経済予測 : Quarterly Report(日本)
日本と米国の景気の現況と先行きについて、週間・月間ごとに予測します。特に日本と関西については、四半期ごとに景気分析と予測を行っています。
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第122回景気分析と予測<高まる輸出・投資の縮小スパイラル・リスク>
経済予測
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ABSTRACT
高まる輸出・投資の縮小スパイラル・リスク
1.CPB World Trade Monitorによれば、2019年1-3月期の世界輸出(数量ベース)は前期比-0.3%低下した。15年7-9月期以降18年7-9月期まで13四半期連続で増加したが、足下の2四半期は連続で減少している。1-3月期の機械受注(外需)は2四半期ぶりのマイナス成長、4-6月期も低調が見込まれている。機械受注の先行性を考慮すれば、19年後半も輸出市場は低迷が続く。
2.5月20日発表のGDP1次速報によれば、1-3月期実質GDPは前期比年率+2.1%と2四半期連続のプラス成長となった。1-3月期実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト5月調査)の同-0.06%を大幅に上回った。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+0.1%、生産サイドが同+0.8%、平均同+0.5%とかろうじてプラス成長を予測したが、実績から下振れた。
3.1-3月期の結果はポジティブサプライズとなったが、内容は決してよくない。民間最終消費支出、民間企業設備、輸出が前期比減少する一方で、民間在庫変動の増加、輸入の大幅減が成長率を押し上げたからだ。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.1%ポイント(うち、民間在庫変動は同+0.1%ポイント)と2四半期連続、純輸出は同+0.4%ポイント(うち、輸入は同+0.9%ポイント)と4四半期ぶりの、プラスとなった。
4.1-3月期GDP1次速報を織り込み、2019年度の実質GDP成長率を+0.6%、20年度を+0.6%と予測した。前回(第121回)予測に比して、19年度は変化なし、20年度は-0.1%ポイント下方修正した。米中貿易摩擦の長期化予想の影響を受け、20年度は下方修正となっている。
5.標準予測では消費増税が予定通り実施されると想定している。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年央であること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。
6.標準予測に対して、最大のリスク要因は米中貿易摩擦の激化と長期化である。これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復に一段と下押し圧力が高まってきている。輸出の減少が企業収益縮小につながり企業設備を抑制するという、輸出・投資の縮小スパイラルに転じる瀬戸際に日本経済は位置している。
7.物価の先行きについては、エネルギー価格の動向と消費税増税の影響に加え教育無償化の影響が重要だ。これらを考慮し、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.7%、20年度+0.8%と予測する。
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第121回景気分析と予測<世界輸出減速、高まる景気下押し圧力>
経済予測
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/ DATE :
ABSTRACT
世界輸出減速、高まる景気下押し圧力
1.世界輸出はすでに減速局面に入っている。CPB World Trade Monitor(November 2018)によれば、2018年10-11月平均の世界輸出数量は7-9月平均比-0.2%と低調である。引き続き12月も低調であれば10-12月期は15年4-6月期以来のマイナス成長になり、景気下押し圧力が高まろう。
2.2月14日発表のGDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDPは前期比年率+1.4%(前期比+0.3%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。10-12月期実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト2月調査)の同+1.61%とほぼ同じ結果となった。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+2.4%、生産サイドが同+2.0%、平均同+2.2%と実績から幾分上振れた。
3.10-12月期実質GDPプラス成長は7-9月期における自然災害による供給制約の影響が剥落した結果であるが、7-9月期における成長率の落ち込み(-2.6%)を回復できていない。2018年後半にかけて、景気回復の勢いは明らかに鈍化している。10-12月期の実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.6%ポイントと2四半期ぶり、純輸出は同-0.3%ポイントと3四半期連続のマイナス。純輸出の景気下押し圧力が高まっている。
4.10-12月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+0.5%、19年度を+0.6%、20年度を+0.7%と予測した。前回(第120回)予測に比して、18年度-0.2%ポイント下方修正、19年度+0.1%ポイント上方修正、20年度-0.1%ポイント下方修正した。世界経済減速の影響もあり、前々回の予測(第119回)から18年度は大幅な下方修正(-0.5%ポイント)となっている。
5.貿易摩擦高進の影響が大きくなっている。これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復に下押し圧力が高まっている。低い潜在成長率の下では、緩やかな回復シナリオが海外状況に大きな影響を受けるようになってきた。
6.標準予測では消費増税が予定通り実施されると想定。このため19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年央であること、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の影響もあり、19年度はマイナス成長を避けられよう。四半期パターン(前年同期比)でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はゼロ%台前半の成長率にとどまるが、マイナス成長を回避できよう。
7.今回は平成31年度予算を政策に反映し、これまでの消費税増税の影響に加え教育無償化によるコアCPI上昇率への影響をみた。恒久措置である幼児教育無償化により約-0.6%ポイント、また20年4月に予定されている高等教育無償化により約-0.1%ポイント程度押し下げられる。これらを考慮すると、コアCPIのインフレ率は、18年度+0.8%、19年度+0.6%、20年度+0.6%と予測する。
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第120回景気分析と予測<120回予測:18年7-9月期2次速報値反映 緩やかな回復だが、減速傾向は強まる>
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ABSTRACT
120回予測:18年7-9月期2次速報値反映
緩やかな回復だが、減速傾向は強まる1.CPB World Trade Monitor(2018年12月)によれば、2018年4-6月期の世界輸出(数量ベース)は前期比+0.4%と1-3月期の同+0.9%から減速した。7-9月期は同+1.3%増加し、一転回復したように見える。地域別に見れば、先進国は同-0.4%と2四半期ぶりのマイナスだが、新興国は同+3.1%と2四半期ぶりのプラス。米中貿易摩擦高進の影響を受け、新興国では駆け込み輸出が出ているようである。このため18年後半から19年にかけて世界貿易減速リスクが高まるとみてよい。
2.12月10日発表のGDP2次速報値によれば、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率-2.5%と1次速報値(同-1.2%)から大幅下方修正された。最大の要因は民間企業設備の下方修正であり、7-9月期法人企業統計が反映されたためである。過去に遡ってデータが改訂された結果、2017年成長率は4四半期のうち3四半期が上方修正されたが、18年は3四半期すべてが下方修正された。また17年度の第一次年次推計値、16年度の第二次年次推計値が公表された。結果、16年度の実質GDP成長率は下方修正(+1.2%→+0.9%)されたが、17年度は上方修正(+1.6%→+1.9%)された。
3.7-9月期GDP2次速報を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+0.7%、19年度を+0.6%、20年度を+0.8%と予測した。7-9月期GDP成長率が大幅下方修正された結果、前回(第119回)予測に比して18年度を-0.3%ポイント下方修正した。一方、19年度、20年度は前回予測から横ばい。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、低い成長率にとどまろう。
4.標準予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度はマイナス成長を避けられよう。ただ前年同期比でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はほぼゼロ成長が続く。
5.緩やかな回復を維持するが、成長の減速傾向が強まるもう一つの理由は米中貿易摩擦の高進である。これまで日本経済が享受してきた財とサービスの「2つの輸出」による景気回復への下押し圧力となろう。緩やかな回復シナリオが海外状況に大きな影響を受けるようになってきた。
6.12月1日の米中首脳会談で、90日かけて中国の知的財産権やサイバー攻撃、技術移転の強要などの是正を協議することとなり、この間追加関税の発動を猶予した。この決定は米中の関税合戦の緩和に期待を抱かせるが、協議がすべて合意可能となる可能性は低い。むしろ貿易戦争は長期化し、今後その影響は2019年以降に発現してくる。 -
第119回景気分析と予測<成長牽引の2つの輸出に先行きリスク>
経済予測
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ABSTRACT
成長牽引の2つの輸出に先行きリスク-自然災害と貿易摩擦の高進が景気下押し-
1.CPB World Trade Monitorによれば、2018年4-6月期の世界輸出(数量ベース)は前期比+0.1%と1-3月期の同+1.0%から減速した。7-9月期は前期比+1.3%増加し、回復したように見える。地域別に見れば、先進国は引き続き低下トレンドを示している。一方、新興国は増加に転じたが米中貿易摩擦高進の影響を受け、駆け込み輸出が出ているようである。このため18年後半から19年にかけて世界貿易減速リスクが高まる可能性が高い。
2.11月14日発表のGDP1次速報値によれば、7-9月期実質GDPは前期比年率-1.2%と2四半期ぶりのマイナス成長。実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト11月調査)の同-0.72%とCQM最終予測(支出サイド)の同-1.8%のほぼ間に収まった。CQM最終予測は幾分ペシミスティックであったが、3カ月前からマイナス成長を予測し続けた。一方、市場コンセンサスは最終予測を除きプラス成長を予測し続けた。
3.7-9月期は自然災害(7月の豪雨、9月の台風21号、北海道胆振東部地震)の影響が供給制約として色濃く出た。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比年率-0.8%ポイントと2四半期ぶり、純輸出は同-0.3%ポイントと2四半期連続、ともにマイナスとなった。特に民間最終消費支出と輸出は影響を強く受けた。
4.7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.0%、19年度を+0.6%、20年度を+0.8%と予測した。前回(第118回)予測に比して、18年度を-0.1%ポイント、19年度-0.3%ポイント下方修正、20年度を+0.2%ポイント上方修正した。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、18-19年度については自然災害と貿易摩擦高進の影響を強く見た。
5.自然災害と貿易摩擦の高進は、これまで日本経済が享受してきた2つの輸出による景気回復への下押し圧力となろう。緩やかな回復シナリオが海外状況に大きな影響を受けるようになってきた。
6.標準予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。前回から税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度はマイナス成長を避けられよう。ただ前年同期比でみると、19年10-12月期と20年の最初の3四半期はゼロないし小幅のマイナス成長が続く。
7.先行き世界経済にとっての課題は米中貿易摩擦の高進である。11月米国中間選挙の結果はこの傾向に影響を及ぼさない。むしろ長期化の様相を呈し、今後影響は2019年以降に発現してくる。多くのシミュレーション結果が示すように、関税報復合戦の影響は当事者国のみならず世界にとって、誰も勝者たりえないマイナスの結果をもたらす。
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第118回景気分析と予測<企業部門中心の緩やかな回復が続くが成長率は低下>(2018.8.29revised)
経済予測
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ABSTRACT
企業部門中心の緩やかな回復が続くが成長率は低下-消費増税後の景気については不確実性が高まる-
1.実質GDPは2016年1-3月期から8四半期連続のプラス成長、特に、17年1-3月期から2%超のプラス成長が続き、1%と推計される潜在GDP成長率を3四半期連続で上回った。このため、17年度は景気の回復を久方ぶりに実感できる年となった。この背景には、純輸出の回復とそれに続き内需(特に、民間企業設備)が回復するという好循環があり、しばらくはこの好循環が続くとみる。
2.8月10日発表のGDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDPは前期比+0.5%(同年率+1.9%)と2四半期ぶりのプラス成長となった。4-6月期の実績は、市場コンセンサス(ESPフォーキャスト8月調査)の前期比年率+1.46%より上振れたが、CQM最終予測(支出サイド)の同+2.0%とほぼ同じ結果となった。
3.4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.6%ポイント(同年率+2.4%ポイント)と好調で2四半期ぶりのプラス、純輸出は前期比-0.1%ポイント(同年率-0.5%ポイント)と2四半期ぶりのマイナスとなった。結果、1-3月期の景気の落ち込みは一時的なものであることを確認した。
4.4-6月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.1%、19年度を+0.9%、新たに20年度を+0.6%と予測した。前回(第117回)予測に比して、19年度を+0.2%ポイント上方修正した。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はないが、消費増税後の景気については不確実性が高い。
5.ベースライン予測では、消費増税が予定通り実施されると想定。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回に比して、税率引き上げ幅が小幅で軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、政府の経済対策、オリンピック需要の影響もあり19年度のマイナス成長は避けられよう。
6.消費増税の影響は2020年に顕在化する。増税に伴う駆け込み需要増とその反動減は相殺されるが、増税に伴う実質所得減や消費者心理への悪影響は看過できない。前年比でみて、20年の最初の3四半期はゼロないし小幅のマイナス成長が続く。
7.米国と中国の間で、貿易摩擦が進行している。トランプ政権は6月15日に中国の知的財産権侵害への制裁措置として500億ドルの中国製品に対して25%の追加関税を決定し、中国も同規模の報復関税発動を打ち出した。この直接の影響は今は限定的と見ているが、報復合戦が世界経済に波及すればその影響は大きい。
8.この状況をシミュレーション(2018-20年に実質世界輸出の伸びが半減し、株価が20%低下)すると、名目世界輸出は2,780-1兆2,280億ドル程度減少し、結果、日本の実質GDPは標準予測から0.3%-0.6%程度減少する。1%程度の潜在成長率が続く日本経済にとって、小さくないインパクトである。
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第117回景気分析と予測<117回予測:18年1-3月期GDP2次速報値反映>
経済予測
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ABSTRACT
117回予測:18年1-3月期GDP2次速報値反映
シミュレーション:米中貿易摩擦進行による日本経済への影響・6月8日発表のGDP2次速報値によれば、18年1-3月期の実質GDP成長率は前期比-0.2%、同年率-0.6%となり、1次速報値(前期比-0.2%、同年率-0.6%)から変化なしである。一方、総合的な物価動向を示すGDPデフレータは前期比-0.3%と1次速報値(同-0.2%)から幾分下方修正された。
・過去に遡ってデータが改訂された結果、2017年の成長率は、1-3月期+0.1%ポイント、4-6月期+0.1%ポイント、10-12月期+0.5%ポイント、いずれも1次速報値から上方修正された。一方、7-9月期は-0.1%ポイント下方修正された。10-12月期の上方修正幅が比較的大きかったので、2017年度の実質成長率は+1.6%と1次速報値(+1.5%)から0.1%ポイント上方修正された。
・1-3月期GDP2次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.1%、19年度を+0.7%と予測。前回(第116回)予測に比して、18年度、19年度、いずれも変化なし。緩やかな回復を維持するという予測シナリオに変化はない。
・1-3月期が9四半期ぶりのマイナス成長であったが、足下のデータは1-3月期のマイナス成長は一時的であったことを示唆している。4月の民間消費(消費活動指数や消費総合指数といった供給側統計)と純輸出は、特に強い結果を示している。
・標準予測では、海外からの大きなショック(貿易紛争や金融ショック)が生じない限り、しばらく企業部門中心の回復が続くとみている。ただ、景気持続性の観点からは家計の実質所得の着実な拡大が課題である。
・米国と中国の間で、貿易摩擦が進行している。トランプ政権は6月15日に中国の知的財産権侵害への制裁措置として500億ドルの中国製品に対して25%の追加関税を決定した。中国も同規模の報復関税発動を打ち出した。今のところ、この直接の影響は限定的と見られているが、経済規模世界第一、第二位の国が報復合戦を起し世界経済に波及すればその影響は大きい。
・本予測のシミュレーションとして米中間の貿易摩擦が世界経済に波及するケースを検討する(後掲シミュレーション参照)。具体的には、実質世界輸出の伸びが半減するようなケースを想定する。2016年の実質輸出は前年比2%程度まで落ちたが、17年は5%超の伸びに戻り、いわゆるslow tradeを脱した。標準予測では18-19年は世界実質輸出が4%台後半で推移すると想定している。今この伸びが半減し16年のような貿易状況となった場合の影響を検討した。
・2018-19年に実質世界輸出の伸びが半減した場合、名目世界輸出は3,900-8,600億ドル程度減少する。結果、日本の実質GDPは標準予測から0.1-0.25%程度減少する。1%程度の潜在成長率が続く日本経済にとって、小さくないインパクトである。 -
第116回景気分析と予測<一時的な踊り場をこえ企業部門中心の回復が続く>
経済予測
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ABSTRACT
一時的な踊り場をこえ企業部門中心の回復が続く-課題は家計実質所得の改善-
1.GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDPは前期比-0.2%(同年率-0.6%)と9四半期ぶりのマイナス成長となった。また季節調整のかけ直しや基礎統計の改定に伴い過去の値が改定され、2017年の3四半期はいずれも前回から下方修正された。結果、2017年度の実質GDPは+1.5%と3年連続のプラス成長となったが、実績は超短期最終予測(+1.7%)より低めとなった。
2.1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比-0.2%ポイント(同年率-0.9%ポイント)と2四半期ぶりのマイナス、純輸出は前期比+0.1%ポイント(同年率+0.3%ポイント)と2四半期ぶりのプラスとなったが小幅の寄与にとどまった。実質GDPのマイナス成長は一時的で、これまで順調な回復の踊り場とみている。大雪や生鮮野菜価格の高騰による民間最終消費支出の小幅減少や民間住宅の低迷、加えて企業設備の減少や輸出の減速が複合的に影響している。
3.1-3月期GDP1次速報値を織り込み、2018年度の実質GDP成長率を+1.1%、19年度を+0.7%と予測を改定した。過去値の下方修正から成長の下駄が低くなったため、前回(第115回)予測に比して、18年度+0.1%ポイント、19年度+0.1%ポイント、いずれも小幅の下方修正となった。ただ緩やかな回復を維持するという予測シナリオに大きな変化はない。
4.ベースライン予測では、2019年10月に消費増税が予定通り実施されると想定している。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回(14年4月実施)に比して、税率引き上げ幅が小幅にとどまること、飲食料品と新聞には軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、またオリンピック需要の影響もあり19年度のマイナス成長は避けられよう。
5.海外からの大きなショック(貿易紛争や金融ショック)が生じない限り、しばらく企業部門中心の回復が続くが、景気持続性の課題は家計の実質所得拡大である。所得環境は改善しているが、春闘賃上げは3%を下回り厳しい状況である。加えて消費者物価が緩やかに上昇する中、非勤労者世帯を含む家計全体の実質可処分所得の伸びは実質雇用者報酬の伸びを下回る。実質民間最終消費支出の伸びは低調となる。
6.原油価格は前回予測を上回る上昇となっている。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、18年度+1.1%、19年度は消費増税の影響で+1.6%と予測。国内企業物価指数は+2.1%、+2.4%。18年度はガソリン価格の高騰によりいずれも上方修正となった。GDPデフレータは、+0.1%、+1.1%と予測している。日銀は4月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、18年度+1.3%、19年度+2.3%(+1.8%、除く消費税の影響)とみており、18年度を前回から0.1%ポイント下方修正した。この予測実現には依然困難が伴うと思われる。
※ 英語版はこちら
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第115回景気分析と予測<企業部門中心の回復の持続可能性に疑問符:課題は家計の実質所得拡大>
経済予測
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ABSTRACT
企業部門中心の回復の持続可能性に疑問符:課題は家計の実質所得拡大
1.GDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDPは前期比+0.1%(同年率+0.5%)増加した。バブル期以来の8四半期連続のプラスだが、成長率は前期から減速した。季節調整のかけ直しや基礎統計の改定に伴い過去の値が改定され、2017年の3四半期はいずれも下方修正された。結果、2017暦年の実質成長率は6年連続のプラス成長となったが、+1.6%と予想より幾分低めの成長率となった。
2.10-12月期実質GDP成長率の減速は輸入の増加、民間在庫変動の減少による。一方、民間最終消費支出は増加となったが前期の減少幅を回復できていない緩やかな回復で、民間企業設備と輸出が拡大し成長率を押し上げるという企業部門中心の景気回復といえよう。実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比+0.1%ポイント(前期比年率+0.6%ポイント)と5四半期連続のプラス、純輸出は同-0.0%ポイント(同-0.1%ポイント)と2四半期ぶりのマイナスとなった。
3.10-12月期GDP1次速報値を織り込み、2017年度の実質GDP成長率を+1.7%、18年度+1.2%、19年度+0.8%と予測を改定した。前回(第114回)予測に比して、17年度は過去値が下方修正されたが変化なし。18年度は+0.1%ポイント、19年度-0.1%ポイント、いずれも小幅の修正。予測シナリオに大きな変化なしである。
4.ベースライン予測では、2019年10月に消費増税が予定通り実施されると想定している。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回(14年4月実施)に比して、税率引き上げ幅が小幅にとどまること、飲食料品と新聞には軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であること、またオリンピック需要の影響もあり19年度のマイナス成長は避けられよう。
5.今回の景気回復は2017年12月で「いざなぎ景気(1965年11月~70年7月)」を超えて戦後2番目の長さ(61カ月)となった。19年1月に「いざなみ景気(2002年2月~08年2月)」超えの可能性が見えてきた。海外からの大きなショック(貿易戦争や金融ショック)が生じない限り、しばらくは企業部門中心の回復が続くが、持続性の課題は家計の実質所得拡大である。
6.原油価格の上昇幅を前回予測から上方修正。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2017年度+0.8%、18年度+0.9%、19年度は消費増税の影響で+1.6%と予測。17年度は小幅の上方修正。国内企業物価指数は+2.7%、+1.9%、+2.7%。GDPデフレータは0.0%、+0.7%、+1.9%と予測している。日銀は1月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、17年度+0.8%、18年度+1.1%、19年度+2.3%(+1.8%、除く消費税の影響)とみており、いずれも前回からは変化なしである。この予測実現には依然困難が伴うと思われる。
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第114回景気分析と予測<7期連続のプラス成長を確認するが、課題は実質雇用者所得の拡大>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
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ABSTRACT
7期連続のプラス成長を確認するが、課題は実質雇用者所得の拡大
1.GDP1次速報値によれば、7-9月期実質GDP成長率は前期比+0.4%(同年率+1.4%)と7四半期連続のプラス。潜在成長率を上回る成長が続いている。実績は市場コンセンサスにほぼ一致した。なおCQM最終予測は、支出サイドが同年率+0.2%と実績よりも下振れた。
2.実質成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比-0.2%ポイントと4四半期ぶりのマイナス、純輸出は同+0.5%ポイントと2四半期ぶりのプラス。4-6月期とは逆の回復パターンである。これまで成長を牽引してきた民間最終消費支出、民間住宅、公的固定資本形成が内需を押し下げた。一方、輸出は2四半期ぶりに増加。Slow trade脱却の兆しは明瞭で、日本経済にとって輸出市場の持続的回復が期待できる。
3.7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2017年度の実質GDP成長率を+1.7%、18年度+1.1%。今回新に19年度を+0.9%と予測した。前回(第113回)予測に比して、17年度は-0.3%ポイントと比較的大幅の、18年度は-0.1ポイントと小幅の、いずれも下方修正となった。17年度の下方修正は4-6月期の成長率が2次速報値で大幅下方修正(前期比年率+4.5%→+2.5%)された影響である。ただ、半期ベース(4-9月期)では前期比2%程度の堅調な成長となっている。
4.ベースライン予測では、2019年10月に消費増税が予定通り実施されると想定している。この影響で19年度後半の景気落ち込みは避けられない。ただ前回(14年4月実施)に比して、税率引き上げ幅が小幅にとどまること、飲食料品と新聞には軽減税率が適用されること、実施時期が年度の真ん中であることなどから19年度のマイナス成長は避けられよう。
5.今回の景気回復は2017年9月で「いざなぎ景気(1965年11月~70年7月)」を超えて58カ月と戦後2番目の長さとなった。19年1月に「いざなみ景気(2002年2月~08年2月)」超えの可能性も見えてきた。ただ今回の景気回復は途中に消費増税による景気の踊り場を含んでおり、景気回復の実感を伴うものではない。景気回復が持続可能となるため課題は実質雇用者所得の拡大となろう。
6.原油価格の上昇幅を前回予測から上方修正した。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2017年度+0.7%、18年度+1.0%、19年度は消費増税の影響で+1.7%と予測。前回から上方修正となっている。また国内企業物価指数は+2.7%、+2.0%、+2.8%となる。GDPデフレータは+0.1%、+0.9%、+1.5%と予測している。日銀は10月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、17年度+0.8%、18年度+1.1%と前回からは下方修正しているが、19年度は+2.3%と変化なしである。この予測実現には依然困難が伴うと思われる。
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第113回景気分析と予測<足下堅調な景気回復を確認するが、先行き持続性に難点>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
足下堅調な景気回復を確認するが、先行き持続性に難点
1.GDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDP成長率は前期比年率+4.0%(前期比+1.0%)と6四半期連続のプラス。潜在成長率を上回る成長が続いている。実績は市場コンセンサス(2%台前半)から大幅に上振れた。CQM最終予測は、支出サイドが同+2.8%、生産サイドが同+3.0%、平均同+2.9%である。
2.基礎統計の追加と推計方法の変更の結果、過去値が遡及改訂された。16年度の四半期実質成長率のパターンを前回と比較すると、4-6月期こそ下方修正されたものの、7-9月期、10-12月期、1-3月期、いずれも上方修正された。結果、2016年度の実質成長率は+1.3%と前回から上方修正された。また17年度にかけての実質成長率の下駄が+0.6%と前回から上昇している。
3.4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、国内需要は前期比年率+5.1%ポイントと3四半期連続のプラス、純輸出は同-1.1%ポイントと6四半期ぶりのマイナス。これまで成長を牽引してきた輸出は4四半期ぶりのマイナス、民間最終消費支出の大幅拡大、民間企業設備の好調、補正予算の影響が出だした公的固定資本形成の大幅増加が特徴といえよう。
4.4-6月期GDP1次速報値を織り込み、2017年度の実質GDP成長率を+2.0%、18年度+1.2%と予測する。前回(第112回)予測に比して、17年度は+0.6%ポイントの大幅上方修正、18年度は+0.1ポイントの小幅上方修正。17年度にかけての成長率の下駄の影響もあり、大幅な上方修正となった。
5.1-3月期、4-6月期に見られた民間最終消費支出の回復は消費性向の急上昇に支えられている。問題は好条件に支えられた消費性向の持続性である。緩やかな所得環境の回復に対してエネルギー価格の上昇から消費者物価が上昇し、実質可処分所得の伸びは減速する。合わせて消費性向が低下するため17年度後半から18年度の民間最終消費支出の伸びは減速しよう。
6.原油価格の上昇幅を前回予測から下方修正した。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2017年度+0.5%、18年度+0.8%と予測。前回から下方修正となっている。また国内企業物価指数は+2.1%、+1.6%となる。GDPデフレータは+0.3%、+0.3%と予測している。日銀は7月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、17年度+1.1%、18年度+1.5%と引き続き下方修正しているが、この予測実現には困難が伴うと思われる。
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第112回景気分析と予測<着実な回復を予測するが、リスクは輸出の停滞とインフレの加速>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
着実な回復を予測するが、リスクは輸出の停滞とインフレの加速
1.GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.2%と5四半期連続のプラスとなった。潜在成長率を上回る成長が続いている。実績は市場コンセンサス(ESPフォーキャスト5月調査:+1.71%)から上振れた。CQM最終予測は、支出サイドが同+3.4%、生産サイドが同+1.5%、平均同+2.5%であった。実績は支出サイド予測より下振れ、両サイド平均にほぼ等しくなった。
2.1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は前期比年率+1.5%ポイントと3四半期ぶりのプラス、純輸出は同+0.6%ポイントと3四半期連続のプラスとなった。内需外需バランスよく実質GDP成長率に寄与した。輸出の3四半期連続のプラス、民間最終消費支出の回復、減少が続いていた在庫投資のプラス転換が今回の特徴といえよう。結果、2016年度の実質GDP成長率は+1.3%と2年連続のプラス、名目GDP成長率は+1.2%と5年連続のプラス成長となった。
3.1-3月期GDP1次速報値を織り込み、2017年度の実質GDP成長率を+1.4%、18年度+1.1%と予測する。前回(第111回)予測に比して、17年度は変化なし、18年度-0.1ポイント下方修正となった。予測結果に大きな変更はないが、内容的にはより輸出拡大に支えられた回復である。
4.この数年、世界貿易の伸びが世界GDPの伸びを下回る状況が続いていたが、2017年以降はこの関係が逆転する。これを予測に反映して、日本の輸出の伸びは前回予測より強めとなった。ただし、米トランプ政権による貿易戦争や深刻な政策ミスがないという条件付きである。
5.1-3月期に見られた民間最終消費支出の回復は、2017年度はあまり期待できない。雇用者数は増加するが、賃金の伸びが減速することに加えエネルギー価格の上昇から消費者物価が上昇し、結果、実質賃金の伸びがマイナスに転じるためである。着実な回復は18年度となろう。先述した米国発の貿易戦争に加え、消費者物価インフレの加速が回復シナリオにとってリスクとなろう。
6.原油価格の上昇幅を前回予測から下方修正した。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2017年度+0.7%、18年度+0.8%と予測。前回から下方修正となっている。また国内企業物価指数は+1.9%、+1.0%となる。GDPデフレータは-0.1%、+1.0%と予測している。日銀は4月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、17年度+1.4%、18年度+1.7%としているが、この予測実現には困難が伴うと思われる。
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第111回景気分析と予測<新推計GDPを反映し成長率予測を上方修正>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
新推計GDPを反映し成長率予測を上方修正
1.GDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDP成長率は前期比年率+1.0%(前期比+0.2%)と4四半期連続のプラスとなった。潜在成長率を上回る成長が続いている。実績は市場コンセンサス(ESPフォーキャスト2月調査)から幾分下振れた。なおCQM最終予測は、支出サイドが前期比年率+1.0%、生産サイドが同+1.3%、平均同+1.1%と、ピンポイントの結果であった。
2.10-12月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は前期比年率-0.0%ポイントと小幅ながら2四半期連続のマイナス、純輸出は同+1.0%ポイントと2四半期連続のプラスとなった。内需は引き続き低調であるが、輸出の大幅プラスが実質GDP成長率プラスの主要因といえよう。
3.米国大統領選後から就任式まで続いていた円安・株高の好調な風は幾分変化の兆しを見せている。トランプ大統領のダイナミックな政策対応が今後の国際環境をめぐる見通しの不確実性を強めているからだ。多くの米国経済のベースライン予測にみられるように、政策効果が表れる2018年は17年より成長加速が期待されている。ただし、貿易戦争や深刻な政策ミスがないという条件付きである。
4.10-12月期GDP1次速報値を織り込み、2016年度の実質GDP成長率は+1.2%、17年度+1.4%、18年度+1.2%と予測する。前回(第110回)予測に比して、16年度0.2%ポイント、17年度0.3%ポイント、18年度0.3ポイント、いずれも上方修正となった。上方修正の主たる理由は、GDP推計方法の変更である。
5.財政政策として「未来への投資を実現する経済対策」及び第2次補正予算の効果を期待したが、10-12月期の公的固定資本形成は2四半期連続の前期比マイナスとなった。公的需要は17-18年度にわたり景気を下支えしよう。18年度は保守的な当初予算を想定するため影響は幾分減じるが、これまでのパターンからすれば新たな補正予算成立の可能性が高い。
6.12月のガソリン価格は25カ月ぶりに前年比プラスとなった。これらの変化を織り込み、消費者物価コア指数のインフレ率は、2016年度-0.2%、17年度+0.8%、18年度+1.0%と予測。前回から上方修正となっている。また国内企業物価指数は-2.4%、+1.8%、+1.0%となる。GDPデフレータは-0.1%、-0.1%、+0.8%と予測している。日銀は1月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、16年度-0.2%、17年度+1.5%、18年度+1.7%としているが、この予測実現には困難が伴うと思われる。
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第110回景気分析と予測<7-9月期純輸出の上振れを反映し成長率予測を上方修正>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
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ABSTRACT
7-9月期純輸出の上振れを反映し成長率予測を上方修正
1.GDP1次速報値によれば、7-9月期実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.5%)と3四半期連続のプラスとなった。実績は市場コンセンサスやCQM予測からから上振れ、ポジティブサプライズとなった。
2.7-9月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は前期比年率+0.4%ポイントと小幅ながら3四半期連続のプラス、純輸出は同+1.8%ポイントと2四半期ぶりのプラスとなった。純輸出の大幅プラスが実質GDP成長率プラスの主要因である。
3.国際環境を見れば、BREXITに加えドナルド・トランプ氏の大統領選勝利は、世界経済に新たな不確実性とボラティリティ―をもたらした。トランプ大統領誕生の世界経済に与える影響の度合いは、(1)保護主義のポピュリズム、(2)成長加速のポピュリズムのどちらが、彼の主要なテーマとなるかで決まる。われわれは後者をメインシナリオと考えるが、いずれのテーマの実現にもしばらく時間がかかり、先行き不確実性は極めて高いといえよう。足下、日本経済にとっては円安・株高の好調な風が吹いているが、これがいつまで続くかの見極めが重要である。
4.7-9月期GDP1次速報値を織り込み、2016年度の実質GDP成長率は+1.0%、17年度は+1.1%、18年度は+0.9%と予測する。前回(第109回)予測に比して、16年度0.3%ポイント、17年度0.1%ポイント、いずれも上方修正となった。なお、今回新たに18年度を予測した。16年度は7-9月期の好調な純輸出を反映して前回予測から上方修正した。
5.財政政策として「未来への投資を実現する経済対策」及び第2次補正予算の効果を考慮した結果、公的需要は16-17年度にわたり景気を下支えする。18年度は保守的な当初予算を想定するため影響は幾分減じる。
6.足下消費者物価コア指数は前年比マイナスが続いている。これを織り込み、同指数のインフレ率は2016年度-0.4%、17年度+0.5%、18年度+1.0%と予測。国内企業物価指数は-2.7%、+0.4%、+0.3%となる。GDPデフレータは-0.1%、-0.4%、-0.1%と予測している。日銀は10月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、16年度-0.1%、17年度+1.5%、18年度+1.7%としているが、実現には困難が伴うと思われる。
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第109回景気分析と予測<新経済対策を考慮し予測を小幅上方修正>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
新経済対策を考慮し予測を小幅上方修正
1.GDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDP成長率は前期比年率+0.2%(前期比+0.0%)と2四半期連続のプラスとなった。実績は市場コンセンサスから幾分下振れた。内閣府は季節調整において閏年調整を行っておらず、その分4-6月期の成長率を押し下げたようである。閏年要因を均せば、年前半2四半期は小幅(1%程度)のプラス成長となり、景気は緩やかな回復といえよう。
2.4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は前期比+1.2%ポイントと2四半期連続のプラスだが、純輸出は同-1.0%ポイントと4四半期ぶりのマイナスとなった。民間最終消費支出と民間住宅が伸び公的固定資本形成も増加する一方で、民間企業設備と輸出が減少したのは懸念材料である。
3.2015年以降足下まで、財貨・サービス輸出の伸びは前期比プラス・マイナスを繰り返しており、均せば横ばいの動きとなっている。BREXITの影響は当面は限定的だが、今後は一定の影響が出てくる。米国経済の回復は緩やかで、中国経済も低迷から脱出できていない。しばらくは、日本経済にとって輸出市場の回復見込みは薄い。
4.4-6月期GDP1次速報値を織り込み、2016年度の実質GDP成長率は前年を幾分下回る+0.7%、17年度は+1.0%と予測する。前回(第108回)予測に比して、16年度0.2%ポイント、17年度0.3%ポイント、いずれも上方修正となった。16年度は純輸出が世界経済の低迷、円高の進行から前回予測から下方修正、一方民間需要と公的需要が上方修正された。民間最終消費支出や民間住宅が幾分回復するが、企業設備が低調で輸出が減少し、成長牽引役が不在の状況となる。
5.前回予測における財政政策の想定は、消費増税の再延期と補正予算の効果のみであった。今回は新たに経済対策(「未来への投資を実現する経済対策」)の影響を考慮した結果、公的需要は16-17年度にわたり景気を下支えする。純輸出は横ばいだが、民間需要と公的需要が成長を支えるパターンである。
6.足下消費者物価コア指数は前年比マイナスが続いている。これを織り込み、同指数のインフレ率は2016年度-0.2%、17年度+0.6%と予測。国内企業物価指数は-2.7%、+0.1%となる。GDPデフレータは+0.2%、+0.2%と予測している。日銀は7月の展望レポートの中で、消費者物価コア指数の見通しを、16年度+0.1%、17年度+1.7%としているが、実現には困難が伴うと思われる。
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第108回景気分析と予測<牽引力不足の脆弱な回復>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
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ABSTRACT
〈予測のハイライト〉
1.?GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+1.7%(前期比+0.4%)と2四半期ぶりのプラスとなった。市場コンセンサスから大幅に、CQM予測から小幅に上振れた。内閣府は季節調整において閏年調整を行っておらず、その分1-3月期の成長率を押し上げたようである。したがって、閏年要因を除けば小幅のプラス成長にとどまっており、景気の実態は横ばいないし停滞といえよう。
2.?結果、2015年度の実質成長率は+0.8%と2年ぶりのプラスとなった。この1年の成長率四半期パターンを見れば、15年4-6月期は前期比年率-1.7%、7-9月期同+1.6%、10-12月期同-1.7%と交互にプラス・マイナスを繰り返しており、均せば景気の停滞感が強い1年であったといえよう。
3.?1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は+0.9%ポイントと2四半期ぶりのプラスだが小幅の拡大にとどまった。一方、純輸出は+0.8%ポイントと3四半期連続のプラスとなった。うち、輸出は2四半期ぶりのプラスとなったが、輸入は内需減速を反映し2四半期連続で減少しており、景気の実態は決してよくないといえよう。
4.?1-3月期GDP1次速報値を織り込み、2016年度の実質GDP成長率は前年を幾分上回る+0.9%、17年度は消費増税の影響もあり-0.1%と予測する。前回(第107回)予測に比して、16年度0.2%ポイント、17年度0.1%ポイント、いずれも下方修正である。
5.?2016年度については、前回予測より回復がより緩やかと見ている。純輸出の寄与度はほぼ横ばいで、民間需要を中心とする回復パターンだが脆弱なものとなる。年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年(0.8%)から加速するが小幅にとどまる。17年度は消費増税の影響によりマイナス成長となる。また円高の影響もあり、純輸出の寄与度を前回予測から低めに見ている。
6.?標準予測では2017年4月に消費増税を想定しているが、安倍首相は6月1日に、消費増税再延期を国民に表明した。増税が延期された場合、16年度の実質GDP成長率は+0.5%、17年度+0.7%と試算される。16年度は駆け込み需要が発生しないため標準予測より成長率は引き下げられるが、17年度は駆け込み需要の反動減や物価上昇に伴う実質所得減の効果がなくなるため、成長率は大幅に引き上げられる。 -
第107回景気分析と予測<牽引力不足の脆弱な回復>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
〈予測のハイライト〉
- GDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDP成長率は前期比年率-1.4%(前期比-0.4%)と2期ぶりのマイナスとなった。市場コンセンサスから下振れたがCQM予測とほぼ同じとなった。1月に入りCQMはマイナス成長を予測したが、足下の景気の悪さを確認した結果といえよう。
- 10-12月期実質GDP成長率(前期比年率ベース)への寄与度を見ると、内需は-2.0%ポイント減少し2四半期ぶりのマイナス。民間企業設備を除き内需は総崩れとなった。一方、純輸出は+0.6%ポイントと2四半期連続のプラスとなったが、輸入の減少が輸出の減少を上回った結果であり、内容はけっしてよくない。
- アベノミクスがスタートして3年がたった。実質GDP成長率は12四半期のうち5四半期がマイナス成長であり、消費増税後に集中している。内訳を見れば、民間最終消費支出や民間住宅がこの3年でマイナスの伸びを記録したのに対し、企業設備や輸出、政府支出がプラスの伸びを示しているのが大きな特徴である。企業の生産、雇用や企業設備の増加の成果(trickle-down effect)が家計に十分行きわたっていないことは明瞭である。
- 10-12月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+0.6%、16年度+1.1%、17年度を0.0%と予測する。前回(第106回)予測に比して、15年度を0.2%ポイント、16年度を0.4%ポイントいずれも下方修正、17年度は0.2%ポイント上方修正した。
- 15年度は予想以上に実質所得が低迷したことと海外経済の減速で、民間最終消費支出と輸出が下方修正されたが、民間住宅と民間企業設備は上方修正されている。このため実質GDP成長率は小幅下方修正にとどまった。
- 16年度については、前回予測より回復がより緩やかと見ている。純輸出の寄与度は横ばいで、民間需要を中心とする回復パターンだが脆弱なものとなる。年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。今回の上方修正は、軽減税率を考慮し消費増税の影響をより緩やかに見たためである。
- 中国経済の先行き不安や年初来の世界的な金融・資本市場の混乱で景気の下方修正リスクが高まっている。足下の原油安、株安、円高の水準が今後も維持された場合のシミュレーションを行った。円高のマイナス効果が、原油安のプラス効果を上回る結果、実質GDPは1年目に-0.1%、2年目に-0.2%程度引き下げられる。
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第106回景気分析と予測<民需を中心とするより緩やかな回復パターンへ>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
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ABSTRACT
〈予測のハイライト〉
- 7-9月期実質GDP成長率(1次速報値)は前期比年率-0.8%と2四半期連続のマイナス。同期は市場コンセンサスやCQM予測から下振れたが、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しにより、4-6月期の実質成長率は上方修正された。半期ベースでみると、2014年度後半(10-3月期)の前期比年率+1.5%から15年度前半(4-9月期)同+0.6%へと伸びは大幅に減速しており、景気は踊り場局面といえよう。
- 7-9月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は-1.2%ポイント減少し3四半期ぶりのマイナス。一方、純輸出は+0.4%ポイントと3四半期ぶりのプラスとなった。4-6月期に大幅減少した民間最終消費支出と財貨サービスの輸出は、7-9月期にそれぞれ増加に転じたが、いずれも前期の落ち込みを回復できていない。また民間企業在庫品増加が在庫調整の進捗で成長率を大きく引き下げたのが今回の特徴である。
- 7-9月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+0.8%、16年度+1.5%、17年度を-0.2%と予測する。前回(第105回)予測に比して、15年度を0.2%ポイント、16年度を0.3%ポイント、17年度0.9%ポイント、いずれも下方修正した。
- 15年度の成長率の下方修正には、公的需要と純輸出が幾分上方修正されたものの、民間企業設備を中心とする民間需要の下方修正が影響している。先行き不透明感の強さから企業は当初の高い設備投資計画を先送りしているようである。
- 16年度については、前回予測より回復がより緩やかなものと見ている。民間需要を中心とする回復パターンとなる。純輸出の改善に加え、年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。今回の下方修正は、消費増税の影響をより厳しく見たためである。
- 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+0.9%、17年度+2.2%となる。国内企業物価指数は-2.6%、-0.2%、+2.0%となる。GDPデフレータは+1.7%、0.0%、+1.3%と予測している。日銀は10月の展望レポートの中で、コア消費者物価指数の見通しを、16年度+1.4%、17年度+3.1%としているが、実現には困難が伴うと思われる。
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第105回景気分析と予測<基本回復シナリオに変化なし、景気は一時的な踊り場へ>
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
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ABSTRACT
〈予測のハイライト〉
- GDP1次速報値によれば、4-6月期実質GDP成長率は前期比年率-1.6%と3期ぶりのマイナスとなった。CQM最終予測と同じ結果である。アベノミクスが始まった2013年1-3月期以降、10四半期のうち4四半期がマイナス成長である。潜在成長率が低下する中、外的ショックにより成長率はマイナスに陥りやすくなっている。
- 4-6月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は-0.5%ポイント減少し3期ぶりのマイナス。一方、純輸出は-1.1%ポイントと2期連続のマイナスとなった。内需のうち、民間最終消費支出は4期ぶりに減少に転じ、実質GDP成長率を大幅に引き下げた(-1.8%ポイントの寄与)。緩やかに回復していた民間最終消費支出は、結果、消費増税直後の水準をわずか0.2%上回る程度にまで低下した。足下、民間消費は停滞色が濃い。
- 4-6月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+1.0%、16年度+1.8%、新たに17年度を+0.7%と予測する。前回(第104回)予測に比して、15年度を0.7%ポイント大幅に、16年度を0.2%ポイント小幅に下方修正した。
- 15年度の下方修正には民間最終消費支出と純輸出の大幅見直しが影響している。基本シナリオとしては、消費増税の影響剥落に加え、実質賃金上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくるため、実質所得増を伴った緩やかな民間消費の回復や企業設備の増加を想定している。しかし、足下雇用者所得の回復は幾分遅れており、世界経済の減速、特に中国経済及び新興国経済の減速が最大の懸念材料となっている。
- 16年度は15年度と同じように民間需要を中心とする回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。17年度は4月に2%ポイントの再増税を想定しているため経済は減速する。
- 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+0.8%、17年度+2.3%となる。国内企業物価指数は-1.9%、+0.7%、+2.7%となる。GDPデフレータは+1.1%、+0.1%、+1.5%と予測している。16年度のインフレ率は日銀目標の2%に至らない。
- リスクシナリオ・シミュレーションとして8月の中国経済をめぐるイベントの影響が深刻化するケースを検討した。実質世界貿易の伸びが半減した場合、日本の実質輸出は1.5%程度減少し、実質GDPは0.3%程度低下する。マイナス成長に陥らない(成長率の天井を高める)ためにも、成長戦略の加速が重要な課題となる。
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第104回景気分析と予測
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
/ DATE :
ABSTRACT
〈予測のハイライト〉
- GDP1次速報値によれば、1-3月期実質GDP成長率は前期比年率+2.4%(前期比+0.6%)と2期連続のプラス。市場コンセンサスを上回る回復となった。しかし、2014年度でみると消費増税の影響が大きく実質成長率は-1.0%のマイナスとなり、前回増税時(+0.1%)と比較して大きく下回った。
- 1-3月期実質GDP成長率への寄与度を見ると、内需は+3.0%ポイント増加し2期連続のプラス。一方、純輸出は-0.7%ポイント減少し4期ぶりのマイナスとなった。内需のうち、実質民間在庫品増加は実質GDP成長率を+2.0%ポイント押し上げた。内需の寄与度の2/3が在庫投資であり、これによって成長率が嵩上げされており、中身に乏しい結果となった。
- 1-3月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2015年度+1.7%、16年度+2.0%と予測する。14年度のマイナス成長から2%を目指す回復となる。前回(第103回)予測に比して、15年度を0.2%ポイント、16年度を0.1%ポイントそれぞれ下方修正した。
- 14年度成長率が小幅下方修正された理由は、純輸出の下方修正による。米国経済の一時的な停滞、中国や新興国経済の不振による輸出の減速と消費増税の影響剥落による輸入の回復が影響している。しかし、民間需要が景気押し上げのメインエンジンとなり、先行き見通しは悪くない。
- 15年度は消費増税の影響が剥落することに加え、実質賃金の上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくる。所得増を伴った民間消費の回復や企業設備の増加が期待できる。
- 16年度は15年度と同じような民間需要を中心とする回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。
- 3月の貿易収支は21カ月ぶりに黒字に転じたが、世界経済の回復が緩やかなものにとどまっていることや原油価格がすでに反転していることから、再び赤字に戻る可能性が高い。旅行収支の改善によりサービス収支の赤字は着実に縮小し、第一次所得収支は安定的に拡大するため、15年度の経常収支は前年度から大幅拡大する。16年度は幾分縮小する。
- 消費者物価コア指数インフレ率は2015年度+0.1%、16年度+1.2%となる。国内企業物価指数は-1.4%、+1.3%となる。GDPデフレータは+1.8%、0.0%と予測している。原油価格の下落によりインフレ見通しは下方修正されており、15-16年度のインフレは日銀目標の2%に至らない。
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第103回景気分析と予測
経済予測
経済予測 » Quarterly Report(日本)
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ABSTRACT
<予測のハイライト>
1. GDP1次速報値によれば、10-12月期実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.6%)と3期ぶりのプラス成長となった。しかし、市場コンセンサスを下回り、緩慢な回復を印象付けた。結果、2014年の実質成長率は+0.0%とかろうじてマイナス成長を免れた。
2. 2014年の実質GDPの内訳を見れば、民間最終消費支出と民間住宅が前年から大幅減少した。一方、消費増税の影響をあまり受けない純輸出と民間企業設備はそれぞれ実質GDPを押し上げた。2014年は如何に消費増税の影響が大きかったかをこれらは示している。
3. 10-12月期GDP1次速報値を織り込み、実質GDP成長率を2014年度-0.9%、15年度+1.9%、16年度+2.1%と予測する。前回(第102回)予測に比して、14年度を0.1%ポイント下方修正、15年度を0.1%ポイント、16年度を0.7%ポイントそれぞれ上方修正した。
4. 14年度成長率を小幅下方修正した理由は、景気はすでに回復局面に転じたものの足下の回復が緩やかなものにとどまったためである。しかし、先行き見通しは明るい。
5. 15年度は消費増税の影響が剥落することに加え消費再増税の延期から追加的な税負担は回避されている。また実質賃金の上昇が見込め、原油価格の大幅下落のプラス効果が浸透してくる。所得増を伴った民間消費の回復や企業設備の増加が期待できる。加えて円安の効果が発現することにより、15年度は内需と外需のバランスがとれた回復が期待される。
6. 16年度は15年度と同じような回復パターンとなる。また年度末に駆け込み需要の影響が出るため成長率は前年から幾分加速する。
7. 訪日外国人消費の役割が高まっている。円安進行、ビザの大幅緩和や消費税免税制度拡充により、訪日外国人消費は国内消費を下支えている。15年度、16年度もこの傾向が加速されよう。
8. 消費者物価コア指数インフレ率は2014年度+3.0%、15年度+0.3%、16年度+1.0%となる。国内企業物価指数は+2.7%、-2.1%、+1.2%となる。GDPデフレータは+2.4%、+1.2%、+0.3%と予測している。14年度には3指標ともにデフレ脱却が実現できるが、原油価格の下落によりインフレ見通しは下方修正されており、15-16年度のインフレは目標の2%に至らない。