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「消費税」の検索結果

  • 岡野 光洋

    1997年の消費税率引き上げが関西経済へ与えた影響

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    岡野 光洋

    ABSTRACT

    本稿では前回の増税(1996年~97年)が関西経済に与えたマクロ的影響を振り返って検討することで、消費増税が関西経済に与える影響について考察する。

    今回の消費増税は、関西経済に前回ほどの大きな負の影響は与えず、景気の腰折れは回避できると考えられる。その根拠として、次の3つを挙げる。

    1. GDPの構成項目のうち、最も消費増税の影響を受けたのは住宅であったが、住宅がGDPに占める割合は当時と比べて半減している。
    2. 前回と比べて、補正予算による消費増税の激変緩和措置が拡充している。また2013 年度補正予算の効果が関西に波及することで、関西経済の落ち込みは一定程度カバーされる(APIR Trend Watch No.17)。
    3. 前回増税時は年後半の海外金融危機の影響によりセンチメントは大幅に悪化した。今回は同様のダウンサイドリスクが発生しない限り、早い段階でセンチメントの改善が期待できる。

    以下では、これらを順にみていこう。

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    消費税率引き上げパスに関するシミュレーション分析

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    消費税における益税の推計

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    消費税の逆進性と複数税率化

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    1990年代の所得税・消費税改革の厚生評価

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  • 盧 昭穎

    「電気・ガス価格激変緩和対策」事業による 負担軽減効果の試算

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    盧 昭穎 / 稲田 義久

    ABSTRACT

    本稿の目的は、「電気・ガス激変緩和対策」事業が家計負担軽減に与える影響を分析することである。2022年の物価上昇は家計に大きな負担をかけ、特にエネルギーコストの上昇が深刻な問題となった。このような状況下において、政府は2023年2月から当該事業を実施し、家計負担の軽減に努めている。本稿では、本事業が適用されない場合の消費者物価指数を試算することにより、緩和対策事業の効果を所得階級別に分析する。結果を要約すれば、以下のとおりとなる。

     

    1. 2023年2月から24年1月までの「電気・ガス激変緩和対策」事業により、一世帯あたり電気代29,119円、都市ガス代4,733円、負担額が軽減された。収入階級別にみると、収入が高い世帯ほど電気の使用量が多いため、負担軽減額は大きくなる傾向がみられた。
    2. 負担軽減額が可処分所得に占める割合をみると、一世帯あたり電気代の平均軽減額が可処分所得の49%を、都市ガスは0.08%を占めた。収入が高い世帯ほど電気の負担軽減額が可処分所得に占める割合は小さくなった。都市ガス代も同様の傾向である。
    3. 緩和措置が適用されない場合の足下の電気と都市ガス代指数は徐々に低下しており、ロシアのウクライナ侵攻の影響を受ける前の水準に近付いている。緩和措置が適用されない場合の電気と都市ガス代指数を試算することは、緩和措置をいつ終了させるかについての議論に数値的なベンチマークを提供できよう。
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  • 藤原 幸則

    コロナ後における財政の規律回復と健全化 – 内閣府「中長期の経済財政に関する試算」から考察した論点 –

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    藤原 幸則

    ABSTRACT

    内閣府は、例年1月と7月に「中長期の経済財政に関する試算」の結果を公表している。今年、7月21日に最新の試算結果が示された。2025年度のPB(プライマリーバランス)黒字化目標を堅持した骨太方針2021を数字で裏付けるものである。本稿では、この最新の試算結果を考察し、コロナ後における財政の規律回復と健全化の論点整理を行った。要約は以下の通りである。

    1. 今回の試算結果によると、「成長実現ケース」では、2027年度にPB黒字化が達成される。前回(2021年1月)試算結果では2029年度であったのが2年早くなっている。コロナ前への経済回復がやや遅れると見通しているにもかかわらず、こうした試算結果となるのは、名目GDPの水準の落ち込みによる収支悪化要因よりも、2020年度の税収の予想外の上振れによる収支改善要因の方が大きいということの結果といえるだろう。また、歳出改革を今後も継続すれば、PB黒字化の前倒しが視野に入る試算結果ともなっており、コロナ後における財政健全化の道筋についての検討で、歳出改革は重要なポイントになることがわかる。

    2. 内閣府の中長期試算の前提となっている全要素生産性の上昇率(いわば技術進歩率)については、以前から多くの研究者から非現実的あるいは過大な想定との疑問が呈されている。潜在成長率の過去の推移から、今回試算の「成長実現ケース」の想定は過大ではないかという見方はどうしても否めない。かといって、1%弱を下回る「ベースラインケース」の想定のままであってもいけない。政府が成長戦略の柱に掲げるグリーンやデジタルについて、具体的な戦略を積み上げていく議論が、財政健全化の道筋の具体化という意味でも必要である。

    3. コロナ感染の収束が見極められてから、財政規律の回復とともに、PB黒字化などの財政健全化目標を再設定するのがよいだろう。コロナ後の財政健全化については、人口減少・高齢化等による構造的な財政赤字への対処と、コロナ対策のような予期できない緊急措置による財政赤字への対処とを、分けて考える必要がある。また、コロナ後の財政規律の確保のために、コロナ対応の施策を中心に、必要なくなったものが存続しないよう既存歳出のスクラップに取り組む必要があるし、補正予算も含め、追加的な歳出にはそれに見合う安定的な財源を確保するというペイアズユーゴー(pay as you go)原則が踏まえられるべきである。

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  • 稲田 義久

    130回 景気分析と予測<民間消費と輸出のリバウンドで見通しを上方修正-しかし、世界経済の回復に遅れる日本経済->

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1.  GDP1次速報によれば、7-9月期実質GDPは前期比年率+21.4%大幅増加し、4四半期ぶりのプラス成長。市場コンセンサス(ESPフォーキャスト11月調査)の最終予測(同+18.03%)を上回った。一方、CQM最終予測は、支出サイドが同+20.3%、生産サイドが同+21.4%、平均同+20.9%と実績とほぼピンポイントとなった。
    2.  7-9月期回復の牽引役は、民間最終消費支出と財貨輸出である。前者には緊急事態宣言の解除と特別定額給付金支給の影響がでた。後者には海外経済のロックダウン解除による経済活動再開の影響が大きい。実質GDPは前期比+24.0兆円増加したが、前期の落ち込み幅(-43.0兆円)の58%程度しか回復できていないことに注意。需要側では民間最終消費支出が同+12.6兆円、財貨輸出が同+6.3兆円と増加。ちょうど4-6月期の裏となって表れた。しかし、民間資本形成が同-4.9兆円と2四半期連続で減少しており、回復には時間がかかりそうである。
    3.  世帯全体の消費支出を示す総消費動向指数は、6月に緊急事態宣言解除で大きくリバウンドしたが、以降ほぼ横ばいで推移している。一方、対面型サービス消費指数は、足下9月でも前年平均から18%程度低い水準。COVID-19の感染再拡大は消費行動を抑制する。特に影響を受けるのが対面型サービス消費である。対面型サービス消費の低迷で、今後1年、民間消費は前年比-4%程度の減少が続くとみてよい
    4.  7-9月期GDP1次速報を追加し外生変数の情報を織り込み、予測を改定した。2020年度の実質GDPは-5.4%大幅減少し、6年ぶりのマイナス成長となろう。21年度は大幅落ち込みの反動もあり+3.8%と回復に転じるが、コロナ禍前のピークを回復するのは22年度以降となろう。前回(第129回)予測に比して、今回は20年度を+0.5%ポイント、21年度を+0.5%ポイント、いずれも上方修正した。7-9月期の実績が前回予測から上振れたためである。
    5.  7-9月期実績は前回予測を上振れたため、今回の予測は上方修正された。実質GDPの四半期パターンをみれば、標準予測では7-9月期の高成長は持続せず(一時的なリバウンド)、以降は潜在成長率を上回るペースが持続する。前年同期比でみると、19年10-12月期から21年1-3月期までマイナス成長は避けられない。大幅に拡大したGDPギャップの縮小には時間がかかりデフレ圧力は厳しい。
    6.  内需外需の低迷からデフレ圧力は高まり、厳しい状態が続く。原油安を背景としたエネルギー価格の下落幅は縮小するが、消費税率引き上げ及び幼児教育・保育無償化の影響は剥落し消費者物価を引き下げる。これらに加え、今後の需給ギャップの動向をふまえ、消費者物価コア指数のインフレ率を、20年度-0.4%、21年度+0.5%と予測する。

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  • 藤原 幸則

    後期高齢者医療費の自己負担割合のあり方- 今年末に取りまとめられる所得基準の線引きに向けて –

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    藤原 幸則

    ABSTRACT

    1. 我々が病院や診療所で受診した場合、医療費の窓⼝負担(⾃⼰負担)が必要になる。現⾏制度では、現役世代は所得に関係なく3割負担、70〜74歳の⾼齢者は原則2割負担であるが、75歳以上の後期⾼齢者は原則1割負担となっている。⾼齢者でも現役並み所得がある場合は3割負担となる。

     

    2. 2022年から団塊の世代が75歳以上の後期⾼齢者に⼊り始め、医療費が急増していく⼀⽅で、⽀え⼿の現役世代の⼈⼝は急減が⾒込まれると想定される中で、現役世代の負担上昇を抑えながら、医療保険制度の持続性を維持する観点から、後期⾼齢者医療費の⾃⼰負担割合を負担能⼒に応じて2割に引き上げる議論が進んでいる。政府の全世代型社会保障検討会議などでは、⼀定以上の所得がある⼈には⾃⼰負担割合を2割に引上げる⽅針であり、焦点となる所得基準の線引きの議論を本年末までに⾏うとし、⼤詰めの段階に来ている。

     

    3. 今後も現役世代が⾼齢者医療を⽀えていく必要があるが、医療保険制度を維持し、増⼤する⾼齢者医療費を現役と⾼齢の両世代でなるべく公平に負担を分かち合うためには、「能⼒に応じて」という意味で、⼀定以上の所得がある⾼齢者については、⾃⼰負担割合を引上げることはやむを得ない。⼀⽅、⾼齢者側の事情も⼗分に踏まえる必要がある。1⼈当たり医療費は年齢階級が上がるほど増えていく。⾼齢者は平均年収も⼀般的に下がるので、年間所得に対する患者の窓⼝負担額の割合は現役世代より⾼い。所得が低いほど負担が逆進的になる。

     

    4. そもそも、所得基準の線引きについては、明確な根拠を求めることは難しいが、筆者の考えとしては、所得額に応じて利⽤者負担割合が1割、2割、3割とすでに分けて設定されている介護保険サービスを参考にしてはどうかと考える。後期⾼齢者医療費の⾃⼰負担割合引上げについては、まずは、合計所得160万円以上(年⾦収⼊等約280万円以上)の⼀般所得者を対象に2割負担を導⼊するのが適当と考える。その導⼊タイミングは、急な制度変更で混乱が⽣じないよう、2022年4⽉以降に75歳になる⾼齢者から順次適⽤していくのがよいだろう。

     

    5. また、将来的な検討課題となるが、「能⼒に応じて」の負担という中には⾦融資産や不動産の保有状況も反映させることが考えられる。例えば、フローの年間収⼊は少なくても多額の⾦融資産や不動産を保有する⾼齢者には3割負担を求めることは検討に値するだろう。

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  • 稲田 義久

    インバウンド需要におけるキャッシュレス決済についての分析 -「関西における訪日外国人旅行者動向調査事業」アンケート調査から-

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 野村 亮輔 / 松林 洋一

    ABSTRACT

    本稿では、「関西における訪日外国人旅行者動向調査事業」アンケート調査に基づいて、関西のインバウンド需要とキャッシュレス決済との関係を様々な角度から分析を行った。

    本アンケート調査から得られた興味あるfindingsは以下の通りである。

     

    ①キャッシュレス決済の利用頻度や形態は国・地域によって異なり、欧州や北米からの訪日外国人客(以下、訪日外客)はクレジットカード利用が多い一方で、中国人は現金もしくはQRコードの利用頻度が高い。

     

    ②キャッシュレス決済の利便性について、多くの訪日外客が交通機関や買い物・飲食代支払い時に十分享受していないと感じているようである。また場所別では、飲食店やホテルではおおむね使いやすいと感じているが、バス等の交通機関や寺社仏閣や美術館などにおいては不便であると感じている割合が高い。

     

    ③なお、本アンケートでは訪日外客に旅程を通じて為替レートを意識しているか否かも質問している。回答結果は「旅マエ」までは為替レートをある程度意識するが、「旅アト」時には意識しないと答える割合が高くなる傾向がみられた。訪日外客は「旅アト」において今回の旅行を振り返るとすれば、滞在中(「旅ナカ」)においてキャッシュレス決済で財・サービスを購入する際にあまり為替レートを意識しなかった、という興味深い情報を本アンケートは提供していることになる。

     

    今回のアンケート調査は、地域を関西に限定しているが、今後インバウンド需要を促進していくためにも、我が国のキャッシュレス決済をより一層充実させていくことが不可欠であることを示唆している。

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  • 藤原 幸則

    新型コロナウイルス対策特別会計(仮称)の設置 -予算・執行の透明化と財政規律の確保を求める-

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    藤原 幸則

    ABSTRACT

    新型コロナウイルスは、海外で依然猛威をふるっている。国内においても、今後、インフルエンザとの同時流⾏や感染流⾏の「第3波」の可能性があり、警戒は怠れない状況にある。新型コロナウイルスは、わが国の財政の悪化にも⼤きな影響を及ぼしている。コロナ禍の出⼝は未だ⾒通せず、財政⾚字の⼤幅な増加が今年度だけで終わる保証はない。

    もちろん、新型コロナウイルス対応は、国⺠の⽣命と経済社会を守るためのものであり、必要な歳出は躊躇なく機動的に⾏うことが必要である。しかし、財政規律のタガがはずれたままであってよいわけはない。財政⺠主主義の原則に照らし、緊要な予算・執⾏でも透明性の確保と事後の効果検証は必要であるし、緊急事態から脱したときから、財政健全化に向けてどのような取り組みを⾏うかも今から議論・検討しておくべき重要課題と考える。そこで、今後の財政健全化に向けては、平時と緊急時で分けて考えていくことを提案したい。提案内容の要約は、以下の通りである。

    1. コロナ禍前からのわが国財政は、社会保障の給付と負担のアンバランスなどによる構造的な財政⾚字を抱えており、こうした平時の財政の健全化については、潜在成⻑率を引上げ、経済成⻑を通じた税収増による財政収⽀改善が重要であるとともに、社会保障⽀出増加の抑制に踏み込んだ改⾰、消費税による安定的な税財源の確保が必要と考える。

    2. ⼀⽅、新型コロナウイルス対応に要した緊急の歳出については、東⽇本⼤震災復興特別会計にならい、別途、「新型コロナウイルス対策特別会計(仮称)」を設置して、事業に時限を付しつつ、予算・執⾏を⼀元的に管理し透明化するとともに、その財源充当のために発⾏した国債全額は、コロナ危機からの経済回復後の特別増税などにより計画的に償還していくことが必要と考える。コロナ禍の今を⽣きる世代が連帯して負担し、将来世代に負担を先送りしないとして、借換債も含め全体として20年間で償還し終えるのが適切と考える。

    3. 新型コロナウイルス対策で発⾏した国債の償還財源については、負担の分かち合いや能⼒に応じた追加負担という意味で、所得税が最も望ましい。特に、コロナ禍でも所得減の影響が少なかった(あるいは、影響がなかった)中・⾼所得者に特別な負担を求めることは公平の観点から妥当であろう。これに加え、社会連帯と経済対策の受益という意味で、法⼈も幅広く負担することが必要だろう。さらに、国際協調により資産課税や⾦融取引課税を主要国が同時に同税率で導⼊することもめざすべき⽅策であろう。

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  • 藤原 幸則

    新型コロナウイルス対策で見えた地方の財政力格差-税源交換による地方税の偏在是正・税収安定化を-

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     / DATE : 

    AUTHOR : 
    藤原 幸則

    ABSTRACT

    新型コロナウイルスの感染拡大は、地域経済にも大きなマイナス影響を及ぼしている。地域経済の悪化は税収減により地方財政へ影響が及び、その影響は長期化する可能性がある。感染拡大は地方財政への影響の長期化だけにとどまらない。そこで、本稿では、新型コロナウイルス感染拡大で見えた地方の財政力格差の背景と問題点を整理し、財政力格差の要因になっている税収の偏在是正のための制度改革の提案を行った。地方税の偏在性において、最も大きいのが地方法人二税であり、最も小さいのが地方消費税である。そこで、地方の法人課税分と国の消費税分について、同額で税源交換し、地方消費税を拡充することが有効と考え、シミュレーションも行った。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.49 – 弱含みの関西経済にCOVID-19が追い打ち:民需・外需が軒並み急落 –

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1.  20年1-3月期実質GDPは前期比年率-3.4%(前期比-0.9%)で、2四半期連続のマイナス成長となった。COVID-19の感染拡大の影響(経済活動の自粛)により、民間最終消費支出を中心に民間需要が減少し、加えて二つの輸出(財とサービス)が大幅に減少した。4-6月期はマイナス幅がさらに拡大することが予想されている。
    2.  2020年1-3月期の関西経済は、民需と外需が急激に悪化した。前期の消費税率引き上げと中国経済の減速に加えて、COVID-19感染拡大による外出自粛と外国人観光客の入国規制が追い打ちとなった。景況感やインバウンド関連の指標では統計開始以来最低となった指標もある。
    3.  関西の実質GRP成長率を2020年度-5.1%、21年度+2.6%と予測する。日本経済と同様に20年度は記録的な大幅マイナスとなる。21年度には回復に転じると見込むが、以前の水準に戻るのは22年度以降となる。
    4.  前回予測(3月16日公表)に比べて、20年度は-4.6%ポイントの下方修正、21年度は+1.5%ポイントの上方修正である。20年度の下方修正は、COVID-19感染拡大による世界経済および国内経済の失速を反映した。一方21年度は民間需要を中心に、公的需要・域外需要いずれも上方修正とした。
    5.  実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度を見ていく。2020年度は、民間需要が-4.7%ポイントと成長を大きく押し下げる。域外需要も-0.7%ポイントとマイナスの寄与である。公的需要は経済対策の効果から+0.3%ポイントと成長に貢献するが、民間需要のマイナスを補うには至らない。21年度は、民間需要が+1.8%ポイントと回復する。また公的需要+0.3%ポイント、域外需要+0.5%ポイントといずれも成長に寄与する。
    6.  緊急事態宣言に伴う経済活動の抑制ならびにその後の経済社会活動の変化による影響について、前回予測の時点では織り込んでいなかったが、今回の標準予測では織り込んでいる。前回と今回の予測結果の差をみると、緊急事態宣言等が2020年度の関西経済に与えた影響は、民間最終消費支出2兆1,543億円、民間企業設備8,252億円、輸出3兆2,118億円、GRP3兆7,537億円の損失であり、追加的な失業者は157,966人にのぼると見られる

     

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.48 -民需の大幅失速で19-20年度は 2年連続のマイナス成長: 新型肺炎の影響とGDP2次速報を織り込み予測を改定-

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰

    ABSTRACT

    1. 3月9日発表のGDP2次速報によれば、10-12月期実質GDPは前期比年率-7.1%と1次速報(同-6.3%)からさらに下方修正された。前回増税時(14年4-6月期:同-7.4%)以来の下げ幅となった。

    2. 関西経済は、昨年10月の消費税率引き上げと新型コロナウイルス感染拡大の影響のダブルショックにより、特に民間部門が急速かつ大幅に冷え込んでいる。またこれまで関西経済を支えてきた2つの輸出、対中輸出とインバウンド需要も失速している。コロナウイルスは欧米でも感染拡大し、世界経済全体の景況感が悪化しており、金融市場で乱高下が見られるなど、リスクが高まっている。

    3. 足下の経済指標やGDP2次速報の改定を反映して、関西の実質GRP成長率を2019年度-0.2%、20年度-0.5%、21年度+1.1%と予測する。19年度20年度と2年連続のマイナス成長となる。新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛活動の広範化の影響を反映し、19年度は-0.3%ポイント、20年度は-0.7%の大幅下方修正とした。21年度は+0.1%の上方修正である。

    4. 2019年度は、成長を下支えるのは公的需要のみとなる。民間需要は-0.3%ポイントと成長を引き下げる。公的需要は消費税対策から+0.5%ポイントと成長に貢献する。域外需要は-0.3%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は、民間需要が-1.2%ポイントと2年連続で成長に寄与せず、むしろ抑制要因となる。公的需要は+0.3%ポイントと成長を押し上げる。域外需要は輸入の減少から+0.4%ポイントとプラスに転じる。21年度は、民間需要が+0.5%ポイントと回復に転じ、公的需要+0.2%ポイント、域外需要+0.3%ポイントといずれも成長に寄与する。景気の急回復は期待できない。

    ※英語版はこちら

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.47 – 民需外需の失速が鮮明、正念場迎える関西経済 –

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 木下 祐輔 / 野村 亮輔 / 吉田 茂一

    ABSTRACT

    1.  2019年10-12月期実質GDPは前期比年率-6.3%(前期比-1.6%)と5四半期ぶりのマイナス成長だった。寄与度を見ると、純輸出は前期比+1.9ポイントと3四半期ぶりのプラスとなったが、国内需要は同-8.3%ポイントと5四半期ぶりのマイナスで、成長を大きく押し下げた。
    2.  2019年10-12月期の関西経済は、民需と外需の失速が鮮明となった。10月の消費税率引き上げ、中国経済の減速を受けて、家計部門、企業部門、対外部門と多くの指標が失速の様相を呈している。これまで堅調だった雇用環境やインバウンド需要も軟調となりつつある。20年1-3月期以降については、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響が現れてくるため、関西経済は正念場を迎える。
    3.  関西の実質GRP成長率を2019年度+0.1%、20年度+0.2%、21年度+1.0%と予測。消費税率引き上げによる民間消費の停滞、中国経済の減速、新型肺炎による経済活動の縮小といった要因から、19年度20年度は低成長を免れられず、本格的な回復は21年度となる見通しである。
    4.  前回予測に比べて、2019年度は-0.6%ポイントの下方修正、20年度も-0.2%ポイントの下方修正である。下方修正の背景として、19年7-9月期のGDP実績値の大幅下方改定、消費税率引き上げによる影響とそれに伴う足下の景気減速、新型肺炎の影響の織り込みがある。一方21年度は+0.3%ポイントの上方修正とした。
    5.  2019年度については、成長を下支えるのは公的需要のみとなる。民間需要は+0.0%ポイントと成長に貢献しない。公的需要は消費税対策から+0.5%ポイントと成長に貢献する。域外需要は-0.3%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は、民間需要が-0.4%ポイントと19年度に続いて成長に寄与せず、むしろ抑制要因となる。公的需要は+0.3%ポイントと成長を押し上げ、域外需要も+0.2%ポイントとプラスに転じる。21年度は、民間需要が+0.3%ポイントと回復に転じ、公的需要+0.2%ポイント、域外需要+0.3%ポイントといずれも成長に寄与する。
    6.  新型コロナウイルスの感染拡大が関西経済に与える影響について、2つの輸出に限定して試算した。回復期間の長短にもよるが、経済損失額は1,782億~5,345億円、名目GRP比では0.2~0.6%に相当する。ただしこの試算にはイベントの中止・延期、レジャー施設の休業などの影響など家計消費への影響は含まれていないため、影響はさらに拡大すると見込まれる。

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  • 稲田 義久

    第126回景気分析と予測<消費増税、新型コロナウイルスの影響で大幅減速>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1.  CPB World Trade Monitor(25 Feb. 2020)によれば、2019年10-12月期の世界輸出(数量ベース:2010年=100)は前期比+0.1%と2四半期連続のプラスだが小幅にとどまった。12月14日に、米中貿易交渉は第1段階の合意に達し世界貿易の一層の悪化は避けられたが、世界貿易の先行きは依然読みにくい。
    2.  2月17日発表のGDP1次速報によれば、10-12月期実質GDPは前期比年率-6.3%(前期比-1.6%)大幅低下し、5四半期ぶりのマイナス成長マイナス幅は市場コンセンサス(ESPフォーキャスト1月調査)の最終予測同-4.05%を大きく下回った。CQM最終予測は、支出サイドが同-4.2%、生産サイドが同-6.4%、平均同-5.3%となり、生産サイドからの予測が実績に近かった。
    3.  10-12月期1次速報発表に合わせて、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しが行われ、過去値が改訂された。過去1年を振り返ると、18年10-12月期+1.0%ポイント、19年1-3月期0.0%ポイント、4-6月期-0.1%ポイント、7-9月期-1.3%ポイント、それぞれ修正された。特に、7-9月期の下方修正が大きい
    4.  10-12月期GDP1次速報を織り込み、予測を改定した。2019年度の実質GDP成長率は+0.3%、20年度は+0.2%と減速する。21年度は+1.1%と回復に転じよう。前回(第125回)予測に比して、今回は(1)7-9月期の下方修正、(2)10-12月期の大幅マイナス成長と(3)1-3月期以降の新型コロナウイルスの影響を反映し、19年度を-0.6%ポイント、20年度を-0.2%ポイント下方修正。下方修正からの反動もあり、21年度は+0.4%ポイント上方修正した。
    5.  経済政策の影響もあり今回の駆け込み需要は低く出たものの、増税後は駆け込み需要の反動減や10月の台風の影響もあり、消費の落ち込みは相対的に大きかった。そもそも民間最終消費支出の基調は弱く、その後の回復はしばらく緩やかなものにとどまろう。
    6.   米中貿易戦争は一時的な休戦に入ったが、1月下旬に明らかになった中国を発生源とする新型コロナウイルスの感染拡大は日本経済の先行きに大きな影響を与える。その影響はまず財とサービスの輸出に表れる。またその影響の程度は、経済活動の下落幅とその持続期間に依存する。このため、19-20年度の日本経済は大きく減速し、回復に転じるのは21年度である
    7.  物価の先行きについては、エネルギー・非エネルギー価格の動向と消費税増税に加え教育無償化の影響が重要だ。1月における消費増税と幼児教育無償化のCPIに与える影響は+0.4%にとどまった。これらに加え、今後の需給ギャップの動向をふまえ、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.6%、20年度+0.5%、21年度+0.4%と予測するる。

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  • 稲田 義久

    第125回景気分析と予測<世界貿易悪化は一服も、予断を許さない先行き>

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(日本)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 下田 充

    ABSTRACT

    1.   CPB World Trade Monitor (24 Dec. 2019) によれば、2019年7-9月期の世界輸出数量は前期比+0.5%増加し、4四半期ぶりのプラス。10月の世界輸出数量も前月比+0.9%と3カ月ぶりのプラスとなった。また12月14日米中貿易交渉は第1段階の合意に達し世界貿易の一層の悪化は避けられたが、先行き世界貿易の回復については依然予断を許さない。
    2.  12月8日発表のGDP2次速報によれば、7-9月期実質GDPは前期比年率+1.8%(前期比+0.4%)と1次速報(前期比+0.1%、同年率+0.2%)から大幅上方修正された。なおCQMの最終予測は前期比年率+1.7%。
    3.  過去に遡って基礎データが改訂された結果、2018年すべての四半期の成長率が1次速報から下方修正され、19年の3四半期はすべて上方修正された。このため、18年度の実質GDP成長率は前年比+0.7%から同+0.3%へと大幅下方修正された。18年度は公的固定資本形成が大幅上方修正(-4.0%→+0.6%)されたものの、民間最終消費支出(+0.4%→+0.1%)と民間企業設備(+3.5%→+1.7%)が下方修正されたためである。
    4.  7-9月期GDP2次速報を織り込み、予測を改定した。2019年度の実質GDP成長率は+0.9%、20年度は+0.4%と減速する。21年度は+0.7%と回復に転じよう。前回(第124回)予測に比して、今回は7-9月期の上方修正を反映し、19年度を+0.2%ポイント上方修正した。20-21年度はいずれも変化なし。
    5.  駆け込み需要やその反動減は前回増税時に比して限定的だが、低い可処分所得の伸びに加え消費性向(消費者センチメント)が低下トレンドにあるため、消費増税後の民間最終消費支出の回復基調は弱い。このため、19年10-12月期はマイナス成長を避けられず、その後の回復はしばらく緩やかなものにとどまる。ただ、政府の手厚い経済対策、オリンピック需要の効果が剥落する20年度後半に景気落ち込みは避けられない。加えて、米中貿易戦争解決には時間がかかり世界貿易への下押し圧力は依然強いことから20年度の日本経済は減速し、回復に転じるのは21年度である。
    6.  物価の先行きについては、エネルギー・非エネルギー価格の動向と消費税増税に加え教育無償化の影響が重要だ。10月における消費増税と幼児教育無償化のCPIに与える影響は+0.2%にとどまった。これらに加え、今後の需給ギャップの動向をふまえ、コアCPIのインフレ率を、19年度+0.6%、20年度+0.4%、21年度+0.5%と予測する。

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  • 稲田 義久

    Kansai Economic Insight Quarterly No.45 – 内外需ともに弱さが目立ち、停滞懸念が顕在化確固たる成長の牽引役が先行き不在となるおそれ –

    経済予測

    経済予測 » Quarterly Report(関西)

     / DATE : 

    AUTHOR : 
    稲田 義久 / 入江 啓彰 / 小川 亮 / 野村 亮輔 / CAO THI KHANH NGUYET / 吉田 茂一 / 車 競飛

    ABSTRACT

    1.  2019年7-9月期実質GDPは前期比年率+0.2%(前期比+0.1%)と4四半期連続のプラス成長だが小幅にとどまった。寄与度を見ると、純輸出は前期比-0.2ポイントと成長を抑制し、国内需要は同+0.2%ポイントと4四半期連続のプラスだが民間需要も公的需要のいずれも同+0.1%ポイントと低調だった。
    2.  2019年7-9月期の関西経済は、内需外需とも弱い動きが見られる。インバウンド需要や設備投資計画、公共投資など堅調な部分も随所に見られるが、センチメントや景況感は大幅悪化している。また、これまで比較的堅調だった所得・雇用環境でも改善ペースが緩慢となり、弱含みとなっている。
    3.  関西の実質GRP成長率を2019年度+0.6%、20年度+0.4%、21年度+0.7%と予測する。19年度は修正なし、20年度は-0.1%ポイントの下方修正である。19年度は民間需要を下方修正とした一方で、公的需要を上方修正した。域外需要は輸出・輸入とも下方修正しており、全体では相殺して修正なしとなった。20年度も民需を小幅下方修正した。21年度は今回から新たに予測を追加した。
    4.  実質GRP成長率に対する各需要項目の寄与度を見ると、2019年度は民間需要+0.6%ポイント、公的需要+0.5%ポイントと内需は成長に貢献する。域外需要は-0.5%ポイントと成長抑制要因となる。20年度は、成長を下支えるのは公的需要(+0.3%ポイント)のみで、民間需要・域外需要はそれぞれ+0.1%ポイントにとどまる。21年度は、民間需要+0.3%ポイント、公的需要+0.2%ポイント、域外需要+0.1%ポイントといずれも成長に寄与するが小幅で、成長を力強く牽引することはできない。
    5.  関西2府4県GRPの過年度の未公表分の実績見通しについて早期推計した。17年度は大阪府と兵庫県をはじめとした各府県のプラス寄与により+1.5%の成長を達成した。18年度は、大阪府のマイナス成長があったが他府県のゼロまたはプラスの寄与度により、関西全体としてはほぼ横ばいの動きとなったと予測される。
    6.  関西における消費税率引き上げ前後の動態を過去の事例と比較した。今回は種々の対策により、関西でも前回に比して駆け込み需要が小幅であることを確認した。なお足下9月の指標は、前年の特殊要因からの反動増を含むことに注意。

     

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