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「関西経済」の検索結果 [ 14/17 ]

  • 木下 祐輔

    関西における人手不足

    インサイト

    インサイト » トレンドウォッチ

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    木下 祐輔

    ABSTRACT

    2014 年4 月に消費税が5%から8%へと引き上げられたものの、関西の雇用環境は好調である。しかし、非製造業、特に中小企業で人手不足感が高まっている。

    今後、生産年齢人口の大幅な減少によって労働供給不足が起きることで、労働需給のひっ迫が予想されるが、雇用のミスマッチは解消されておらず、6 割の企業が雇用不足を懸念している。中には既に事業へ支障が出ている業種もある。

    関西は全国と比べて女性の就業率が低い府県が多い。ミスマッチの解消とあわせて、女性を中心とした人手不足の解消が必要である。

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  • 岡野 光洋

    新しいマクロ経済モデルの応用試行

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2014年度 » 人口減少・高齢化社会における需要構造の変化

    RESEARCH LEADER : 
    岡野 光洋

    ABSTRACT

    リサーチリーダー

    研究員 岡野光洋

     

    研究目的

    これまでに構築したモデルを用いてシミュレーションを試行し、関西経済への適用の可能性を探る。

    研究内容

    関西経済の構造的特徴(家計の嗜好、企業の技術構造など)を、パラメータ値の推定によって定量的に捉える。さらにマクロ経済理論をベースとする形で、各種の政策シミュレーションを行うことを可能とする。

    リサーチャー

    松林洋一 神戸大学大学院経済学研究科教授

    北野重人 神戸大学経済経営研究所教授

    井田大輔 桃山学院大学経済学部准教授

     

    期待される成果と社会還元のイメージ

    理論的に透明度の高いモデルを用いることによって、政策効果の波及メカニズムを、理論に即して追跡することが可能になり、企業・経済団体の方々にも、情勢判断の一助となる。本年度は特に、地方モデルの特性を活かして、地方政府と中央政府を区別する。これによって、国税と地方税を区別して分析することが可能になり、消費税、所得税、法人税といった各種税制の変更が地方経済に与える影響を理論的、定量的に把握できることをめざす。

     

  • 稲田 義久

    第20回 関西エコノミックインサイト<消費増税の影響の表れ方に差はあるか ― 影響の出方の比較:関西vs.全国 ―>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 岡野 光洋 / 林 万平 / 劉 洋

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  • 稲田 義久

    第19回 関西エコノミックインサイト<足下の好調を持続可能とするために ― 成長戦略の加速による設備投資の拡大が必須―>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    トピックスには「速報性と正確性が両立する県内GDPの早期推計」プロジェクトについて解説し、関西2府4県のGDP予測を示している。

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  • 稲田 義久

    第18回 関西エコノミックインサイト<回復を持続可能とするための成長戦略の早期実現>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久

    ABSTRACT

    トピックスには「速報性と正確性が両立する県内GDPの早期推計」プロジェクトについて解説し、大阪府、兵庫県、奈良県のGDP予測を示している。

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  • 高林 喜久生

    関西・アジア諸国間の経済連動関係の分析と関西独自景気指標の開発

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2013年度 » イノベーション

    RESEARCH LEADER : 
    高林 喜久生 / 稲田 義久

    ABSTRACT

    研究成果概要

     

    本研究では関西の府県別の変動パターンに着目しました。「国際収支(=輸出-輸入)の地域版」である域際収支(=移出-移入)の関西府県分析からは、あらためて大阪府の重要性が浮き彫りになりました。一方、関西の府県別景気指標の分析によると、シェアが必ずしも大きくない滋賀県や福井県が関西の景気変動にとって重要な位置を占めています。そして韓国が関西の府県に先行していることも注目点です。また、ユニークな景気指標として「段ボール生産」に昨年度着目しましたが、大型小売店販売額等との時差相関係数を分析したところ、関西の消費動向の1 ヶ月の先行指標として利用可能なこともわかりました。詳細はこちら

    目的

    地域ごとの景気変動パターンの独自性が高まっている。この研究プロジェクトは、関西とアジア諸国・諸地域間の経済連動関係を明らかにし、その結果を踏まえて関西景気指標を独自に開発・応用を行うことを目的とする。読者は、このような情報提供を最も必要とする関西の企業・地方自治体を第一に想定する。

    内容

    アジア諸国・地域との経済的な連動関係を数量的に把握する。具体的には、国際地域間産業連関表の作成を行う。その際、常に新たな成長牽引産業を意識する。関西はバランスのよい産業構造を持っているとされるが、リーディング産業が無いという見方もできる。バランスのよい産業構造を生かすには産業間・企業間の連携が必要で、それが新たな成長を生み出すことに繋がると考えられる。

    期待される成果と社会還元のイメージ

    ・関西と特定アジア諸国・地域間の国際地域間産業連関表の作成。

    ・景気指標による関西とアジア諸国間の経済連動関係の抽出。

    ・関西景気個別指標(例えば段ボール生産が有望視される)の発見。

    ・関西独自の景気指標の開発と応用・公表。

    これらの研究成果を体系的に整理したものを書籍(「関西経済論」の教科書としても利用可能なもの)としても世に問いたいと考えている。

     

  • 阿部 茂行

    関西企業とアジアの経済統合

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » アジア太平洋地域軸

    RESEARCH LEADER : 
    阿部 茂行

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    阿部 茂行 同志社大学教授

    研究成果概要
    TPPが動き出すことによりアジア大の経済統合が現実味を帯びてきました。もとより「世界の工場」アジアは、デファクトに統合をすすめ、広範囲の生産ネットワークを築いてきたのです。2011年のタイ洪水はそうしたネットワークの中心にあったタイに甚大な被害を与え、世界の自動車・電機電子産業への影響も強いものがありました。このプロジェクトでは、タイ経済の回復過程、そして今後起こりうる変化を分析することにより、今後の経済統合の進展が及ぼす関西企業(ことに中小企業)への影響を考察しました。多国籍企業は人件費等の安さだけで立地決定をしているわけではなく、業種によっては裾野産業が育っていることが重要です。その意味でタイは、関西中小企業に格好の進出機会を与えてくれる、というのが結論です。詳細はこちら

    研究目的
    関西企業の東アジアに進出するモチベーション、技術移転、経済統合への対応、アジアへの貢献等を産業分野別に調査分析し、アジアの枠組みの中で関西経済を見直し、関西経済復権への具体的提言につなげる研究を行う。

    研究内容
    ○専門家、企業人を招いた研究会を開催
    ○関西企業のFTA/EPAに関するヒアリング
    ○タイにおいて現地企業から聞き取り調査を実施
    ○経済統合の進展とともに、どのようにサプライチェーンが構築されたか、今後の経済統合がどのようにサプライチェーンを変質させるか等のデータ分析

    メンバー
    Eric D.Ramstetter (国際東アジア研究センター)
    上田曜子 (同志社大学)
    後藤健太 (関西大学)
    久保彰宏 (富山大学)
    阿部良太 (神戸大学大学院生)

    期待される研究成果
    ・日本・アジアにおける関西企業の立ち位置を統計的に明示
    ・タイ洪水がもたらした生産ネットワークへの被害実態と対策について客観的に評価
    ・アジアにおける産業別生産ネットワークの実態の解明により、今後の方向性とリスク回避方法を探究
    ・日本企業の貢献に関する現地側の評価の明確化
    ・TPP等経済連携についての関西企業の取組み・期待に関するサーベイ
    ・関西経済復権につながる具体的な政策研究

     

  • 小川 一夫

    関西地域の投資戦略

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » 地域発展戦略

    RESEARCH LEADER : 
    小川 一夫

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    小川 一夫 大阪大学教授

    研究成果概要
    本プロジェクトでは、関西企業における高度な技術や専門的な知識を持った外国人財(高度外国人財)の活用状況を調査しました。関西の大学には多くの留学生が学んでいますが、卒業後に関西の企業に就職する割合は高くありません。その原因を明らかにするために、企業と留学生の両方を対象に、共通の質問項目を含むアンケート調査を同時に実施しました。その結果、企業と留学生の間には就業年数にミスマッチがあることがわかりました。一方、企業が期待する能力と留学生が発揮したい能力にはミスマッチは大きくないことから、留学生の定着のためには、多様なニーズを持つ企業と留学生をマッチングさせる仕組みを構築し、外国人にとって快適な生活環境を整備することが必要です。詳細はこちら

    研究目的
    自然災害、円高などの不確実な環境において関西が持続的な発展を維持するには、どのような投資戦略が必要 かを考察する。アジア新興国は高成長を遂げており、その原動力は活発な企業活動にある。このような企業を関西に呼び込むことで、関西における投資の呼び水 となり地域活性化がもたらされることも考えられる。また、留学生が卒業後関西で活躍できる場を提供することにより関西活性化につながることが期待できる。 関西への対内直接投資、人的投資を通して外国人による関西の活性化効果について検討する。

    研究内容
    ○研究者、企業関係者、行政関係者、シンクタンク等をメンバーとするオープンな研究体制
    ○関西への対内直接投資、関西における留学生・外国人労働者に関するデータ収集と分析、留学生・外国人労働者に対する関西活性化に関するアンケート
    ○アジアにおける対内直接投資が活発な地域、海外からの留学生・労働者を活用し活性化を行っている地域の現地調査

    メンバー
    荒井信幸 (和歌山大学)
    松林洋一 (神戸大学)

    期待される研究成果
    ・データ分析から関西における対内直接投資、留学生・外国人労働者の現状を描写し、投資や雇用の阻害要因を明確化
    ・阻害要因を克服し、投資や雇用を促進する戦略の明確化、 戦略の実施による関西経済への効果の定量的情報提供
    ・海外からの直接投資や人的投資による活性化を達成するために必要な民間の取組み、国・自治体による制度・政策対応の提言

     

  • 藤川 清史

    関西地域と広義の環境技術

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » イノベーション

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    藤川 清史 名古屋大学教授

    研究成果概要
    本研究で注目したのは、(1)都市の低炭素化と(2)ゴミの減量化です。(1)については、電気自動車の使用促進、スマートグリッドの導入、中小企業の省エネ投資を対象にしました。省エネ投資は需要増加の側面があることの広報、また中小企業に対しては各種補助制度の広報や周知が重要であることが確認されました。(2)については、食品工業・外食産業の食品廃棄物および畜産廃棄物からのメタンガス抽出(リサイクル)を対象にしました。このリサイクルを促進するためには、リサイクル施設の集約化および地方公共団体によるゴミ処理費用の「引き上げ」によって、リサイクル費用を相対的に低下させることが重要であると確認されました。詳細はこちら

    研究目的
    ○新環境政策の導入によって、関西の人々のライフスタイルやエネルギー消費行動がどのように変化し、それによりどのような新ビジネスの創造が可能であるかを探る。
    ○関西企業が環境配慮型のビジネスモデルを導入した場合、各産業部門の環境負荷構造がどのように変化し、またそれがどのような新ビジネスを創造するのかを検討する。

    研究内容
    ○市場を利用した環境政策(炭素税、固定価格買取制度、排出権取引)の導入による家計の負担上昇を把握し、不公平感が生じないような制度設計を提案する。また、エネルギー価格の上昇などマクロ経済への影響も検討する。
    ○国内CDMや国内REDDの推進によるPES(生態系への支払い)としての林業支援の可能性、食物残渣や畜産廃棄物の資源化による省資源・省エネ効果、耕作放棄地の発電施設としての利用による農家支援等の経済効果を分析する。
    ○エスコ事業などの事例を取り上げ、サービサイジング・ビジネスの省資源・省エネ効果を分析する。
    ○スマートグリッド関連設備投資の経済効果を検討する。

    メンバー
    楠部孝誠 (石川県立大学)
    下田 充 (日本アプライドリサーチ研究所)
    藤本高志 (大阪経済大学)
    松岡憲司 (龍谷大学)
    吉田 登 (和歌山大学)

    期待される研究成果
    アジア太平洋研究所研究資料「環境技術と関西経済」としてまとめ、幅広く発信

    研究成果
    7月27日に第4回研究会を開催しました。
    6月8日に第3回研究会を開催しました。
    5月18日に第2回研究会を開催しました。
    4月24日に第1回研究会を開催しました。

     

  • 小田 章

    関西における観光イノベーションモデルの構築

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2012年度 » イノベーション

    ABSTRACT

    リサーチリーダー
    小田 章 和歌山大学名誉教授

    研究成果概要
    本研究のねらいは、関西における観光振興に資するTIMを構築し、経済の活性化を図ることにあります。そのためには、国内外の観光客を関西に集客することが肝要となります。
    ?本研究の成果としてのTIMは次のようなものといえます。(1)日本の魅力再発見、(2)観光の戦略性と推進体制の強化、(3)広報力の強化、(4)多様なツーリズムの開発、(5)インフラ整備、(6)ツーリズム・コミュニティー構想、(7)関西観光教育機構構想、です。これらのTIMの実現こそが、関西の観光振興につながり、引いては関西経済に大きな活力を生むことになると確信しています。詳細はこちら

    研究目的
    観光立国を実現するため、わが国の観光産業がなぜ世界の観光先進国の後塵を拝しているかについて、観光先進国との比較を行いながら分析し、関西に焦点を絞り観光振興イノベーションモデルを構築する。

    研究内容
    ○観光先進国、国内の観光先進地域における取組み及び特質の解明を、現地調査を含め実施
    ○観光に関して日本人と外国人の考え方や価値観等についてのアンケート・ヒアリング
    ○わが国の観光分野の問題点を明らかにし強み・弱みを分析
    ○観光先進国の取組みから何を導入すべきか(新たなものを産み出すことを前提に)を検討
    ○日本版観光イノベーションモデルの構築

    メンバー
    川端保至 (和歌山大学)
    戸塚敦子 (前和歌山大学)
    吉田順一 (大阪府立大学)
    林 健太 (甲南大学)
    三吉麻里子

    期待される研究成果
    ・観光施策や観光啓発等のあり方の提示
    ・わが国の観光事業への対応や内在する課題等の克服
    ・日本版観光イノベーションモデルによる観光関連企業、観光ビジネス従事者、官公庁、教育機関等への有意な情報提供

     

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    関西エコノミックインサイト 第13号(2012年2月28日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析?関西経済の現況と予測?」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授
    研究協力:近畿大学世界経済研究所入江啓彰助教)

    「関西エコノミックインサイト」は、関西経済の現況の解説と、計量モデルによる将来予測を行ったレポートです。アジア太平洋研究所が公表する日本経済予測と連動しており、原則として四半期ごとに公表いたします。

    第13号(2012年2月)の概要は以下の通りです。

    1.大震災による供給制約が解消され、回復基調にあった関西経済は、足下、円高の長期化や海外経済の減速などの影響が色濃くなっている。家計消費な ど一部に底堅い動きが見られるものの、輸出は大幅に減少し、生産は全国と比べても落ち込みが大きい。加えて火力発電増強による燃料輸入増加により関西の1 月の貿易収支は過去最大の赤字となった。

    2.震災以降の化石燃料の輸入量は、石炭を除いて、原油及び粗油、液化天然ガスはいずれも前年比増加した。しかし、全国の原油及び粗油の輸入数量は減少しており、関西とは異なる動きとなった。関西の原発依存度の高さを反映しており、今夏の電力需給の厳しさが予想される。

    3.関西の実質GRP成長率を2011年度-0.2%、12年度+0.7%、13年度+1.9%と予測する。今回の予測では、主要自治体の2012 年度当初予算案等を基にした政府支出見通しの改訂と足下の輸出減等を反映し、前回予測から2011年度0.6%ポイント、12年度0.7%ポイントの下方 修正とした。2013年度は1.0%ポイントの上方修正である。

    4.標準予測に対する下振れリスクとして世界経済の停滞が懸念される。EU発の金融危機が世界経済に伝播した場合、関西の実質GRPは2012年度 に1.11%、2013年度に1.04%標準予測より減少する。これは輸出の減少に加え国内他地域の経済の停滞の影響が大きい。

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    地域金融研究会報告書を取りまとめました。

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    ABSTRACT

    地域金融研究会(主査 地主敏樹 神戸大学経済学部教授)では、地域金融研究会では、大阪中心に金融仲介機能が低 下しているのではないか、という問題意識のもと、2010年12月から約1年間にわたり合計8回の研究会を実施し、「関西圏における中小企業向けの金融」 に焦点をあてて、調査・分析を行いました。
    この報告書では、供給側と需要側、双方の問題点を検討しており、今後の関西経済の金融円滑化に役立つものと考えています。

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    関西エコノミックインサイト 第12号(2011年11月28日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析?関西経済の現況と予測?」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授
    研究協力:近畿大学世界経済研究所入江啓彰助教)

    「関西エコノミックインサイト」は、関西経済の現況の解説と、計量モデルによる将来予測を行ったレポートです。関西社会経済研究所が公表する日本経済予測と連動しており、原則として四半期ごとに公表いたします。

    第12号(2011年11月)の概要は以下の通りです。

    1.前回予測に比して関西経済の景況は改善しておらず、回復と停滞を示す指標が混在している。電力供給問題やタイの洪水など、期待されていた急速な回復を抑制する要因の増加が先行きの見方を不透明なものとしている。企業や家計は先行きを慎重に見ている。

    2.足下、輸出は2ヵ月連続で減少しており、景気のダウンサイドリスクが高まっている。電気機器においては、関西とタイで中間財を中心とするサプライチェーンが形成されており、タイ洪水影響の長期化は今後の関西経済にとって懸念材料である。

    3.冬季の家庭の電力需要は全体の4割程度と夏季よりも1割程度高く、エアコンのスマートな使い方などによる家庭の節電の役割が大きい。関西広域連 合・自治体等には、効果的な連携により家庭・産業部門の節電を促進して今冬を乗り切る、という広域的課題への対応力が問われる。

    4.日本経済の最新予測と上述したダウンサイドリスクを反映し、関西の実質GRP成長率を2011年度+0.4%、2012年度+1.4%、 2013年度+0.9%と予測した。2011年度は足下の景気減速を反映して0.4%ポイントの下方修正。2012年度は前回予測から変化なし。成長率寄 与度をみると、民需が関西経済の成長を牽引する一方、外需の貢献は前回予測より比較的小幅となる。

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  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2011年11月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    企業誘致を考える
    ?パナソニック尼崎工場の生産計画撤回を受けて

    先ごろ、パナソニックのプラズマパネル尼崎工場の生産計画の撤回が発表され、多方面で大きな衝撃を持って受け止められた。このパナソニックの決断は、企業誘致について多くのことを考えさせるものであった。
    第1に、企業の意思決定は極めて早くてドラスティックであることである。今回の件では、企業にとってはスピードが命であることを改めて思い知らされた。生産計画の中止や工場の処分は大きな損失を伴うが判断を少しでも遅らせればより巨額の損失が予想されたからである。
    第2に、プラズマパネルの最新鋭工場である第3工場の生産中止とともに、太陽電池の生産計画の撤回も明らかにされたことに関してである。プラズマパネル については、これほど早い撤退は予想できなかったとはいえ、近い将来、後続選手へのバトンタッチが必要と見られていた。新産業として有望視されていた電池 生産の撤退の方が長期的な影響は深刻といえるかもしれない。製造業拠点としての大阪湾岸も「パネルベイからバッテリーベイへ」と期待されていたのに黄色信 号がともったのだ。
    第3に、自治体や地域経済も経済のグローバル化の影響をストレートに受けることをあらためて示したことである。今回のパナソニックの決断の背景には、円 高や中国メーカーとの競争激化によるパネル価格の下落で事業採算が悪化したこと、太陽電池の最大市場である欧州各国が財政危機で補助金による普及策を縮小 したことの影響があった。いまや自治体の財政や地域経済は否応なしに世界経済の動向と直接にリンクしているのだ。
    今後、自治体や地域は企業誘致政策とどのように向かい合っていけばよいのだろうか。まず、確認しておきたいことは、雇用や需要を生む企業誘致が有力な地 域活性化策であることに変わりはないことである。しかし、今回の件は、撤退等の場合に備えての自治体側のリスク管理も重要であることを示した。
    企業誘致の自治体間競争も限界に来ている。他の自治体も同様の誘致策で対抗し、とくに補助金などのインセンティブ政策では大きな差がつかないからだ。パ ナソニック尼崎工場の誘致においても県・市挙げてのワンストップサービス(窓口の一元化)の実施が決め手になったと思う。自治体に企業誘致に関するアン ケートをとると最大の課題は他の自治体との競争が激しいということが突出している(下図)。
    グローバル化の波を特定の自治体・地域で受け止めることには限界がある。企業誘致も今までのように個別自治体ベースではなく、関西広域で対応すべきとい える。関西広域で戦略を練り、個別自治体の利害を調整する。関西全体として国内や海外の他地域と競争する。その方が自治体同士の過当な競争も減るし、リス クにもふところ深く対応できると考えるのだ。

    注)関西社会経済研究所が関西2府4県4政令市に対して実施した「企業誘致方針 と具体的な企業誘致関連事業に関するウエブアンケート調査」(2010年5月)に基づき、自治体の「生産拠点及び研究開発拠点の誘致を含む事業(37事 業)」ついて、事業推進に当たっての課題についての回答結果をとりまとめたもの。
    出所)2010年版「関西経済白書」p.116
    [高林喜久生 マクロ経済分析プロジェクト主査 関西学院大学]

    日本
    10-12月期日本経済は一時的な踊り場へ

    11月14日発表のGDP1次速報値によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+6.0%となった。4期ぶりのプラス成長となり、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト11月調査:前期比年率5.82%)とほぼ同じ結果となった。
    超短期モデルの(支出サイドモデルと主成分分析モデル)の最終週(11月8日)における平均成長率予測は同+5.9%であり市場コンセンサスとほぼ同じ であった。うち、支出サイドモデル予測は同+6.0%、一方、主成分分析モデル予測は同+5.9%。重視している支出サイドモデルの予測値は実績と同じピ ンポイントの結果となった。
    超短期モデルの予測動態を見れば、7-9月期の基礎月次データが発表されない7月初旬の段階では+2%台半ばを予測していたが、7月のデータが更新され る8月の初旬には5%台の高成長を予測した。7-8月のデータが出そろう9月初旬には6%近くの高成長を予測し、以降安定的に高成長を予測した。
    7-9月期の実質GDP成長率を最も引き上げたのは純輸出であった。純輸出の寄与度(年率ベース)は+1.7%ポイントと5期ぶりのプラスとなった。一 方、内需の寄与度も+4.2%ポイントと2期連続のプラス。特に、民需である民間最終消費支出、民間住宅、民間企業設備、民間在庫品増減がいずれも成長に 貢献した。
    11月15日の(支出サイドモデルによる)予測では、7-9月期GDP1次速報値と一部の10月データが更新されている。10-12月期の実質GDP成 長率は、内需は小幅縮小するが、純輸出は引き続き拡大するため前期比+0.2%、同年率+0.9%と予測する。日本経済は7-9月期の高成長から一時的な 踊り場へと局面を移すことになろう。2012年1-3月期の実質GDP成長率は、純輸出は横ばいとなるが内需が小幅拡大するため、前期比+0.6%、同年 率+2.5%と予測する。この結果、2011暦年の実質GDP成長率は-0.2%と小幅のマイナス成長にとどまろう。また2011年度は+0.5%と予測 する。
    10-12月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.2%へと減速する。実質民間住宅は同+2.1%増加、実質民間企業設備は同 -1.3%減少する。実質政府最終消費支出は同+0.6%、実質公的固定資本形成は同+0.6%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期 比+0.2%)に対する寄与度は-0.1%ポイントとマイナスの寄与となる。
    一方、財貨・サービスの実質輸出は同+1.7%と減速し、実質輸入は同-0.8%減少する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する寄与度は+0.4%ポイントと引き続き景気を押し上げる。
    以上のように超短期予測は10-12月期を一時的な踊り場局面と見るが、この見方を修正する2つのリスクが考えられる。欧州債務問題と第3次補正の執行の遅れである。

    [稲田義久 KISER所長・マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]
    米国

    未だ悲観的なメッセージを送り続けるバーナンキ連銀議長

    グラフに見るように、景気は10月はじめから回復をしており、11月11日の超短期予測では今期(10-12月期)の実質GDP伸び率が+3.1%にま で達していることが示されている。その他の実質アグリゲート指標(総需要、国内需要、最終需要)も同じように10月はじめから上昇トレンドにあり、それら の成長率はいずれも2%?3%の範囲となっている。インフレ、デフレへの懸念は全くなく、ヘッドラインインフレ、コアインフレも1%?2%の範囲にある。 米国経済は堅調な回復を示している。
    しかし、バーナンキFRB議長は未だ悲観的なメッセージを市場・人々に送り、異常なゼロ金利政策の維持、更なる量的金融緩和の正当性を求めようとしてい る。11月10日のテキサス郊外の米軍基地におけるタウンホールミーティングでバーナンキFRB議長は次のように言っている。「FRBは失業率を引き下げ ることに専念する。欧州財政危機がグローバルな経済ショックになる可能性がある」、また「多くの人々が今のリセッションが永久に終わらないと感じているこ とを私は知っている」と。バーナンキFRB議長は今の失業の多くが彼の言うような循環的なものではなく構造的なものであることを認めるべきである。実際に 求人数の水準は今ではリセッション前の水準にまで戻っているが、求人と職を求める人々の間でのミスマッチが非常に多い。
    FRB議長に求められているのはマスメディアのような欧州財政危機のグローバル危機への発展予測・懸念ではなく、米国がそれを避けるために何をしている か、また欧州危機の米国経済への影響をどのように最小にすべきかの話である。バーナンキ議長自ら、今のリセッションが永久に続くと言う感覚を示せば、彼は いままで何をしてきたのだろうかと市場・人々は思う。市場がFRBへの信頼性を失うことは間違いない。政策当局者にとって大事なことはリセッションや金融 危機を予測することではなく、それらを避け、経済を望ましい状況にもっていくことである。その為には、正確に経済動向を分析し、できるだけポジティブな メッセージを市場・人々に送ることである。実際、米経済の回復は堅調になっているが、FRBはこれを見逃している。経済政策当局者は”Pessimism Never solves any problem”と言うことを忘れてはならない。

    [ 熊坂有三 ITエコノミー]

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    研究報告書「関西地域における設備投資の特徴と課題」をまとめました。

    研究プロジェクト

    研究プロジェクト » 2011年度

    ABSTRACT

    投資戦略研究会(主査 小川一夫 大阪大学社会経済研究所教授)では、
    昨年度の住宅投資に引き続き、企業設備投資について、分析・検討を行いました。

    報告書では、統計データを用いてリーマンショック後の関西における企業設備投資の動向および特徴を明らかにするとともに、公益社団法人関西経済連合会と共同で実施したアンケートを基にして、設備投資における企業の意思決定要因や関西地域の強みや課題について分析することで、関西の地域活性化戦略を提言しています。

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    関西エコノミックインサイト 第11号(2011年8月31日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析?関西経済の現況と予測?」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授
    研究協力:近畿大学世界経済研究所入江啓彰助教)

    「関西エコノミックインサイト」は、関西経済の現況の解説と、計量モデルによる将来予測を行ったレポートです。関西社会経済研究所が公表する日本経済予測と連動しており、原則として四半期ごとに公表いたします。

    第11号(2011年8月)の概要は以下の通りです。

    1.関西経済は、一時的な足踏み状態からの回復モメンタムは非常に強い。
    景況感、生産などの月次データは5月を底に、回復を示すシグナルが多く出てきている。
    ただし、電力問題や、急速な回復に対する反動で先行きが懸念される。

    2.日本経済の最新予測と電力需給見通しの経済への影響を織り込み、関西の実質GRP成長率見通しを2011年度+0.8%、2012年度+1.4%と改訂した。
    2011年度は足下の景気回復を反映し0.3%ポイント上方修正、2012年度は電力供給制約などを反映し0.6%ポイント下方修正である。
    成長率寄与度をみると、民需と外需がバランスよく関西経済の成長の牽引役となる。

    3.関西電力管区では今夏の節電率は3.8%に止まる。原発の停止により今冬、来夏の電力需給はさらに逼迫することが想定される。
    節電率が今夏程度の水準で停滞し、火力発電への代替による追加的燃料輸入が増加すると、実質GRPは2011年度0.18%、2012年度0.46%押し下げられる。

    4.関西での節電率が関東並みの水準を実現した場合、火力発電用燃料輸入をさらに抑制することができるため、節電率が今夏の水準で推移した場合(標準予測)よりも、実質GRPは2011年度には0.05%、2012年度に0.19%引き上げられる。

    PDF
  • 熊坂 侑三

    今月のエコノミスト・ビュー(2011年7月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    地域のことは地域が責任と権限を持つ「地域主権」を確実なものとするため、国においては地域主権戦略会議が設置(平成21年11月)され、明治以来 の中央集権体質から脱却し、新たな役割分担に向けて、検討が進められてきている。こうした中、関西の自治体が全国に先駆けて立ち上がり、平成22年12月 に府県レベルでは全国初の組織「関西広域連合」が誕生した。関西広域連合は、関西全体の広域行政を担う責任主体を確立し、地域の自己決定、自己責任を貫け る分権型社会を実現することを目指しており、当然、産業振興面においても、新たな広域産業行政の主体となるものである。
    関西広域連合では、23年度末に向けて関西産業ビジョンの策定が進められている。これまでの産業施策では、広域施策は経済産業局等が担当し、各自治 体はそれぞれの施策を独自に推進するという形をとってきた。その結果、各自治体の政策はほぼ均質的であり、いわば、金太郎飴のような状況となっている。各 自治体のポテンシャルを最大限生かすという明瞭な政策体系にはなっていないのである。
    そのような状況下、今なぜ広域連合を推進しなければならないのか。この背景には、この20年日本の所得(名目GDP、すなわち各産業の付加価値の合 計)が減少してきているという厳然たる事実がある。結論を言えば、日本はこの間付加価値を高めるビジネスモデルの創出に失敗してきたのである。ITグロー バル下の「要素価格均等化」に抗するビジネスモデルの導入とそれを促す政策が着実に実現されてこなかったことが原因といえよう。もう一つの原因として、 マーケットの縮小に対して適切な対応ができていなかったことも挙げられる。以上は日本全体の競争力低下の原因として指摘したが、この問題は関西にもそのま ま当てはまる。
    経済活動は自治体の枠を超えて、関西地域、全国、アジア、世界へと広がっている。今後確実に進展する人口の大幅減少や激化する国際的な地域間競争下 において、関西産業の国際競争力を強化していくためには、関西広域連合は構成府県間のみならず、国や他の自治体、産学との協力と創造による “シナジー(相乗)効果”を発揮し、関西が国内外から認知される広域経済圏(メガ・リージョン)を形成していくことが不可欠と考えられる。自治体間でパイ を奪い合うのではなく、地域全体でパイを大きくしてこそ関西発展につながるのである。産学をはじめとした関係機関とも適切な役割分担と密接な連携を行い、 文字通り「オール関西」により、目指す将来像の実現に向けて取り組んでいかなければならない。
    なおグローバルな地域間競争下での関西経済発展に向けた政策を論じる際のキーワードは、(1)ブランド化、(2)海外所得の取り込み、(3)人材の 育成・活用、(4)広域連携の推進である。この点については、2011年度版『関西経済白書』第6章において展開している(9月発刊予定)。
    注:関西広域連合は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県の7府県により構成されるが、「産業振興」事務については、鳥取県を除く6府県が参加する(平成23年7月現在)。

    日本
    <4-6月期経済はマイナス成長だが4月には底を脱する>

    今回(7月18日)の予測では、一部の6月データとほとんどの5月データが更新されている。予測結果は、サプライチェーンの混乱が想定を上回るス ピードで改善していることを示唆している。今月の支出サイドモデルは、4-6月期の実質GDP成長率を、内需はほぼ横ばい、純輸出は大幅に縮小するため前 期比-1.1%、同年率-4.1%と予測する。先月(6月20日)の予測(-7.8%)から3.7%ポイントの上方修正となっている。先月の予測は、4月の実績と5-6月の時系列モデルの予測からなるものであったが、今回の予測は、4-5月の実績と6月の予測から推計されている。したがって、上方修正は5月の実績と予測の差から来ており、足元の回復のスピードは予想を大幅に上回るペースで推移していることがわかる。ま たグラフ(予測動態)からわかるように、ほぼすべての4月のデータが更新された6月の半ばの予測は景気がすでに底を打っていることを示している。すなわ ち、4月に景気は底を脱し上昇のモメンタムがついてきたことを示唆している。今後の注目点は、6月データの回復スピードである。特に、依然成長にマイナス の寄与度となっている純輸出の動向が気になる。21日に発表される6月の貿易統計の結果は要注意である。
    先行き7-9月期の実質GDP成長率は、内需は拡大し純輸出のマイナス寄与度幅が縮小するため、前期比+0.5%、同年率+1.8%と予測する。先月の予測から小幅の上方修正にとどまっている。
    4-6月期の民間需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比-0.6%となる。実質民間住宅は同-4.1%減少し、実質民間企業設備は同+0.6%増加 する。一方公的需要では、実質政府最終消費支出は同+0.6%、実質公的固定資本形成は同-4.3%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期 比-1.1%)に対する寄与度は+0.1%ポイントとほぼ横ばいである。
    財貨・サービスの実質輸出は同-5.6%減少し、実質輸入は同+2.5%増加する。この結果、実質純輸出の実質GDP成長率に対する貢献度は-1.2%ポイントとなる。
    主成分分析モデルは、4-6月期の実質GDP成長率を前期比年率-4.4%と予測している。また7-9月期を同+1.4%とみている。この結果、支出サイ ド・主成分分析モデルの実質GDP平均成長率(前期比年率)は、4-6月期が-4.3%、7-9月期が+1.6%となる。

    [[稲田義久 KISER所長 マクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国
    <4-6月期の成長率は1.0%?1.5%?景気回復のペースは更に弱まっている>

    前月のこのコラムで述べたように、支出・所得サイドから予測された実質GDP成長率の乖離は5月の輸出入を更新することで収束し始めた。超短期予測 と大きく異なり、5月の輸出が前月比-0.6%と下落した一方、輸入は同+2.6%と大きく伸びた。その結果、純輸出が大幅に下方修正され、支出(需要) サイドからの4-6月期の実質GDP成長率(前期比年率)は7月12日の予測では前週の2.65%から1.0%にまで大きく下方修正された(グラフ参 照)。一方、所得サイドからの実質GDP伸び率はGDP価格デフレーターが下方に修正されたことから前週の0.99%から1.15%へと上方修正された。 グラフは7月13日(6月の輸出入価格、連邦政府支出)、14日(5月の企業在庫、6月の小売販売、生産者物価指数)、15日(6月の消費者物価指数、鉱 工業生産指数)の日々の超短期予測の結果を示している(超短期予測は通常は週次ベースで予測を行っているが、今回は日次ベースで行った)。このグラフか ら、4-6月期の実質GDP伸び率は1.0%?1.5%と予測予想できる。この予測値は、市場のコンセンサスより幾分低い。超短期予測からみると、米経済 の回復力は1-3月期よりも4-6月期において、より弱まったといえる。
    これに対してバーナンキFRB議長は景気の見方を7月13日の議会証言で次のように述べている。

    - 経済は今もってソフトリカバリーを続けている。
    - ここ数ヵ月経済はモメンタムを失っている。
    - 経済成長に関して注意深くなるのは理解できる。
    - 景気回復のペースは7-9月期以降速まるだろう。
    - 我々は経済がどこに行こうとしているのか分からない。
    FRBとしては、景気回復のペースが4-6月期に入り前期より更に弱くなっているが、かといってバランスシートは拡大しレバレッジ比率がリーマン ショック時のベアースターンズより悪い50を超えていれば、簡単にQE3の導入を明言することもできない。FRBは経済成長率が3%を超えた時に出口戦略 を始め、政策金利をこれまでに0.5%?1.0%程度上げておけば、今の時点で0.5%の政策金利の引き下げができた。高い失業率に余りにもこだわり、出 口戦略を遅らせてきたことの付けが今に回っている。そのため、経済がどこに行こうとしているか分からないといいながら、7-9月期以降に景気回復のペース が速まるだろうと言わざるをえない。個人消費支出の伸び率(4-6月期)が前期比1.0%程度にまで落ちてきた今、7-9月期になって景気回復のペースが 速まるというのもおかしな話である。

    [[熊坂有三 ITエコノミー]]

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    関西エコノミックインサイト 第10号(2011年6月3日)

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    ABSTRACT

    「日本経済のマクロ経済分析?関西経済の現況と予測?」研究成果報告
    (主査: 稲田義久・甲南大学経済学部教授
    高林喜久生・関西学院大学経済学部教授)

    「関西エコノミックインサイト」は、関西経済の現況の解説と、計量モデルによる将来予測を行ったレポートです。関西社会経済研究所が公表する日本経済予測と連動しており、原則として四半期ごとに公表いたします。

    第10号(2011年6月)の概要は以下の通りです。
    1.関西は東日本大震災の直接的な被害を受けなかったが、全国的な自粛・買い控えムードと風評被害によって消費が停滞し、さらに生産も、電力問題とサプライチェーンの寸断による供給制約の影響を少なからず受けた。

    2.震災後、全国の輸出が減少する中、関西は小幅ながら増加を維持し、代替輸出の拠点としての機能を発揮した(4月シェア25.3%と26年ぶりの高水準)。
    また、3月の鉱工業生産の減少幅も全国と比べて軽微に止まり、代替生産の機能も担った。
    加えて関西では百貨店の増床等の影響もあり消費の落ち込みは避けられた。

    3.東日本大震災の影響と日本経済の最新予測を織り込み、関西の実質GRP成長率見通しを2011年度+0.5%、2012年度+2.0%と改訂した。震 災の影響で11年度は前回よりも-1.6%ポイントの下方修正であるが、プラス成長を維持する。成長率寄与度をみると、全国とは異なり民需と特に外需が引 き続き関西経済の成長の牽引役となる。
    公的需要は、被災地への重点配分により関西ではマイナス要因になる。

    4.今後の関西経済へのリスク要因の一つとして電力不足にともなう生産への懸念がある。
    7-9月に5%の電力供給減が生じたならば、関西のGRPは0.5%程度減少すると予想される。

    5.東日本大震災からの復興における関西の役割としては、①学術研究・イノベーション、②観光産業、③新エネ・省エネビジネスの3つの強みを活かした取り組みを進めることが必要である。

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  • 稲田 義久

    第6号「東日本大震災による被害のマクロ経済に対する影響」(2011.4.12)

    インサイト

    インサイト » 分析レポート

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 島 章弘 / 戸泉 巧

    ABSTRACT

    東日本大震災の直接的な被害額を推計し、3月18日発表の「日米超短期予測」にて推計した間接的な生産に対する被害額、関西経済への影響の結果とともに、政策レポート第6号としてとりまとめましたので報告いたします。

    PDF
  • 熊坂 侑三

    今月のトピックス(2011年3月)

    インサイト

    インサイト » コメンタリー

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    熊坂 侑三

    ABSTRACT

    このたびの東北地方太平洋沖地震による被災者の皆様には、心よりお見舞申し上げます。一刻も早い復興と皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。
    3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震、津波、原発事故の日本経済に与える影響について本格的に答えるのは時期尚早である。しかし、過去の自然 災害や破壊的な事件(先進国の事例では、1995年の阪神淡路大震災、2001年の米国同時多発テロ、2005年ハリケーンカタリナ等)についての歴史的 知識の蓄積は、今回の大地震の起こりうる影響について示唆を与えてくれる。これらの典型的なパターンとしては、発生後1ないし2四半期に大きな影響が発生 し、しかも被害は被災地域に集中することである。ただ国民経済全体のレベルで見ると、経済成長率への影響は目立つものの通常はそう大きくはない場合が多 い。
    しかし、今回、日本経済は短期的にも長期的にも大きなショックを受けることとなった。というのも、地震だけでなく、津波、原発事故も伴っており、影響は複雑であり損失は甚大である。日本経済・関西経済における影響を考える際に、以下のような論点が挙げられる。

    (1) インフラ、家屋、工場等の直接的被害
    (2) 労働力の喪失、工場等の操業停止、電力供給不足による生産の停滞とその影響の波及、パニック行動(風評被害・不要な買い溜め等)による物流の混乱等の間接的影響
    (3) 急激な円高と株安の進行
    (4) 関西経済への影響(関西に求められることを短期的・中長期的に考える)
    (5) 復興時における財政出動の規模と手法

    今回は、レポートの第一弾として、(2)と(4)を中心に検討する。今回の地震で、直接的な経済損失が特に見られるのは岩手県、宮城県、福島県、茨城県 の4県である。4県の県内総生産額(名目)は32.3兆円であり、全国の6.2%を占める。下表では東北4県の各産業のシェアと特化係数を示している。特 化係数は、各県の産業シェアを全国の同産業シェアで除して求められ、産業構造の特徴を他地域と比較することができる。特化係数が1を越えていると全国より シェアが高いことになる(表では1.5以上の産業を網掛けしている)。4県とも農林水産業の係数が高く、宮城県を除く3県では食料品製造業の特化係数も高 い。
    また下表は、特に被害の大きい市町村(以下では被災地域と呼ぶ)での生産規模を推計した結果である。ここでは、被災地域における従業者数の県全体に対す るシェアを算出し、これに各県各産業の生産額を乗じて、これを被害規模として推計した。被災地域の生産規模は総額8兆9,039億円となる。この金額は、 4県GRPの27.6%、全国GDPの1.7%に相当する規模である。これはすべての産業活動が1年間停止した場合に起こりうる被害規模である。先に見た ように、通常は発生後1ないし2四半期に大きな影響が発生するから、実際、その影響は全国GDPを0.5%?0.8%程度削減することになろう。

    震災の地域間への影響としては、地域間産業連関表による分析が有力である。実 際、地域間産業連関表(2005年ベース)によると、関西・東北間の経済取引額は約1.6?1.9兆円である(地域間産業連関表での東北は青森、岩手、宮 城、秋田、山形、福島が含まれる。茨城県は関東に含まれる)。関西経済における東北経済のウェイトおよび東北経済における関西経済のウェイトは1?3%程 度と、依存関係はさほど大きくない。東北における直接的な経済損失が各地域にどのような影響をもたらすか、地域間産業連関表の簡易分析ツールを用いた推計 結果を示す。ここでは簡単のために、茨城県の被害も東北地域に組み入れ、上述した被災地域の生産規模が全て東北地域で失われると考える。具体的には、東北 地域での消費・投資・輸出、および東北以外の地域での消費・投資における東北からの移入分について、それぞれ20%が喪失されると仮定する。なお20% は、東北6県と茨城県の生産額に対する被災地域の生産規模の比率である。
    このとき生産額ベースでは全国で11兆7,200億円(全国生産額の1.2%)、関西で5,854億円(関西生産額の0.4%)の損失、付加価値ベースでは全国で6兆0,198億円(GDPの1.2%)、関西で2,698億円(関西GRPの0.3%)の損失となる。

    以上われわれは、今回の東北地方太平洋沖地震の経済の与える影響を、インフラなどへの直接の被害を推計するというよりも、生産活動が停滞することからの生ずる滅失所得を2つの方法で推計した。直接の被害推計については不確実性が高く、今後の課題とする。
    得られた結論を再掲すると、(1)被災地域の滅失所得の直接推計規模は8.9兆円となる。この金額は、4県GRPの27.6%、全国GDPの1.7%に 相当する規模である。(2)地域間産業連関表を用いた分析では、全国GDPでは6兆円(GDPの1.2%)、関西GRPでは2,698億円(関西GRPの 0.3%)の損失となる。所得が失われる期間が半年としても日本経済(GDP)に与える影響は、0.6%?0.8%程度と推計できよう。
    [稲田義久、入江啓彰]

    日本
    <1-3月期の日本経済は震災の影響もあるが高成長を維持>

    今週の予測では、10-12月期のGDP(2次速報値)とほぼすべての1月のデータが更新されている。日本経済超短期モデルは、1-3月期の実質GDP成 長率を前期比+1.2%、同年率+5.1%と前回に引き続き高い成長率を予測している。また4-6月期については前期比+0.8%、同年率+3.4%と予 測している。
    これら予測についての最大のリスクは、3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震の影響である(暫定的な日本経済や関西経済に与える影響試算については、 今月のトピックスを参照)。3月の月次データには影響が出てくるが、本格的な影響は4-6月期に表れる。現時点では4-6月期はプラス成長を予測している が、データが更新されるにつれて、マイナス成長の可能性は高まってくるであろう。
    1-3月期の国内需要を見れば、実質民間最終消費支出は前期比+0.4%と好調である。1月の消費総合指数は前月比+0.6%、10-12月期平均 比+1.2%と大幅に伸びており、この影響を反映している。実質民間住宅は同+0.3%増加し、実質民間企業設備は同+2.9%増加する。実質民間企業在 庫品は1.481兆円と成長を押し上げている。在庫は情報通信機械、輸送機械、一般機械工業で上昇している。実質政府最終消費支出は同+0.5%、実質公 的固定資本形成は同-0.2%となる。このため、国内需要の実質GDP成長率(前期比+1.2%)に対する寄与度は+1.0%ポイントとなる。
    一方、純輸出をみれば、財貨・サービスの実質輸出は同+3.8%増加し、実質輸入も同+3.3%増加する。このため、実質純輸出の実質GDP成長率に対する貢献度は+0.2%ポイントとなる。
    主成分分析モデルは、1-3月期の実質GDP成長率を前期比年率+4.5%と予測している。また4-6月期を同+2.9%とみている。この結果、支出サイ ド・主成分分析モデルの実質GDP平均成長率(前期比年率)は、1-3月期が+4.5%、4-6月期が+2.9%と堅調な回復を予測する。
    超短期モデルは予測に関して個人的な恣意性を完全に排除している。東北地方太平洋沖地震のような突発的な影響を予測では捉えることはできない。月次データ にその影響が反映されて初めて予測の変化として実現する。ただ、先行指標であるサーベイデータなどにおける変化を用いて家計消費などのへの影響を推計する こともできる。今後は、超短期予測と併用して予測を行いたい。

    [[稲田義久 KISERマクロ経済分析プロジェクト主査 甲南大学]]

    米国

    グラフにみるように、支出サイドと所得サイドの平均実質GDP伸び率は上昇トレンドを形成しており、米景気が堅調に拡大していることを示している。支出サ イドにおける実質GDPの伸び率が低いのは米景気拡大に伴い輸入が大きく伸びているためである。GDP以外の実質総需要、国内需要、最終需要でみても同じ ような上昇トレンドが形成されており、3月11日時点でこれらのアグリゲート指標からみた1-3月期の経済成長率は3%?5%と堅調である。
    このような景気拡大にもかかわらず、バーナンキ連銀議長は現在の非常に高い失業率からOutput Gap(需給ギャップ)が大きいと考え、これまでの異常なゼロ金利政策、QE2を継続していくように思われる。実際にそのように考えているいわゆる”ハト 派”の連銀エコノミストが多い。原油価格の高騰に対しても、大きな需給ギャップから、バーナンキ連銀議長はインフレ懸念を示していない。しかし、原油価格 による物価上昇はコストプッシュ型のインフレであり、デマンドプル型ではなく、需給ギャップとはあまり関係ない。バーナンキ連銀議長の言うとおり、連銀の 金融政策が原油価格に直接に影響を与えることはできないが、異常な低金利政策、ドル安がコモディティー価格の上昇に一部寄与していることは確かである。消 費者にとって、コストプッシュ型、デマンドプル型のどちらにせよ、インフレはインフレであり、彼らは物価上昇がおこればインフレ期待を生じさせる。このこ とは3月のミシガン大学の消費者センチメント調査で1年後のインフレ期待が2月の3.4%から4.6%へと大きく上昇したことからも理解できる。連銀のす べきことの一つはいかにインフレ期待の上昇を抑制するかである。3月15日のFOMCミーティングにおいて何らかの出口戦略がとられるべきであろう。
    確かに、需給ギャップの考え方は受け入れやすい。しかし、需給ギャップを計算するための潜在成長率の求め方がいろいろあることを考えれば、需給ギャップの 考え方が現実的かどうかの問題が残る。連銀が需給ギャップ理論に執着して金融政策を決定していけばインフレ抑制に手遅れになるだろう。

    [[熊坂有三 ITエコノミー]]