に与える影響を明らかにし、減税の必要性に言及する。
    第3章  所得格差の原因を明らかにした上で、所得課税における給与所得控除、所得控除、さらには税率表のあり方を議論する。
    第4章  消費税の増税根拠を再考し、増税時期や増税論議における消費税偏重の問題を検討する。
    第5章  財源格差と地方課税の問題をとりあげ、法人税割と事業税を地方消費税に交換した場合のシミュレーションを行い、その影響を踏まえて税源交換のあり方を検討する。
    終 章  本報告書における分析結果を再述するとともに、その意義をまとめ今後の課題に言及する。

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    「抜本的税制改革に向けた調査研究」中間報告 (2007年9月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2007年度

    ABSTRACT

    ((社)関西経済連合会委託調査研究)

    主査:
    跡田直澄 慶應義塾大学商学部教授
    担当:
    前川聡子 関西大学経済学部准教授

    緩やかな経済成長を続ける日本経済ではあるが、実際の成長率は2%程度と低迷している。経済構造改革は着実に進み、法人税収等にはその成果が明確に現れ ている。一方、政府の財政構造改革はその端緒についたばかりであり、その成果はまだほとんど現れていない。にもかかわらず、先の参議院選挙の結果を勘案す ると、構造改革路線の一時的後退も予想されるところである。  しかしながら、日本経済の再生には政府の構造改革は不可欠である。肥大化した財政のスリム化により、民間部門の活性化をはからなければ 21世紀の高齢社会は乗り切れない。この点からみれば、今、取り組まなければならない課題は、やはり、歳出の徹底的な削減であり、同時に民間活力の増強に むけた税制の再構築である。そして、その結果を踏まえて、超高齢社会を乗り切るための次なる改革を考えることである。 そこで、本受託研究では、総合的な 財政改革とマクロ経済パフォーマンスとの関係をシミュレーション分析を踏まえて検討し、改革の必要性とそのあり方を模索している。さらに、財政改革の中で も税制については、経済のさまざまな側面に与える影響を考慮しながら、その抜本的改革のあり方を議論している。

    この中間報告では、
    第1章  2011年度までの財政の状況を予想しながら、取り組むべき改革を明らかにする。
    第2章  財政収支を長期的に展望しながら、次なる改革をどうすべきかの検討資料を提示する。

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    「受益と負担の観点から見た税制と社会保障制度改革に関する研究・研究」成果報告 (2007年4月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2007年度

    ABSTRACT

    ((社)関西経済連合会委託調査研究)
    (主査: 橋本恭之・関西大学経済学部教授
    アドバイザー:跡田直澄・慶應義塾大学商学部教授)

    わが国の地方税制が法人課税に過度に依存している状況は是正されるべきとの見方に立ち、地方税としての法人課税の見直しの方向性について検討した。 ま た、19年度税制改革に向けて減価償却制度の見直しが課題として挙がっており、特に償却可能限度額・残存価額の引き下げを行った場合、企業の設備投資にど のような影響を与えるかを研究した。

    成果報告書の構成は以下の通り。

    1. 地方法人課税の見直しについて
    2. 減価償却制度見直しによる影響について
    3. 2006年将来人口推計と社会保障制度の受ける影響

    『受益と負担の観点から見た税制と社会保障制度改革に関する調査・研究』

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    関西マクロ経済分析モデルの開発(中間報告)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2006年度

    ABSTRACT

    主査: 福重 元嗣 大阪大学大学院経済学研究科 教授)

    地域経済を総合的に捉えることができる経済分析モデル構築への要請はますます高まっている。各地域が独自の発展戦略をもつことが求められる「地方 分権の時代」にあって、経済分析モデルを利用したシミュレーションや将来予測は、戦略の立案や各種施策の評価、外生的なショックの影響測定に有効な情報を 与えてくれる。関西に拠点をおく企業や個人にとっても経済分析モデルは有力な武器となろう。
    当研究所は2003年5月から学界、官界、関連研究機関の専門家からなる「関西経済分析モデル開発研究会」を組織し、連携・協力しつつ、「関西マクロ経 済分析モデル」の開発に取り組んでいる。開発の過程でまず、関西7府県(大阪、兵庫、京都、奈良、和歌山、滋賀、福井)の産業連関表を結合した「関西地域 間産業連関表」を完成させ、続いて、関西マクロ計量モデルを整備し、両者を結合したモデルを構築した。すなわち、関西マクロ経済分析モデルは、「関西地域 間産業連関表」を内包したモデルであり、乗数効果だけでなく産業間や府県間への波及効果を測定することができる。シミュレーションの一例として、大阪府の 公共投資が1994年から2003年まで毎年400億円増加した場合の影響を試算すると、関西地域のGDPは710億円増加するとの結果を得た。
    今回、中間報告として成果を公表したところ、研究会委員の方々から貴重なご意見を頂戴した。現在、それらを反映したうえで本年度末の最終報告を目指すべく、改訂作業を急いでいる。

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    市民目線による自治体財務情報の評価」 市民主導の公共サービス選択システムの確立に向けて

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2006年度

    ABSTRACT

    「自治体改革の実践に関する調査研究」研究成果報告
    主査 村尾 信尚 関西学院大学教授

    当研究所(会長:秋山喜久関西経済連合会会長、所長:本間正明大阪大学大学院経済学研究科教授)は、これまで研究の主要な柱として地方分権・地方改革に 関する研究に力を注いでまいりました。こうした中、自治体改革は、現下に取り組むべきわが国の最重要課題の一つになりました。
    改革実践のためには主役たる市民が大きな役割を果たさねばなりません。このためには、まず、市民へ行政の実態についての情報を徹底的に公開することが必 要であり、特に、財務情報の公開は最重要であります。昨今の自治体の財政破綻の顕在化はこの課題の緊急性を浮き彫りにしています。
    今回の研究において、「市民目線での財務情報公開の標準モデル」を設定し、それに基づく評価方法表を開発して横浜市をベンチマークとし、京都、大阪、神戸市の公開状況を比較評価し、財務情報の改善についても言及しました。
    本研究が、自治体財務情報の改革・公開促進、財務情報についての市民意識の更なる向上、そして、市民主役の自治体改革に貢献することを期待します。

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    「医療保険制度改革に関する研究」 (2005年9月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2005年度

    ABSTRACT

    「医療保険制度改革に関する研究」

    本研究は、社団法人関西経済連合会から調査・研究委託を受け、当研究所において医療保険制度の改革案を取りまとめたものである。関経連の経済財政委員会 社会保障部会(部会長:石橋三洋・日本生命保険(相)副会長)が10月28日に公表した「医療制度改革に関する提言」の基礎データニなるものである。
    なお、検討に当たっては、「医療保険制度改革研究会」(主査:小塩隆士・神戸大学経済学研究科教授)を設け、国保・政管健保・老健など保険者が異なり十分な保険者機能が働いていない現在の諸制度を見直した。
    また、保険者機能を都道府県に集約しようする厚生労働省案にも分析を加え、地域ブロック制導入について試算している。

    【研究体制】 (順不同、敬称略)

    主査
    小塩 隆士  神戸大学大学院経済学研究科教授

    アドバイザー
    齊藤  愼  大阪大学大学院経済学研究科教授

    委員
    日高 政浩  大阪学院大学経済学部助教授
    前川 聡子  関西大学経済学部助教授
    吉田 有里  甲南女子大学人間科学部講師
    木村  慎   北海道大学公共政策大学院特任助手
    阿部  崇   ニッセイ基礎研究所副主任研究員

    オブザーバー
    窪井  悟   (株)大丸経営計画本部担当課長
    鶴岡  武   (株)UFJ総合研究所主任研究員

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    日本経済のマクロ分析

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2005年度

    ABSTRACT

    主査
    稲田 義久     甲南大学経済学部教授
    主査
    高林喜久生    関西学院大学経済学部教授
    委員
    地主 敏樹    神戸大学大学院経済学研究科教授
    (敬称略)

    本調査研究は、1976年、京都大学経済研究所の森口親司教授(当時)の主唱により、同研究所と関西経済研究センター(現関西社会経済研究所)との共同プ ロジェクトとして発足し、その後、1986年より、関西経済研究センター(現関西社会経済研究所)の単独プロジェクトとなった。理論と実態の融合をめざ し、学界の指導と協力を得て、在阪の大手会員企業・団体の若手スタッフ参加の下で「マクロ経済分析プロジェクト研究会」を組織している。
    本調査研究は、産学協同研究体制の典型として当研究所の研究活動・人材育成活動の核を成しており、「社会人のための大学院」を目指している。
    研究会活動の概要および研究成果の発表については以下の通り。

    ・特別研究
    会員企業、関連団体の若手スタッフ、当研究所員をメンバーとする「マクロ経済分析プロジェクト研究会」において、時宜に適した、関西経済の活性化に 資するテーマをマクロ経済の観点から取り上げる特別研究を、毎年実施している。その成果は、2月?3月頃に報告書として取り纏め、会員企業に提供するとと もに、広く企業・自治体・経済団体等を対象に発表会を実施している。

    ・日米中超短期予測フォーラム
    日米中の専門家が協力して各国経済の2四半期予測を月次ベースで行う。日米中3国間の経済相互関係にも留意した内容を盛り込んで、毎月中旬に研究所HPにて発表する。

    ・四半期経済予測(景気分析と予測)
    研究会において、予測作業に必要な景気の現状分析、外生変数の想定について共同作業を行っている。時代のニーズに合わせ、2005年度より「超短期 予測モデル」を使用し、予測インターバルを四半期から月次ベースへと移行、またその「超短期経済予測」結果により四半期経済予測の足元をかため、より精度 の高い景気見通しの実践に取り組んでいる。 四半期経済予測は「景気分析と予測」として四半期毎(2月、5月、8月、11月)に記者発表を実施している。

    ・景気討論会
    年2回(夏および新年)、民間・官界から外部講師を招いてパネルディスカッション形式で開催している。稲田主査による「景気分析と予測」(上記参 照)を基調報告とし、日本経済および関西経済の見通し、金融市場の現況と行方、政策運営のあり方など、時宜に適したテーマで幅広い議論が展開される。

    ・関西エコノミックインサイト
    関西経済の現況を全国の動きと比較しながら分析し、その動向を探るとともに、適宜、重要な経済問題をトピックスとして解説する。コンパクトかつ、ポイントを突いたレポートを目指すもので、原則として四半期毎(2月、5月、8月、11月)に当研究所HPにて発表する。

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    関西地域間産業連関表を活用したシミュレーションについて

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2005年度

    ABSTRACT

    「関西経済分析モデル」研究成果発表
    (主査:福重元嗣・大阪大学大学院経済学研究科教授)
    当研究所の関西経済分析モデル研究会は、学界の専門家、近畿経済産業局、近畿財務局、各府県統計部署担当者、民間シンクタンク、その他で組織されて いる。モデルの作成に先立ち、大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀、福井の2府5県を対象に、各府県の産業連関表と近畿表を連結した、関西地域唯一の地 域間産業連関表を作成した。その特徴は以下のとおりである。

    (1) 各都道府県内のモノの流れだけではなく、府県の境界を越えて移動するモノの流れを考慮することが可能(=生活経済圏が発達した現在の社会状況をよく反映した分析が可能)

    (2) 75部門の産業ごとの詳細な経済効果と、産業全体への経済効果の両方を数値化することが可能。

    平成17年3月25日、「関西活性化の鍵を探る」をテーマとして、この産業連関表を使った研究成果を発表した。その活用例は、以下の3点のシミュレーションである。

    1. 関西地域における企業集積の経済波及効果
    関西の各府県の電子・通信機器部門の生産額の10%相当が兵庫県に立地したと仮定した場合、関西地域全域における経済波及効果は1,598億円である。
    2. 関西地域における道州制の経済波及効果
    関西の自治体の区域・役割再編、税源移譲を行い、官業の一部民間委託と10%の経営努力が行われると、公的部門の減少が民間部門への移管により相殺され、関西地域のGRPは0.001%押し下げられるのみにとどまる。
    3. 日韓FTA実施による関西への経済波及効果(詳細はマクロ経済分析プロジェクト「交流深まる関西と東アジア」を参照)

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    提言:社交都心 21世紀版大阪の“都心の磁石”

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2005年度

    ABSTRACT

    「Kansai Tomorrow会 都市創生部会2005-06」研究成果報告

    ■ 主査 跡田 直澄 慶應義塾大学商学部教授

    当研究所(会長:秋山喜久関西経済連合会会長、所長:本間正明大阪大学大学院経済学研究科教授)では、研究の大きな柱として、関西の活性化の研究に取り組んできましたが、このたび、掲記の提言がまとまりましたのでご報告します。
    大阪の地盤沈下が長らく続く中、大阪駅北地区や難波駅周辺の開発など、いくつかの活性化のためのプロジェクトも動き出しました。しかし未だ、都市を戦略的にとらえた将来構想は明確ではなく、大阪は世界的な都市間競争の中で、大きな後れをとっています。
    こうした危機感を持ち、私どもは、大阪の未来を鳥瞰し、議論を重ねてまいりましたが、21世紀の国際化・情報化時代における都市繁栄のためには、何より も都心の活性化が最重要であると考えます。この観点に立ち、今回、大阪の都心の中の中心、特に、21世紀版大阪の「都心の磁石」となる「社交都心」の要素 を有する可能性を持つグレーター中之島(Greater Nakanoshima:中之島西部を核にその周辺を包含した地域)をエリアスタディにその将来構想を検討しました。
    本研究成果・提言が大阪・関西の再生、ひいては、わが国全体の活性化に貢献するとともに、これを機に、大阪の活性化に関係する行政・経済界はじめ各界の関係の皆様が、なお一層、大阪再生に全力で取り組まれることを祈念するものであります。

    「提言:社交都心 ?21世紀版大阪の“都心の磁石”?」

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    州制の導入および地方分権改革と地域経済の活性化に関する調査研究 (2004年3月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2003年度

    ABSTRACT

    (内閣府経済社会総合研究所 平成15年度委託調査)

    関西社会経済研究所は、平成15年度において内閣府経済社会総合研究所より『持続可能な成長経路への戦略に関する国際共同研究調査(国内等研究グルー プ)』)*を受託し、その一環として、「州制の導入および地方分権改革と地域経済の活性化に関する調査研究」(委員長 齊藤 愼大阪大学大学院経済学研究 科教授)を実施した。本研究の趣旨以下の通り。

    【趣旨】
    本研究は、財政学・公共経済学のみならず、計量経済学や金融論など経済学の多岐にわたる分野の研究者と研究所のスタッフが集まり、州制の導入および地方 分権改革と地域経済の活性化に関して1年間をかけて調査研究した成果である。その結果、これまでに行われた数多くの提言・研究等より、一歩踏み込んだ研究 と豊富な情報を提供することができたのではないかと期待している。
    地方分権のあり方については、これまでも様々な提言等がなされてきたが、近年、「州制」の導入に関する議論が盛んである。また、以前のような議論にとど まらず具体的な動きもみられる。東北の青森、岩手、秋田3県合併の動きや、大阪都構想など、地域により様々な検討が行われており、また北海道では道州制特 区を活用して、権限、財源の移譲、出先機関の統合などに取り組みつつある。その狙いの重要な部分は、地域独自の政策を立案遂行できる行政メカニズムを創出 して、地域経済の活性化を図ることにある。
    これまで、日本の政府間関係は中央集権的であると指摘されてきた。日本経済の沈滞状況を引き起こしている一因は中央政府による規制の強さにあり、政府間 関係における規制の問題もその一部である。このことが地域経済活性化への障害となり、地域の自立を妨げているのではないかと思われる。
    そこで、本研究では、まず、基礎的な調査として、市区レベルのデータに基づく関西経済空洞化の数量的な分析を行い、労働力移動の円滑化による域内全体の労働生産性向上の可能性について研究した。
    次いで、各地域から見た「州制」の利害得失を具体的に検討し、これが今後の地域活性化のための有力な方策であることを検証した。さらに関西地域をモデル として州制導入の効果を経済・財政面からシミュレーションの手法によって明らかにし、関西地域以外の地域についても試算を行った。また、日本での「州制」 導入に際する問題点を調査するために、ドイツの事例を研究し、財政調整と地域の経済自立などについて研究した。
    「州制」導入によって地域経済活性化が期待されるが、現状の地方行政制度における産業政策を総括し、過去の政策評価、地域経済への影響を分析した。その結果として、地域の連携・広域化の必要性を明らかにした。
    このような経済的分析、財政学的分析に加えて、金融のあり方の側面からも調査を行ったことが本研究の大きな特徴である。財政部門を分析する際に金融は、 ともすれば捨象されがちであるが、「州制」導入を議論する際には、この問題は避けて通れない。地方債への資金供給はどのようになされるのか、また地域金融 システムの変革の方向と、州制導入後の日本の地域金融システムの構想についても検討した。
    このような調査研究を実施することで、これまで理念型で語られることの多かった州制の効果について具体的に示すことが可能になり、より現実的な議論ができる土俵を提供できることを期待している。

    * 国際共同研究の成果は内閣府hpでご覧いただけます。
    http://www.esri.go.jp/jp/prj-rc/macro/macro15/syousai2.html
    http://www.esri.go.jp/en/prj-rc/macro/macro15/syousai2-e.html
    http://www.esri.go.jp/jp/prj-rc/kankyou/kankyou16/syousai.html
    http://www.esri.go.jp/en/prj-rc/kankyou/kankyou16/syousai-e.html

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    税財政および社会保障制度の総合的改革に関する研究 (2004年3月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2003年度

    ABSTRACT

    関西経済連合会よりの委託調査
    (主査:帝塚山大学経済学部教授 森口親司氏 )

    年金制度の問題は国民的関心事である。年金、医療保険を中心とした社会保障制度は、国民が安心でき、企業の活力を削がず、持続可能なものでなければならない。
    本研究では、年金制度について、負担と給付のあり方、経済成長、歳出、社会保障費の見通しのもとでの国民と企業負担について理論的に検討した。具体的に は、委託者である関西経済連合会の年金改革に対する提言(歳出を抑制し、基礎年金には消費税を充てる)のケースについて厚生労働省案のケースと比較しつ つ、シミュレーションを行い、その妥当性を検証した。

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    経済競争力再生のための道路整備に関する企業意識調査(アンケート・ヒアリング結果)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2004年度

    ABSTRACT

    当研究所では、関西における経済競争力再生のための道路整備に関する企業意識調査を実施した。
    アンケートは、関西経済連合会、関西経済同友会および関西社会経済研究所の会員企業820社を対象に、「企業が抱える課題と道路整備の関係」、「道路整 備やネットワーク形成・道路利用に対する不満・不都合」、「企業が求める道路整備の優先順位」、「大都市におけるロードプライシング」、「大都市内の道路 利用に対する希望」、「企業の今後の道路利用意向」について実施した(有効回答180社)。
    また、企業ヒアリングは、近畿や九州および東京を含む関東の企業・団体20社を対象に、上記アンケート項目以外に、企業の経営戦略、立地戦略、道路の活用に関する実態等の情報収集を行った。
    調査結果の概要は以下の通り。

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    地方分権”三位一体改革”についての有識者見解集 (2003年6月)

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2003年度

    ABSTRACT

    平成15年6月2日(財)関西社会経済研究所担当 宮原

    ●趣旨
    地方分権に向け、三位一体の改革論議(補助金の廃止・縮減、交付税の改革、地方への税源移譲)が、それぞれ対立点を抱えながらも大詰めに近づいた。 この改革は、地方分権への大きな一歩であるが、論議の結果によっては、逆に、後退、スケジュールの遅れにもなりかねい恐れもある。関西は地方分権において 学界・経済界等各界あげて全国を先導してきた。こうした背景もあり、今回、急遽、本問題についての有識者の見解をとりまとめたものである。これが、地方分 権のための三位一体の「真の改革」に貢献することを期待するものである。(有識者の見解収集期間:5月22日?5月30日)

    ●見解をお寄せ頂いた有識者(順不同)
    新川達郎 同志社大学大学院総合政策科学研究科長・教授
    中川幾郎 帝塚山大学大学院法政策研究科教授
    森信茂樹 政策研究大学院客員教授
    林宏昭 関西大学経済学部教授
    林宜嗣 関西学院大学経済学部学部長・教授
    齊籐愼 大阪大学大学院経済学研究科教授
    田中英俊 同志社大学大学院総合政策科学研究科客員教授
    知原信良 大阪大学大学院法学研究科教授
    大住荘四郎 新潟大学経済学部教授
    長谷川裕子 関西経済連合会産業地域本部地域グループ次長
    岸秀隆 監査法人トーマツ代表社員・公認会計士
    上村多恵子 京南倉庫株式会社代表取締役

    ●有識者見解の要約 (文責:事務局)

    * 新川達郎 同志社大学大学院総合政策科学研究科長・教授
    ・ 三位一体改革は国と地方の財政規律の確立であり、地方自治体の自己決定・自己責任体制の強化である。
    ・ 現在の改革論議には、それが目指す新たな社会像が見えない。成熟、低成長、少子高齢化のなかでの地域社会をセフティネットにした社会像としての分権化社会の創造と言う視点が大切。
    ・ 基本的なことよりも、増税ありき、補助金・交付金の削減先行がまかり通っているのは問題。改革の議論の仕方が問題。
    ・ 地方自治の財政自主権を保障する改革が必要。

    * 中川幾郎 帝塚山大学大学院法政策研究科教授
    ・ 地方自治体の非効率と国依存体質の原因は、中央集権支配に基づく補助金・交付金システム。
    ・ 税財源の委譲がなければ、地方の自己決定・自己選択は絵に描いた餅。財政窮迫とは別次元の問題。
    ・ 財政調整機能は簡素な方式にし、基本的には共同税を主に構成にすべき。

    * 森信茂樹 政策研究大学院客員教授
    ・ 危機的な財政赤字を踏まえ先ず、国・地方を通じた効率的な税の使い方を考えるべき。
    ・ 補助金を通じた国の関与・規制は原則撤廃。公共事業では、国の補助事業を廃止・縮減。
    ・ 地方の財政収支尻を保障する「交付税制度」そのものを廃止し、自治体間の調整は、一人当たり税収の均等化という客観的な調整に改め、その規模も縮小。
    ・ 補助金・交付税の削減によって確保される財源をもとに、地方へ税源移譲する。過去の国の債務(公共事業の国債充当分)も、その一部を国から地方へ移譲。
    ・ 財政諮問会議のような政府レベルの論議に、当事者の自治体の責任者を出席させ、効率化の具体的な数値をコミットさせることが必要。自治体の行政サービスの無駄は国をはるかに超える。
    ・ 三位一体改革、は各省、総務省、財務省、地方公共団体が一両づつ損をする「四方一両損」の改革で、最終的には、住民が受益するという改革であるべき。

    * 林宏昭 関西大学経済学部教授
    ・ 国庫支出金の改革では、事業の責任、財政的責任が曖昧な現状を見直すべき。国庫負担の基準を施設や職員数ではなく、人口、高齢者、児童など財政需要を中心に改めるべき。
    ・ 税源移譲として、消費税収の地方への配分割合を高め、所得税減税と合わせた所得割住民税の比例化を検討すべき。
    ・ 「地域のための負担」という住民意識、「住民の負担による行政」と言う行政側意識の確立が大切。

    * 林宜嗣 関西学院大学経済学部学部長・教授
    ・ 地方財政の効率化と地方分権改革は別個の問題。三位一体は同時並行で進めるべき。
    ・ 地方の歳出削減と地方交付税の縮減は改革のゴールであり、手段ではない。
    ・ 中央集権の実体をきっちり押さえた上での改革案でなければ、三位一体は迷走。

    * 齊籐愼 大阪大学大学院経済学研究科教授
    ・ 大きな改革の場合、マクロや国民生活へのメリットを明らかにすべき。
    ・ 財源難の下で地方分権を実現するには、受益と負担がキーワード。歳出水準を調整するか、あるいは負担水準を調整するかといういわゆる「限界的財政責任」(現在これは専ら地方債に依存)を明確にすべき。

    * 田中英俊 同志社大学大学院総合政策科学研究科客員教授
    ・ 地方分権が真に実体を持つには、国から自主財源を移管し地域が住民・企業・NPOとも一体となり自らの責任で政策の立案・遂行ができるようにすべき。

    * 知原信良 大阪大学大学院法学研究科教授
    ・ 三位一体は同時決着すべき。
    ・ 全国共通の固有財源と地方独自の自主施策の両方が必要。単に国からの税源移譲だけを求めていたのでは国民の理解が得られない。

    * 大住荘四郎 新潟大学経済学部教授
    ・ 歳出の削減と増税の具体的目標を設定する。
    ・ 優良自治体と一般自治体に振り分け、原則、優良自治体への国庫補助は撤廃、交付金は大幅削減。交付金の算定基準も人口などに局限する。
    ・ 将来、優良自治体になれなかった自治体は窓口機能のみをのこし、一般事務は都道府県がになう。

    * 長谷川裕子 関西経済連合会産業地域本部地域グループ次長
    ・ 財政改革優先の考えは問題。三位一体は地方の自立・分権改革が目的。
    ・ 中央集権そのものが財政需要を肥大化。
    ・ まず交付税を改めるべき。交付税税源は地方に移譲し、新たに、住民に見える財政調整の仕組みを構築すべき。

    * 岸秀隆 監査法人トーマツ代表社員・公認会計士
    ・ 地方公共団体における受益と負担の明確化が地方分権改革の目的。
    ・ 義務教育はナショナルミニマムであり国庫が負担しても良い。
    ・ 地方共同税の創設は地方の独自財源としての性格が明確になるので良い。
    ・ 財政調整交付金を恒久的措置とする場合は、「国が法令で一定の行政水準の維持を義務づけている事務を国が保障するための機能」に限定すべきである。
    ・ 「国税、地方税とも増税を伴う税制改革が必要」との案には絶対反対。

    * 上村多恵子 京南倉庫株式会社代表取締役
    ・ 地方分権・地方主権の確立は、東京ではめったに話題にならないが、関西はじめ、地方ではずっと問題にしてきた。
    ・ 明治政府以来の東京を中心とする中央集権、官主導、平等志向、欧米キャッチアップ志向等を基礎とした国のあり方を、根本的に見直す大きな「国家のモデルチェンジ」である。
    ・ 「その時代に」「その地域に」「そこに住む」人々が、自ら考えもう少し身近に行動できる新しい国と地方の関係を創る必要がある。
    ・ 国・地方の歳出削減を含めた四位一体論で進めるべきものである。国の財政再建を優先するため、国庫補助金負担や地方交付金の削減が先で、本格的な税源移譲は後からという考え方はおかしい。

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